ニホンジカの採食圧による森林被害 主要な野生鳥獣による森林被害面積(平成27年度) テキスト 6ページ

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ニホンジカの採食圧による森林被害 主要な野生鳥獣による森林被害面積(平成27年度) テキスト 6ページ テキスト 6ページ ニホンジカの採食圧による森林被害 主要な野生鳥獣による森林被害面積(平成27年度) (都道府県からの報告による、民有林及び国有林の被害面積の合計) 円グラフを見てください。 林業に及ぼす被害では、シカによる被害が約8割を占めています。 シカによる林業被害は、これまでは造林地における植栽木の食害が主でしたが、近年では成林したヒノキ等の樹皮の食害も目立つようになってきています。 ※林野庁HPより

生活環境への被害も拡大 テキスト 7ページ エゾシカが関係する JR列車支障件数の推移 テキスト 7ページ 生活環境への被害も拡大 エゾシカが関係する        JR列車支障件数の推移 高速道路における※野生動物と車両 との衝突事故件数の種別推移 件数( 件) 鳥獣が集落に出没して住民にけがを負わせたり、鳥獣と列車や自動車との衝突事故が増加する等、生活環境への被害も拡大しつつあります。 例えば、北海道ではエゾシカによる列車事故件数が20年で約10倍に増加しており、約2,800件以上(1日平均7件)発生しています。 その他、高速道路でも、全国で約1,000件の衝突事故(1日平均3件)が発生しています。 (※北海道では、一般道でもエゾシカの衝突事故を累計しており、平成25年度は1,818件(1日平均5件)発生しています。 一部の鳥獣の生息数の増加・生息域の拡大が続けば、このように生活環境被害も深刻化し、私たちの生活にも影響しているということを認識しなければなりません。

1.1 鳥獣の保護及び管理の現状 1.1.1 ニホンジカ、イノシシ等の鳥獣の増 加と被害の深刻化 1.1.2 主な鳥獣の生態と捕獲の留意点 1.1.3 科学的・計画的な鳥獣の保護及び 管理の必要性 1.1.4 鳥獣捕獲の担い手にかかる現状 次に主な鳥獣の生態と捕獲の留意点ですが、鳥獣種ごとの詳しい説明はここでは割愛しますので、各自、テキスト等を使って確認してください。

主な鳥獣の生態と捕獲の留意点 1 (1) ニホンジカ 個体数低減には、いかにメス成獣を捕獲するかがポ イント 多種類の植物を利用している テキスト 8ページ 主な鳥獣の生態と捕獲の留意点 1 (1) ニホンジカ 個体数低減には、いかにメス成獣を捕獲するかがポ イント 多種類の植物を利用している 通常は1産1仔 ニホンジカは、一夫多妻の繁殖形態であり、オスを捕獲しても、他のオスがメスの群れに入ることになるため、オスの捕獲が将来の個体数低減に寄与しないことから、メスを如何に捕獲していくかということが重要です。 ニホンジカは、季節移動が観察されています。交尾期のオスの移動や、越冬地への移動等があります。移動経路、越冬地での効率的な捕獲が行われる場合もあります。 季節ごとに他種類の植物を食べます。 メスは、1歳から繁殖開始(エゾシカでは1歳の83~100%妊娠、2歳以上100%妊娠していた研究例もある)、4歳以上は毎年繁殖します。野性下での寿命は、オス4~6歳、メス6~8歳、最長でオスは10~13歳、メス12~15歳です。

主な鳥獣の生態と捕獲の留意点 2 (2) イノシシ メス成獣を捕獲することが ポイント テキスト 8ページ 主な鳥獣の生態と捕獲の留意点 2 (2) イノシシ メス成獣を捕獲することが ポイント 警戒心の弱い幼獣は捕獲しやすい が、 警戒心の強い成獣は難しい場合も ある 毎年1回出産、平均産仔数は4~ 5頭 メスの成獣を捕獲することがポイントです。 はこわなでは、警戒心の弱い幼獣(うりぼう)はわなにかかりやすいが、それを見た成獣は、つかまりにくくなるため、わなの運用に注意が必要です。 繁殖率が高く、ほぼ100%のメスが毎年1回出産します。出産ピークは5~6月。平均出産頭数は4~5頭です。

