寄田浩平 for ATLAS-FTK Group シカゴ大学 日本物理学会@山形大学 2008年9月23日(火)

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寄田浩平 for ATLAS-FTK Group シカゴ大学 日本物理学会@山形大学 2008年9月23日(火) ATLAS実験における Fast TracKer (FTK) の開発研究 ~ A Hardware Tracking Trigger at LVL1.5 ~ Contents Who, What, Where, Why, How, When 寄田浩平 for ATLAS-FTK Group シカゴ大学 日本物理学会@山形大学 2008年9月23日(火)

Higgs ?

“Triggering”: 40MHz~100Hz > ナイアガラの滝から水をすくうようなもの。  “速く”なければならない。 However, we don’t want just any drop of water, we want THE drop of water:  洗練されたフィルターが必要。  フィルター中に大きなバッファーが必要。 overflow = Deadtime   *トリガーは“速く”、“正しく”なければならない。 Reservoir > 可能な改良 (1) フィルターを増やす (tighter cuts) (2) 蛇口を閉める (prescale) (3) より良いフィルターを購入 (upgrade) > 最終的にゴミではなく、金の宝が獲れたか? Filters FTK *全ての事象を保存できるとすると、自動的  に見たい事象も入る。しかし、そのようなこと  は不可能(記録能力の限界)。また、貴重な  ヒッグス事象がこの段階で捨てられていると  永遠に取り戻せない!知恵の絞りどころ! * Pictures from Chen-Ju Lin Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p2/16

Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p3/16 > ATLAS Upgrade Project (Group formed in 1999)   - LHCのHigh Luminosity Runに向けて(Primary GoalはSLHCではない)。   - 2008年3月ATLAS-EBにより、R&Dは正式承認されている。   - 現在、研究開発を進めると共にTDRを執筆中、来年早々提出予定。 Peak lum > 参加研究機関 - U of Chicago, Harvard Univ、Illinois Univ.(米国) - INFN Pisa、Rome, Frascati (イタリア) から実働は10~15人程、、。    (興味を示している機関は多数あるが、正式承認待ちか?) 2x1034 1x1034 > ハードウェアーによりトラッキングトリガーシステム@“LVL1.5” - Pixel/SCTからのヒット情報から飛跡を再構成。(Standalone) - On LVL1 Accept, 質の良いTrackをLVL2にできるだけ早く(Fast!)供給 - CDFのSilicon Vertex Triggerの発展版 - 極めて困難なことは承知 → 新しい領域への一つの挑戦! Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p3/16

Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p4/16 Where is LVL1.5 ? [模式図] Calo Muon Pixel/SCT LVL1 Trigger ROD ROB LVL2 CPU Farm RoI No Tracking info. for LVL1 decision! Very Low Impact on current DAQ FTK Full Pixel/SCT Hits received @ 50KHz~100KHz High quality track (PT > ~2 GeV) Not only RoI 2nd output 1st output Basically, no change needed in LVL2 Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p4/16

Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p5/16 Why ? そもそもなぜ必要か? 1. 14 TeV での現象は何が起こるかわからない(誰もしらない)。 - 予測不可能な状況に対して、可能な限り柔軟性、信頼性の高いトリガーを準備をする。 2. 第三世代フェルミオン(b quark & τ)が重要な役割を果たす事が予測される。 - 電弱対称性の破れ: 質量に比例して結合。 - 多くの新しい物理でb quarkとτとのカップリングが重要視されている。     → H/Abb(MSSM), stau decay, Hidden Valley etc.. - 飛跡検出は第三世代粒子の同定に本質的役割を担う。 → b quark にはimpact parameter(Secondary Vertex), τにはisolation. - 特にこの手の物理は爆発的なQCD 騒音事象  トリガーが致命的。     → e.g. 現在の4jet triggerのtrigger閾値は新現象に本当に対応できているか? 3. 現状のデザインだと、トラッキングはLVL2のファームとその下流で行われる。 → LVL2の遅いプロセス時間がLVL1bandwidthに制限を与えている(deadtime)。      もしFTKがほぼLVL2のinputとして(<1ms)、質の良いトラックを供給できれば、、、     a) RoI以外のオブジェクトをLVL2 decisionに使える!(e.g. Bsμμのsecond leg)     b) LVL2のファームはトラック再構成を節約した分、より洗練されたアルゴリズムを採用できる。     c) bjet, τ事象を保持しながら、QCD事象をrejectできるので、LVL2のインプット幅を増やせる。       → e.g. LVL1のmultijet trigger thresholdを下げる事ができる! 4. FTKは並列システム。High Lumの環境でもspeedを維持することが簡単。 Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p5/16

Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p6/16 > 1st step: select hit combination that form tracks (“pattern recognition”) → Full Custom AM Chipにstore → Road Finding (Corser resolution with “superstrip”) > 2nd step: clean up and parameter calculation (“track fitting”) → Hit情報からc,d,eta,phi,zなどの情報へ(Linear approximation) → あらかじめ係数を計算しておき、Full resolutionのトラック再構成。 > Efficiencyの向上と共に、ゴーストの除去がATLASではとても大事 Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p6/16

Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p7/16 Pixels/SCT PIPELINED AM overlap regions EVENT # 1 RODs EVENT # N HITS (LVDS links) 50~100 KHz event rate AM-board Data Formatter (DF) DO-board S-links SUPER BINS DATA ORGANIZER ROADS cluster finding split by layer ROADS + HITS RW-HW Track Fitter 2nd step: clean-up & track fitting Raw data ROBINs Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p7/16

Silicon Vertex Trigger(SVT)@CDFの例 Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p8/16

Successful Trigger : SVT@CDF Mass((K+K-)-, +) [GeV/c2] no SVT JES= CDF preliminary Zbb event Now w/ SVT Mass((K+K-)-, +) [GeV/c2] * Bs only possible with SVT 現在はhigh etaでのe/μなど にも利用しようと努力されている。 Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p9/16

Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p10/16 Challenging Issues > CDFの場合、LVL1でシリコンの外側の飛跡検出器(COT)を用いた トラックが利用できる(XFT:eXtremely Fast Tracker)! → これは大きなadvantage。 → しかし、FTKはsilicon standalone(not using TRT)→とても難しい。 > トラック数/事象、読み出し数、ボリュームが桁違いに大きい。 → たくさんのPattern Memoryを準備する必要がある。 ex) CDF 32K→128K→512K/partition now stably running ! → ATLAS ~15M/partition(90nm Tech@Pisa) → パターン生成にかなりのトレーニング サンプルがいる。→ 時間がかかりすぎる。 → Beam spotが変わったり、アラインメントの 変更への対応がすばやくできないといけない。    (→ Pattern/Constant生成に2,3日かかるよう       では、実際運転するとなると非現実的)。 →“Pattern from Constant”のアルゴリズムで 対処 → 100倍以上早い! Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p10/16

Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p11/16 FTK Performance シングルトラック事象によるトレーニング: パターンとフィット係数 - 左の図 : IP の比較。ミューオン検出効率 in events → 93% - 右の図 : b jet 同定効率 in WH(->bb/uu). At 50% b-tag efficiency, light-quark rejection of > 40 → まだまだ最適化可能。 FTK iPat Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p11/16

Physics Case Study: Z+1jbb+1j > L1 trigger: >200 GeV jet (qgZg) (“High Pt Z”) > L2 trigger: 2 jets b-tagged, but not the lead jet. b Z b Jet(Pt>200GeV) S/B S/sqrt(B)@30 fb-1 2.5% 20.6 > The uncertainty seen so far is less than 1 GeV, dominated by varying the background functional form. Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p12/16

Physics Case Study: bbH/A > Signal Process 4-Jet Trigger Rate @2x1033 * ダウンタイプへの結合が 大きなtanで強調される。 w/ FTK > 信号は4つのbジェットを持つ。  騒音事象はほとんどがnon-b QCDの   マルチジェット生成。 w/o FTK > FTKにより、LVL2でのbjet同定が可能。 → LVL1,4jet triggerのbandwidthを増やせる。   → LVL1での4jet triggerのEt閾値が50 GeV から30GeVに下げることが可能。 Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p13/16

Physics Case Study: bbH/A > Signal efficiency - w/ FTK w/ multi-閾値 - w/ FTK w/ single-閾値 - w/o FTK w/ single-閾値 > Dijet mass 閾値が高いと低いHの場合  のMass PeakがTriggerで  消される! →これは大問題! → FTKでそれがRecover! Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p14/16

Physics Case Study: bbH/A 注意:Absoluteはあまり気にしないで下さい。(物理解析として甘々) > FTKがあることにより、騒音レートが予測より例え3倍(右図)に  なったとしても、発見能力に大差はない。 *3倍のファクターはMCの間違いやより高いルミノシティーに対応。 Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p15/16

Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p16/16 纏めと予定 > 新現象の性質解明は様々なチャンネルで見ないと× → bjetやτのようなあまり綺麗でない事象もとても大事になる。 > FTKは質の高いトラックをLVL2のはじめ1ms以内で供給 - RoI以外のオブジェクトの利用。 - LVL1閾値を下げることが可能。 - LVL2のPC farmはもっと洗練されたアルゴリズムを使える! Track Matching or Veto > b jet/τについてを強調したが、FTKの情報はe/γ/μにも利用可能 → High Luminosityでも安全かつ信頼性を持った物理ができる! → 単純に、トリガーロジックにFTKの情報を入れ込んで、DAQの質が悪くなるわけない! 今後の予定 > Optimization and Timing study etc. > TDRを仕上げる(来年頭か遅くとも春までに)。 → If Approved → そこから3年後(2012年早々)のコミッショニングを目指す。 → その後はFTKの力をフルに利用した物理解析が可能! * 我々の予測を超えた所に新しい物理が現れる可能性が高い! → Triggerを深く考えることは、(新しい)物理に対して謙虚でいること。 FTK should be approved if ATLAS people are smart enough ! Sep. 23rd 2008 FTK @ ATLAS Kohei Yorita (U. of Chicago) p16/16