わが国のインターネットの発展 — 歴史は教訓を与えるか — わが国のインターネットの発展 — 歴史は教訓を与えるか — 昔の話 通信の変化、変化し損なった事柄 2013年5月13日 後藤 滋樹 (早稲田大学)
1-1.個人は非力,社会が強力 JUNET (徳田,bit 1986年臨時増刊7月 p.325) 長野大学 理化学研究所 東北大学 津田塾大学 図書館情報大学 山梨大学 静岡大学 東京大学 筑波大学 NTT通研 京都大学 東京工業大学 大阪大学 慶応義塾大学 KDD研 上智大学 九州大学 JUNET (徳田,bit 1986年臨時増刊7月 p.325)
ネットワークと人間社会 神様 → 人間 → コンピュータ △ 会社 → コンピュータ ◎ 人間社会 → ネットワーク ○ 武蔵野 横須賀 神様 → 人間 → コンピュータ △ 会社 → コンピュータ ◎ 人間社会 → ネットワーク ○ VT100 武蔵野 横須賀 DEC 20 1981
『遠くの親戚よりも近くの質屋』 [例] 身近になったアジアの友人たち メールに返事のない国内よりも 即答のシンガポールが頼りになる → 返事がくると思えば依存する パスカル的な一体感は,多くのSFの モチーフになっている [例] アーサー・C・クラーク
人間社会の一体感 哲学者パスカル Blaise Pascal (1623—1662) 『パンセと小品集』 真空論序言 「一人一人の人間が日々に学問に進歩するのみでなく,全体としての人類が,宇宙が老いていくにつれてたえず前進するので ある.」 http://www-groups.dcs.st-and.ac.uk/~history/PictDisplay/Pascal.html
個人としての人間は とても弱い 走れば犬に負ける 力では馬に負ける 岩波講座インターネット 第2巻 「学習の手引き」
2-2.疲れを知らないコンピュータ === Mon Oct 20 23:04:05 JST 1986 === wanted CONNECT \015\012ATDT000118007001 234\015\015\012RRING\015\012\015\012CON NECTgot that send \r RETURN wanted ogin: 2400\015\012{u!^?{kO\015\ 012\015\012StanF\033\011\0364m\0273 BSD UNIX (Shast!)\004\012\015\015\012\0151 ogin:got that send login
ノイズを除いた記録 === Mon Oct 20 23:04:05 JST 1986 === wanted CONNECT ATDT000118007001 234 RRING CON NECTgot that send \r RETURN wanted ogin: 2400 StanF\033\011\036 4m 3 BSD UNIX (Shast!) ogin:got that send login
wanted assword: ^?{i]^?{^?{ok^?{^?{^?{ ^?{\015\012^?{\015\012\015\012Stanford 4.3 BSD UNIX (Shasta)\015\012\015\015\0 12\015login: g#^?{^?^?{]I^?^?{^?{i]^?{^ ?{^?{q\013/}^?{^?{?;^?oks\027^?{s\027^? {9Z\lq\005^?{7\0136.Kv{S7^?uuntmi}RJyxD /7yPassword:got that send password uucp Shasta (10/20-23:02-8338) SUCCEEDED uucp Shasta (10/23-23:04-8338) TIMEOUT
人間はコンピュータには敵わない wanted assword: Stanford 4.3 BSD UNIX (Shasta) login: uuntmi}RJyxD Password:got that send password uucp Shasta (10/20-23:02-8338) SUCCEEDED uucp Shasta (10/23-23:04-8338) TIMEOUT 人間はコンピュータには敵わない
1-3.電子喧嘩の驚きと感動 By 野島久雄 WWW6
喧嘩ができる優れたメディア 電子喧嘩は「しつこい」 私自身も経験: 細いチャネルでは大声になる 人間が適応している証拠 電子メールで感動が伝わる
1-4.意外にルールを守る米国 ARPAnet、NSFnet 商用禁止(AUP: acceptable use policy) ベンチャービジネスの本場、米国でも商用の発想は長らく欠如していた 社会の発展過程ではジャンプが起きない