主な鳥獣の生態と捕獲の留意点 3 (3) ニホンザル 加害する群れ等を特定し、群れ毎に管理方針を 決め、計画的に捕獲することが求められる テキスト 8ページ 主な鳥獣の生態と捕獲の留意点 3 (3) ニホンザル 加害する群れ等を特定し、群れ毎に管理方針を 決め、計画的に捕獲することが求められる 例: 加害個体の選択捕獲、 加害群れの一斉捕 獲等 無計画な捕獲は、群れの分裂を招きます。そのため、加害する群れを特定し、群れごとに追い払いをするか、加害個体のみを選択捕獲するか、加害群れの一斉捕獲をするか等の管理方針を決めて、計画的に捕獲を進めます。 オスは、4歳ぐらいから生まれた群れを離れ、他の群れに入ったり、単独で行動します。メスは、生まれた群れに留まります。

主な鳥獣の生態と捕獲の留意点 4 (4) ツキノワグマ・ヒグマ 秋季は堅果類が不作の年は、人里付近への出没 が多くなる テキスト 9ページ 主な鳥獣の生態と捕獲の留意点 4 (4) ツキノワグマ・ヒグマ 秋季は堅果類が不作の年は、人里付近への出没 が多くなる 出産は2年から3年おきに1回、平均の出産数は 1.7頭程度 出産後約1年半の間、母子ともに行動する シカやイノシシを捕獲するわなに錯誤捕獲される こともあり、注意が必要 秋季に堅果類が不作の年は、人里付近への出没が多くなり、人身事故も起きやすくなります。(平成22年度は、全国的に事故が多発。) 出産は、2年から3年おきに1回、平均の出産数は1.7頭程度です。 出産後、約1年半の間は、母子ともに行動します。子連れのクマは気性が荒くなります。 クマは、シカやイノシシを捕獲するわなに錯誤捕獲されることもあり、クマを捕獲しないようなワナの運用等をしましょう。

主な鳥獣の生態と捕獲の留意点 5 (5) カワウ 夜は樹上のねぐらなどで集団ですごし、昼間は、 河川、湖沼、海で魚等を採食 テキスト 9ページ 主な鳥獣の生態と捕獲の留意点 5 (5) カワウ 夜は樹上のねぐらなどで集団ですごし、昼間は、 河川、湖沼、海で魚等を採食 集団を効果的に捕獲する際には、発砲音等で一 斉に飛翔させないなどの工夫が必要 夜は、樹上のねぐら等で集団ですごし、昼間は、河川、湖沼、海で魚等を採食します。 集団を効果的に捕獲する際には、ねぐらやコロニーの移動・分散を防ぐため、無計画に攪乱しないよう、発砲音等で一斉に飛翔させない工夫(発射音の小さく、射程距離が長いエアライフル等)が必要です。 巣が壊れたり、卵がなくなると、カワウは再営巣します。卵を産み直し、繁殖期間が長くなると、被害が長期化する場合もあるので、注意が必要です。 環境省:特定鳥獣保護管理計画作成のためのガイドライン及び保護管理の手引き(カワウ編)より

1.1 鳥獣の保護及び管理の現状 1.1.1 ニホンジカ、イノシシ等の鳥獣の増 加と被害の深刻化 1.1.2 主な鳥獣の生態と捕獲の留意点 1.1.3 科学的・計画的な鳥獣の保護及び 管理の必要性 1.1.4 鳥獣捕獲の担い手にかかる現状 シカやイノシシ等による生態系被害や農林業被害、生活環境被害が深刻化している状況において、他の野生生物種の保護や生態系全体の保全をも考慮した積極的な個体群管理、つまり捕獲の強化が不可欠となっています。 その一方で、我が国に生息しているシカ等の野生鳥獣は、我が国の自然環境を構成する重要な要素の一つであり、根絶ではなく、人と鳥獣の適切な関係をつくり、共存を目指すべきものです。 そうした前提においては、シカ等の鳥獣をむやみに駆除や間引きすればよいというものではなく、鳥獣の個体群とその生息地を適切な状態に誘導し、維持するよう科学的・計画的に管理することが求められます。

