ATLAS シリコン飛跡検出器の コミッショニングについて

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ATLAS シリコン飛跡検出器の コミッショニングについて 池上陽一、海野義信、高力孝、近藤敬比古、寺田進 (高エ研) 原和彦、丸山和純、望月亜衣、目黒立真、秦野博光 (筑波大 数理) 中野逸夫、田中礼三郎、 美馬覚、内藤大輔、岡本敦志 (岡山大 自然) 高嶋隆一 (京都教育大)、 花垣和則 (大阪大)、 大杉節 (広島大) 他アトラスSCTグループ 目次 ATLAS シリコン飛跡検出器について コミッショニングの現状 Evaporative Heater 問題 M3 combined test run まとめ 2007/09/22 池上陽一 KEK 日本物理学会 北海道大学

LHC (Large Hadron Collider)計画 CERN 陽子陽子衝突型加速器 √s = 14 TeV 2008年夏より物理実験開始 2007/09/22 池上陽一 KEK 日本物理学会 北海道大学

ATLAS and ATLAS Inner Detector ATLAS detector 直径 25 m 長さ 46 m 重さ 7000 Tons inner detector 直径 2 m 長さ 7 m |η| < 2.5 Solenoid 磁場 2T Pixel : シリコンピクセル検出器 SCT : シリコンマイクロストリップ検出器 TRT  : 遷移輻射ストローチューブチェンバー 地下に設置を完了 2007/09/22 池上陽一 KEK 日本物理学会 北海道大学

Barrel SCT Barrel module 4 barrel layers 高放射線耐性 > 2 ・1014 Neq/cm2 Radii : 300, 371, 443 and 514 mm Length :1600 mm Total :2112 modules Strip pitch : 80 μm Stereo angle : 40 mr →ΔZ :2 mm readout channels :1536 ch 高放射線耐性 > 2 ・1014 Neq/cm2 2007/09/22 池上陽一 KEK 日本物理学会 北海道大学

Endcap SCT Endcap module 9 Endcap disks × 2 sides Outer Middle Inner Outer: 56.5–71.8 mm × 123.1 mm Pitch: 70.8 – 90.3 μm Middle: 56.1–75.2 mm × 118.7 mm Pitch: 70.3 – 94.8 μm Inner: 43.8–55.8 mm × 73.9 mm Pitch: 54.4 – 69.5 μm Disk distance from z = 0      : 835 - 2788 mm Radii   : 259-560 mm Total   : 1976 modules 2007/09/22 池上陽一 KEK 日本物理学会 北海道大学

SCT コミッショニングの現状 地上部で、宇宙線を用いて、検出効率、ノイズ特性を計測し、 特性の劣化が無いことを今年の春の学会で示した。 地下への移動 Evaporative Heater 問題 The third milestone (M3) combined test run への参加 (2007/6) ⇒ Trigger DAQ への組み込み ⇒ Detector Control System (DCS) : PSコントロール、環境モニター、… ⇒ monitor, calibration noise study for barrel SCT (宇宙線試験はキャンセル) M4 combined test run (2007/8) ⇒ TDAQ + DCS の調整が中心で、    SCT本体の詳細な研究はなし M5 combined test run (2007/10) ⇒ Evaporative Heater の補修が完了予定 ⇒ Barrel (+Endcap) SCTによる本格的なコミッショニングが開始予定 2007/09/22 池上陽一 KEK 日本物理学会 北海道大学

Evaporative Heater SCTの動作温度 放射線損傷後の温度暴走の抑制 読み出し回路の冷却 ⇒ -14℃まで下げて運転 ATLAS longitudinal view IP Heater SCTの動作温度 放射線損傷後の温度暴走の抑制 読み出し回路の冷却 ⇒ -14℃まで下げて運転  Evaporative Heater の役割 省スペース化を図るために SCTの冷媒配管の熱絶縁の省略 ⇒ 気液二層流の冷媒(C3F8)を 気体にする必要がある ⇒ 液体のままでは、  ⇒ 冷媒の停留(圧損発生) ⇒ 低温のままでは、  ⇒ 戻り配管の結露 Sheath heater Unions Kapton cables 2007/09/22 池上陽一 KEK 日本物理学会 北海道大学

