MICEのためのSci-fi検出器の開発

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MICEのためのSci-fi検出器の開発 大阪大学大学院理学研究科 修士課程1年 坂本 英之 大阪大理(A) 青木正治 石井純子 久野良孝 坂井淳 佐藤朗        中丘末広 中原健吾 前田文孝 松島朋宏 松宮亮平 高エ研(B)  五十嵐洋一 吉村浩司 横井武一郎 (題)MICEのためのシンチレーティングファイバー検出器の開発という題で、大阪大学の坂本が発表します。.

目次 イントロダクション Neutrino FactoryとMICE MICE用飛跡検出器(Sci-fiトラッカー) ビームテスト ~3HFファイバーの性能評価~ セットアップ 解析および結果 まとめ 内容は以下のようになっています。まず最初にイントロダクションとしてニュートリノファクトリーとMICEについて、 それからMICE用飛跡検出器の候補のひとつであるシンチレーティングファイバートラッカーについて話します。 次にそのシンチレーティングファイバーの性能を評価するために行ったビームテストの結果について、 最後に、まとめとSci-fiトラッカーの今後の予定について話をします。

Neutrino Factory μ→e νν Cooling ! 大強度・高エネルギー・高純度のニュートリノビーム 日本、ヨーロッパ、アメリカで計画中 ニュートリノ生成反応  強度:1019 ~1021 muon decays per year ビームエネルギーEν:最大 50 GeV Neutrino Factoryでの物理 ニュートリノ振動実験, 深非弾性散乱実験(DIS) μ→e νν 効率よくミューオンを加速させるためにミューオンビームのエミッタンスを小さくする(cooling)必要がある ニュートリノファクトリーは大強度・高エネルギー・高純度のニュートリノビームをつくろうという計画で、 日本、ヨーロッパ、アメリカで計画されています。 この計画では大強度のミューオンを加速しその後崩壊して生成されるニュートリノを使います。 左下にのせたのがヨーロッパ案のニュートリノファクトリーです。 この図の説明ですが、まず陽子を加速させターゲットにあてます。 そこで2次粒子としてパイオンが生成されその後崩壊してミューオンになります。 このミューオンを加速させていくわけですがまずここで位相空間回転によりビームのエネルギーをそろえます。 ここでできるだけたくさんのミューオンを加速させるためにビームのエミッタンスを小さくする必要があります。 大強度のニュートリノが生成できればニュートリノ振動実験やニュートリノによる深非弾性散乱実験に大きく貢献できます。 Cooling ! ヨーロッパ方式

MICE(Muon Ionization Cooling Experiment) イオン化冷却法 ビーム冷却法のひとつ これまで実験されたことがない MICE ミューオンのエネルギーEμ=200MeV 冷却前後に配置されたトラッカーでエミッタンスを測定 3段でエミッタンスを10%減少させ1%程度の精度で測定 MICEによりイオン化冷却法を実証 減速材で全運動量を落とし進行 方向に加速して並行ビームにして エミッタンスの縮小を行う 日,英,米の国際共同実験 2006年@RAL ビーム冷却法のひとつにイオン化冷却法があります。 イオン化冷却法について説明します。下の図が模式図です。ミューオンの進行方向をZ軸としそれに垂直な面内にX軸を取ります。 まず減速材を通してビームの全運動量を落とし、その後Z軸方向に高周波加速空洞で加速させることでビームの速度方向はよりZ軸の 方向に向きます。このことを位相空間で表したものが右の図です。エミッタンスとはビームが位相空間内に占める体積のことです。 横軸は左図のXと対応していて、縦軸のX’はビームがZ軸となす傾きで、ビームの速度方向をあらわしています。 この図から冷却によってZ軸に対する速度方向のばらつきが抑えられエミッタンスが小さくなったことがわかります。 このイオン化冷却法ですがこれまでその原理は提唱されていたものの実際に実験で確かめられたことはありませんでした。 そこでこのイオン化冷却法の効果を検証しようというのがMICEとよばれる実験です。 次にMICEについての説明をします。 減速材(液体水素) 超伝導ソレノイド(5T) トラッカー RF加速空胴(200MHz) [ エミッタンス測定 ]