鳥獣保護管理の基本的な考え方 鳥獣保護管理の三本柱 鳥獣保護管理はPDCAプロセスに沿って進める 個体群管理 (→捕獲の強化が不可欠) テキスト 10ページ 鳥獣保護管理の基本的な考え方 鳥獣保護管理の三本柱 個体群管理 (→捕獲の強化が不可欠) 生息環境管理 被害防除対策 鳥獣保護管理はPDCAプロセスに沿って進める P(Plan) 計画をたてる D(Do)   計画を実行する C(Check) 計画を評価する A(Act)   評価を計画に反映する         鳥獣保護管理を行うためには、三本柱の個体群管理、生息環境管理、被害防除対策を適切に組み合わせて、対策を行うことが必要になります。 特にシカやイノシシ等、生息数が増加、生息域が拡大した鳥獣については、これまで実施していた被害防除対策では限界があることから、捕獲の強化が不可欠です。三本柱の対応を適切に組み合わせて、基本的に被害防除対策が重要であり、さらに里地里山の管理、耕作放棄地、牧場の管理等の生息環境管理も実施していくことが必要です。 個体群管理を行うには、科学的・計画的な鳥獣保護管理が必要です。 野生動物が、いつ、どこで、どのくらいいるかが正確に知ることは、難しいことから、 PDCAサイクルで P:Planで計画を立て、いまある情報を元に目標を設定する D:Doで、計画をもとに対策を実施 C:Checkで、計画のとおりに実施できたか評価し、また計画が適切だったかも含め評価する A:Actで、計画のとおりに実施できなかった部分を改善、次期計画についても改善を行う 仮の目標を設定し、自然界では原因と結果の関係が必ずしも明らかでなく、不確実性があることから、モニタリングをして、計画も含め作業内容を見直すという、いわゆるPDCA(Plan、Do、Check、Act)プロセスが必要になります。

第二種特定鳥獣管理計画におけるPDCA テキスト 12ページ P A D C 目的 農林業被害の軽減 生態系被害の軽減 テキスト 12ページ 第二種特定鳥獣管理計画におけるPDCA 計画の策定・見直し 現状確認 計画の評価・検証 (現状の再確認) 被害状況や生息状況(推定個体数等)の変化等から、管理事業の成果を確認 目標値の設定 被害指標、生息密度指標、捕獲頭数など 被害状況、生息状況(個体数推定及び将来予測を含む)、被害と個体数の関係の把握 実施する管理の方策 管理事業の実施 規制等の緩和や強化、個体群管理、被害防除、生息環境管理 計画期間と対象地域の設定 P D C A 目的 農林業被害の軽減 生態系被害の軽減 地域個体群の存続 狩猟資源の持続的利用 など 鳥獣保護管理においては、計画段階や事業実施段階でPDCAサイクルを行うことが重要です。 例えば、テキストp.12の図1-9の第二種特定鳥獣管理計画におけるPDCAサイクルは、都道府県域において、5年間程度の都道府県が管理の目標をたてて、総合的な鳥獣の管理を実施し、被害や生息個体数の増減を評価しながら、一連の捕獲事業や被害対策の効果を検証して行くことが必要です。 まず、Pにあたる計画段階では、計画期間と対象地域、目標値の設定や実施する管理の方策などを明らかにします。 次に、Dにあたる実行段階では、規制等の緩和や強化、捕獲等の事業を実施します。 そして、Cにあたる評価検証段階では、目標値として設定した被害指標や推定個体数の変化などから実施の成果を確認し、 Aにあたる評価反映段階では、先の評価を新たな次期計画へ反映していきます。 第二種特定鳥獣管理計画では、こういったPDCAサイクルをたどります。