Evaporative Heater 問題とその対応 2007年2月にunionで短絡事故が発生 (シースヒーターとリード線の結線部分) 原因は? ヒーターとシースの電気抵抗測定 SEMによる破断面の解析 X線による透過解析 サーモグラフによる温度の解析 ⇒ 明確な原因は不明  ⇒ 補修へ 2007年5月に再発 事前の検査では、“Golden union”であった ⇒ 明確な原因は不明    単一の要因ではないようだ ヒーターを外からアクセス出来る場所に移動  “far-heater” ⇒ ΔP<200mbar ⇒ ΔT <5℃ Body of union Part of union blasted off 2007年2月の短絡 Fuse配線の不具合もあり爆裂 Unionの不良解析 Thermocamera SEM fracture 3W, T=345 Heater Sheath 2007/09/22 池上陽一 KEK 日本物理学会 北海道大学

M3 combined test run results 地下部と地上部とのENC (Equivalent Noise Charge)の差の分布 ENCは、テストパルスによる threshold curveから評価 60e の増加 ⇒ <ENC> = 1600e ⇒ 許容範囲内 0.3% dead channels ⇒ 変化なし ENC 2007/09/22 池上陽一 KEK 日本物理学会 北海道大学

M3 combined test run results (2) NO (Noise Occupancy)の分布 NO = (# of hits) / (# of trigger) SCT + TRT <NO> = 5.7 × 10-5 ⇒ 5.0 × 10-5 :地上の結果 ⇒ TRTとの同時に動作は、OK # of modules 2007/09/22 池上陽一 KEK 日本物理学会 北海道大学

まとめ Inner detectorは、全て地下に移動を完了した。 Barrel SCTについては、地下移動後ノイズの増加は、   許容の範囲内であった。 Barrel TRTを同時に動かしても問題は発生しなかった。  DAQ、DCSは、順次順調に立ち上がっている monitor, calibration関係は進展中であり、  日本グループが、積極的に関与をして行く。 今年10月のM5 runでは、far-heaterの設置が完了し、 Barrel (+Endcap) SCTによる本格的なコミッショニングが 開始される予定であり、引き続き解析を継続して行く。 2007/09/22 池上陽一 KEK 日本物理学会 北海道大学

Backup 2007/09/22 池上陽一 KEK 日本物理学会 北海道大学

Fault analysis of heater unions(X-ray) First fault in February. The union of a heater blowed-up after few hours of operation. All non conformities (geometrical and permeability to moisture) found and corrected. A union failed on May 7 while testing Barrel SCT in the pit. This was a “golden” union, not a single non conformity and was in operation since 5 days. It failed at start-up. May 07 - after March 07 - before 2mm critical zone 2007/09/22 池上陽一 KEK 日本物理学会 北海道大学

Longitudinal Metallographic Cut The interlock system did work and therefore the union did not blow-up (as in the first fault in February). This allowed a more detailed analysis of the problem (also the QC was much improved in between the two faults, so we know better the characteristics of the union before the fault). MgO SS jacket fracture Rshort=25 mW, then longitudinal metallographic cut and R=38 mW. A fracture is visible (same as in the x-ray) wire Stycast 2762 (epoxy + Al2O3) 5mm 2007/09/22 池上陽一 KEK 日本物理学会 北海道大学

Thermocamera analysis Injected a known current through the 2 shorted (38 mW ) electrodes and measured with high-resolution thermocamera 2 mm 0.015W, T=48 0.6W, T=100 0.04W, T=31.5 C 0.015W, T=48 3W, T=345 2W, T=207 2007/09/22 池上陽一 KEK 日本物理学会 北海道大学