MICE用トラッカー エミッタンスを0.1%程度の精度で測定する 位置検出器を磁場中に置いてそこを螺旋軌道で進むビームの 飛跡を再構成することでエミッタンスを測定する トラッカーに要求される条件 エミッタンスを0.1%程度の精度で測定する 多重散乱の効果を抑えるため各面の厚さを輻射長の0.4%程度 高周波加速空洞からの2次電子やX線などの高バックグラウンドの 下で安定に動作する ここにのせた図は磁場中を螺旋軌道を描きながら進んでいくビームが、トラッカー内にある3つの 位置検出器によって飛跡を追っている様子です。トラッカーにはいくつかの条件が要求されます。 まず、測定を1%以下で行なうためトラッカー部分での多重散乱の効果を入れると厚さを放射長の0.4%以下 でなければならないという条件が入ります。もうひとつは、トラッカーに隣接する高周波加速空洞からやってくる 2次電子やX線などのバックグラウンドの下で安定に動作するということです。 これらの条件をクリアするようなトラッカーの候補のひとつとして、シンチレーティングファイバーがあります。 そこで次にMICE用のトラッカーとして考えられているSci-fiトラッカーについて説明していきます。 シンチレーティングファイバー (Sci-Fi)トラッカーが候補のひとつ

Sci-fiトラッカー 3HFファイバーの使用 ファイバーが満たす条件 ファイバー径:350μm クロストークがないこと 径が小さいので発光量が少ない 検出効率を上げるため 高い量子効率の光検出器を使用   →VLPC (Visible Light Photon Counter)    感度領域~500nm 2次蛍光体として3HF(3-Hydroxflavone ) をSci-fiに入れVLPCの感度領域まで波長変換 3HFファイバーの使用   Sci-Fiステーション クリアファイバー 光検出器へ Sci-Fiステーションの拡大図 30cm 各トラッカー 配置 トラッカー 端面 この左上の図が計画されているSci-fiトラッカーです。 これと同じものがそれぞれ冷却チャンネルの前後に配置されます。 1つのトラッカーには位置検出器であるSci-Fiステーションが5つついています。 下の図がそのステーションの模式図です。 各ステーションは直径が30センチで、そこに シンチレーティングファイバーを2層にして並べた面が全部で3面、 それぞれ120度ごとに配置された形で構成されています。 それぞれの検出器から光検出器までクリアファイバーを通して光を輸送します。 次にこのようなトラッカーで要求される条件について説明します。 まず、ファイバー径については350ミクロンであれば多重散乱の効果を 測定誤差の範囲内で抑えることができるということ、もうひとつはクロス トークがないというです。クロストークして光が他のファイバーに入ってしまうと 正しいトラッキングができなくなります。 またこのような細いシンチレーターでは発光量が小さいので、検出するには 高い量子効率であるVLPCという光検出器を使用します。そこで必要に なってくるのがシンチレーション光をVLPCの感度領域である500nmまで 波長をシフトさせるということです。 我々は、3HFとよばれる2次蛍光体を用いて実現させようと考えています。 つづいて、この2次蛍光体と発光量およびクロストークの関係について説明します。

2次蛍光体濃度と発光量・クロストークの関係 蛍光体によって光検出器の感度波長まで波長をシフトさせる VLPCの感度領域 ポリスチレン 1次蛍光体(pT) 2次蛍光体(3HF) λ=250nm 350nm 520nm 1次蛍光 2次蛍光 コア クラッド 2次蛍光体により1次蛍光が吸収される 1次蛍光のMeanFreePath(=2次蛍光体の濃度に反比例) ~ファイバー径  クロストークの原因 発光量の減少  2次蛍光体の濃度を上げて1次蛍光のM.F.Pを小さくさせる 3HFを使った実験@FNAL  3HF濃度と発光量の関係 1cm3のシンチレーターを使用 →350μm径のファイバーで光量・クロストークについてチェック 2次蛍光体は1次蛍光体からの光を吸収しより長い波長の光として放射させるための物質です。 下の図はポリスチレンからの光が各蛍光体によって波長がシフトしていく様子です。 一般的に吸収物質による光の強度の変化はこのような式によって表されます。 今、この式を1次蛍光に適用すると次のような関係が導き出されます。 ひとつは、吸収物質である2次蛍光体の濃度cがあがればあがるほどIが小さくなりI-Ioは大きくなります。 つまり、一次蛍光はより吸収され反対に2次蛍光がより多く放射することになります。 ただし、放射される2次蛍光は最大でIoにないます。 ふたつめとしては、cが大きくなると1次蛍光の減衰長が短くなります。 そうすると1次蛍光がファイバーの外へ漏れ出す確率は小さくなります。 以上の2つから、2次蛍光体の濃度は高いほうが光量およびクロストークの点から有利だということが いえます。 また別の考察から、2次蛍光体の濃度が大きくなると、2次蛍光体が1次蛍光体のかわりになるというのが 考えられています。 濃度の異なるファイバーを用意して以上のことをビームテストを行って評価しました。 つづいてそのビームテストの結果を説明していきます。