個々の捕獲事業におけるPDCA 全体のPDCAの中での テキスト 12ページ 捕獲目標の設定 計画へ反映 P A テキスト 12ページ 全体のPDCAの中での     個々の捕獲事業におけるPDCA     捕獲目標の設定 計画へ反映 P A 指定管理鳥獣捕獲等事業実施計画の策定 D 事前調査 捕獲業務の実施 計画へ反映 p 業務計画の策定 a d 業務計画の実施 c 図1-10を見てください。個々の捕獲等事業においては、個々の事業の単位で捕獲成果や安全性の確保、費用対効果等を検証していく、事業実施段階でのPDCAサイクルがあります。 事業を実施する皆さんにおいても考えていくことが必要になります。 受託者が仕様に基づいて P:Planで、事前調査(現場の状況を確認し、仕様書のとおりできるのか、具体的にどのように進めるべきかを確認)により、スケジュール、工程・進行管理も含めて、業務計画を立てる。 D:Doで、計画に基づいて事業を実施。 C:Checkで、受託者あるいは発注者が計画が着実に実施できたかを確認し、捕獲手法、作業手順、安全管理に問題なかったかを検証する。 A:Actで、随時、行う場合もありますし、業務報告書で改善点として捕獲手法や作業手順、安全管理等を記載し、次回の業務計画に反映すべき事項としてまとめておくことも必要になる。 このように、受託者が事業実施段階でも行うべきPDCAもあれば、それを受けて、発注者側が指定管理鳥獣捕獲等事業実施計画についてもPDCAサイクルで、事業実施していくこともあります。 このように、科学的・計画的な鳥獣保護管理においては、PDCAサイクルが不可欠です。 捕獲手法や作業手順、安全管理方法の見直し C 捕獲事業や被害対策の効果検証

1.1 鳥獣の保護及び管理の現状 1.1.1 ニホンジカ、イノシシ等の鳥獣の増 加と被害の深刻化 1.1.2 主な鳥獣の生態と捕獲の留意点 1.1.3 科学的・計画的な鳥獣の保護及び 管理の必要性 1.1.4 鳥獣捕獲の担い手にかかる現状 次に、鳥獣の保護管理の現状として、鳥獣捕獲の担い手の現状について説明します。

狩猟者の減少と高齢化 S50年の51.8万人からH26年は19.4万人に 60歳以上が66%、20 ~30歳台は10%以下 テキスト 13ページ 狩猟者の減少と高齢化 これは狩猟者の数を年代別に示したグラフです。 鳥獣捕獲の主たる担い手である狩猟免許所持者は、昭和50年度の約51.8万人から年々減少しており、ここ40年間で6割以上減少しています。 また、狩猟免許取得者数に占める高齢者の割合が高まり、棒グラフの紫色で示された60歳以上の割合は、平成26年度では全体の6割を超えています。 一方で、20代、30代の狩猟免許所持者は10%を切っています。 S50年の51.8万人からH26年は19.4万人に 60歳以上が66%、20 ~30歳台は10%以下

狩猟者の減少(免許種別) 主体であった銃猟免許所持者は減少 わな免許所持者の割合が増える傾向 テキストに載っていないグラフですが、狩猟者数を免許種別で見たグラフです。 狩猟者の減少を受けて、環境省や都道府県では、狩猟免許所持者を増やすために、普及啓発や免許試験の受験機会を増加させるなどの取組を行っています。 環境省では、平成19年には、わな猟をとる人が免許をとりやすいように、網・わな猟を分離して、免許を取得できるようにしたり、平成26年の鳥獣法の改正でも、網・わな猟の免許取得年齢を20歳から18歳に引き下げたりしました。 また、都道府県でも、狩猟免許試験を多く実施したり、都道府県によっては試験を受けやすいように土日の開催も実施しています。 しかし、近年、わな猟免許の所持者数は増加はみられるものの、銃猟免許の所持者数の減少に歯止めはかかっていません。 主体であった銃猟免許所持者は減少 わな免許所持者の割合が増える傾向

