液体キセノンを用いた二重ベータ崩壊探索実験の基礎研究

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液体キセノンを用いた二重ベータ崩壊探索実験の基礎研究 二重ベータ崩壊研究懇談会 @岩沼市  2010/12/17~18 宇宙線研究所 上島 考太 1、概要 2、検出器のデザイン 3、基礎研究の状況と結果 4、まとめと展望

1、概要 液体キセノンを用いた0ν2β探索実験 PMT(photon sensor )を遠ざけたセットアップが必要 液体キセノン 1、概要 液体キセノンを用いた0ν2β探索実験 液体キセノン 23トン検出器 直径2.5m キセノンの利点、 136Xe(Q: 2.48MeV) の自然存在比 8.9% また 濃縮が可能 >90% 大発光量 ~46000 photons/MeV コンパクト 1ton ~ 80cm diameter PMTに含まれる放射性不純物起源のγ線 BG Cnt/day/kg/keV 8B 低エネルギー(<100keV)では キセノンの自己遮蔽により、検出器中心部は低BGな環境を作り出せる。 高エネルギー(~2.5MeV)では,キセノンの自己遮蔽は有効ではない。 PMT(photon sensor )を遠ざけたセットアップが必要

検出器のデザイン PMTを液体キセノンから遠ざけ、極低BG環境にし,かつ高エネルギー分解能を達成するために収集光量を上げる必要がある。 楕円型検出器 PMTに含まれる208Tlからのガンマ線は純水で遮蔽 50cmで1桁落ちる。   PMTとXeを焦点に置いて、検出器の内面を鏡にすることで効率よくシンチレーション光を検出できる。 PMTの本数を節約でき、低コスト 純水を用いる場合、常温での運転が必要。 通常液体キセノンは-100度で運転されるため、常温(~55気圧)での発光量を確認する必要がある。 また液体キセノンの発光波長は真空紫外(175nm)で、水やアクリルで吸収されてしまう。 波長変換材が必要。

常温高圧液体キセノンの発光量 Cell 70mm 黒:常温高圧 1℃,5.5MPa Liq.Xe 85mm 16 MgF2 NIM.A.594(2008)148 Cell 70mm 黒:常温高圧 1℃,5.5MPa Liq.Xe 85mm Counts/s 16 MgF2 赤:低温 -100℃, 0.18MPa 57Co 122keV γ 7.4kBq p.e. PMT (常温高圧)/( -100度、0.18MPa) の発光量の比 15ccの液体キセノンを用いて発光量の測定を行った。

波長変換材の開発 波長変換材 波長変換効率60%の波長変換材の開発に成功した。 エキシマランプ 165~179nm TPBをポリスチレンに4%混ぜた 420nm 波長変換材 エキシマランプ 165~179nm Beam splitter This figure shows schematic view of set up for this measurement. We used Xe excimer lamp as a light source. By putting WLS in front of the PMT, we could measure the conversion efficiencies. To monitor beam intensities, we have a beam splitter in front of the WLS as shown here. This measurement done in the vacuum chamber like this. Monitor PMT 波長変換材 PMT         波長変換効率60%の波長変換材の開発に成功した。

アクリル容器の開発 低温での試験 波長変換材を蒸着した アクリル容器 3×PMTs (2inch) 200mm heater アクリル容器の開発        低温での試験 3×PMTs                   (2inch) 波長変換材を蒸着した アクリル容器 200mm heater Cooling medium (Novec 7100 ) 400mm LED 楕円部分は 長軸500mm        短軸300mmの 楕円の一部  (深さ63mm)  63mm LN2 tank Acrylic Vessel 40*40*40mm Reflectance 65% at 420nm

137Cs 662keV による試験 light yield 620 p.e./MeV 40cm p.e. 液体キセノンから40cm離れた場所に3本の2インチPMTをセットし、キセノンのシンチレーション光を波長を変換して捉えた。 light yield 620 p.e./MeV

