サンテクノ技術セミナー 高周波技術入門 講座テキスト その2 平成18年6月2日.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
電気回路学 Electric Circuits 情報コース4セメ開講 円線図 山田 博仁.
Advertisements

円線図とは 回路の何らかの特性を複素平面上の円で表したもの 例えば、ZLの変化に応じてZinが変化する様子 Zin ZL
無線干渉実験 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 金田 裕剛.
ディジタル信号処理 Digital Signal Processing
サンテクノ技術セミナー 高周波技術入門 講座テキスト その9 平成18年11月17日.
ネットワーク接続方法 2SK 情報機器工学.
放射線計測エレクトロニクスの信号処理の為の アナログ電子回路の基礎 第五回
5.アンテナの基礎 線状アンテナからの電波の放射 アンテナの諸定数
臨床診断総論 画像診断(3) 磁気共鳴画像 Magnetic Resonance Imaging: MRI その1
6.3.4 無給電アンテナ 伝播路上に障害物があるときこれを避ける 例題6.5 無給電アンテナを用いたマイクロ波回線.
高周波観測 大田 泉 (甲南大学理工学部) 空気シャワー電波観測ワークショップ2014@甲南大
情253 「ディジタルシステム設計 」 (7)Channel
ディジタル信号処理 Digital Signal Processing
電子回路Ⅰ 第2回(2008/10/6) 今日の内容 電気回路の復習 オームの法則 キルヒホッフの法則 テブナンの定理 線形素子と非線形素子
電気回路学Ⅱ エネルギーインテリジェンスコース 5セメ 山田 博仁.
電子回路Ⅰ 第12回(2009/1/26) 整流回路、電圧安定化回路.
電子回路Ⅰ 第11回(2009/1/19) 電力増幅.
2.伝送線路の基礎 2.1 分布定数線路 2.1.1 伝送線路と分布定数線路 集中定数回路:fが低い場合に適用
絵解き アンテナアナライザによるコイルのQ測定 Koji Takei jg1pld.
5.3 接地アンテナ 素子の1つを接地して使用する線状アンテナ 5.3.1 映像アンテナと電流分布
電気回路学Ⅱ エネルギーインテリジェンスコース 5セメ 山田 博仁.
電気回路学Ⅱ 通信工学コース 5セメ 山田 博仁.
電波の伝わり方
4.給電線と整合回路 給電線:送信機とアンテナ,アンテナと受信機を結ぶ伝送線路 4.1 各種伝送線路
分布定数回路(伝送線路)とは 電圧(電界)、電流(磁界)は回路内の位置に依存 立体回路 TE, TM波
演習問題解答例 3. Fパラメータが既知の二端子対回路に電圧源 Eとインピーダンス ZGが接続された回路に対する等価電圧源を求めよ。 I1
電気回路学 Electric Circuits コンピュータサイエンスコース、ナノサイエンスコース4セメ開講 円線図 山田 博仁.
電気回路第1 第11回 ー電力の計算と演習ー 電気回路第1スライド11-1 目次(クリックすると移動します。) 2先週の復習 3電力の復習
+電源端子 30mV 出力 30mV 出力 +入力端子 出力端子 -入力端子 入力 入力 -電源端子 -3mV 3mV -3mV 3mV
電力 P ( Power ) 単位 ワット W = J / sec
 1オーム系 Z0 = 1Ω (1)  オームの法則 (V:電圧,I:電流,R:抵抗orインピーダンス) V = IR (2)   1オーム系では,
コイルのはたらき コイルの5つのはたらきについて説明.
電磁気学C Electromagnetics C 5/28講義分 電磁波の反射と透過 山田 博仁.
コンピュータサイエンスコース、ナノサイエンスコース4セメ開講
電気回路学 Electric Circuits 情報コース4セメ開講 供給電力最大の法則 山田 博仁.
電気回路学のまとめ 平成18年度後期開講分 講義資料のダウンロード
コンピュータサイエンスコース、ナノサイエンスコース4セメ開講
供給電力最大の法則 E Z0=R0+jX0 R jX Z=R+jX I (テブナンの定理) R で消費される電力 P は、 電源側 負荷側
低インピーダンス伝送線路を用いたミリ波帯VCOの低雑音化の検討
電磁気学C Electromagnetics C 6/5講義分 電磁波の偏波と導波路 山田 博仁.
電気回路の分類 一部修正しました 非線形回路 (重ね合わせの理が成り立たない) 線形回路 (重ね合わせの理が成り立つ)
電気回路学 Electric Circuits 情報コース4セメ開講 分布定数回路 山田 博仁.
理想線路 R = G = 0 と仮定すると、無損失(a = 0)かつ無歪となり、理想線路と呼ばれている また、 よって、 減衰極小条件
電気回路学のまとめ 平成19年度開講分 講義資料のダウンロード
サンテクノ技術セミナー 高周波技術入門 講座テキスト その1 平成18年6月2日.
電気回路学Ⅱ コミュニケーションネットワークコース 5セメ 山田 博仁.
電気回路学のまとめ 平成20年度開講分 講義資料のダウンロード
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 6/9講義分 電磁場の波動方程式 山田 博仁.
Mini-RT装置における 強磁場側からの異常波入射による 電子バーンシュタイン波の励起実験
ミリ波帯電力増幅器における 発振の検証 ○松下 幸太,浅田 大樹,高山 直輝, 岡田 健一,松澤 昭 東京工業大学
                                                                   平成20年10月                       工学科   年生 学籍番号(          ) 氏名(                 ) □ フーリエ級数 □ フーリエ変換 □ SN比 □ 波長
サンテクノ技術セミナー 高周波技術入門 講座テキスト その3 平成18年6月30日.
電子回路Ⅰ 第10回(2008/1/7) 電力増幅.
演習問題1の解説 電源電圧 E, 内部インピーダンスが Z0 の電源に、伝搬定数が g , 特性インピーダンスが Z0, 長さ が l の線路が接続されている。これに等価な電圧源 を求めよ。さらに、線路が無損失なら、それはどのように表わせるか? ただし、sinh(iθ) = i sinθ, cosh(iθ)
RC結合増幅回路 トランジスタの高周波特性 ダーリントン接続、カレントミラー回路
インピーダンスp型回路⇔T型回路間での変換
連絡事項 ・ 電気回路学定期試験は、四クラス統一で2/9(金)に実施の予定
円線図とは 回路の何らかの特性を複素平面上の円で表したもの 例えば、ZLの変化に応じてZinが変化する様子 Zin ZL
誘導起電力は 巻数と 磁束の時間変化 に比例する.
電気回路学 Electric Circuits 情報コース4セメ開講 分布定数回路 山田 博仁.
RC結合増幅回路 トランジスタの高周波特性 ダーリントン接続、カレントミラー回路
線路上での電圧、電流 Ix I0 添え字は、線路上での位置を表わす ZL γ, Z0 Vx V0 x x = 0
電磁気学C Electromagnetics C 5/20講義分 電磁場の波動方程式 山田 博仁.
第四級アマチュア無線技士 養成課程模擬試験(工学)問題4
第四級アマチュア無線技士 養成課程模擬試験(工学)問題2
電源の内部インピーダンス(抵抗)とは? 乾電池(1.5V)の等価回路を描いてみよう もし、等価回路がこのようなら、
二端子対網の伝送的性質 終端インピーダンス I1 I2 -I2 z11 z12 z21 z22 E ZL: 負荷インピーダンス V1 V2
電気回路学Ⅱ 通信工学コース 5セメ 山田 博仁.
振幅は 山の高さ=谷の深さ A x A.
電磁気学C Electromagnetics C 6/24講義分 共振器と導波路 山田 博仁.
Presentation transcript:

サンテクノ技術セミナー 高周波技術入門 講座テキスト その2 平成18年6月2日

2.高周波技術の基礎 周波数帯の区分

2.高周波技術の基礎 マイクロ波のバンド名 単位の倍数記号 Pバンド 500MHz~1GHz Xバンド 8GHz~12.4GHz Lバンド Kuバンド 12.4GHz ~18GHz Sバンド 2GHz~4GHz Kバンド 18GHz~26.5GHz Cバンド 4GHz~8GHz 大きさ 10-12 10-9 10-6 10-3 103 106 109 1012 記号 p n μ m k M G T 名称 ピコ ナノ マイクロ ミリ キロ メガ ギガ テラ

2.高周波技術の基礎 各周波数帯の用途 長波 ・航空機航行用 ・船舶 中波 ・ラジオ放送 ・交通情報 短波 ・航空機航行用 ・船舶 中波 ・ラジオ放送 ・交通情報 短波 ・標準電波 ・アマチュア無線 ・短波放送 ・国際通信 超短波 ・FM放送 ・アマチュア無線 ・テレビ ・タクシー無線 極超短波 ・携帯電話 ・テレビ マイクロ波 ・地上マイクロ通信 ・衛星通信 ・気象航空用 ミリ波 ・無線航行 赤外線 ・熱線診療 ・光通信 ・赤外線写真 可視光線 ・光学機器 紫外線 ・殺菌 ・医療 X線 ・X線写真 ・医療 γ線 ・材料検査 ・医療

2.高周波技術の基礎 周波数と周期の関係 周波数と波長の関係 周期T[s] = 1 / 周波数[Hz] 例)100MHzの周期は0.01μs  例)300MHzの1/2λは0.5m

2.高周波技術の基礎 デシベル[dB](デービーとも読まれる) dBは、信号の比を常用対数で示したもの    電力差[dB]=10log(P/P0)    電圧差[dB]=20log(E/E0)    電流差[dB]=20log(I/I0) 真数比 0.1 0.2 0.5 1 2 4 5 8 10 20 100 電力[dB] -10 -7 -3 3 6 7 9 13 電圧[dB] -20 -14 -6 12 14 18 26 40

