ATLAS実験における Anomaly-mediation超対称性模型の探索と研究

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ATLAS実験における Anomaly-mediation超対称性模型の探索と研究 西原一幸、浅井祥仁、小林富雄(東大素粒子センター) 伊部昌宏(SLAC)、諸井健夫(東北大)、柳田勉(東大理) 日本物理学会 2007年春季大会 @首都大学東京 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

Outline [1] Introduction [2] Discovery Potential [3] Reconstruction Anomaly-mediation超対称性模型 Signal at LHC モンテカルロサンプル [2] Discovery Potential Selection Cut 0 lepton mode 2 lepton mode [3] Reconstruction Wino Decay Chain Bino Decay Chain [4] Summary 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

[1] Introduction Anomaly-mediation超対称性模型 Signal at LHC モンテカルロサンプル 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

Anomaly-mediation超対称性模型 →Hidden sectorから量子異常を通して超対称性の破れが伝わる模型 bino wino gluino ・Gaugino mass の関係 ・Chargino とNeutralino が縮退 最近の論文では以下の2点が指摘されている (hep-ph/0610277) M. Ibe T. Moroi T. Yanagida (1) Wino mass は free parameter (2) Large m0 Wino mass のみHiggs-Higgsino loop の効果に大きく依存する m0の起源がKählerポテンシャルだと仮定するとm3/2と同じオーダー gluino bino wino →FCNC, SUSY CP 問題の解決 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

Signal at LHC Gluino対生成 Event Topology m0(大) → Squark, Slepton のmass (大) 重心エネルギー14TeVの陽子衝突型加速器LHCでは生成されない Gluino対生成が主な生成過程 Event Topology CharginoとNeutralinoのmassが縮退していることにより、以下の3つのTopologyが考えられる (1) 4jets + long-lived charged particle (2) 4jets + missing + kink tracker (3) 4jets + missing 縮退 →今回は(3)についてのSimulationおよびその解析を行なった 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

モンテカルロサンプル 1 TeV 400 GeV 200 GeV Signal ( σ=671 fb ) 75% 25% Generator: MadGraph ver.4 + Pythia 6.3 を仮定 : 1TeV : 350, 400, 450GeV : 100, 200, 300, 400GeV Background Generator: Alpgen v2.05 + Jimmy tt + N jets ( ~1nb) W + N jets ( ~1nb) Z + N jets ( ~ 1nb) QCD Multi-Jets ( ~50μb) bb + N jets, cc +N jets ( ~10nb) →今回はSignal, Background共にFast Simulationをおこなった 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

[2] Discovery Potential Selection Cut 0 lepton mode 2 lepton mode 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

Selection Cut Backgroundと分離するためのCutを以下のように最適化した # of Jets ≥ 4 Jet Pt: Pt(1st) ≥ 200GeV Pt(2nd) ≥ 100GeV Pt(3rd) ≥ 50GeV Pt(4th) ≥ 50GeV missing Et ≥ max(300GeV,0.2Meff) Transverse Sphericity ≥ 0.2 ↑Cut前のJet Pt分布(Signal) ↓Cut前のmissing Et分布 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

Discovery Potential (1) Effective mass の定義 0 lepton または2 lepton を要求したときの Meff 分布にexcessがみられる Meff 分布 (0lepton mode) Meff 分布 (2 lepton mode) 1 fb-1 10 fb-1 Signal: 84   Background : 33 ( 1600GeV以上,1 fb-1のデータ量) Signal: 44   Background : 21 ( 1200GeV以上,10 fb-1のデータ量) 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

Discovery Potential (2) 他のmass設定のMCサンプルでも同様に解析を行なった 0 lepton mode: Wino mass =100,200,300,400 [GeV], Gluino mass = 1TeV(固定) 2 lepton mode: Bino mass = 350,400,450 [GeV],Gluino mass = 1TeV(固定) Wino mass = 200GeV(固定) ATLAS Discovery: S/√ B > 5 かつ S > 10 Discovery Potential (0 lepton mode) Discovery Potential (2 lepton mode) 今回、wino, binoのmassを変化させたが、実際には断面積はgluino のmassにsensitiveであり、1TeVより重い領域では急激に小さくなる。 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

[3] Reconstruction Wino Decay Chain Bino Decay Chain 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

Wino Decay Chain (1) 0 lepton を要求し、左側のDecay Chainにおける、 1TeV 400GeV 200GeV 0 lepton を要求し、左側のDecay Chainにおける、 ΔM = M(Gluino) – M(Wino) = 800GeV を再構成する Mqq分布 Mqq [GeV] 4本以上のJetから同じgluino起源であるJetを2本選び出しinvariant massを組む → Hemisphere method の適用 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

