精密量子計測の重力測定への応用(計画研究シ)

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精密量子計測の重力測定への応用(計画研究シ) 第4回TAMAシンポジウム 大阪市立大 2005年2月19日 精密量子計測の重力測定への応用(計画研究シ) 中川 賢一 電気通信大学 レーザー新世代研究センター 1 冷却87Rb原子を用いた原子干渉計による重力加速度測定 2 アトムチップを用いた87Rb原子のボーズ凝縮の生成

研究の目的  物質波を用いた高精度な量子計測技術の確立 極低温原子 T< 1mK ド・ブロイ波長 ldB > 100 nm  原子干渉計による重力加速度計の開発   重力加速度 g 万有引力定数 G   ボーズ・アインシュタイン凝縮を用いた原子干渉計の開発   原子レーザー アトムチップ   量子原子光学の確立とその精密計測、情報処理への応用   スクィーズド状態 エンタングルド状態 量子コンピューター

87Rb原子の誘導ラマン遷移を用いた原子干渉計による重力加速度測定 F=1, m=0 F F=2, m=0 w 1 2 |e ñ |a |b 5S 1/2 5P 3/2 D l=780nm 6834.68261 MHz w2 k2 原子 | b, p+2Ñk > |a, p > w1 k1 | a, p > プローブ光 p/2 パルス g 終状態が|b>である確率 蛍光 | b> p a, b : 内部状態 p : 運動量 p/2 T T Df = keff gT2 t | a> keff =|k1-k2| ~ 2k: 波数 g: 重力加速度 T: パルス間隔

原子干渉計の実験装置

原子の内部状態および外部状態(速度)選択 1. 1. F=2状態への光ポンピング F=2 F=1 2. 2.ラマン光πパルスによる速度選択 B≠0 mF=-2 -1 +1 +2 3. 共鳴光により残った原子の吹き飛ばし F=2 F=1 3. 16 F=2 速度選択前 16 mK 14 F=1 12 10 速度選択後 8 610nK 6 理論値 4 2 3.48e+7 3.49e+7 3.50e+7 3.51e+7 3.52e+7 3.53e+7 周波数

自由落下原子に対して得られる干渉信号 b /2p [MHz/s] b /2p [MHz/s] b /2p [MHz/s] T=0.4ms 2.00e+7 2.20e+7 2.40e+7 2.60e+7 2.80e+7 3.00e+7 10 15 20 25 30 35 40 45 50 T=0.4ms T=0.5ms T=0.7ms T=1.0ms T=1.5ms 2.46e+7 2.50e+7 2.54e+7 2.58e+7 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 T=1.5ms T=3.0ms T=5.0ms b /2p [MHz/s] 2.510e+7 2.512e+7 2.514e+7 2.516e+7 -40 -30 -20 -10 10 20 T=5.0ms T=6.0ms T=7.0ms T=8.0ms T=10.0ms b /2p [MHz/s] b /2p [MHz/s]

干渉フリンジの中心における掃引速度bを求める 重力加速度gの決定 T=10.0ms フリンジコントラスト~15% 25.11 25.12 25.13 b/2p ( MHz/s) 干渉フリンジの中心における掃引速度bを求める b/2p = 25,120,001±230 Hz/s g = b/keff = 9.79986±0.00009 m/s2 Dg/g ~ 6 ×10-6 Df ~ 2p×1.5×10-2 = 0.09 rad 原子のショット雑音で決まる位相検出限界 Df ~ (1/N)1/2 ~ 10-3 (N~ 106) Dg/g ~ 7 ×10-8

低周波域(0.1~100Hz)の鏡の防振(パッシブ、アクティブ)が必要 今後の予定 防振 原子泉法による相互作用時間Tの向上 原子を上方に打ち上げる T = 10 ms → 150 ms 検出感度 225(152) 倍 鏡 l/4 w1, w2 冷却レーザー wcool-Dw v PD 低周波域(0.1~100Hz)の鏡の防振(パッシブ、アクティブ)が必要 wcool+Dw ラマン光 w1, w2 質量源(~100kg)による万有引力の測定  目標感度 dg/g < 10-8

