Dissociative Recombination of HeH+ at Large Center-of-Mass Energies

Slides:



Advertisements
Similar presentations
相対論的場の理論における 散逸モードの微視的同定 斎藤陽平( KEK ) 共同研究者:藤井宏次、板倉数記、森松治.
Advertisements

プラズマからのX線放射 X-ray Radiation from Plasmas 高杉 恵一 量子科学フロンティア 2002年10月17日.
原子核物理学 第3講 原子核の存在範囲と崩壊様式
非線形光学効果 理論 1931年 Göppert-Mayer ラジオ波 1959年 Winter 可視光 1961年
較正用軟X線発生装置のX線強度変化とスペクトル変化
内部導体装置Mini-RT 真空容器内に超伝導コイルを有する。 ポロイダル方向の磁場でプラズマ閉じ込め。 ECHでプラズマを加熱。
α α 励起エネルギー α α p3/2 p3/2 α α 12C 13B 12Be 8He α α α
永久磁石を用いた 残留ガスモニターの製作 環境計測 西村荒雄.
W e l c o m ! いい天気♪ W e l c o m ! 腹減った・・・ 暑い~ 夏だね Hey~!! 暇だ。 急げ~!!
素粒子実験に用いるガス検出器の原理と動作
単色X線発生装置の製作 ~X線検出器の試験を目標にして~
Determination of the number of light neutrino species
スパッタ製膜における 膜厚分布の圧力依存性
相対論的重イオン衝突実験PHENIX におけるシミュレーションによる charm粒子測定の可能性を探る
放射線(エックス線、γ線)とは? 高エネルギー加速器研究機構 平山 英夫.
オルソポジトロニウムの 寿命測定によるQEDの実験的検証
ー 第1日目 ー 確率過程について 抵抗の熱雑音の測定実験
埼玉大学大学院理工学研究科 物理機能系専攻 物理学コース 06MP111 吉竹 利織
静電型イオントラップの開発 三谷雅輝.
原子核物理学 第4講 原子核の液滴模型.
PHENIX実験における 陽子・陽子衝突トリガーカウンターのための Photon Conversion Rejector の設計
九大院理 山口 祐幸 相良 建至、寺西 高、藤田 訓裕 谷口 雅彦、岩淵 利恵、大場 希美、松田 沙矢香
光子モンテカルロシミュレーション 波戸、平山 (KEK), A.F.Bielajew (UM)
埼玉大学 大学院理工学研究科 物理機能系専攻 物理学コース 11MP109 佐藤加奈恵
トリガー用プラスチックシンチレータ、観測用シンチレータ、光学系、IITとCCDカメラからなる装置である。(図1) プラスチックシンチレータ
10MeV近傍の2H(p,pp)n反応におけるQFS断面積異常探索
CERNとLHC加速器 LHC計画 (Large Hadron Collider Project): CERN
LHC加速器の設計パラメーターと 2012年の運転実績
QMDを用いた10Be+12C反応の解析 平田雄一 (2001年北海道大学大学院原子核理論研究室博士課程修了
高出力Nier型イオン源の開発 環境計測学研究室 清水森人 高出力Nier型イオン源開発の報告を始めます。
蓄積イオンビームのトラップからの引き出し
FPCCDバーテックス検出器における ペアバックグラウンドの評価 4年生発表 2010/03/10 素粒子実験グループ 釜井 大輔.
目的 イオントラップの特徴 イオントラップの改善と改良 イオンビームの蓄積とトラップ性能の評価
研究背景 電荷移行反応とは・・・ 核融合(重水素 + 三重水素→ヘリウム原子核+中性子) ・・・しかし、
アトラス実験で期待される物理 (具体例編) ① ② ③ ④ ① ② ③ 発見か? 実験の初日に確認 確認! 2011年5月9日 ④ 未発見
原子核物理学 第2講 原子核の電荷密度分布.
プラズマ発光分光による銅スパッタプロセス中の原子密度評価
理研RIBFにおける 中性子過剰Ne同位体の核半径に関する研究
[内容] 1. 実験の概要 2. ゲルマニウム検出器 3. 今後の計画 4. まとめ
開放端磁場における低温プラズマジェットに関する研究
K核に関連した動機による K中間子ヘリウム原子X線分光実験の現状 理化学研究所 板橋 健太 (KEK-PS E570 実験グループ)
Charmonium Production in Pb-Pb Interactions at 158 GeV/c per Nucleon
ILC実験における ヒッグス・ポータル模型での ヒッグス事象に関する測定精度の評価
星間物理学 講義2: 星間空間の物理状態 星間空間のガスの典型的パラメータ どうしてそうなっているのか
サーマルプローブを用いたイオン温度計測の新しいアプローチ
偏光X線の発生過程と その検出法 2004年7月28日 コロキウム 小野健一.
Lamb Shiftの観測 石山、土橋、林野、吉田.
天体核実験用の窓無しガス標的と ガス循環系の開発
卒業論文発表 中性子ハロー核14Beの分解反応 物理学科4年 中村研究室所属   小原雅子.
中性子過剰F同位体における αクラスター相関と N=20魔法数の破れ
永久磁石を用いた高出力マイクロ波 放電型イオン源の開発
10MeV近傍の2H(p,pp)n における Star断面積異常探索
ILCバーテックス検出器のための シミュレーション 2008,3,10 吉田 幸平.
マイクロ波生成プラズマの分光測定 環境計測 高橋 順三.
α decay of nucleus and Gamow penetration factor ~原子核のα崩壊とGamowの透過因子~
Geant4による細分化電磁 カロリメータのシミュレーション
MOAデータベースを使った セファイド変光星の周期光度関係と 距離測定
課題研究 P4 原子核とハドロンの物理 (理論)延與 佳子 原子核理論研究室 5号館514号室(x3857)
原子核物理学 第6講 原子核の殻構造.
! Web(World Wide Web)の発祥地 ! LHC計画 (Large Hadron Collider Project):
九大タンデムにおけるビーム・バンチャー改良
現実的核力を用いた4Heの励起と電弱遷移強度分布の解析
低速小型多価イオンビーム装置の開発 ~イオンビーム偏向器、及びビームプロファイルモニター~
重心系エネルギー200GeVでの金金衝突におけるPHENIX検出器による低質量ベクトル中間子の測定
5×5×5㎝3純ヨウ化セシウムシンチレーションカウンターの基礎特性に関する研究
高計数率ビームテストにおける ビーム構造の解析
荷電粒子の物質中でのエネルギー損失と飛程
陽子の中のSeaクォーク 柴田研究室 02M01221 渡辺 崇 [内容] 1.Seaクォークとは 2.β崩壊とクォーク
LHC (Large Hadron Collider)
60Co線源を用いたγ線分光 ―角相関と偏光の測定―
Presentation transcript:

Dissociative Recombination of HeH+ at Large Center-of-Mass Energies 物理学コロキウム第一 2002.7.4 Dissociative Recombination of HeH+ at Large Center-of-Mass Energies (大きな重心系エネルギーにおけるHeH+の解離性再結合) T. Tanabe et al. [内容] 1. 背景 2. 装置 3. 原理・特色 4. 結果 5. まとめ Phys. Rev. Lett. 70 (1993) 422 柴田研究室 99-1740-9 中野健一

1. 背景 解離性再結合(Dissociative Recombination = DR)結合 : イオンと電子が結びつくこと (A+ + e- → A)   解離 : 粒子が構成要素に分かれること (AB → A + B)   AB+ + e- → AB → A + B  オーロラの輝き   ←太陽風の電子と超高層大気の酸素や窒素とのDR HeH+のDR HeH+ + e- → He + H   小さな重心系エネルギー(Ec.m. = 0 eV)におけるHeH+のDRは確認されている。大きな重心系エネルギーでは未確認。 DR過程の起こる頻度(断面積)  HeH+をイオン源から取り出す際にかける電場の強さに依存     ←電場の強さによって励起状態にあるHeH+の割合が変化

2. 装置 貯蔵リングTARN IIと電子冷却装置 場所 東京大学原子核研究所(東京都田無市) イオンビーム(HeH+) エネルギー 9.53 MeV 運動量の幅 Δp/p ~ 10-3 電子ビーム(e-) 直径 5 cm 電流 0.2~0.3 A 中性原子検出器 固体検出器(SSD) 34 mmφ e- e- 併走部分 1.5 m 中性原子検出器 (HeとH) TARN II  直径 ~ 24 m  周長 78 m ↑ HeH+ HeH+ ↓ HeH+ ↑ (イオン源から取り出した際に励起している)