ビームテスト@ KEK-PS pi2 使用したファイバー: Kuraray SCSF-3HF 径:0.35mm, マルチクラッド, S-型 Standard primary(pT) + 3HF(2500ppm) Standard primary + 3HF(3500ppm) Standard primary + 3HF(5000ppm) 3HF(5000ppm) only 測定項目(4種類のファイバー) 平均光電子数 クロストーク 使用した光検出器: Hamamatsu R7899MOD 緑色に感度領域をもつ KEKのパイ2ビームラインを使って3HFファイバーの性能について調べました。 測定項目については、平均光電子数とクロストークの評価、用いたファイバーはクラレイ社製SCSF-3HFの350ミクロンでマルチクラッド、S型で、 4種類の濃度のファイバーを用意しました。1次蛍光体ありで3HF濃度が2500ppm、3500ppm、5000ppmのものと1次蛍光体なしで3HF濃度が 5000ppmの濃度のものです。また読み出し用の光検出器として、緑色に感度領域をもつPMTを使って測定しました。

セットアップ(Sci-Fi) 20本 Sci-Fi PMT 22mm ファイバー一本毎に黒紙をはさんでいった アルミナイズドマイラー 20 fibers in 22 mm これはSci-Fiのセットアップの様子をうつした写真です。 ファイバーを20本約1mmで等間隔で並べてあり、両端面は研磨してあります。 片方の端にPMTをつけ、もう片方には光量を増やすために鏡としてアルミナイズドテープをつけました。 全体を暗箱で覆い外から光が入らないようにしました。

セットアップ (カウンター) Trigger=全カウンターのcoincidence 取得したデータ 全てのADC・TDC TOF1 (10cm×10cm) TOF2 (8cm×8cm) Sci-Fi D1 (1cm×1cm) D2 (1cm×1cm) beam 暗箱 4970mm 550mm 3080mm ビームライン Trigger=全カウンターのcoincidence 取得したデータ 全てのADC・TDC 続いてカウンター類のセットアップを示します。 カウンターは全部で4つ用いて、粒子識別用のTOFカウンターが約9m離して置きました。 その間にSCI-FIをはさむように2つのカウンターを置きました。 Sci-Fiは暗箱の中に置かれています。 Sci-Fi TOF2 D1 D2

以下の関数でSci-FiのADCスペクトルをフィットし、平均光電子数μを求めた 解析 ~平均光電子数の評価~ 以下の関数でSci-FiのADCスペクトルをフィットし、平均光電子数μを求めた :光電子数nの確率分布(ポアソン分布) :PMTで増倍された電子の数分布 1p.e 2p.e 3p.e 4p.e ADC値 イベント数 X:ADC値 N:規格化定数 n : 光電子数 μ : 平均光電子数 m n:nの時のADC値 σn:nの時のシグマ α:ADC値のスケール因子 較正により決めるべき関数 1p.e.測定より決定する! 以下のような関数でADCスペクトルをフィットし平均光電子数を求めました。 下の図が典型的なADCスペクトルをフィットした様子です。 それぞれの山が各光電子数に対応する分布で各山の面積比がポアソン分布に従います。 このフィットのパラメーターは平均光電子数を含め全部で3つあります。 ただこのフィットで1ホトエレクトロンの山の関数形が未知であるため、 1ホトエレクトロンの測定を行い、関数を決めました。 次にその1ホトエレクトロンの測定についての説明をします。 Free parameterは N, μ, αの3つ!

1photo-electron測定 gain_1st = 4.4 m1= 10.5 σ1= 4.95 測定方法 LEDからの光をNDfilterを通して1.p.e.が光見える程度まで 光量を落としてADCスペクトルを測定した フィッテング関数 gain_1st = 4.4 m1= 10.5 σ1= 4.95 イベント数 測定はLEDからの光をNDfilterを通して1.p.e.が光見える程度まで光量を落としてADCスペクトルを測定しました。 得られたADCスペクトルを先ほど仮定した関数でフィッテングしました。この結果を用いてADCスペクトルのフィッティングを 行いました。 Fit_func(x)に入れフィッティング ADC値

