高速カメラの分光システム開発の現況 2 磯貝 /23 ○ 今回行ったこと(要約版、詳細は次ページより):

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高速カメラの分光システム開発の現況 2 磯貝 2007 07/23 ○ 今回行ったこと(要約版、詳細は次ページより):   超低分散(R~20-30)、低分散(R~300)用分光素子の仕様決定・設計 a: 超低分散          プリズム vs グリズム       両者の透過率を計算。 素子全体の効率を比較すると、可視域全域       でプリズムの方が有利。           プリズムの正確な頂角とその工作精度(角度公差)を見積もる。           図面作成           見積もりを業者に依頼    b: 低分散       使用する透過型回折格子 2つ(200, 300本/mm)に絞る     それぞれの正確な仕様を計算           両者のスペックの比較 ○ 今後の課題:   a:超低分散      見積もり金額・納入にかかる期間を見て最終案を決定。      発注の前にZEEMAXによる図面の仕様の最終確認。   b:低分散      仕様の決定(どちらの回折格子を採用するか?)、ZEEMAXによる      仕様の計算値の確認、図面作成、見積もり依頼、発注。

高速カメラの分光システム開発の現況 2 低分散(b)用分光素子の候補決定およびそれぞれのスペックの計算 磯貝 2007 07/23 1: 分光システムの開発要素 ・分散素子 ・フィルター ・筐体(レンズホルダー、フィルターホイール含む) ※ レンズ群(コリメーター、再結像系):  Howpolの予備を使用。  2: 開発のタイムスケジュール   ~7月20日: 分散素子の概念設計・候補の限定 ~7月末: G-maxによる分散素子の設計 7月末: 分散素子の発注。 8月~8月末: フィルターの発注。 8月~9月半ば: 筐体設計(レンズホルダー、フィルターホイール含む) 9月末: 筐体工作の発注。 12月中に全てのパーツが揃うようにする。 3: 分散素子の仕様 3種類ののRの分散素子を用意する。 a: R~ 30 プリズムx2 or グリズム(表面レリーフ、以下SR) b: R~ 300 グリズム(SR) c: R~3000 グリズム(VPH) HowPolのVPHグリズムの図面をそのまま利用可 4: 本レポート:   超低分散(a)用分光素子の仕様決定・設計   低分散(b)用分光素子の候補決定およびそれぞれのスペックの計算

素材の組み合わせとしては、上の2つを候補とする。 4: 超低分散・分散素子の仕様について(3.a) a: プリズム2つの組み合わせ b: 表面レリーフグリズム プリズム 透過型グレーティング 可視全域でRの変化が小さいスペクトルになる 利点:   R~20-30を達成可能 欠点:  青側で分散が急激に大きくなる (屈折率で分散を作る限り避けられない         こと。3個の組み合わせでも同じ) R~20-30の素子が作れない (市販品のグレーティングを使うため) プリズム: Schott社の16種類のガラス素材を組み合わせて、分散の波長に対する変化が小さく、なおかつ現実的なプリズム頂角となるものを選別。   (16種類の素材の情報はこのまとめの最後に掲載) ◎ 両者を備えたベスト3+1の表 分散(dx/dλ)の比(@400nm/800nm) プリズム頂角          1個目  2個目            プリズムの素材   1: 10.6 43.45  32.45  LITHOTEC-CAF2 +LF5   2: 11.2 35.92 25.16  LITHOTEC-CAF2 +F2 3: 11.5 43.68   37.37  N-PK52A +SF2   4: 15.5 44.17  36.84  BK7 +F2  (よく使われるガラスの組み合わせ) 素材の組み合わせとしては、上の2つを候補とする。

プリズムの方が良い プリズムとグリズムでの波長分解能R、透過率Tの違い グリズム: Newport(旧Richardson Grating Laboratory = RGL)社の透過型グレーティングの中で最も溝本数の少ないグレーティング(N=35g/mm)を用いる。 使用グレーティング:    溝本数(N)=35g/mm  ブレーズ角:2.2° 1次のブレーズ波長: 640nm 透過型グレーティングの場合、屈折光=1次の回折光となる波長のこと プリズムとグリズムでの波長分解能R、透過率Tの違い 波長分解能R(≡λ/Δλ) 素子全体の透過率T ※0 式を厳密に解いた(前回のレポートの結果は近似式sin(θ)~θを用いていた)結果        近似式の結果とほとんど変わらず。 ※1 波長分解能: 同じ素材の組み合わせでR=20と30の両方を計算 ※2 透過率: 表面透過率+内部透過率(+回折効率)           反射防止膜なしのケース。 R=20と30ではほとんど違いはない 効率の比(prism/grism) (※比 = {T(p)/T(g)} / {R(p)/R(g)}) 効率の比(1ピクセルに届く光子の比に相当) R=20,30どちらのケースでも比は可視域全域で1以上(R=20では2以上) 青色域ではプリズムの方が分散が大きいので光は薄められてしまうが、その分透過率の良さでカバーし、効率ではプリズムの方が良くなっている プリズムの方が良い

2つの素材の組み合わせそれぞれについて、R=20, 30 を考える。 4種類の図面を作成 ・LITHOTEC-CAF2 と LF5 との組み合わせ Rc=20 Rc=30 ・BK7 と F2 との組み合わせ Rc=20 Rc=30 およそのサイズ: R=20: 36 x 27 mm R=30: 38 x 39 mm 7/20(金)に業者3社に見積もりを依頼 現在、返事待ち

5: 低分散用素子 ・それぞれの回折格子の効率曲線 2種類の透過型回折格子を候補とし、650nmでのRと波長カバー範囲を求めた(式を厳密に解いて)。 溝本数 ブレーズ波長 ブレーズ角  波長分解能R 波長カバー範囲 λ/pix 本/nm nm ° (@650nm)    @500pix-CCD nm 200 505 10.0° 313 259nm     0.519 300 580 17.45° 492 165nm 0.331 300本/mmの回折格子では、HαとHβを同時に取得できない。200本/mmが良いか? ・それぞれの回折格子の効率曲線 200本/mm 300本/mm Hα付近では、300本/mmの方がわずかに効率が良い(69% vs 60%)が Hβ付近は200本/mmの方が圧倒的に良い(80% vs 35%)。 まとめ(2つの選択肢あり):  ○ Hαのみに注目し、少しでも分解能をあげる  ○ 分散を抑えて、HαとHβの同時取得を優先  300本/mmまたはそれ以上(600本/mm)の溝本数 200本/mmを採用。 (R~数百では輝線輪郭の議論は出来ないから?) こちらを採用