電子冷却装置

3. 原理・特色 貯蔵リングの使用 衝突頻度(ルミノシティ)が増加する。 (単衝突型に比べて103倍程度) 貯蔵時間を変えることにより、 励起状態にあるHeH+イオンの割合が変わる。 (時間経過による崩壊 : 励起状態 → 基底状態)

重心系エネルギー Ec. m. の決定. 電子 : 加速電圧VcからエネルギーEeは一意に決まる。HeH+ : エネルギーは一定(9 重心系エネルギー Ec.m.の決定 電子 : 加速電圧VcからエネルギーEeは一意に決まる。HeH+ : エネルギーは一定(9.53 MeV)である。 →加速電圧Vcから重心系エネルギー Ec.m. が求まる。 ほぼ直線 → 中性原子の計数を測定  (DR : HeH+ + e- → He + H) 電子の加速電圧依存性   ← 重心系エネルギーEc.m.               x x依存性を求める。 HeH+の貯蔵時間依存性   ← HeH+励起状態のDRへ x x の影響を調べる。       エネルギーEe 電子ビーム自身の   ← ポテンシャルによる影響 加速電圧Vc

4. 結果 中性原子の計数の加速電圧依存性   DR-BはEc.m. ~ 20 eVに生じ、Ec.m. ~ 30 eVに肩が有る。  貯蔵時間により、DR-AとDR-Bの計数比が変わる。  重心系エネルギーEc.m.(eV) 計数 加速電圧Vc(kV)

DR-Bのピークと肩が生じる理由電子の励起を伴ったDR. 反応前、HeH+イオンのHe原子核. とH原子核の核間距離は、安定な 1 DR-Bのピークと肩が生じる理由電子の励起を伴ったDR        反応前、HeH+イオンのHe原子核    とH原子核の核間距離は、安定な  1.5 Bohr付近にある。     核間距離1.5 Bohrにおいて、 第1励起状態・ ・ ・25 eV 第2励起状態・ ・ ・33 eV →DR-Bの測定値とほぼ一致 ピークの位置 ~ 20 eV 肩の位置 ~ 30 eV 40 33 30 ポテンシャル(eV) 25 20 第2励起状態 第1励起状態 10 基底状態 1.5 5 10 核間距離(Bohr)

ピークの計数の貯蔵時間依存性 各プロットの横棒 = 時間間隔 DR-Bは0秒近傍で小さい HeH+が励起状態にある ↓   ↓ 波動関数は節状で拡散している ↓        反応後の波動関数との 重なりが小さい   ↓  遷移する確率が小さい 計数比 貯蔵時間 (s)

計数率Cnから断面積σを求める Cn :信号計数率 比較すべき理論は今後に研究されるべきものである。 I : 電流、 V : 速度 (i : イオン、 e : 電子) L : 衝突区間長、 F :有効衝突面積 Cn :信号計数率  比較すべき理論は今後に研究されるべきものである。

5. まとめ HeH+の解離性再結合(DR)に、2種類目のピークが発見された。     DR-A・ ・ ・Ec.m. ~ 0 eV (既知) DR-B・ ・ ・Ec.m. ~ 20 eV DR-Bは電子の励起を伴った過程である。  断面積を算出することも出来た。  比較できる理論計算の研究が望まれる。 ピークの計数の貯蔵時間依存性は、HeH+イオンが励起状態から基底状態に崩壊することに起因する。    1994年に仁科賞を受賞 田辺徹美「クーラーリングを用いた電子・分子イオン衝突の精密測定」

6. 質問・回答(後日追加) 電子冷却装置とは何か(3枚目)   冷却とはビーム内粒子の運動量のばらつきを減少させることであり、この装置は電子ビームを用いて他のビームを冷却する。今回の実験ではHeH+イオンビームを冷却することが目的ではないので、本来とは違った用い方をしていることになる。 グラフのDR-Bの位置について(7枚目)       6枚目の説明にあるように、加速電圧Vc(下)から重心系エネルギー Ec.m. (上)は一意に求まる。だがその関係は、  Ec.m. = 0 eVについて対称となっているわけではない。このグラフはVc(下)が基準なので、DR-Bが左右対称でないように見えるだけである。

ピークの計数の貯蔵時間依存性について(9枚目) HeH+イオンが励起状態にある割合は、貯蔵開始時が最も大きく、以後減少していく。説明してあるように、励起状態ではDRが起こりにくいので、貯蔵時間が長くなって励起状態が減少すれば、計数は増加するはずである。