マルチメディアデータベース序論.

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マルチメディアデータベース序論

Database System が必要となる理由 データの共有が簡単になる 無駄が減る データを共有せずに,プログラムごとにファイルを持つ場合と比べて. 「トランザクション」の機能 銀行システム(振込み,現金引き出しなどの機能)などのトランザクションを,確実に実行するための機能

メディア型 「古典的」なデータ メディア型 ファイル Relation オブジェクト テキスト/文書 (Text/Document) 静止画像 (Image) 動画像 (Video) 音声 (Audio)

マルチメディアデータベースシステム に期待される機能 さまざまなメディア型 マルチメディアを簡単に扱えるようにするための仕掛け

マルチメディア検索の特質 内容検索 / 属性による検索 類似検索 / 一致検索 条件による検索 「例示」による検索 内容検索 / 属性による検索 条件による検索 「例示」による検索 類似検索 / 一致検索 等しい より大きい より小さい 「似ている」 など マルチメディアでは意味がある マルチメディアでは意味がある

マルチメディアデータベース の枠組み いずれも 多次元データ 特徴量 特徴抽出 マルチメディア データ 近似表現 近似図形 空間データ (多次元ベクトル等) 特徴抽出 マルチメディア データ 近似表現 近似図形 空間データ この上で検索

マルチメディアの例 犯罪捜査のためのデータベース 動画像: 監視カメラ、車載カメラで得る 静止画像: 調査員が持つカメラで得る 動画像: 監視カメラ、車載カメラで得る 静止画像: 調査員が持つカメラで得る 文書: 別途付加された情報  Relational data: 人口、住所、その他の背景情報 Geographic data: 道、川、行政界、建物など座標に関わる情報

オペレーション 入力 形状モデリング 出力 仮想現実表示 多重解像度表現 プログレッシブメッシュ(Hoppe), 再分割接続性 編集 入力     形状モデリング 出力     仮想現実表示 多重解像度表現 プログレッシブメッシュ(Hoppe), 再分割接続性 編集 全件検索 索引付加 ハイパーリンク付加 Content 抽出と類似検索

マルチメディアデータベース における質問処理 メディア依存の「属性」と「オペレーション」 属性とオペレーションはメディア依存であり、質問処理もメディア依存にならねばならない 検索条件の多様さ 検索条件として,データの属性だけでなく、内容(Content)や関連(Relationship)による検索が行われる あいまい検索 「類似度(Similarity)」によるあいまい検索が重要になる

画像データの性質 画像には、「もの」が写っている 画像データの属性は: 形 場所 色、明るさ 色や明るさは、「画素」が持つ性質 画像データの属性は:  形 場所 色、明るさ 色や明るさは、「画素」が持つ性質 しかし、「画素」は、直接扱うのは手間がかかる 「ものが写っている長方形領域(セル)」を単位として扱うと、扱いやすい

画像データベースの 問い合わせ例(1/2) ある捜査員 X氏は、Y氏の今までの写真を調べたいと考えた [問い合わせの例]  [問い合わせの例]  データベースの静止画像から、「Y氏」が写っている全ての画像を得よ → 名前(文字列)による検索

画像データベースの 問い合わせ例(2/2) ある捜査員 X氏は、ある人の顔写真を撮った X氏は、その写真が誰かを知りたいと考えた  [問い合わせの例]  データベースの静止画像から、この顔写真の人が写っている全ての画像を得よ。   → 例示画像による検索

画像データベースにおける 「あいまい検索」 普通のデータベース ユーザは、「問い合わせ」を入力し、答えとして検索結果を得る 画像データベース ユーザの手元に、1枚の写真(例示画像)があって、「この写真に写っている人に似ている写真」を、データベースの中から探す 普通のデータベースとは異なる システムは、入力画像(例示画像)とデータベース内の画像とのマッチングを行う

あいまい検索 あいまい検索 重み “Similar to” のような句が導入される select p from p in Pictures 各検索条件は、重要度に応じて重み付けされる where “株式” 100% “破綻” 90% “信用秩序” 50% select p from p in Pictures where p.similar_to example1

ビデオデータの特質 フレーム 登場人物,登場物 振る舞い あるフレームに,登場人物,登場物,振る舞いが写っている 登場人物,登場物には,「属性」がある (例えば,名前,年齢など) 振る舞い 振る舞いにも,「属性」がある  (例えば,歌の名前,誰に話し掛けているかなど)  「属性」は,刻々と変わる

ビデオデータへの OQL問い合わせの例 SELECT v[start, end] FROM Videos v WHERE v.segment(start, end) IN v.FindVideoWithObject(Dennis) 時間的性質(上記の例では「start, end」) や 写っている「もの」の中身が考慮されねばならない

データベース 関係データベース オブジェクトデータベース 永続データ データの共有 データモデル データ検索言語,データ操作言語 「トランザクション」の機能 関係データベース オブジェクトデータベース 関係モデル 関係代数 Relational Calculus SQL オブジェクト指向 OQL OML

関係データベース 関係データベースのデータの単位: テーブル 表の形式 テーブルの各行: タップル(tuple) 1つのデータのまとまり テーブルの各列: 同じタイプのデータ(属性)が並んでいる.