結果Ⅰ ~平均光電子数~ この中ではpT+5000ppmが最も光量が多い 1次蛍光体なし・・ありと比べ40%の光量減 平均光電子数) dE/dX(MeV/cm) 平均光電子数) pT + 3HF(5000) pT + 3HF(3500) only 3HF(5000) pT + 3HF(2500) 0.6GeV/c proton 0.7GeV/c proton 1.0GeV/c proton 各濃度別でフィットした結果が下の図です。横軸はファイバー内でのエネルギー損失量dedx、縦軸は フィッティングで求めた平均光電子数です。横軸の点はビームの運動量とやってくる粒子によって決まります。 用いたデータは1GeV、0.7GeV、0.6GeVのプロトンの3つです。 縦軸のエラーは約10%でこれはフィッテングによる結果のばらつきから評価しました。 この結果により、1次蛍光体ありの5000ppmファイバーがもっとも光量が多いことがわかります。 また、 1次蛍光体ありとなしのデータを比べると約40%光量が減少しました。 この中ではpT+5000ppmが最も光量が多い 1次蛍光体なし・・ありと比べ40%の光量減

クロストーク測定 ファイバー2本毎に縛り黒紙をはさんだ このデータと先の1本間隔のデータの差が クロストークによるもの 次にクロストークを調べるためのセットアップを写真を使って説明します。 上の写真がファイバーを2本1組で縛ってファイバーどおしをぴったりあわせていったもので、 下の写真が縛ったファイバー毎の間に黒い紙をはさんでいったものです。 こうすることで隣どおしのファイバーがクロストークさせる状況をつくりだしました。 ファイバー2本毎に縛り黒紙をはさんだ このデータと先の1本間隔のデータの差が クロストークによるもの

結果Ⅱ ~クロストーク~ 誤差の範囲内でクロストークは見られなかった 2本毎 1本毎 pT +5000ppm 平均光電子数 only dE/dX(MeV/cm) 平均光電子数 only 5000ppm +2500ppm +3500ppm 2本毎 1本毎 クロストークの結果です。 すべてのデータでエラーの範囲でクロストークがあることは認められませんでした。 誤差の範囲内でクロストークは見られなかった

まとめ Neutrino Factoryの実現にはビームのエミッタンスを小さくする必要があり、その方法としてイオン化冷却法がある。 MICEによりイオン化冷却法によるビームエミッタンス縮小の実証を行う。この冷却効果を調べるため、Sci-Fiトラッカーの使用が検討されている。 Sci-Fiトラッカーとして用いる3HFファイバーの性能をビームテストを行って評価した。 用意したファイバー: pT+5000ppm, pT+3500ppm, pT+2500ppm, only5000ppm ファイバーの光量: pT+5000ppmが最も光量が多かった  2 p.e.@M.I.P → VLPCでの検出効率はほぼ100% クロストークの有無: 誤差範囲内でクロストークはなかった まとめです。 MICEではイオン化冷却法によるビームエミッタンス縮小の実証を行います。この冷却効果を調べるため、Sci-Fiトラッカーの使用が検討されています。 そこで、我々はSci-Fiトラッカーとして使用される予定の3HFファイバーを使ってその性能を評価しました。 調べた項目は光量とクロストークについてです。結果は光量については、xxxxx、クロストークについてはX%以下という結果になりました。 また5000ppmで1次蛍光体なしのファイバーについては予想では一次蛍光体ありに比べ5%減ですが、実験ではY%の減少が見られました。 両者の違いは使用したファイバーの大きさが異なるという点ですが、なぜそうなったかについてはっきりした事はわかりません。 ただ、今回我々がテストしたファイバー350ミクロンの中では5000ppmが光量およびクロストークにおいて一番ベストという結果になりました。

今後の予定 プロトタイプ(3ステーション)の完成 プロトタイプで宇宙線テスト(10月@FNAL) 検出効率, 位置分解能の評価 高周波加速空洞からのバックグラウンドの下で動作確認 MICE用トラッカーの選択(10月末) 最後に今後の予定を話します。 現在10月に行われる宇宙線テストのためのプロトタイプを作製中です。 左の写真は1ステーションのフレームで右の写真は現在までできている3ステーション分のフレームです。 この後各ステーションにファイバーを並べていきます。 宇宙線テストでは検出効率、位置分解能の評価をします。また高周波加速空洞からの高バックグラウンドの安定して動作するかを確認します。 これらの性能の結果を検討した上で10月末にMICEのコラボレーションミーティングでMICE用トラッカーとして採用されるかどうかが決まります。 以上発表を終わります。