捕獲数の増加 捕獲数の増加 有害捕獲や個体数調整のための捕獲の割合が増加 テキスト 14ページ テキスト 14ページ 捕獲数の増加 狩猟者が減少している中で、捕獲数についてはどうなっているのでしょうか。 これはシカとイノシシの捕獲数を示したグラフです。 平成27年度のシカとイノシシの捕獲数は、それぞれ59万頭、55万頭であり、10年間でシカは約3倍、イノシシは約2.5倍に増加しています。 また、近年は棒グラフの青色部分である有害鳥獣捕獲や個体数調整のための捕獲が緑部分の狩猟による捕獲数を上回っていることがわかります。 この結果、一部の地域では、生息数の増加が抑えられていますが、多くの都道府県では、シカやイノシシの生息数は減少しておらず、被害も減っていません。 このように捕獲が強化されてきた一方で、これまで鳥獣の捕獲の主たる担い手であった狩猟者人口の減少や高齢化が進み、一人一人の捕獲従事者の負担が大きくなってきています。 狩猟免許取得者で単純計算すると、10年前は1人年間0.9頭捕獲していましたが、現在は1人年間3.0頭捕獲するなど(10年で3.3倍)、1人当たりの単純な捕獲頭数も増え、負担も大きくなっています。 今後、鳥獣捕獲の担い手を確保していくことが重要な課題になっています。 なお、捕獲数が増えているからといって、これでよいということではなく、平成25年度の捕獲率では生息数は増える一方であり、平成35年度に半減させるためには捕獲数が足りていないという状況にあります。 捕獲数の増加 有害捕獲や個体数調整のための捕獲の割合が増加

集落に設置された箱わなによる捕獲状況 捕獲わなを導入した460集落の年間捕獲頭数 ・0頭の集落:全体の36% ・2頭以下の集落:全体の52% テキスト 15ページ 集落に設置された箱わなによる捕獲状況 捕獲わなを導入した460集落の年間捕獲頭数 ・0頭の集落:全体の36% ・2頭以下の集落:全体の52% 前のスライドで見たように、近年はわなによる捕獲を中心に、被害対策のために新たに狩猟免許を取る人も増えています。 しかし、初心者にとって鳥獣の捕獲は決して簡単なものではありません。 グラフを見て下さい。 これは兵庫県のある地域での調査結果です。グラフは、捕獲のためにわなを導入した集落が年間で捕獲した捕獲頭数を示しています。 捕獲のためにわなを導入した集落のうち年間の捕獲頭数が0頭の集落が全体の36%を占めており、2頭以下を含めると、半数以上の52%も占めていることがわかります。 (兵庫ワイルドライフモノグラフ7号より) 捕獲は簡単にできるものではない

銃猟狩猟登録者の捕獲頭数 ・0頭の狩猟者:全体の37% ・2頭以下の狩猟者:全体の55% 捕獲は簡単にできるものではない テキスト 15ページ 銃猟狩猟登録者の捕獲頭数 ・0頭の狩猟者:全体の37% ・2頭以下の狩猟者:全体の55% 銃猟についてもみてみましょう。 このグラフは、兵庫県における狩猟者一人あたりの銃猟による捕獲頭数を表しています。 これは、シカとイノシシの生息が多い地域での銃猟の狩猟について調査した結果です。シカやイノシシを1頭も捕獲していない狩猟者が全体の37%、2頭以下を含めると半数以上の55%にも上っていることがわかりました。 このような現状から、鳥獣の捕獲は狩猟免許や銃の所持許可さえあれば、すぐにできるといった簡単なものではないことがわかります。 つまり、今後は狩猟免許取得者を単純に増やすだけではなく、鳥獣の保護や管理に必要な知識・技術を持ち、捕獲のために労力を払うことが可能な人材を確保していく必要があります。 のべ7350人の捕獲頭数53,408頭の分析結果(兵庫県H22年~24年) (兵庫県森林動物研究センター調べ) 捕獲は簡単にできるものではない

1 科学的・計画的な鳥獣の保護及び管理 1.1 鳥獣の保護及び管理の現状 1.2 鳥獣の管理の強化 1 科学的・計画的な鳥獣の保護及び管理 1.1 鳥獣の保護及び管理の現状 1.2 鳥獣の管理の強化 以上のような背景から、次に認定鳥獣捕獲等事業者制度が導入された経緯を次に見ていきます。