BG summary キセノンの内部BG、アクリル容器がmain BG amount U Th Xe (XMASS)   1 000kg 10-14g/g Acrylic vessel (SNO) 300kg <1.1 ×10-12g/g <1.1×10-12g/g TPB (wave length shifter) 0.02kg <3.1×10-10g/g <2.1×10-9g/g Water (SK) <1.4×10-15g/g <8.3×10-16g/g Novec 7100 2.1×10-12g/g 1.2×10-12g/g PMT (photon sencer) ~20 本 20mBq/20本 Acrylic vessel, Novec (EXO) TPB (DEAP) Nucl.Instrum.Meth.A591 (2008) キセノンの内部BG、アクリル容器がmain BG 30~60meVを達成するには、キセノンの内部BG、アクリル容器のBGレベルは~10-16g/gが必要 蒸留システム(XMASSで開発済み)によるキセノンの純化、 フィルター等による純化。

2nbb background DE=0.6%RMS 究極のエネルギーは 0.6% @Q=2.5MeV                   large scintillation yield (~46000photons/MeV). 2nbb の半減期 8×1021 year を仮定 10ton natural, 5 year Signal region 2200 2400 2600 keV DE=0.6%RMS 1ton enrich 0.01 – 0.03eV 0.01- 0.03eV Our goal 0.1 – 0.3eV 0.1- 0.3eV An inevitable background is due to 2nu 2beta decay. However we have large scintillation yield, we can expect large reduction of background because of good energy resolution. If we assume all scintillation photons are collected by PMTs, we can expect an ultimate energy resolution such as 0.6%. This graph shows 2nu spectrum from 0 to 6% energy resolution RMS. This figure is expanded view at the signal region. We assume 10ton natural Xe, 5yrears live time. In reality, 0.6% RMS is difficult to be realized. This right figure shows sensitivity for half life as a function of energy resolution. By assuming different energy windows of signal region we draw three lines shown here. Red line shows sensitivity if we use +/-1 sigma from Q value, green line is +/-2 sigma and blue line is +/-3 sigma. It is clear that the +/-1sigma with at least 2%RMS energy resolution is needed for this experiment. 8x1021 year 1 – 3eV 1- 3eV 0 1 2 3 4 5 6 Resolution at 2.5 MeV (RMS) エネルギー分解能< 2% が必要

エネルギー分解能 PMT1 PMT 1 PMT2 Co-57 Liquid Xe PMT 2 理想的なセットアップでエネルギー分解能を試験 PTFE filler PMT2 エネルギー分解能 Cold cap 100 mm 理想的なセットアップでエネルギー分解能を試験 2本のPMTが15mm 離れて向き合っている 光電面間の中央に置かれた Co-57 からの 122keV(85.6%), 136keV(10.7%)の光電吸収ピークを測定 SUS304 chamber 40 mm PMT 1 Co-57 Liquid Xe 15 mm 200 mm Blue LED PTFE light guide PMT 2

Co-57 peak (PMT1+PMT2) 光量: 17.1 p.e./keV 分解能 : 2.6 % @122keV (122keV) const. (p0) : 122.9 mean (p1) : 2084.3 sigma (p2) : 55.2 (136keV) const. (p3) : 11.6 mean (p4) : 2270.3 sigma (p5) : 54.1 Trigger 条件: PMT1, PMT2 の AND Trigger rate: PMT1 (1.45 kHz) PMT2 (1.52 kHz) AND (1.17 kHz) 光量: 17.1 p.e./keV 分解能 : 2.6 % @122keV 2.5MeV ではエネルギー分解能 ~ 0.6% ??

まとめ と 展望 常温高圧液体キセノンの発光量測定を行い、-100℃の場合と比べて64%の発光量があることを確認した。 まとめ と 展望 常温高圧液体キセノンの発光量測定を行い、-100℃の場合と比べて64%の発光量があることを確認した。 波長変換材を蒸着したアクリル容器を開発し、-100℃での運転を試み、波長変換に成功した。 展望 (低BG & 高エネルギー分解能な測定装置)   ♨低BGなアクリル容器+波長変換材を用い、楕円型検出器あるいはカムランド、SK、XMASS等の水タンクの中心にセット   ♨液体キセノンは低温で運転するのが現実的、冷媒(novec 7100)の利用もしくは断熱真空層を追加   【♨究極のBG低減手法はBaのタグ(太陽ニュートリノ8Bも落とせる。)】