関係データベースの例 スキーマ例  (COMP, SSN, FNAME, LNAME, STREETNUM, STREETNAME, CITY, STATE, ZIP) COMP SSN FNAME LNAME STREETNUM STREETNAME CITY STATE ZIP ABC Corp. 99278 John Simth 27 Canal St. Fairfax VA 22087 28745 Denia Jones 786 Baker St. Manassas 22185 54892 Jane Fox 1224 Cowper Dr. Betheada MD 20984 98374 Kisa Baenea 17 Edgar St. Rockville 20887 18946 Jill Devia 26 XYZ Corp. 19847 Bill Bosco 11 Lake Dr. Richmond 23876 83746 Dashell 45 Forest St. Baitimore 24533 19374 David Johns 581 Lugar Dr. 20845 19328 Jim Hatch 2374 Whitman Dr. Tina Budge 198 Wallis St. Betheda

関係代数のオペレータ(2/3) Union Intersection Difference Cartesian Product a1 b1 v2 a1 b1 a2 b2 c1 d1 c2 d2

関係代数のオペレータ(3/3) Selection Projection Natural (Join) Divide a1 b1 a2 b2 x y z b x z x

SQL 典型的なSQL文の例 SELECT attr1, attr2, … , attrn FROM R1<V1>, R2<V2>, … , Rk<Vk> <WHERE F> R1, R2, …, Rk: テーブル名 V1, V2, … , Vk: タップル変数(省略してもよい) WHERE句は、省略してもよい

SQLでの更新,挿入,削除 テーブル 社員(氏名,自宅番号)に対して 挿入 更新 削除 INSERT INTO 社員(氏名,自宅番号) テーブル 社員(氏名,自宅番号)に対して 挿入 INSERT INTO 社員(氏名,自宅番号) VALUES(“金子邦彦”,“092-642-4XXX”) 更新 UPDATE 社員 SET 自宅番号=“092-643-0XXX” WHERE 氏名=“金子邦彦” 削除 DELETE FROM 社員

オブジェクトデータベース 属性として,「構造をもったデータ」を扱える record, set, list など メソッド クラスごとにメソッドを定義可能(ODLを使用) OQLから呼び出し可能

クラス階層(1/2) クラスとは: 同じタイプのデータの集まり documents image MS Word HTML raw.text

オブジェクトの属性 各々のオブジェクトは,属性を持つ 同じクラスのオブジェクトは,同じ属性を持つ author: 文字列 date-created: 日付 admission-fee: 0以上の浮動小数点数 同じクラスのオブジェクトは,同じ属性を持つ

オブジェクト オブジェクトID  属性値の並び オブジェクトには,固有の番号がついている オブジェクトは,属性値の並びを含む

オブジェクトの宣言(1/2) データベースに格納すべきオブジェクトは,属性値を使って,宣言されねばならない declare b2 values [author = John Smith, URL = http://www.somewhere date-created = (15, Nov, 1996 ) ]

オブジェクトの宣言(2/2) declare b3 values [author = John Smith, URL = http://www.somewhere date-created = (15, Nov, 1996 ) {[link = b1], [link = b2]} ]

データ型 オブジェクトの属性は型付けされている 単純型 float, int, bool, string など 構造をもった型  record, set, list など

データ型の例 author: string URL: utltype date-created: date Links: Set<ObjectID>

クラスの親子関係の例 Museum クラス ArtMuseum クラス address: string director: string departments: Set<string> ArtMuseum クラス old-master-collection: Set<string> modern-art-collection: Set<string>

オブジェクト定義言語 (Object Definition Language) オブジェクトデータベースのスキーマ: オブジェクトの持つ属性 (名前と型) メソッド (名前,引数,返り値) オブジェクト定義言語は,オブジェクトデータベースのスキーマを記述するための言語

ODL の例 interface html: documents { extent html_documents { attribute string author; attribute date date_created; relationship Set<Person> author inverse Person:written_work; }

ODL interface html: documents クラス名は html 親クラスは documents (2) { extent html_documents htmlクラスのオブジェクトの集まりに 「html_documents」という名前を付けよ

オブジェクト問い合わせ言語 (Object Query Language) SQL 関係データベースのための問い合わせ言語   「テーブル」,「タップル」を扱う OQL オブジェクトデータベースのための問い合わせ言語   「クラス」,「オブジェクト」を扱う   SQLの上位互換

OQLの例 (1/2) SELECT struct(field1:x.url, field2:x.link) FROM HTMLs x WHERE x.author = “John.Smith” HTMLクラスのオブジェクトについて,  author が “John.Smith” であるようなオブジェクトを検索せよ

OQLの例 (2/2) SELECT y.author FROM OQLの例 (2/2) SELECT y.author FROM SELECT struct(field1:x.url, field2:x.link) FROM MSWord x WHERE x.author = “John.Smith” ) y OQL は,「入れ子」になることがある

ねらい オブジェクトデータベースは「さまざまな種類」のメディアを扱うデータベースの「核」となりえる しかし, 質問処理(メディア依存) 検索条件の多様さ(内容,関連) あいまい検索 については,別途,技術が必要である.次回以降の資料では,これらに焦点をあてていきたい