磁気リコネクション (Craig-Henton解の安定性) ~シミュレーションサマースクール@千葉大より~

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磁気リコネクション (Craig-Henton解の安定性) ~シミュレーションサマースクール@千葉大より~ 齋藤研 M1 川島 壮史

シミュレーションサマースクール(9/6~9/10) (流体・磁気流体コース) シミュレーション方法についての講義 CANSを使った基本課題の実習 応用課題実習、課題発表

Introduction 定常・非圧縮の仮定のもとで、磁気リコネクションの解析解がCraig&Henton(1995)によって得られた。 その解析解について安定性が調べられたところ、パラメータの値によっては不安定であることが分かった。(Hirose et al.,2004) 今回の実習ではHirose et al.の結果を踏まえ、まだ調べられていない解の領域について安定性を調べ、不安定性のパラメータ依存性について探った。

Craig-Henton解 但し、 定常、非圧縮、2次元。粘性は考えない。

Plasma pressure :Base pressure   Base pressureを十分大きくとることで、非圧縮に近似している。

Dimensionless parameters α: 速度場のamplitude β: 速度場のshear E : 一様電場 η: resistivity } fixed ※     のときは、反並行磁場を表す。

Outflow solution (α>0) v B より、 K-H instabilityが起きやすい。

Inflow solution (α<0) v B より、 Tearing instabilityが起きやすい。

計算方法 今回はinflow solutionを考える。 E=2.0、η=0.005に固定、α、βに対する安定性を調べてみた。   (参考:Hirose et al.,ApJ,610,2004) 計算はCANS 2Dを用いて実行。 定常解析解を初期条件とし、そこにランダムな速度のゆらぎを与え、時間発展を見る。 境界条件は解析解に固定。

スキームはModified Lax-Wendroff  メッシュ数は、200×200  計算範囲は、 ※パラメータによっては、今回の計算の解像度、精度では不十分と思われる場合もあった。

計算例 (α=-0.5、β=0.1)

計算例 (α=-0.5、β=0.1) 計算時間~10Alfvén time

計算例 (α=-3.0、β=2.9)

*:Tearing instability 計算結果 α β Stability -3 2.9 INS. -1 0.8 2.5 0.5 2 0.3 STA. 1.5 0.1 1 0.08 0.01 INS.* -0.5 0.4 -2 0.2 0.15 *:Tearing instability

Tearing instabilityの安定化条件 強いreconnection flowがgrowing modeをreconnection regionから運び出せば、instabilityは抑えることができる。(Biskamp 1994) よって、そのstabilizationの条件を粗く見積もってみると、 Tearing modeの成長率

よって、      とすることで、tearingに関しては安定になると考えられる。

まとめ Inflow solutionについて、αを固定してβを動かしてみると、βの値によって不安定性が生じることが分かった。  βが小 → tearing成長率が大きくなる。       ⇒ Tearing instability  βが大 → shearが大きくなる。       ⇒ K-H instability

今後の課題 但し、αが大きくなるとcurrent sheetが非常に薄くなるため、スキーム、メッシュの問題により、十分に分解できず、tearing instabilityを見分けにくい。  (α=-3.0、β=0.1ではcurrent sheetの厚さは0.06程度。)  CIP法など計算精度の高いスキームを使う、メッシュは最低でも500×500にする、などの必要性がある。

Flow shearが大きくなると、current sheetの振る舞いが非常に複雑になり、tearingとK-H両方の効果が混在、分けて考えることが困難。 (Ofman et al. 1991) Tearingのα、βに対する不安定条件が分かれば、太陽フレアに至るようなfast reconnectionのtriggerを知る上で非常に有意である。 Outflow solutionでは、今回の計算では大部分が不安定であった。