ZrB2表面上のシリセンの電子状態計算 Contents 導入 実験 第一原理計算 実験 第一原理計算

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ZrB2表面上のシリセンの電子状態計算 Contents 導入 実験 第一原理計算 実験 第一原理計算 JAIST   Antoine Fleurence Rainer Friedlein Yukiko Yamada-Takamura 第一原理計算 JAIST Chi-Cheng Lee        Hiroyuki Kawai Taisuke Ozaki Y. Yamada-Takamura et al., PRL 95, 266105 (2005). Y. Yamada-Takamura et al., APL 97, 073109 (2010). A. Fleurence et al., PRL 108, 245501 (2012).

カーボン以外の元素で二次元的 蜂の巣格子はできるのか? C: Graphene Si: Silicene Ge: Germanene 蜂の巣格子構造はDirac coneに代表される特異な電子構造を持っており、 炭素以外の元素で同様な構造が実現できるのか、興味が持たれる。 C: Graphene Si: Silicene Ge: Germanene

ダイアモンド構造とグラフェン構造の安定性 ~0.5 eV ~0.1 eV

ダイアモンド構造とグラフェン構造の安定性 Diamond 安定 Graphene 安定 C 仮想擬ポテンシャル原子中のSi比 Si

波打ちシリセンの理論予測 Si Ge Si, Ge共にバックルした蜂の巣構造は平面構造より安定である。 S. Cahangirov et al., Phys. Rev. Lett. 102, 236804 (2009). Si Ge Si, Ge共にバックルした蜂の巣構造は平面構造より安定である。 二種類の波打ち構造: Low buckled (LB), High buckled (HB)。 LB構造はDirac coneを保持している。

実験によるZrB2上でのSilicene構造の生成 北陸先端大 高村(山田)グループ GaN系発光ダイオードの成長基板としてZrB2 on Si(111)が有望である (格子整合性、伝導性、平滑性→垂直発光デバイス)。その研究途上でZrB2上にSi原子が周期構造を作っていることが分かった。Si原子は恐らくSi基板からZrB2の成長過程で拡散してきたと考えられる。 STM image GaN ZrB2 200Å Si GaN(0001)面: a= 3.189Å ZrB2(0001)面: a= 3.187Å A. Fleurence et al., PRL 108, 245501 (2012). A. Fleurence et al., Physica Status Solidi (c) 8, 779-783 (2011).

光電子分光によるSi原子の同定 Si 2pの光電子分光ス ペクトルから、表面近 傍にSi原子が存在。 3種類の化学的環境が あることを示唆。 3種類の化学的環境が  あることを示唆。 A:B:Cの強度比は 2:3:1 Si 2p1/2 A Intensity (a.u.) 32±5% B B 55±5% A C 13±5% C Relative binding energy (eV)

実験によるSTM像 A:B:C = 2:3:1 Zr Si - ZrB2[1120] - ZrB2[1100]

角度依存光電子分光法によるSi位置の高さ A/B C/B [11-20]方向のA/Bの強度比が角度の増加に伴い、減少していることから、SiAがSiBより下にあると考えられる。

角度分解光電子分光スペクトル M(2×2)付近にZrB2表面状態に由来する分散 Si-K(1×1)付近にπバンド的な分散 ZrB2(0001)-(1x1) silicene-(1x1) ZrB2(0001)-(2x2) M K Γ

密度汎関数法による第一原理計算 OpenMX LCPAO法、擬ポテンシャル法、GGA汎関数 STM像 Tersoff-Hamman近似 Si-2pの化学シフト計算  Si-2p状態を含んだ相対論的擬ポテンシャル法 バンド分散の計算:バンドアンフォールディング法 活性障壁: NEB法 面内格子定数は実験値(a=3.187Å)を使用。 スラブモデル(Zr: 7層, B: 6層)

ZrB2のバンド構造 Black: Total Red: Zr-d Bulk Slab

ZrB2 (0001) 表面への単一Si原子の吸着 On-top Hollow Bridge Si 2.61 Å 2.68 Å Ebinding= 5.05 eV Ebinding= 6.08 eV Ebinding= 5.79 eV 2.57 Å (Si height) 1.97 Å (Si height) 2.07 Å (Si height)

最適化構造と相対エネルギー NEBによる 活性障壁 モデル 1 モデル 2 Ebind=1.14 eV/ Si atom 波打ち構造の異なる二種類の安定構造が得られた。 モデル 1 モデル 2 NEBによる 活性障壁 Ebind=1.14 eV/ Si atom Ebind=1.42 eV/Si atom C B B B C A B B A B

最適化構造: Top view どちらの構造も蜂の巣格子構造を保持している。 モデル2 モデル 1

Tersoff-Hamman近似によるSTM像 実験 V=100mV The calculations were performed by the Tersoff-Hamman approximation, and an isovalue of 8x10-7 e/bohr3 was used for generation of the height profile for both the cases. モデル1 モデル2 V=+300mV V=+300mV SiB(bridge)が明るい SiC(on-top)が明るい

Si-2p 状態の化学シフト 実験 定性的にはどちらのモデルも実験を再現。 B A C B モデル 1 モデル 2 B A A C C

Γ点での波動関数 The wave functions just below Fermi level at ZrB2(2x2)-Γ-point (=Si(1×1)-K-point)) are attributed to silicene. M K Γ M Isovalue=0.01

Domain boundary might be important? PRL 108, 245501 (2012) Domain boundary might be the most important factor in revealing the realistic ground state by DFT calculation

Comparison between Expt. and Theory Model 1 Model 2 Relative energy (eV/(2x2) cell) 0 -1.589 Relative height of SiA and SiB Agreement SiA ≒ SiB Disagreement At least the position of the bright spot agreed STM image Agreement Agreement Chemical shift of Si-2p Large distortion of ZrB2 surface band ZrB2 surface band and X2 band reproduced Band structure