認定鳥獣捕獲等事業者の制度を含む 鳥獣の管理を促進する措置の導入 テキスト 16ページ 認定鳥獣捕獲等事業者制度導入までの経緯 捕獲等をはじめとする対策強化の必要性       「抜本的な鳥獣捕獲強化対策」および「被害対策強化の考え方」(環境省・農林水産省)より 平成35年度までに   ・ニホンジカ・イノシシ:生息数を半減   ・ニホンザル・カワウ:加害群・加害個体の半減   鳥獣保護管理の人材育成と体制構築                            「鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について」(中央環境審議会)より 都道府県による捕獲の強化 鳥獣管理体制の強化 捕獲等の対策強化の必要性から、環境省と農林水産省は、当面の捕獲目標として、シカ、イノシシ、サル、カワウ等について数値目標を設定しました。 特に、シカとイノシシについては、その個体数を10年後(平成35年度)までに半減させるという目標です。 また、環境省の中央環境審議会においては、鳥獣法の改正内容の審議において、取り組むべき最優先事項を「都道府県による捕獲の強化」と「鳥獣管理体制の強化」と答申しており、被害防止のための捕獲の促進に向けて、国の指導力や、国民の理解が必要であるとされました。 これらを踏まえ、国は平成26年に鳥獣法を改正し、その中で、鳥獣の管理を促進する措置の一つとして認定鳥獣捕獲等事業者の制度を導入しました。 認定鳥獣捕獲等事業者の制度を含む 鳥獣の管理を促進する措置の導入

認定鳥獣捕獲等事業者に求められること ■社会の要請に沿った捕獲事業の実施 ■事業実施のための体制作り ・必要な捕獲頭数の増加と狩猟者の負担増 テキスト 16ページ 認定鳥獣捕獲等事業者に求められること ・必要な捕獲頭数の増加と狩猟者の負担増 ・担い手の確保と維持の必要性 ■社会の要請に沿った捕獲事業の実施 ■事業実施のための体制作り それでは、新たな制度として導入された認定鳥獣捕獲等事業者に求められることは何なのでしょうか。 様々な被害を防ぐため、捕獲強化が必要な状況にありますが、これまでの捕獲は、主に狩猟者の協力により、地域の中の相互扶助の精神に基づいた活動に支えられてきました。 しかし、これまで見てきたように捕獲に従事する狩猟者の負担は急激に増加しています。 また鳥獣の捕獲は専門的な技術が必要な上に危険も伴う作業でもあります。 これまでのボランティア的な作業だけでは、今後担い手の確保がますます困難になっていくでしょう。 そこで、適切に社会の要請に沿った捕獲事業の実施と、そのための体制作り、 つまり、安全に実施できる体制を確保し、一定の専門的な技術を持ち、 社会のニーズにより契約に基づき、継続的に対応できるような捕獲を行う組織、法人を育成していくことが必要となってきました。 それが認定鳥獣捕獲等事業者、捕獲従事者に求められることと考えられています。

認定鳥獣捕獲等事業者とは 認定鳥獣捕獲等事業者制度の概要 都道府県知事の認定を受けた事業者 公的な鳥獣捕獲等の業務を契約を結んで受託 テキスト 16ページ 認定鳥獣捕獲等事業者制度の概要 認定鳥獣捕獲等事業者とは 都道府県知事の認定を受けた事業者 安全管理体制を確保し、 適正かつ効率的に鳥獣の捕獲を実施できる。 公的な鳥獣捕獲等の業務を契約を結んで受託 契約を適切に遂行する義務がある。 指定管理鳥獣捕獲等事業以外の捕獲の担い手と しても期待される 地域の鳥獣保護管理の総合的な担い手となること が期待される ここで、認定鳥獣捕獲等事業者制度とはそもそもどういった制度なのでしょうか。 認定鳥獣捕獲等事業者制度とは、鳥獣捕獲等事業者が鳥獣の捕獲等に係る安全管理体制や、従事者の技能及び知識が一定の基準に適合していることについて、都道府県知事の認定を受けることができる制度です。 その目的は、公的な鳥獣捕獲等事業の委託や請負業務の担い手となる鳥獣捕獲等事業者を育成・確保することです。 これらの業務においては、契約内容を確実に遂行し、求められる成果をあげなければなりません。 このため、認定鳥獣捕獲等事業者には、 鳥獣の捕獲等をする際の安全を確保するための体制を整備すること、 適正に捕獲するために必要な技能・知識を有する従事者を十分に配置すること、 適切に業務を遂行するための体制を確保すること、 関係法令を遵守して、契約に基づき仕様書に則って業務を遂行する責任があります。 (※これまで鳥獣の捕獲を行ってきた方々には、契約に基づくことは、あまり慣れていないかもしれません。法人として契約して、その契約を履行していくためには、業務を契約、履行、報告するためのルールがありますので、それも知っていただくことも必要です。) 認定鳥獣捕獲等事業者は、都道府県等による指定管理鳥獣捕獲等事業(指定管理鳥獣捕獲等事業については後ほど説明します)にとどまらず、幅広い鳥獣種を対象にした被害対策のための捕獲の担い手にもなり得ます。 そして、将来的には、鳥獣の生息状況や被害状況の調査、管理のための計画の検討、捕獲後のモニタリング、評価及び計画の見直しにも関与する等、地域の鳥獣保護管理の総合的な担い手となることも期待されています。

