sNN = 200 GeV の原子核衝突を用いた ハドロン質量発現機構の探求

Slides:



Advertisements
Similar presentations
` Particle production from a view point of thermal/chemical equilibrium 広大理 (D3) 熱統計力学的にみるハドロンの運動量分布と生成比 於 Motivation 高エネルギー原子核衝突 横方向運動量分布 サーマル・フリーズ・アウト.
Advertisements

Study of Identified Hadron Spectra and Yields at Mid-rapidity in sNN = 200GeV Au+Au Collisions 清道 明男 (理研) 核子あたり200GeV 本審査/公開発表会 February 16, 2005.
相対論的重イオン衝突実験 PHENIXにおける Aerogel Cherenkov Counterの シミュレーションによる評価
科研費特定領域第二回研究会 「質量起源と超対称性物理の研究」
第1回「アインシュタインの物理」でリンクする研究・教育拠点研究会 2008年10月11日 (土) 高エネルギー物理学研究室 清矢良浩
小沢研究室紹介 大学院を志す人のために.
日本物理学会 2010年 年次大会 @岡山大 LHC-ATLAS実験で用いられる イベントジェネレータの W+jets 事象を用いた比較
電磁カロリーメーターを使って中性パイ中間子を見よう!
重心系衝突エネルギー 200 GeV での A+A衝突における の測定
相対論的重イオン衝突実験PHENIX におけるシミュレーションによる charm粒子測定の可能性を探る
山崎祐司(神戸大) 粒子の物質中でのふるまい.
2016年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その2)
COMPASS実験の紹介 〜回転の起源は?〜 山形大学 堂下典弘 1996年 COMPASS実験グループを立ち上げ 1997年 実験承認
筑波大学・数理物質科学研究科・ 物理学専攻 三明康郎
LHC Run-2 進展状況 [1] Run-2に向けたアトラス検出器の改良 [0] Run-2 LHC
発表概要 LHC における高エネルギー原子核物理学 ALICE の現状, 計画 まとめ, おわりに RHIC における物理成果を踏まえて
Bファクトリー実験に関する記者懇談会 素粒子物理学の現状 2006年6月29日 名古屋大学 大学院理学研究科 飯嶋 徹.
HBT測定で明かされる 相対論的重イオン衝突の 時空発展の描像 筑波大学 物理学セミナー 2007年12月17日 榎園 昭智.
高エネルギー物理学特論 岡田安弘(KEK) 2008.1.8 広島大学理学部.
高エネルギー物理学特論 岡田安弘(KEK) 2007.1.23 広島大学理学部.
原子核物理学 第4講 原子核の液滴模型.
RHIC-PHENIX実験での 直接光子測定
CERN (欧州原子核研究機構) LEP/LHC 世界の素粒子物理学研究者の半数以上の約7000人が施設を利用
現実の有限密度QCDの定性的な振る舞いに
Physics via Penetrating Probes at ALICE
in Au+Au collisions at sqrt(sNN) = 200 GeV
ILCにおけるリトルヒッグス・モデルの検証に関する
核物理の将来 WG ストレンジネス sub group
First measurement of interference fragmentation function on longitudinally polarized deuteron target at HERMES 小林 知洋、 Gunar Schnell、 大須賀 弘、 田中 秀和、 長谷川.
最初に自己紹介 高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 幅 淳二
Azimuthal distribution (方位角分布)
D中間子崩壊過程を用いた 軽いスカラー中間子の組成の研究
2018年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
担当教官 理論: 菅沼 秀夫 実験: 成木 恵 藤岡 宏之 前期: それぞれ週1回のゼミ 後期: 理論ゼミ + 実験作業
