数値天気予報データを用いた 大気伝搬遅延量推定ツールの開発

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リモートセンシング工 学 2007 年 1 月 11 日 森広研 M1 本田慎也. 第 11 章 気象レーダーによる観 測 雲、雨、風など 気象災害 → 特に台風、集中豪雨、竜巻、 ウインドシアー 大気の激しい撹乱現象をレーダーで 観測し防災に役立てることが重要.
非静力学モデルの方程式系 理学部 地球惑星科学科 地球および惑星大気科学研究室 今関 翔 (指導教員: 林 祥介)
高精度画像マッチングを用いた SAR衛星画像からの地表変位推定
有限差分法による 時間発展問題の解法の基礎
JRA-55再解析データの 領域ダウンスケーリングの取り組み
正二十面体格子大気モデル IGModel プロジェクトの紹介
数値気象モデルCReSSの計算結果と 観測結果の比較および検討
バングラデシュ周辺における 各種降水量推定値の検証
(Precipitation Radar)
大気の熱力学 乾燥大気 湿潤大気.
GPS観測 2006年度地球観測実習 ~新しい可能性を求めて~     新井隆太 大久保忠博 米田朝美        担当教官 宮崎真一.
気象庁における取り組み 気象庁数値予報課長 隈 健一
首都圏広域地殻変動観測施設によるVLBI観測成果
GPS補強のための気圧高度計の補正 電子航法研究所 坂井 丈泰  惟村 和宣  新美 賢治.
(Down Scaling Simulation System)
成層圏突然昇温の 再現実験に向けて 佐伯 拓郎 神戸大学 理学部 地球惑星科学科 4 回生 地球および惑星大気科学研究室.
solar wind Tp < - - - - -
国立環境研究所 温暖化リスク評価研究室長 江守 正多
2.温暖化・大気組成変化相互作用モデル開発 温暖化-雲・エアロゾル・放射フィードバック精密評価
東 邦昭 Observational Study on Mulutiscale Structures of
海洋生態系‐同位体分子種モデルを用いた 西部北太平洋におけるN2O生成プロセスの解明 吉川知里(BGC/JAMSTEC)
北海道大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻 地球流体力学研究室 M1 山田 由貴子
永井晴康、都築克紀(原研)、植田洋匡(京大防災研)
A④_05 (チーム4:雲解像モデリング) 「雲解像モデルの高度化と その全球モデル高精度化への利用」
レーザー励起Csガスセル型原子発振器による測地VLBI実験
いまさら何ができるのか?何をやらねばならないのか?
JAXA’s Earth Observation Program
CMIP5マルチ気候モデルにおける ヤマセに関連する大規模大気循環の 再現性と将来変化(その2)
東京海洋大産学官連携研究員/技術コンサルタント 高須 知二 Tomoji TAKASU
CONT05/VLBI実験における マイクロ波放射計観測結果
In situ cosmogenic seminar
新波線追跡法による大気伝搬 遅延に起因する測位誤差の 数値シミュレーション
第8週 高精度GPSの構築 位相測位の原理 通信システムの構築.
Multiple Antenna Radio-interferometer for Baseline Length Evaluation
技術コンサルタント 高須 知二 Tomoji TAKASU
Todd Walter (Stanford University)
東京海洋大産学官連携研究員/技術コンサルタント 高須 知二 Tomoji TAKASU
西スマトラ山岳域周辺の 気候学的な水蒸気輸送日変化
※今後、気象台や測候所が発表する最新の防災気象情報に留意してください。
ヤマセによる冷夏をターゲットにした アンサンブルダウンスケール予報実験
F. Lascaux, E. Masciadri, and S. Hagelin MNRAS, 411, 693 (2011)
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地学b 第5回雲と降水 Koji Yamazaki (山崎孝治)
バルク法について ~deepconv を用いて地球の積雲対流の数値計算をするにあたって~
ヤマセによる農作物被害軽減のためのダウンスケールデータ
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精密単独測位(PPP)による スタティック・キネマティック 測位精度の評価
MEMSセンサを用いたINS/GPS複合航法システム
南北両半球間を横断する 水蒸気輸送と降水量との関連性
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海洋GNSS観測点の実装と, それによる新たな地球観測の実現
数値予報 (Numerical Weather Prediction)
文化財のデジタル保存のための 偏光を用いた透明物体形状計測手法
菅野洋光 (農研機構東北農業研究センター) 渡部雅浩 (東京大学大気海洋研究所)
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フレア・CMEのトリガー機構と エネルギー解放過程
竜巻状渦を伴う準定常的なスーパーセルの再現に成功
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2005年のHAYABUSA 観測データについて 関戸 衛(NICT) VLBI技術による宇宙研究シンポジウム
全球モデルにおける中緯度下層雲の鉛直構造の解析
雲解像モデルCReSSを用いた ヤマセ時の低層雲の構造解析
地球環境気候学研究室 谷口 佳於里 指導教員:立花義裕 教授
地上分光観測による金星下層大気におけるH2Oの半球分布の導出
ギガビット観測システムによる長基線測地 VLBI
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数値天気予報データを用いた 大気伝搬遅延量推定ツールの開発 市川隆一、関戸 衛、小山泰弘 情報通信研究機構 鹿島宇宙技術センター