社会の要請に応じた捕獲事業の実施 法令を遵守し、安全かつ適正に捕獲を行う 目標を達成するため、効果的な捕獲を行う テキスト 17ページ 認定鳥獣捕獲等事業者制度の概要 社会の要請に応じた捕獲事業の実施 法令を遵守し、安全かつ適正に捕獲を行う 目標を達成するため、効果的な捕獲を行う 費用対効果を考慮し、効率的な捕獲を行う 認定鳥獣捕獲等事業者は、鳥獣の捕獲等を請負うための法人であり、契約に基づいて事業を行うことから、社会的責任を負うことになります。   法令を遵守し、安全かつ適正に捕獲を行うこと 被害軽減などの目標を達成するため効果的な捕獲を行うこと 契約した予算の範囲内で適切な費用対効果のある効率的な捕獲を行うことです。 特に、公的な予算を投入しての事業の場合は、作業の安全性や効率性、目標の達成度、捕獲の効果にも一定の基準が求められます。 業務を行った事業者には契約に基づき、その業務の成果に関する責任が生じることになります。また、事故等が発生した場合には、法人として従事者への監督責任も問われ、組織的な対応も必要となります。

従事者が適切に鳥獣捕獲等事業に 従事できる体制作り テキスト 17ページ 認定鳥獣捕獲等事業者制度の概要 従事者が適切に鳥獣捕獲等事業に 従事できる体制作り 安全管理体制の確保 従事者の技能や知識の維持向上 従事者の労働環境や待遇を確保 従事者の育成・確保 また、認定鳥獣捕獲等事業者は、適切に鳥獣捕獲等事業を推進していくための体制作りも求められます。 それは 1 鳥獣の捕獲等をする際の安全管理体制を確保すること 2 捕獲従事者が適正かつ効率的に鳥獣の捕獲等をするために必要な技能及び知識を維持向上させること 3 捕獲従事者が安心して捕獲に従事できる労働環境や待遇を確保すること 4 継続的に事業を実施するため、捕獲従事者を育成・確保することです。 このような体制をつくることが認定捕獲等事業者の重要な責務となります。

認定を受けるメリット 「認定鳥獣捕獲等事業者」の名称使用 狩猟免許更新時の適性試験の免除 法人としての捕獲許可の取得 テキスト 18ページ 認定を受けるメリット 「認定鳥獣捕獲等事業者」の名称使用 狩猟免許更新時の適性試験の免除 法人としての捕獲許可の取得 事業被害防止目的のライフル銃所持許可 狩猟税の免除 最後に、鳥獣捕獲等事業者は、公的な認定制度です。 この認定を受けると、次のようなメリットがあります。 1つ目は、「認定鳥獣捕獲等事業者」の名称を使用することができます。今後、認定鳥獣捕獲等事業者の社会的な評価や信頼性が高まれば、認定鳥獣捕獲等事業者であることのメリットも高められると考えられます。 2つ目は、事業従事者は、狩猟免許更新時の適性試験が免除されます。ただし、別途定める手続きにより、必要な適性を有することが確認される必要があります。 3つ目は、認定鳥獣捕獲等事業者については法人として捕獲許可を申請し、その許可を受けることができます。 4つ目は、ライフル銃を所持していない捕獲従事者にライフル銃を所持させて、鳥獣の捕獲等に従事させる必要がある場合は、猟銃の所持歴が10年に満たなくとも、ライフルが必要な事業を実施している事業者においては、銃の所持が許可される場合があります。 5つ目は、認定鳥獣捕獲等事業者の捕獲従事者は、申請前の1年以内に実際に捕獲に従事した都道府県において狩猟登録をする場合、狩猟税が全額免除されます。