フィレンツェ大LENSのグループ G測定を目的にした87Rb原子を用いた原子干渉計の開発 最近の予備実験の結果

アトムチップ(集積化原子導波路)による87Rb原子のボーズ凝縮の生成 20 mm Z-wire trap compression 50 ~ 200mm Au 10μm Ti SiO2 Si Cu

Loading of cooled atoms into a atom chip (magnetic transfer) 2cm Transfer coil MOT coil 1. Vapor cell MOT of 87Rb 2. Magnetic trap F=2,mF=+2 3. Magnetic transfer 5. Transfer from the QP magnetic trap to the chip potential 4. Fine position adjustment

アトムチップへの原子のローディングの様子 10mm 10mm トラップ開始から 4ms 18ms 43ms 68ms 圧縮 [Gauss] 50 20 17.5 圧縮6: 2A,51.8Gauss d=80μm 40 15 12.5 30 10 20 7.5 5 10 2.5 200 400 600 800 1000 -2000 -1000 1000 2000 動径方向[μm] 軸方向[μm]

evaporation cooling Rf frequency sweep a b c d Rf frequency [MHz] 40 35 a 30 25 Rf frequency [MHz] 20 b 15 c 10 d 5 1 2 3 4 5 Time [s] d0 = 130μm B’ = 4500 G/cm nr = 4.0kHz, nz = 740Hz d0 = 200μm B’ = 2000 G/cm nr=1.8kHz, nz = 360Hz a : after compression b : 11MHz c : 4MHz d : ~1.8MHz 5mm N=9×106 T=320μK ρPS=1×10-7 N=5.5×105 T=90μK ρPS=1×10-3 N=2×105 T=20μK ρPS=4×10-2 N=5×104 T=1.6μK ρPS=1.4

BECの生成 (2005年1月5日) 1.90MHz 1.88MHz 1.86MHz 1.84MHz 1.83MHz 1.82MHz

TOF 10ms pure BEC thermal thermal+ BEC Nth = 50000 Nc=15000 T = 2mK 1.86MHz 1.83MHz 1.78MHz Nth = 50000 T = 2mK (TC=1.8mK) Nc=15000 μ=680nK rPS=20 200 400 600 0.0 0.2 0.4 0.6 OD radial axis [μm] 200 400 600 0.0 0.2 0.4 0.6 OD radial axis [μm] 200 400 600 0.0 0.2 0.4 0.6 OD radial axis [μm]

0.5mm g 3mm 5.0ms 7.5ms 10.0ms 12.5ms 15.0ms 17.5ms 20.0ms

Influence of surface effects M. P. A. Jones, et al. PRL 91, 080401 (2003). A. E. Leanhardt. Et al. PRL 90, 100404 (2003). C. Henkel, Appl. Phys. B 76, 173 (2003). Trap loss Heating Decoherence phase fluctuation h substrate (Si, AlN, Al2O3) electrode (Au,Cu,Al) lifetime < 1s coherence time < 1s h <100μm lifetime < 1s near-field thermal noise current noise (shot noise) To avoid surface effects, h > 10 mm electrode (trap) structure > 10 mm single mode guide, beam splitter, Solutions (?)  low temperature(~4K), super conductor magnet, permanent magnet 

Atomic interferometer on an atom chip It is difficult to realize a coherent beam splitter using a magnetic potential formed by a current carrying wire ,,, hybrid potential (optical standing wave + wire magnetic trap ) Ying-Ju Wang et al, cond-mat/0407689 Other possibility permanent magnet + current carrying wire Bb small magnetic thin film (<100nm) Bb large CoNiCr, CoCrTa or TbFeCo  substrate ~1mm

今後の予定 まとめ アトムチップを用いた87Rb原子のボーズ凝縮の実現    生成時間 10s (5s (MOT) + 5s (蒸発冷却))  個数 ~2×104 今後の予定 光と磁場のハイブリッドポテンシャルによるビームスプリッターを用いてアトムチップ上で原子干渉計を実現する ジャイロスコープ 万有引力 アトムチップを用いた小型可搬型ボーズ凝縮生成装置の開発  宇宙実験用 無重力下の長い相互作用時間 T >10s  加速度測定の検出感度 ∝ T2   検出感度 103 倍向上(地上に比べて)  万有引力定数の測定感度 5~6桁