2.高周波技術の基礎 絶対値dB 受信感度や送信電力の表現にはdBmやdBμVなど絶対値dBの単位が使われる dBm:電力1mWを基準としたdB表現(0dBm=1mW) dBW:電力1Wを基準としたdB表現(0dBW=1W) dBμV:電圧1μVを基準としたdB表現(0dBμV=1μV) dBi:等方性アンテナの利得を基準としたdB表現

2.高周波技術の基礎 オームの法則 電力 電流I[A] = V[V]/R[Ω]又はV = IR 例)50Ωの抵抗に100V印加時の電流は2A 電力P[W] = V [V] ×I [A] = I2R= V2/R  例)100V、12Aの機器の消費電力は1200W

2.高周波技術の基礎 インピーダンスZ アドミタンスY Z[Ω] = R + jX Y [S] = G + jB 交流における抵抗で実数部R(resistance)と虚数部X(reactance)からなる   Z[Ω] = R + jX なお、コイルのリアクタンスはjX=jωL、 コンデンサのリアクタンスはjX=1/jωC アドミタンスY アドミタンスはインピーダンスの逆数で実数部G(conductance)と虚数部B(susceptance)からなる   Y [S] = G + jB なお、抵抗のコンダクタンスはG=1/R、コイルのサセプタンスは jB=1/jωL、コンデンサのサセプタンスはjB=jωC jX R Z 絶対値 位相角

2.高周波技術の基礎 位相 x(t) = sin(ωt) を中心として、z(t) = sin(ωt+θ) は 時間的に先行し、y(t) = sin(ωt-θ) は遅れている。 互いの位相差はθ

2.高周波技術の基礎 特性インピーダンス(Z0) 伝送路の入口からみると、ある一定の入力インピーダンスを持っているように見えるが、これを特性インピーダンスと言う。 同軸ケーブルは50Ω系と75Ω系が広く使われている。

2.高周波技術の基礎 反射 定在波 |反射係数Γ| = 反射波振幅Vr/進行波振幅Vs 電圧定在波比VSWR = Vmax/Vmin 特性インピーダンスZ0と負荷インピーダンスRLが合っていないと反射が起こる |反射係数Γ| = 反射波振幅Vr/進行波振幅Vs           = |( Z0 - RL )/( Z0 + RL )| 定在波 進行波と反射波の干渉により線路に発生するうねり 電圧定在波比VSWR = Vmax/Vmin           = (1+ |Γ| )/(1- |Γ|)

2.高周波技術の基礎 反射の様子 Γ=1 Γ=0.5 Γ=0.1 (「Radio Frequency Technology 」のHPから引用) 進行波    反射波

2.高周波技術の基礎 スミスチャート スミスチャートは、インピーダンスと反射係数との関係を図表化したものでインピーダンスマッチングが簡単にできる スミスチャートの種類 インピーダンスチャート アドミタンスチャート イミッタンスチャート  (上記2つのチャートが描かれたもの、次頁図) なお、次頁以降のスミスチャートは 「Radio Frequency Technology 」のHPから引用

2.高周波技術の基礎

2.高周波技術の基礎 インピーダンスチャートの目盛り プロット例(50Ωで正規化) 横軸目盛:正規化純抵抗 円周目盛:正規化リアクタンス         及び反射係数の位相 半径の長さ:反射係数の絶対値 プロット例(50Ωで正規化) A:50+j50Ω B:f=159MHzにおいてR=25Ω    とL=25nHの直列回路 C:f=159MHzにおいてR=100Ω    とC=10pFの直列回路

2.高周波技術の基礎 アドミタンスチャートの目盛り プロット例 (50Ω(即ちY=20mS)で正規化) 横軸目盛:正規化コンダクタンス 円周目盛:正規化サセプタンス         及び反射係数の位相 半径の長さ:反射係数の絶対値 プロット例  (50Ω(即ちY=20mS)で正規化) A:10+j10mS B:f=159MHzにおいてR=50Ω    とL=50nHの並列回路

2.高周波技術の基礎 イミッタンスチャートによる直列回路→並列回路 (参考) 式で変換すると以下の様になる B:f=159MHzにおいてR=50Ω    とC=4pFの直列回路 ⇒z=1-j5 ⇒(図を読む) ⇒y=0.04+j0.19 ⇒Rp=1250ΩとCp=3.8pFの並列回路 (参考)   式で変換すると以下の様になる Rp = Rs(1+Q2) Cp = CsQ2 /(1+Q2) Lp = Ls(1+Q2) / Q2    ここにQ = ωLs/Rs = ωCsRs

2.高周波技術の基礎 スミスチャートによる反射係数 プロット例(50Ωで正規化) 位相角度目盛:反射係数の位相 半径の長さ:反射係数の絶対値      0は反射なし、1は全反射 プロット例(50Ωで正規化) 50+j50Ωでの   反射係数は0.45∠63°

2.高周波技術の基礎 L,C,Rによるインピーダンスの移動