PIC/MCによる窒素RFグロー放電シミュレーション 第40回 応用物理学会北海道支部学術講演会 平成16年10月17日(日) 旭川勤労者福祉会館 PIC/MCによる窒素RFグロー放電シミュレーション ー ダブルレイヤー形成のメカニズム ー 丸 篤 佐藤 孝紀 伊藤 秀範 田頭 博昭(室蘭工業大学) 目次 はじめに 計算方法及び条件 結果 まとめ
はじめに RFプラズマ : 薄膜堆積などプラズマプロセシングに用いられる 電気的負性ガスを含む場合やH2ではダブルレイヤーが形成される ダブルレイヤーが形成されると 電極間に正と負の二つの空間電荷層ができる 電離レートや励起種の生成レートに二つのピークができる 電気的負性ガス(Ar, Cl2混合ガス) H2 K A A K Cl+, Cl2+の電離レート[1] Haの励起レート[2] 形成要因:負イオンの生成 形成要因:高移動度の正イオン [1] Flamm D Lら, 1986, J. Appl. Phys., 59, 4, pp1052-1062 [2] O.Leroyら, 1995, J. Phys. D:App. Phys., 28, 3, pp.500-507
N2RFプラズマ中の励起数密度 伊藤ら:N2RFプラズマ中にダブルレイヤーの形成を示唆[1] N2は電気的負性ガスではない C3Pu励起分子密度 A K K A A K Haの励起レート 伊藤ら:N2RFプラズマ中にダブルレイヤーの形成を示唆[1] N2は電気的負性ガスではない N2+イオンはH2 +イオンに比べ移動度は低い 本研究ではPIC/MCを用いてN2のダブルレイヤー形成メカニズムを調査する [1] 伊藤ら, 2001, 電学論A,Vol.121, No.5, pp465-470
計算方法および条件 PIC/MC(Particle-In-Cell/Monte Calro collision) を用いてN2ガス中のRFグロー放電の荷電粒子の挙動を1次元モデルで計算する。 印加電圧 : V=300sin2pft [V] , 周波数 f : 13.56 [MHz] , 電極 : 平行平板 電極間隔 : 3.0 [cm] , 気圧 : 0.5 [Torr] , 温度 : 20 [℃] 初期荷電粒子数密度 : 1.0×107cm-3(電極間に一様分布) 計算機 : 20台のPCクラスタ (IBM xSeries305 ,CPU:Intel pentium4 プロセッサ, メモリ:256MB, クロック周波数:2.8GHz) PC間通信 : MPI(Massage Passing Interface) 電子の衝突断面積[1] 正イオンの衝突断面積[2] [1] Y.Ohmori ら, 1987, J.Phys. D:Appl.Phys., Vol 21, pp.724-9 [2] A.V.Phelps, 1991, J.Phys. Chem. Ref. Data, Vol 20, No 3, pp.557-573
定常判定 消滅 生成 追跡粒子数 0~4,000cycle → PC1台あたり 30,000個(合計 600,000個) 平均値[%] 標準偏差[%] 電子 100.01 1.25 正イオン 100.00 2.21 図表中の値は を示す 追跡粒子数 0~4,000cycle → PC1台あたり 30,000個(合計 600,000個) 4,000~4,010cycle → PC1台あたり100,000個(合計2,000,000個)
スオームパラメータの時空間変化 電極間に負の空間電荷が存在 C3Pu励起レートに二つのピーク 伊藤らの実験結果と定性的に一致 K K A A K A A A A K K K 伊藤らの実験結果と定性的に一致 ダブルレイヤーが形成されており,実験結果とも矛盾しない 伊藤らの実験結果 A K 電子数密度 空間電荷密度 C3Pu励起レート 電極間に負の空間電荷が存在 C3Pu励起レートに二つのピーク K A A K 電界
荷電粒子の動きと電界の時空間変化 正イオンは電極間にトラップされ,ほとんど移動しない 負の空間電荷は電子の移動のみで形成されている 電子&正イオン 空間電荷密度 正イオンは電極間にトラップされ,ほとんど移動しない 負の空間電荷は電子の移動のみで形成されている 印加電圧 電界 電極間電界はシース部およびバルク部でも時間的に変化している
子電子の振る舞い 負の空間電荷 生成した子電子 最大ピーク:およそ1.5×106 cm-3 最大ピーク:およそ6.0×106 cm-3 親電子の動きによってダブルレイヤーは形成される
Fluxと空間電荷 Ge (cycle) (cycle) 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.0 1.0 2.0 3.0 0.0 1.0 2.0 3.0 (cm) (cm) Flux 負の空間電荷密度 バルク部に電界が入るためにダブルレイヤーが形成される
印加電圧を減少させた場合 300V 275V 300V → 275V 電子数密度 正イオン数密度 バルク部の 電界変動 減少 変化なし
印加電圧を上昇させた場合 300V 400V 300V → 400V 電子数密度 正イオン数密度 バルク部の 電界変動 増加 変化なし
まとめ PIC/MCによるN2RFグロー放電のシミュレーションを行い,N2プラズマ中のダブルレイヤー形成の要因について調査した バルク部でも電界の時間変化がある バルク部の電子が移動するためにダブルレイヤーが形成される (子電子生成の影響はほぼ無い) 過電圧印加による結果ではない N2 RFプラズマはバルク部に電界が入るために,バルク部の電子が電界に追従して移動するためにダブルレイヤーが形成される
電極間電界のフーリエ解析