Wino Decay Chain (2) Pt > 50GeVかつ|η| < 3のJetについて Hemisphere method を適用 Hemisphere method を適用して組んだMjj分布 Gluino mass = 1TeV, Wino mass = 200GeV 各HemisphereにJetが少なくとも2本あることを要求 各Hemisphereでhigh Pt 2本のJetで invariant mass を組む 組んだinvariant mass2つの差が200GeV以下であることを要求 全体の44%のイベントが正しくHemisphereで分離 Mqq endpoint以上のtailが少ない fit方法は検討中 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

2 lepton invariant mass 分布 Bino Decay Chain (1) 1TeV 400GeV 200GeV 2 lepton を要求し、左側のDecay Chainにおける、 ΔM = M(Bino) – M(Wino) = 200GeV を再構成する 2 lepton invariant mass 分布 主なbackgroundは t t → lνlν Signalでは同じflavorのレプトンがでるため、flavor subtraction をおこなう 200GeVにきれいなedgeを見ることが出来る 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

Bino Decay Chain (2) 2 lepton を要求した上で他のmassの差も再構成する Mjj分布 (Bino chain) 2nd PT jet 1st PT jet 4th PT jet 3rd PT jet Lepton方向のベクトル和 2 lepton を要求した上で他のmassの差も再構成する 1TeV 400GeV 200GeV 1st, 2nd のうち、Lepton方向のベクトル和に近い方と4thをBino chainからのJetとみなす Bino decayからでる2nd low pt quarkは46%, 4th pt Jet へ Mjj分布 (Bino chain) Mjj分布(Wino chain) Mlljj分布(Bino chain) 特に、Mlljj分布できれいなedgeが見える 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

Summary ATLAS実験においてAnomaly-mediation超対称性模型に基づき、   m0 パラメータが大きくなるシナリオでのSimulationおよびその解析   を行なっている  Discoveryに関しては 0 lepton mode (1fb-1 ) 2 lepton mode (10fb-1 ) で可能  Reconstructionに関しては    Wino decay chain ( 0 lepton を要求, hemisphere method) Bino decay chain ( 2 lepton を要求)    において全てのmassの差を決定できる : 1TeV : 100,200,300,400 GeV : 1TeV : 350, 400, 450 GeV : 200GeV 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

Backup slides 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

~ Hemisphere method ~ 目的: 生成したgluino毎のJetに分離する ここではobjectとしてJet のみを扱う Step 1 軸の決定 軸1 → 最も大きい運動量を持ったobjectの方向 軸2 → 軸1からとのΔR を使ってp・ΔRの最も大きいobjectの方向 Step 2 objectの割り振り 自身の運動量ベクトルと軸の間の角度が狭い方に割り振る Step 3 繰り返し 軸をhemisphere毎のobjectの運動量ベクトル和で定義しなおし、もう一度Step2の割り振りをおこなう。 objectのhemisphereへの割り振りが変化しなくなるまで繰り返す。 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

Mqq分布 (Bino Decay Chain) Gluino 1TeV Wino 100GeV Gluino 1TeV Wino 200GeV Gluino 1TeV Wino 300GeV Gluino 1TeV Wino 400GeV 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

Mjj分布(Hemisphere method なし) Gluino mass = 1TeV Wino mass = 100GeV Gluino mass = 1TeV Wino mass = 200GeV Gluino mass = 1TeV Wino mass = 400GeV Gluino mass = 1TeV Wino mass = 300GeV 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

Mjj分布(Hemisphere method 適用) Gluino mass = 1TeV Wino mass = 200GeV Wino mass = 100GeV Wino mass = 300GeV Wino mass = 400GeV 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

Mll 再構成 (flavor subtraction前) 左絵:e+e- or μ+μ-  右絵:e+μ-or μ+e- 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

Mjj分布 (Bino chain) Mjj分布(Wino chain) Mlljj分布(Bino chain) 2 lepton mode での Mjj分布など (flavor subtraction前) 上段:e+e- or μ+μ-  下段:e+μ-or μ+e- Mjj分布 (Bino chain) Mjj分布(Wino chain) Mlljj分布(Bino chain) 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会

Wino massを変化させたときのMjj分布(左:linear右:log) Hemisphere method Hemisphere method で 正しく分けられたもの: 赤 間違って分けられたもの: 青 Wino massを変化させたときのMjj分布(左:linear右:log) 2007年3月27日 日本物理学会 2007年春季大会