GPS VLBI

大気

(GPS Earth Observation Network System) GEONET by GSI (GPS Earth Observation Network System) (Seko et al., 2003)

大気伝搬遅延とは? 伝搬遅延 中性大気による伝搬遅延量 経路の曲がり 経路上での減速 乾燥大気 水蒸気 <屈折率の計算> ~2.3m(天頂) 水蒸気 0.1-0.4m(天頂) <屈折率の計算> P/T: 乾燥大気 e/T+e^2/T:水蒸気 [P:気圧, T:温度, e:水蒸気分圧 経路上での大気屈折率を積分することで伝搬遅延が計算できる

実際に経路上の屈折率を逐次計算するのは非常に困難→天頂遅延 天頂大気遅延を求めるには? 実際に経路上の屈折率を逐次計算するのは非常に困難→天頂遅延 地上の気象データと標準的な大気モデルで推定 独立の観測で得られた大気遅延をa prioriに解析で使用 解析の過程で観測方程式の未知数として最小自乗法で推定

マッピング関数(mapping function) ※仰角依存関数(測地学分野での用語) 元々は衛星通信で大気差(角度)を計算するのが目的 10-40cm ~230cm Wet delay (湿潤遅延) hydrostatic delay (静水圧遅延)

マッピング関数(続き) Atmospheric delay Mapping function elevation azimuth coefficients

マッピング関数の作り方 波線追跡法 (ray tracing) Atmosphere model Numerical Weather

Numerical Weather Model 気象庁サイトより Numerical Weather Model 数値(天気)予報

10年前の計算 気象庁10km格子・地域モデル 水蒸気の推定精度低い 計算領域狭い ルーチン的なデータ提供無し

Vienna Mapping Function

2.5°X2.0°

(Shimada et al., 2001) 1日目:西へ最大1.5cm 2日目:東へ1cm

山岳波の影響 Mt. Fuji mountain lee wave Izu peninsula cool cool wet wet warm wind cool wet cool wet mountain lee wave warm dry wind Izu peninsula

わが国とその周辺(アジアモンスーン地域) では大気変動が極めて顕著 逆に言えば、わが国周辺で充分使える精度のマッピング関数を作れば、それは地球全体で通用する まずは、ray tracing プログラムの開発から

Mesoscale Model (MSM) 18 hours 00, 03, 06, 09, 12, 15, 18,21 UTC Japan Global Spectral Model (GSM) Regional Spectral Model (RSM) Mesoscale Model (MSM) Forecast range 90 hours (00UTC) 216 hours (12UTC) 51hours 18 hours Initial Times 00, 06, 12, 18UTC 00, 12UTC 00, 03, 06, 09, 12, 15, 18,21 UTC Forecast Domain Global East Asia Japan Map projection - Lambert Conformal Horizontal Grid # 640 x 320 325 x 257 361 x 289 Truncation Wave # T213 214 x 169 238 x 190 Grid spacing 0.5625 deg.(~60km) 20km 5km Vertical layers 40 Top Layer Pressure 0.4hPa 10hPa Precipitation process Prognostic Arakawa-Schubert Large-scale condensation Prognostic cloud water content Moist convective adjustment

900hPa 00UT 10/01/2004 925hPa 950hPa 1000hPa 地表

札幌 つくば 鹿島 内之浦 上海 父島

オンラインで入手可能な 気象庁の数値予報データ 地球流体電脳倶楽部 [http://gpv.tkl.iis.u-tokyo.ac.jp/GPV/]

今後の計画 MATLABへの移植〜行列計算 観測点で生じうる測位誤差のシミュレーション 独自のマッピング関数開発 観測点での見かけの変位を見抜くのに必要 独自のマッピング関数開発 ルーチン的にオンラインデータを取り込んでマッピング関数を計算するシステムの開発 謝辞:データ提供、及び発表中の図版類について、気象庁、国土地理院、ISAS/JAXA、MEF(池下氏)、地球流体電脳倶楽部、 ECMWF、ESA、及びウィーン工科大学に深く感謝致します。

Vienna Mapping Function