SiC半導体による放射線検出器の 開発・研究

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Presentation transcript:

SiC半導体による放射線検出器の 開発・研究 2004年 3月 9日 岡山大学・理学部  中野 逸夫,岩見 基弘,               木下 明将,小林 健一,               田中 礼三郎 原研高崎        大井 暁彦,大島 武,               神谷 富裕 KEK           福島 靖孝          

内   容 1.動機と目的 2.SiCについて 3.SiC studyの簡単な歴史 4.静特性 5.動特性 6.放射線照射 7.現状のまとめ

1.動機と目的 素粒子物理学 宇宙空間物理学 原子炉物理学

耐環境デバイスとして高速スィッチング・デバイス,パワー・デバイス等として開発・研究されている新素材 耐放射線 耐環境 熱 RD42 Diamond Detector RD50 4H-SiC他

2.SiCについて 各種半導体の特徴 項 目 / 材 料 Si GaAs 3C-SiC 6H-SiC 4H-SiC GaN 項 目 / 材 料 Si GaAs 3C-SiC 6H-SiC 4H-SiC GaN Diamond バンドギャップ(eV) 1.12 1.43 2.3 2.86 3.02 3.39 5.47 電子移動度(㎝2/Vs) 1500 8500 800 460 700 900 1800 絶縁破壊電界(MV/㎝) 0.3 0.4 4 3 3.5 2 電子飽和速度(×107㎝/s) 1 2.7 2.5 熱伝導率(W/㎝・℃) 1.51 0.54 3.2 4.9 1.3 20.9 比誘電率 11.9 12.91 9.72 10.03c 10.4c 5.93 Johnson指数(高速・大電力) 1.0 7.1 1296 400 992 324 1100 Key指数(高速・高集積素子) 0.53 3.9 5.2 6.1 1.5 31 熱伝導率×Johnson指数 2750 1360 3370 280 15000 (注)Johnson指数 = (絶縁破壊電界×電子飽和速度)2 Key指数 = 熱伝導率×(電子飽和速度/誘電率)1/2

SiC(vs Si) 禁制帯幅(bandgap) 2~3倍 絶縁破壊電界 1桁大きい 飽和電子速度 2倍 熱伝導率 3倍 動作温度の上限 耐放射線性 (MOSFETで1~2桁強い耐放射線性:γ線)

Polytype(結晶多系) 200種類以上 ○ nH-SiC (hexagonal:六方晶) nR-SiC (rhombohedral:菱面体晶) 3C-SiC (Cubic:立方晶) ○

3.SiC Studyの簡単な歴史 ~2001年度 プロトタイプの作成 3mmΦ 低温におけるα線検出の確認 2002年度 漏洩電流軽減により常温で 動作確認 UV-LED(375nm;3.31eV)による反応を確認 2003年度 放射線損傷(γ線、β線)の評価

Sample(SiC detector) made in 原研(高崎) p(epi)/p+(substrate) CREE社より購入 6H-SiC イオン注入 Pイオン 1×1019(3.3×1018)[/cm3] 電極 Al(オーミック接合) アルミニウム 酸化膜 150~200nm 70nm 150nm epi 5μm 6H-SiC bulk アルミニウム 合金化アルミ イオン注入層

測定試料 PN-SiCダイオード Si PIN フォトダイオード 原子力研究所高崎研究所の協力 により製作(8個) Wire Bonding PN-SiCダイオード Pad 300μmΦ 150nm SiO2 SiCn+ SiC p ~5μm ~300μm SiC p+ Si PIN フォトダイオード Al 原子力研究所高崎研究所の協力 により製作(8個) 有効有感面積 0.0707mm2 S3071(浜松ホトニクス社製) 有効有感面積 19.6mm2

Photograph of Sample 電極(ボンディング用パッド) 2cm 電極(検出部分) 1cm 300 μm

4.静特性 I-V特性 試料の良否を判断できる。 漏れ電流値の低い これらのSiC試料を評価した SiC Si 漏れ電流[nA]

I-V 特性

C-V特性,空乏層厚評価 26~122 0.3~4 C-V分布 SiC p 空乏層厚 [μm] SiC p+ Si PIN フォトダイオード 102 10 1 SiC n+ 空乏層 SiC p SiC p+ 容量[pF] 1 10 100 逆バイアス [V] 102 10 1 空乏層厚-V分布 空乏層厚 [μm] Si PIN フォトダイオード 26~122 PN-SiCダイオード 0.3~4 空乏層厚[um] 1 10 100 逆バイアス [V]

浮遊容量を補正した C-V 曲線 照射前 照射前

5.動特性 LED 応答 Diffusion効果を考慮? P+ Bulkの影響? Fig. 5. For experimental data, the open circles for 1s pulse width are distribution of mean pulse height normalized by that at the reverse bias voltages of -200V. For theoretical data, the solid line, broken line and dash-dotted line are distribution of intensity normalized by that at reverse bias voltages of -200V. Fig. 4. Pulse height distributions of the pn-SiC detector sample at different reverse bias voltages for UV light of 1μs width pulses at 100Hz. Diffusion効果を考慮? P+ Bulkの影響?

   P11 α(4.4MeV) No Damage 150 Mrad Gamma

P11 α(~2MeV) No Damage 150 Mrad Gamma Sensitive Areaが薄い(5μm)ため

6.放射線照射 放射線耐性の研究 @原子力研究所高崎研究所 6.放射線照射     放射線耐性の研究 @原子力研究所高崎研究所 照射(吸収)線量 β(電子)線・・・2[MeV] 1.0×1013, 1.0×1014, 1.0×1015 [e/cm-2] γ線・・・1.173, 1.333[MeV] (線源 60Co) 1.3, 6.3, 15.2, 29.1, 43.1, 150.4 [Mrad] 最初の試み   制御のしやすさ   Accessのしやすさ

I-V特性(放射線照射後) ↓γ線 ↓β線 Si→ SiC→ 漏れ電流[nA] 逆バイアス [V] 漏れ電流値の増加 102 101 102 10-1 10-2 10-3 102 101 1 10-1 10-2 10-3 0 20 40 60 100 200 0 20 40 60 100 200 SiC→ 102 101 1 10-1 10-2 10-3 102 101 1 10-1 10-2 10-3 漏れ電流[nA] 0 20 40 60 100 200 0 20 40 60 100 200 逆バイアス [V]

Si SiC SiC

7. 現状のまとめ テストに耐えるサンプル作りができるようになってきた. 放射線検出器としてのSiCを定性的に理解し始めた. SiCの方がSiより耐放射線はよさそうである. より深い理解のために更なる研究と経験が必要である.そのためには、epi-層を厚くする必要がある     →→ MIP Detection