ATLAS実験における J/Y->mm過程を用いたdi-muon trigger efficiency の測定方法の開発及び評価
理研RIBFにおける 中性子過剰Ne同位体の核半径に関する研究
高エネルギー重イオン衝突実験 PHENIXにおける 光子崩壊を用いた低質量ハドロン探索
Production of Charmonia in Cu+Cu and p+p collisions at √sNN=200GeV
担当教官 理論: 菅沼 秀夫 実験: 成木 恵 前期: それぞれ週1回のゼミ 後期: 理論ゼミ + 実験作業
高エネルギー原子核衝突 で探る ハドロンの基礎構造
K核に関連した動機による K中間子ヘリウム原子X線分光実験の現状 理化学研究所 板橋 健太 (KEK-PS E570 実験グループ)
Charmonium Production in Pb-Pb Interactions at 158 GeV/c per Nucleon
ILC実験における ヒッグス・ポータル模型での ヒッグス事象に関する測定精度の評価
門内 晶彦 理化学研究所 仁科加速器研究センター 理研BNL研究センター 理論研究グループ
LHC計画で期待される物理 ヒッグス粒子の発見 < 質量の起源を求めて > 2. TeVエネルギースケールに展開する新しい物理パラダイム
LHC計画で期待される物理 ヒッグス粒子の発見 < 質量の起源を求めて > 2. TeVエネルギースケールに展開する新しい物理パラダイム
宇宙史実習報告会 筑波大学 宇宙観測研究室 長崎岳人 2010/3/22
卒業論文発表 中性子ハロー核14Beの分解反応 物理学科4年 中村研究室所属   小原雅子.
ストレンジネスで探る原子核 -ハイパー核の世界-
高エネルギー物理学特論 岡田安弘(KEK) 2008.1.15 広島大学理学部.
? 格子QCDシミュレーションによる南部-ゴールドストン粒子の 質量生成機構の研究 質量の起源 ドメインウォールフェルミオン作用
志垣 賢太 ( ) “日本の核物理の将来” 高エネルギー重イオン分科会 2011 年 5 月 1 日 於 東京大学
広島大学におけるHEPnet-J 利用状況
2015年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その2)
格子ゲージ理論によるダークマターの研究 ダークマター(DM)とは ダークマターの正体を探れ!
Marco Ruggieri 、大西 明(京大基研)
HERMESの横偏極水素標的の 深非弾性散乱におけるハドロン 測定による Single Spin Asymmetry
課題研究 P4 原子核とハドロンの物理 (理論)延與 佳子 原子核理論研究室 5号館514号室(x3857)
大内田 美沙紀 (広島 大学) For the PHENIX collaboration
2017年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
東京大学ICEPP 織田 勧 日本物理学会秋季大会 シンポジウム RHICで切り拓くQCD物性の世界 2008年9月22日(月) 山形大学
媒質中でのカイラル摂動論を用いた カイラル凝縮の解析
RHIC (Relativistic Heavy Ion Collider)
2016年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その1) 緑:除外されたSUSY粒子の質量範囲 [TeV]
2017年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その1) 緑:除外されたSUSY粒子の質量範囲 [TeV]
J-PARC-HI 提案書へのコメント 高エネルギー原子核実験グループの立場から
実数および純虚数化学ポテンシャル領域における 2+1フレーバーPNJL模型を用いた QCD相構造の研究
重心系エネルギー200GeVでの金金衝突におけるPHENIX検出器による低質量ベクトル中間子の測定
? リー・ヤンの零点 これまでの格子QCD計算の結果 今年度の計画 リー・ヤンの零点分布から探る有限密度QCDにおける相構造の研究
Penta Quark Search in sNN=200 GeV Au+Au Collisions at RHIC-PHENIX
Presentation transcript:

sNN = 200 GeV の原子核衝突を用いた ハドロン質量発現機構の探求 志垣 賢太 (広島大学) 2007 年 3 月 26 日 日本物理学会シンポジウム 「カイラル対称性と核物質中のハドロン質量分布の測定」 於 首都大学東京

ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム 発表概要 高エネルギー原子核衝突による QCD 探求 ハドロン質量状態変化探求の意義 パートン非束縛相の探索手段から性質探求のプローブへ RHIC 加速器 PHENIX/STAR 実験の成果と展望 パートン非束縛相探索 低質量ベクトル中間子の質量状態変化探索 まとめ 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム 高エネルギー原子核衝突による QCD 探求 極初期宇宙における原子核物質 宇宙開闢 (ビッグバン) から 10-5 秒以内の物質相 パートンと強い相互作用 (i.e. QCD) の基本的性質 極限状態の QCD 高エネルギー密度 (高温) /高原子核物質密度極限 ハドロン質量の起源: カイラル対称性の自発的破れ カイラル対称性 (部分的) 回復 → ハドロン質量状態の変化? 通常原子核中のハドロン実験と相補的 格子 pQCD の適用最適領域 クォーク自由度が顕在化する物質相への転移を予言 QCD 相転移 → パートン非束縛 (QGP) 相 極初期宇宙 高エネルギー原子核衝突 パートン非束縛相 (クォーク・グルーオン・プラズマ) エネルギー密度 (温度) 臨界点 F. Karsch, Lect. Notes Phys. 583 (2002) 209 臨界温度 ~ 170 MeV 色超伝導 ハドロン気体 色 ‐ フレーバー・ロッキング 中性子星? 原子核 バリオン密度 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム 高エネルギー原子核加速器 Bevalac/SIS/AGS/SPS から RHIC/LHC へ sNN 向上: QCD 相図上の高密度領域から高温領域へ 現在稼動中の高エネルギー原子核加速器 BNL-AGS (11 A GeV 197Au + 固定標的) 1986 年 28Si, 1991 年 197Au 運転開始; 単独プログラム終了 CERN-SPS (200 A GeV 208Pb + 固定標的) 1986 年 32S, 1994 年 208Pb 運転開始; 単独プログラム終了 BNL-RHIC (100 + 100 A GeV 197Au + 197Au) 2000 年運転開始; 稼働中 CERN-LHC (2.8 + 2.8 A TeV 208Pb + 208Pb) 2007 年運転開始; 2008 年 Pb+Pb 衝突運転開始予定 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム 相対論的重イオン衝突型加速器 RHIC 非対称を含む多様なハドロン衝突が可能 197Au までの原子核 (最大 100 A GeV) (偏極) 陽子 (最大 250 GeV) p+p/d+Au/Cu+Cu/Au+Au 衝突実験実施済 “run 4” (’03 – ’04): sNN = 200 GeV Au+Au 241 mb-1 6 つの衝突点; 4 つの相補的実験 BRAHMS/PHENIX/PHOBOS/STAR 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム PHENIX 実験の物理戦略 すべての時間段階から可能な限り多種の信号を 初期衝突起源 (パートン非束縛相を通過) 高横運動量粒子 (ハドロン・ジェット, ハドロン, 光子) 重いクォーク (c, b) を含む粒子 重いクォーク対の束縛状態 (J/Y, Y’, ) パートン非束縛相起源 低質量ベクトル中間子 (f, w, r) 熱輻射 (光子, レプトン対) パートン起源の集団的運動 ハドロン相起源 パートン運動学の境界条件 S.Nagamiya (?) in preparation phase of PHENIX 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム PHENIX 実験における戦略の実装 多様な測定により多数の物理過程を測定 ハドロン, レプトン, 光子の同時測定 希事象 (e.g. 透過的プローブ) の測定に重点 高頻度データ測定・収集能力 多段階の事象選択トリガ 高精度測定 高精度の粒子識別 高分解能 4 元運動量測定 広範囲の運動学領域を網羅 2000 年夏実験開始; 現在 “run 7” 立上中 既存データの 4 – 5 倍 (1.1 nb-1) の Au+Au 衝突を計画 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

“Quark Matter ’06” における PHENIX 総合報告 The matter is strongly coupled PHENIX preliminary The matter is dense The matter may melt and/or regenerate J/y’s The matter modifies jets The matter is hot 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

高エネルギー原子核衝突で生成する相の性質 稠密: クォークのエネルギー損失 ジェット (高横運動量粒子) 収量抑制 ジェット形状変化 パートン由来: 色価遮蔽, クォーク自由度顕在化 J/Y 収量抑制 構成クォーク数スケーリング則 強結合: 完全流体 流体力学で記述される集団運動 高エネルギー密度: 高温熱輻射 (!?) 熱輻射 (仮想) 光子 (!?) 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム ジェット抑制: 期待された発見 (の一例) Au+Au at sNN = 200 GeV PHENIX d+Auh+X at sNN = 200 GeV PHENIX Au+Au 衝突で中心度に従いジェット抑制 d+Au 衝突, 直接生成光子: 初期状態起源の抑制否定 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

