Shin Oya (Subaru Telescope)

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Presentation transcript:

Shin Oya (Subaru Telescope) すばる次世代補償光学 - introduction - 2011/9/8 @ Osaka Shin Oya (Subaru Telescope)

始めに 背景 観測所内のワーキンググループで議論 すばる広視野AOの検討 「すばるの次期赤外線観測装置をどうするか?」 暗夜:可視主焦点の撮像(HSC)・分光(PFS) 明夜:赤外装置? + 補償光学(AO: Adaptive Optics) 観測所内のワーキンググループで議論 「広視野AOがよかろう」 すばる広視野AOの検討 GLAO: Ground Layer AO (早野さん講演) MOAO: Multi-Object AO (秋山さん講演) この講演 予備知識 ユーザーである皆様からのフィードバック、特にサイエンス

概要 補償光学(AO: Adaptive Optics)の基礎 次世代AOの種類 すばる広視野AO 各種方式 他望遠鏡のAOの紹介 なぜ広視野? 広視野化に必要なこと / どの方式? すばるであることによる制約 / 星取表

補償光学(AO: adaptive optics)の基礎

なぜAOが必要? 離角: 0.3” 『大気ゆらぎの影響で望遠鏡本来の解像力を発揮できない』 8m望遠鏡の回折限界: 0.06” @ K-band マウナケアの典型的なシーイング: 0.5” @ K-band 離角: 0.3” 回折限界の分解能 シーイング AO無し ( FWHM: 0.4”) AO有り (FWHM:0.07”)

大気ゆらぎの層状構造 厚さ: <~100m 高度分布 (X軸:ゆらぎ強度、Y軸:高度) 高度分布 (X軸:ゆらぎ強度、Y軸:高度) 20km 実測(X軸リニア) モデル(X軸対数) ゆらぎが強いのは - 高層: ~10km - 低層:地表近く 0km 各高度の層のゆらぎは独立で、形状一定のままその高度の風速で観測している星からの光ビームを横切るとみなせる。 AOシミュレーションでは7層程度の位相スクリーンを用いる。

大気ゆらぎのパラメータ coherent time Fried’s parameter isoplanatic angle 角分解能相当の開口直径 単一ゆらぎ層(高度H)なら 全ゆらぎ層で風速Vとすると q0 ~ r0 / H ∝ l1.2 t0 ~ r0 / V ∝ l1.2 r0 ∝ l1.2 seeing ~ l/r0 ∝ l-0.2

ストレール比 SR ~ exp( - s2 ) s: RMS波面誤差 [rad] = exp[ - { 2p (sl/l)} 2 ] 波長 l [mm]; sl: RMS波面誤差 [mm] s2 = 1 の時、SR ~ 0.37

AOの基本構成 参照光源 = Guide Star (GS) DM WFS RTC

次世代のAO

次世代AOの種類 より細かいゆらぎ (素子数増) より多くのゆらぎ層 (可変形鏡・波面センサ数増)

世界のAOの分布 Standard ... NGAO(Keck'15) GPI(GS'13) GALACSI(VLT'14) SPHERE(VLT'11) PFI(TMT) EPICS(EELT) NGAO(Keck'15) GALACSI(VLT'14) ATLAS(EELT) LTAO(GMT) 濃色:8m以下 淡色:30m級 MAD(VLT) GeMS(GS) NFIRAOS(TMT) MAORY(EELT) GRAAL(VLT'14) D2ndM(MMT, LBT) IMAKA(CFHT'16) D4thM (EELT) D2ndM(GMT) CONDOR(VLT'16) IRMOS(TMT) EAGLE(EELT) Standard ...

すばるのAOラインアップ HiCIAO/SCExAO Wide field AO? RAVEN LGSAO188

システム例: ExAO オンスカイ試験段階 SCExAO (2011~) Subaru (8m) @ Hawaii Phase-Induced Amplitude Apodization coronagraph 32x32 MEMS DM 0.5~3λ/D - 2e-7 (raw w/ PIAA) - 3e-9 (speckle cntrl)

システム例: MCAO サイエンス段階 MAD (1stL: 2007/3) GeMS (1stL: 2011/4) VLT (4 x 8m) @ Chile GeMS (1stL: 2011/4) Gemini-S (8m) @ Chile サイエンス段階 FoV: 1' (2') □ SR: 0.2 @ K FoV: 1' (2') □ SR: 0.2 @ K (spec. 0.8) 2DM, 3NGS 3DM, 5LGS A&A,477,681

システム例: GLAO コミッショニング 段階 MMT (6.5m) @ Arizona LBT (2 x 8m) @ Arizona FoV: 1.8' Φ (カメラ) FWHM: 0.2" @ K 0.3" @ J,H 110" Φ 27" □ 可変副鏡SCAO: SR>80% @ H FWHM 0.70” 0.33” Nature,466,727

システム例: GLAO 検討段階 IMAKA CFHT (3.6m) @ Hawaii FoV: 1°Φ相当 可変副鏡を使わない 可視 (OTCCD) IMAKA CFHT (3.6m) @ Hawaii FoV: 1°Φ相当 FWHM: 0.2-0.4" @ 可視 OR field seeing

