シトルリン化フィブリノーゲンにおける 関節リウマチの自己抗原部位の同定

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シトルリン化フィブリノーゲンにおける 関節リウマチの自己抗原部位の同定 ○菅野栄美1,鈴木亜香里1,山田亮1,2,大竹(山中)美弥子1,瀧澤泰伸3,沢田哲治3,山本一彦1, 3 1理研・遺伝子多型研究センター・関節リウマチ関連遺伝子研究チーム  2京大・医・ゲノム医学研究センター 3東大院・医・アレルギー ・リウマチ内科

Peptiydylarginine deiminases(PADIs)と関節リウマチ(RA) SKQFTSSTSY NRGDSTFESK SYKMADEAGS arginine citrulline NH2 NH2 シトルリン化されるタンパク ・フィラグリン ・ケラチン ・ヒストン ・ビメンチン ・フィブリノーゲン/フィブリン PADIs C= NH2 + C= O NH NH CH2 CH2 CH2 CH2 CH2 CH2 HCNH3 + HCNH3 + COO - COO - RA患者において、シトルリン化されたタンパクは、抗シトルリン化ペプチド抗体に対する自己抗原となる可能性が考えられる。

Fibrinogen Aαchain中の合成ペプチド 1 ADSGEGDFLA EGGGVRGPRV VERHQSACKD SDWPFCSDED WNYKCPSGCR MKGLIDEVNQ DFTNRINKLK NSLFEYQKNN  α‐16 α‐23   81 KDSHSLTTNI MEILRGDFSS ANNRDNTYNR VSEDLRSRIE VLKRKVIEKV QHIQLLQKNV RAQLVDMKRL EVDIDIKIRS 161 CRGSCSRALA REVDLKDYED QQKQLEQVIA KDLLPSRDRQ HLPLIKMKPV PDLVPGNFKS QLQKVPPEWK ALTDMPQMRM 241 ELERPGGNEI TRGGSTSYGT GSETESPRNP SSAGSWNSGS SGPGSTGNRN PGSSGTGGTA TWKPGSSGPG STGSWNSGSS α‐252 α‐289   321 GTGSTGNQNP GSPRPGSTGT WNPGSSERGS AGHWTSESSV SGSTGQWHSE SGSFRPDSPG SGNARPNNPD WGTFEEVSGN α‐348 401 VSPGTRREYH TEKLVTSKGD KELRTGKEKV TSGSTTTTRR SCSKTVTKTV IGPDGHKEVT KEVVTSEDGS DCPEAMDLGT α‐406,407 481 LSGIGTLDGF RHRHPDEAAF FDTASTGKTF PGFFSPMLGE FVSETESRGS ESGIFTNTKE SSSHHPGIAE FPSRGKSSSY α‐491 α‐528 561 SKQFTSSTSY NRGDSTFESK SYKMADEAGS EADHEGTHST KRGHAKSRPV RGIHTSPLGK PSLSP α‐572

Native FibrinogenとCitrullinated fibrinogenの抗体価 (A) Native fibrinogen (B) Citrullinated fibrinogen p=0.01 p=0.006 relative units relative units RA Non-RA normal RA Non-RA normal Sensitivity: 65% Specificity: 97% RA(117人)、Non-RA(37人)、Normal(46人)

Native fibrinogen peptideとCitrullinated fibrinogen peptideの抗体価 EGGGVRGP α-16 (A) Native fibrinogen peptide (B) Citrullinated fibrinogen peptide p=0.00000147 relative units RA normal relative units RA normal Sensitivity: 77% Specificity: 100%

Citrullinated Fibrinogen PeptideのELISA結果 RA normal Fibrinogen Aα mean ± SD α-16 1.527±1.078 * -0.639±0.811 α-23 0.655±0.704 * -1.429±1.016 α-252 1.211±2.008 * -1.914±2.445 α-289 0.875±1.142 * -0.268±1.019 α-348 2.825±2.682 * -0.954±1.975 α-406,407 0.419±0.630 * -0.395±0.631 α-491 0.563±3.367 *                        -0.995±4.166 α-528 1.442±0.988 * -0.349±1.367 α-572 1.150±3.684 * -1.109±7.127

結論 フィブリノーゲンとシトルリン化フィブリノーゲンを用いてELISAを行った結果、RA患者ではシトルリン化フィブリノーゲン抗体価の上昇が確認された。 フィブリノーゲンのシトルリン化部位の合成ペプチドを用いてELISAを行った結果、RA患者では7ヶ所において、シトルリン化フィブリノーゲン抗体価の上昇が確認された。 フィブリノーゲンのシトルリン化部位は、RA患者において抗シトルリン化ペプチド抗体に対する自己抗原となる可能性が考えられる。