クォーク完全流体: 予期しない発見 (の一例) バリオンと中間子の異なった振舞 生成比の横運動量依存性 (バリオン “異常” 生成) パートン破砕関数では説明不能 RHIC エネルギーで初めて発現 集団的運動 (楕円流) の横運動量依存性 ハドロン流体模型では説明不能 質量依存性ではない f (陽子とほぼ等質量) も p, K と同様の振舞 バリオンと中間子の差異 = 構成クォーク数に依存 バリオン (反)陽子/ 中間子比 中間子 Au+Au at sNN = 200 GeV PHENIX PRL 91, 172301 (2003); PHENIX PRC 69, 034909 (2004) 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム クォーク流体/再結合模型 高横運動量ハドロン生成機構 真空中のクォーク破砕 (既知) パートン媒質中のクォーク再結合 (新規) バリオン/中間子生成比の横運動量依存性を説明 集団的運動 (“楕円流”) の横運動量依存性を説明 R. J. Fries et al., nucl-th/0301087 V. Greco, C. M. Ko, P. Levai, nucl-th/0301093 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム 高エネルギー原子核衝突物理学の現状 強く相互作用する高温高密度パートン相の生成確認 パートンのエネルギー損失 (ジェット収量抑制) 重いクォーク対束縛状態収量抑制 構成クォーク数スケーリング則 完全流体で記述される集団運動 新たな物質状態の定量的知見と完全な理解へ 低質量ベクトル中間子の質量状態変化 PHENIX 検出器増強 (2007 年より順次) の重点課題 熱輻射光子 LHC 加速器 ALICE 実験 (2007 年開始) の重点課題 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム ハドロン質量状態変化探求の意義 歴史的意義: パートン非束縛相探索手段 ↓ 高エネルギー原子核衝突物理学の進展 パートン非束縛相の存在 (他の手段により) 確立 パートン非束縛相に対する定量的知見と完全な理解へ 現代的意義: パートン物質の性質探求 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム STAR による低質量ベクトル中間子測定 ハドロン崩壊過程による測定 p+p/d+Au/Au+Au  f  K+K- p+p/Au+Au  r  p+p- 最新結果: パートン流体 + 再結合模型に合致 nucl-ex/0703033, submitted to Phys. Rev. Lett. partonic flow and f meson production in Au+Au collisions at sNN = 200 GeV r0 質量変化? Phys. Rev. Lett. 92, 092301 (2004) r0 production and possible modification in Au+Au and p+p collisions at sNN = 200 GeV 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

PHENIX による低質量ベクトル中間子測定 複数の衝突系/崩壊過程を用いた系統的測定 p+p/d+Au/Au+Au  f  e+e- p+p/d+Au/Au+Au  f  K+K- p+p/d+Au/Au+Au  w  e+e- cf. 来島孝太郎 25aSC5 p+p/d+Au/Au+Au  w  p0g cf. 大内田美沙紀 25aSC4 p+p/d+Au  w  p0p+p- 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

PHENIX による低質量ベクトル中間子測定 f/w  e+e-   e+e-   K+K-   e+e-   0   0+- BR = (2.97  0.04)×10-4 BR = (4.92  0.07)×10-1 BR = (7.18  0.12)×10-5 BR = (8.90  0.25)×10-2 BR = (8.91  0.07)×10-1 e+ , w e- 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

PHENIX による低質量ベクトル中間子測定 f  K+K-   e+e-   K+K-   e+e-   0   0+- BR = (2.97  0.04)×10-4 BR = (4.92  0.07)×10-1 BR = (7.18  0.12)×10-5 BR = (8.90  0.25)×10-2 BR = (8.91  0.07)×10-1 K+ f K- 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