ARPAネットのAUP 1980年代の中頃に、スタンフォード大学のGay and Lesbian Clubの学生が、カリフォルニア大学バークレー校に催物の案内を送った。バークレーのネットワーク管理者は、案内をネットワークを経由して送ったことに反発した。そのような行為はAUPに違反しており、スタンフォード大学がARPAネットから切り離されてしまう恐れがあると警告した。さて、スタンフォード大学の学生の反応はどのようなものであったか。言論の自由を重視する立場では何を送っても良い。AUPを遵守するならば、Gay and Lesbianの催物の案内を送るのは間違っている。
1-5.新奇の試みと手応え 日本は「後追い」であるという非難 事実はやや複雑 米国に比肩できる先駆的な研究あり OK 日本は「後追い」であるという非難 事実はやや複雑 米国に比肩できる先駆的な研究あり WWW (HTTP), Gopher // avenue Java // 遠隔実行言語
研究も社会的な活動 周囲から反応がないと、研究を止めてしまう 人間は自らの姿を直接に認識できない 社会は鏡の役割を果たす 研究者も俗世間と隔絶していない 周囲から反応がないと、研究を止めてしまう
研究開発とリスク管理 研究開発は成功率が低い 95%は瞬時に失敗 リスク管理は社会の知恵 一人の社会では保険という制度が無意味 チャレンジする人を応援する仕組み これは一種の分業である
シリコンバレーでの逸話 筆者のNTT研究所時代の部下(米国人)の 2人が、たまたま同じ会社(start-up)で働く その会社の応援演説を頼まれた 私は製品の詳細を知らないが、能力のある技術者が2人いるのは事実と述べた これは教科書に載っている応援の方法
Silicon Valley Model by Prof Masahiko Aoki 青木昌彦「比較制度分析に向けて」新装版 NTT出版 2003. It does not work in Japan. Follow-up trials mostly failed even in the US. A venture capitalist and an entrepreneur do help each other.
1-6.インターネット博物館が必要 日記をつけるのも一案 誰が記録をしているのか 「これほど古文書が残らない分野も珍しい」 朝日新聞・服部桂氏の嘆き 「苦労していない分野はドラマにならない」 NHKのプロジェクトX担当者 ヨーロッパから研究者が日本に乗り込む 変化する日本社会は絶好の対象 日記をつけるのも一案
W W W Servers in Japan WWW6 By 坂本、佐藤、高田
社会は決してフラットではない 社会にはスタビライザが 組み込まれている 人間社会は急激な変化ができない 先進的な人が独走すると、不安定な社会となる 変革には自動的にブレーキが作用 社会にはスタビライザが 組み込まれている
重要な中間層の役割 ゲートキーパ
2:8の法則 会社では、2割の人が全体の8割の仕事をこなしている。 2:8の二乗法則 インターネットでは4%の人が、社会の96%の面倒を見ている。
1-7.電子メールの返事は48時間以内 24 48
20:3 の比率では落第 返事をするために委員会を開いていたのでは間に合わない 確認の返事だけは出すようにしたい 沈黙は何も意味しない 説明しないのは不気味だ
2-1 実現したデジタル統合 デジタル統合(ISDN)のビジョンが実現した 2-1 実現したデジタル統合 デジタル統合(ISDN)のビジョンが実現した 土台はATMではなく、IPパケット 高速ネットワークではパケットが長くてもOK 「ブロードバンド」という言葉も普及した イーサネットは、エーテルの夢を実現した ただしRobert MetCalfeは「インターネット崩壊説」を一時期唱えた
電話 IP network Analog Modem Digital DSU+TA (ISDN) (ISDN) VoIP/SIP (ADSL) VoIP/SIP (Optical Fiber) Modem DSU+TA (ISDN) ADSL modem ONU IP network
放送 IP network broadcast CATV HFC (Fiber & COAX) Analog CATV FTTH Digital bidirectional IP network multicast
Ethernet イーサネット CSMA/CD CS, Carrier Sense キャリア(搬送波)を見張る MS, Multiple Access 多重アクセス CD, Collision Detection 衝突検出 Robert MetCalfe
2-2 実現したテレビ電話 電話会社の夢が現実になる ただしサービス提供者は電話会社ではない 帯域圧縮の技術が表舞台に登場 2-2 実現したテレビ電話 電話会社の夢が現実になる ただしサービス提供者は電話会社ではない 帯域圧縮の技術が表舞台に登場 米国の大学連合 Internet2で一番儲けたのは誰でしょう? Polycomではないか 通信と放送の融合も展望できる?