システム例: MOAO テストベッド段階、30m望遠鏡への発展 RAVEN (1stL: 2013~) Subaru (8m) @ Hawaii open-loop 試験は済 on-sky tomographyは未だ FoR: 2' Φ SR: 0.7 @ H-band rGS=60arcsec SR@H 0.1 0.7

システム例: LTAO 検討段階、30m望遠鏡への発展 NGAO Keck (10m) @ Hawaii

すばる次世代広視野AO

広視野AOを目指す理由 シーイングリミットの広視野装置群 他望遠鏡との関係 S-CAM,FMOS,MOIRCS (HSC,PFS) データ、サイエンスの経験の蓄積 主焦点装置を支える構造 他望遠鏡との関係 8m級望遠鏡は何かしらの広視野AO計画がある 30m級望遠鏡時代の相補性 (8mの集光力と角度分解能だけでは競争力がなくなる)

視野を広げる 大気の3次元構造を考慮しないといけない そのために複数のガイド星が必要 トモグラフィー

広視野AOの方式 MCAO: Multi-Conjugate AO GLAO: Ground-Layer AO 視野: 2分角、回折限界 サーベイ観測可能 GLAO: Ground-Layer AO 視野: 10分角、 FWHM: < 0.4秒角 可変副鏡 (低放射率、オンソース高ストレール) MOAO: Multi-Object AO FoR: 3分角、各視野: 数秒角、 回折限界 ターゲット位置を先に知っておく必要あり RAVEN (experimental w/ NGS) / CIRMOS

広視野AO: MCAO FoV: 2 arcmin diffraction-limited survey possible multiple layers & multiple correctors conjugated RTC multiple WFSs wide-field instrument

広視野: GLAO FoV: 10 arcmin fwhm: < 0.4 [arcsec] survey possible ground-layer correction only single corrector (deformable 2ndry) WFS(s) wide-field instrument

広視野AO: MOAO FoR: 3 arcmin FoV: a few arcsec diffraction-limited targeted only each object direction multiple WFSs open loop each DM IFU spectrographs

LGSコーン効果の低減: LTAO

GLAO or MOAO なぜこの2つを選ぶのか? GLAO:圧倒的な視野 (5x5 = 25倍) MOAO:観測天体に対する高ストレール 開発に興味のある人がいる ⇒ シミュレーションによる検討が進んでいる MCAO、LATAO システムが複雑な割に視野はあまり広くない

すばるのシーイング 広視野AOでは高さ方向も大切 TMT site seeing data (高度情報あり) すばるのシーイング統計との差はドーム起因と仮定 GLAOとMOAOの両方の シミュレーションで共通

GLAO: すばるシミュレーション 可変副鏡: 32 actuator across 4NGS (noise free) WFS: 32x32 SH R J r = 5' 7.5' 10' 1 Accumulated Probability K H ★: NGS ■: PSF評価点(GS方向) ▲: (対角方向) *: DM fitting 0.85 FWHM FOV: ○: φ=10arcmin、○: φ=15arcmin、○: φ=20arcmin Seeing: ×: φ=10arcmin、*: φ=15arcmin、◇: φ=20arcmin 0.2 ~ 0.3"の改善

MOAO: FoRの制限 ビームの重なり (meta pupil) at 6km (top view) 8m aperture 3arcmin FoR 3GS

MOAO: RAVENシミュレーション 2’~3’ FoR, 3 NGS (r=45”) + LGS (center) element # :10x10 (WFS: 10x10 SH, DM: 11x11) 3 bright NGS + LGS 3 faint (R=14.5) NGS 450 0.1 SR@H WFE[nm] 0.5 150 radius 0” 45” X-axis: separation form the center of FOV in arcsec Y-axis left: WFE in nm: ○ all modes; ▲ TT removed right: SR ×; ■ EE taken from RAVEN CoDR document

使用可能焦点 2010 2015 2020 Optical Infrared TMT ? HSC PFS CS instr. FMOS IRCS+LGSAO/RAVEN HiCIAO/SCExAO TMT telescope 2nd gen instr ?

望遠鏡の光学特性 結像性能 像面湾曲 ケラレ 曲率半径: 2.45 [m] FoV半径 0' 5' 7.5' 10' 像サイズ(RMS) 0.002" 0.038" 0.086" 0.149" FoV半径 0' 5' 7.5' 10' ケラレない割合 97.6% 97.2%

GLAOとMOAOの比較 GLAO MOAO 視野 補正性能 サーベイ 使用焦点 像面補正 付加価値 MKの競合 TMTへ 予算 10分角 3分角 補正性能 シーイングの改善 (< 0.4”) 回折限界 サーベイ Yes No 使用焦点 Cs/Ns (w/WFS) One port 像面補正 分光の場合焦点面で 各ユニットごと 付加価値 放射率減少、 補正向上 既存装置のアップグレード MKの競合 赤外、可変副鏡は無し Keck / TMT TMTへ 後? 先? 予算 >20億円? <20億円?

まとめ すばる次期赤外装置検討の一環として 広視野AOを考えている すばる広視野AOとして次の2種類を 候補に検討をすすめている 広視野群のデータ・サイエンスとのシナジー 8m望遠鏡間の競争力の維持 30m望遠鏡時代の相補性 すばる広視野AOとして次の2種類を  候補に検討をすすめている GLAO: 10分角以上の広視野 MOAO: オンソースの高ストレールと        30m望遠鏡への発展