PHENIX による低質量ベクトル中間子測定 w  p0g   e+e-   K+K-   e+e-   0   0+- BR = (2.97  0.04)×10-4 BR = (4.92  0.07)×10-1 BR = (7.18  0.12)×10-5 BR = (8.90  0.25)×10-2 BR = (8.91  0.07)×10-1 0   w  2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

PHENIX による低質量ベクトル中間子測定 w  p0p+p-   e+e-   K+K-   e+e-   0   0+- BR = (2.97  0.04)×10-4 BR = (4.92  0.07)×10-1 BR = (7.18  0.12)×10-5 BR = (8.90  0.25)×10-2 BR = (8.91  0.07)×10-1 0   w + - 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム f 検出/同定/信号抽出 d+Au  f  K+K- Au+Au  f  K+K- ハドロン崩壊 f f Au+Au  f  e+e- d+Au  f  e+e- 電子対崩壊 f f 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム w 検出/同定/信号抽出 p+p    0+- p+p    0 Au+Au    0 w w w ハドロン崩壊 h d+Au  w  e+e- Au+Au  w  e+e- w w 電子対崩壊 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

最新成果 (1): Au+Au  w/f  e+e- 技術的挑戦: 信号/背景比 電子同定法と背景雑音見積の最適化 cf. 来島孝太郎 25aSC5 (より興味深い) 低横運動量領域のスペクトル測定 ● Au+Au  w  e+e- ● Au+Au  w  p0g ● p+p  w  p0p+p- ● p+p  w  p0g PHENIX Preliminary 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

最新成果 (2): Au+Au  w  p0g 技術的挑戦: 信号/背景比 横運動量 4 – 5 GeV/c 以上での測定実現性を検証 崩壊光子に対する運動学的選択の最適化 無相関・部分相関光子による背景雑音の系統的見積 横運動量 4 – 5 GeV/c 以上での測定実現性を検証 cf. 大内田美沙紀 25aSC4  複数の崩壊過程を用いた広範囲の系統的測定 背景差引前 背景雑音見積 背景差引後 生成断面積からの予想 w に対する最適化後の p0g 不変質量分布 (横運動量 8.5 – 9.5 GeV/c) 既存統計で期待される w 検出有意性 (最適化前/最適化後) 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム 低質量ベクトル中間子の質量状態変化探索 質量状態変化未検出 最も興味深い衝突系/崩壊過程からの結果が間近に e.g. Au+Au  f/w  e+e-/p0g QCD 相図上の他領域との整合性の議論 必須条件: 系統的測定/解析 (進展中) d+Au  f  K+K- PHENIX preliminary Au+Au  f  K+K- PHENIX, Phys. Rev. C72, 014903 (2005) p+p/Au+Au  r  p+p- STAR, Phys. Rev. Lett. 92, 092301 (2004) d+Au    0+- PHENIX, nucl-ex/0611031 submitted to Phys. Rev. C 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム 現状 + 近未来の展望 “run 4” (2003–2004) データ解析は最終段階 ハドロン/電子対/放射 (光子) 崩壊過程の系統的解析 解析技術手法と系統的理解の双方に着実な進展 多くの崩壊過程について “必要最低限” の統計量 “run 7” 高統計 Au+Au 衝突実験準備中 2007 年 3 月 21 日衝突開始 “run 4” の 4 – 5 倍の積分輝度を計画 PHENIX “ハドロン不感” 検出器導入済 cf. 小沢恭一郎 26pSD7 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム

ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム まとめ 高エネルギー密度 (高温) 極限における QCD 探求 通常原子核中のハドロン実験と相補的 格子 QCD 計算と密接な共同歩調可能な領域 パートン非束縛相の生成確認  パートン相に対する定量的知見と完全な理解の追求 低質量ベクトル中間子の系統的測定: 重点課題 質量状態変化未検出 より興味深い衝突系/崩壊過程からの結果に期待 2007 年 4 月より高統計 sNN = 200 GeV Au+Au 衝突 PHENIX 検出器増強完了 2007 年 3 月 26 日 ハドロン質量発現機構の探求 / 志垣賢太 / 日本物理学会シンポジウム