2-3 知的(と見える)作業の変化 ビッグ データ 未来を予知したい 公式、方程式、病名、定石、文法、辞書… 2-3 知的(と見える)作業の変化 ビッグ データ 未来を予知したい 公式、方程式、病名、定石、文法、辞書… 従来は処理できず捨てたデータを対象にする 例)消費者の行動、providerはaggregater コンピュータ将棋の強さ(定石棋譜) 自動翻訳の性能向上(辞書コーパス) 音声合成の品質向上(法則合成コーパス)
コンピュータは人間を超えている 加算の速度、タイプ入力の速度 積分方程式を解くのは得意でも小学生の常識がない(Marvin Minsky, 人工知能の父) 人間の代理はできない。人間と人間との間に挟むと有用である(人間人=じんかん、社会) 人間は意外と非力 統計分布を直感的に理解できない 理解できないと伝達できない(言語による圧縮) store and forward型の通信(伝言ゲーム)
2-4 セキュリティの課題 米国政府:50年後も現在のインターネットを使う筈がない 2-4 セキュリティの課題 米国政府:50年後も現在のインターネットを使う筈がない 1990年(1991年)以前のARPAnetの時代には、利用者が匿名ではなかった 誰でも使える時代には、悪者も自由に使える 悪者はネットワークを駆使する 防御する側の連携は十分とは言えない セキュリティが利用者の関心事となっている
2-5 IPv6 が IPv4 と互換でない IPv6が十分に普及する前にIPv4が枯渇してしまった 互換性がないことはIPv6 (当初の名称はIPng)の提案者たちの反省事項 日本ではNTT東西の閉域網の課題がIPv6の利用を複雑にした
在庫枯渇 address pool exhaustion IPv4 と IPv6 在庫枯渇 address pool exhaustion IPv6 128ビット IPv4 32ビット 日本国内の割り振り数 一般社団法人 JPNIC https://www.nic.ad.jp/ja/stat/ip/
Next Generation IP network Literally understand that Next Generation IP IP Next Generation = IPng Ipng is an old name of IPv6 Dr Paul Francis contributed IPng standardization from Japan. As of January 2009, I have joined the Max Plank Institute in Kaiserslautern, Germany as the Director of the Institute for Software Systems (MPI-SWS) http://www.cs.cornell.edu/people/francis/ January 1994 to January 2000: Member Technical Staff at NTT Software Labs, Tokyo Japan.
Japanese IPv6 Networks miss the chance? Copyright © 2012 株式会社日本レジストリサービス
Copyright © 2012 株式会社日本レジストリサービス Japanese IPv6 Networks are broken? Google refuses the connection from them. Copyright © 2012 株式会社日本レジストリサービス
2-6 集中と分散 二元論 直列と並列、集中と分散 インターネットは分散、と言われるが一部の論理構造は集中している 2-6 集中と分散 二元論 直列と並列、集中と分散 インターネットは分散、と言われるが一部の論理構造は集中している DNSは分散として一応の成功、whoisは失敗 Cloudは集中型への揺り戻しと見ることができる ネットワークコンピュータ、thin clientも「彼岸」的 OpenFlowは集中管理に適合する
2-7 合理的な料金制度 定額料金は公平か? 資源は十分にあるのか? 電波の割当に限界 他の公共料金の議論は参考になるのか 2-7 合理的な料金制度 定額料金は公平か? 資源は十分にあるのか? 電波の割当に限界 他の公共料金の議論は参考になるのか 完全グラフでは破綻する電話会社 トラヒック理論 保険会社と電話会社は統計で商売をする 事業者間の決済は公平か
If you have five (5) subscribers, how many links we need? (5×4)/2=10 Subscriber A 加入者A 加入者E 加入者B 加入者D 加入者C Complete graph ※ 完全グラフ ※ 図 2.3 5人の加入者間の通信