メニーコア型大型計算機での海洋シミュレーション (環オホーツク圏の海洋シミュレーション)

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メニーコア型大型計算機での海洋シミュレーション (環オホーツク圏の海洋シミュレーション) jh170027-NAJ 中村知裕 (北海道大学) メニーコア型大型計算機での海洋シミュレーション       (環オホーツク圏の海洋シミュレーション) 概要 近年、スーパーコンピュータのアーキテクチャとしてメニーコア型の割合が増加しているが、海洋モデリング分野ではその利用が広まっていない。本研究では、海洋モデルをメニーコア型スパコンへ移植し性能評価を行う。また、前年度までのチューニングの成果を活用して「環オホーツク圏の海洋シミュレーション」を改良する。 目的 近年、スーパーコンピュータのアーキテクチャとしてメニーコア型の占める割合が増えてきている。    北海道大学情報基盤センターでも、次期大型計算機としてメニーコア型スパコンの導入が計画されている。 しかし、海洋モデリング分野ではメニーコア型スパコンの利用が進んでいない。    本研究課題でも、これまでHITACHI SR16000/M1 での高速化チューニングを行ってきており、メニーコア型を使用した実績がない。 そこで、将来的なメニーコア型スパコンでの効率的な計算を目指すとともに、北大センターの次期スパコンへの移行準備として、    本年度は、    (1) 海洋非静水圧モデルについてメニーコア型スパコンへ移植し性能評価を行い、    (2) (1)の移行作業に並行して、前年度まで高速化チューニングの成果を活かすためHITACHI SR16000/M1 にて、      海洋鉄循環モデルおよび海洋非静水圧モデルによる「環オホーツク圏の海洋シミュレーション」の改良を行う。 (1) メニーコア型スパコン 中村知裕(1)、岩下武史(2)、松村義正(3)、中島研吾(4)、大宮学(2)、伊藤薫(5) (1) 北海道大学低温科学研究所、(2) 北海道大学情報基盤センター、(3)東京大学大気海洋研究所、(4) 東京大学情報基盤センター、(5) 北海道大学低温科学研究所/環境科学院 HITACHI SR16000/M1:980GFLOPS/node (176node), メモリ:128GB/node (北海道大学情報基盤センターウェブサイトより) Oakforest-PACS :3TFLOPS/node (8208 node)、メモリ: 112GB/node (東京大学情報基盤センターウェブサイトより) ・次のリプレースでメニーコア型スパコン導入の計画 ・メニーコア型スパコンは、今後、普及が予想される 本年度は、 メニーコア型 スパコンへ 海洋非静水圧 モデルを移植し性能評価 メニーコア型スパコンにおける海洋シミュレーションコードの振る舞いや、その問題点を従来型のスパコンとの比較により、明らかにする。 来年度以降において、 ・海洋非静水圧モデルのメニーコア型スパコンでの高速化チューニング ・海洋鉄循環モデルの北大センター次期大型計算機への移植とそこでの高速化チューニング を順次実施していく見込み (2) 環オホーツク圏の海洋シミュレーション 西川はつみ(1)、伊藤薫(5)、中野渡拓也(6)、中村知裕(1)、三寺史夫(1)、大宮学(2) (1) 北海道大学低温科学研究所、(2) 北海道大学情報基盤センター、(5) 北海道大学低温科学研究所/環境科学院、(6) 国立極地研究所 (2a) 栄養物質循環/熱塩循環 西川はつみ・中野渡拓也・中村知裕・三寺史夫・大宮学 (2b) 潮汐による鉛直混合過程 伊藤薫・中村知裕・大宮学 オホーツク海陸棚から栄養物質(鉄)が海洋熱塩循環で運ばれ基礎生産を高める。 潮汐起源の内部重力波による混合は海洋熱塩循環/物質循環に大きく影響する。 移流による輸送を改善するため鉄循環モデルを高分解能化したが、鉄供給量の不確実性が大きい 今年度は、 ・最新の観測データを用いて、鉄濃度の主な決定要因である陸棚域での供給量をコントロール ・表層の鉄濃度を決める主要因の一つである「生物による取り込み」についても感度実験 波が乱流混合を引き起こす過程の一つ「内部重力波と渦の相互作用」について、渦が順圧(鉛直一様)の場合について数値実験とそれに基づく理論構築を進めてきた。 今年度は、渦が傾圧(鉛直構造を持つ)場合について数値実験を行う。 高分解能・鉄循環シミュレーションの結果。(左)中層における溶存鉄濃度(nM) 、(中)海面、(右)日本海、東シナ海、南シナ海、オホーツク海、ベーリング海、北米西海岸各々の陸棚域でのみ海底堆積物由来鉄フラックスを与えた実験。 vortex Incident wave (左)実験設定。(中、右)波による鉛直変位の水平断面図。相互作用の強さを表す無次元パラメタが(中)0.2, (右)0.8の場合。 前年度までの成果   概要                            査読付国際学術誌に掲載された論文 Nakanowatari, T., T. Nakamura, K. Uchimoto, J. Nishioka, H. Mitsudera, and M. Wakatsuchi. Importance of Ekman transport and gyre circulation change on seasonal variation of surface dissolved iron in the western subarctic North Pacific. Journal of Geophysical Research (accepted). Kida, S., H. Mitsudera, S. Aoki, X. Guo, S. Ito, F. Kobashi, N. Komori, A. Kubokawa, T. Miyama, R. Morie, H. Nakamura, T. Nakamura, H. Nakano, H. Nishigaki, M. Nonaka, H. Sasaki, Y. N. Sasaki, T. Suga, S. Sugimoto, B. Taguchi, K. Takaya, T. Tozuka, H. Tsujino, and N. Usui. (2015) Oceanic fronts and jets around Japan: a review. Journal of Oceanography, DOI 10.1007/s10872-015-0283-7. Nakanowatari, T., T. Nakamura, K. Uchimoto, H. Uehara, H. Mitsudera, K.I. Ohshima, H. Hasumi, M. Wakatsuchi. Causes of the warming trend of the intermediate water in the Sea of Okhotsk and western subarctic North Pacific from 1980 to 2008. Journal of Climate, 28, 714-736. Yakkala, Y. R., T. Nakamura, H. Mitsudera, and M. Kawashima (2014) Formation and maintenance mechanisms of a thick snow band along the Okhotsk Sea coast of Hokkaido Island, Japan. Hydrological Research Letters, 8 (2), 84-89. Matsuda, J., H. Mitsudera, T. Nakamura, Y. Sasajima, H. Hasumi and M. Wakatsuchi. (2015) Overturning circulation that ventilates the intermediate layer of the Sea of Okhotsk and the North Pacific: The role of salinity advection. Journal of Geophysical Research, 120 (3), 1462-1489 Uchimoto, K., T. Nakamura, J. Nishioka, H. Mitsudera, K. Misumi, D. Tsumune (2014) Simulation of high concentration of iron in dense shelf water in the Okhotsk Sea. Progress in Oceanography, 126, 194-210. Nakamura, T., Y. Takeuchi, K. Uchimoto, and H. Mitsudera (2014) Effects of temporal variation in tide-induced vertical mixing in the Kuril Straits on the thermohaline circulation originating in the Okhotsk Sea. Progress in Oceanography, 126, 135-145. Abe, S. and T. Nakamura: Processes of breaking of large-amplitude unsteady lee waves leading to turbulence. Journal of Geophysical Research, 118, 316-331, doi: 10.1029/2012JC008160. Koseki, S., T. Nakamura, H. Mitsudera, Y. Wang (2012). Modeling low-level clouds over the Okhotsk Sea in summer: Cloud formation and its effects on the Okhotsk high. Journal of Geophyscal Research, 117, D05208, doi: 10.1029/2011JD016462. Uchimoto, K., T. Nakamura, J. Nishioka, H. Mitsudera, M. Yamamoto-Kawai, K. Misumi, D. Tsumune (2011). Simulations of chlorofluorocarbons in and around the Sea of Okhotsk: Effects of tidal mixing and brine rejection on the ventilation. Journal of Geophysical Research, 116, C02034, doi:10.1029/2010JC006487. Uchimoto, K., T. Nakamura, and H. Mitsudera (2011) Tracing dense shelf water in the Sea of Okhotsk with an ocean general circulation model. Hydrological Research Letters, Vol. 5, pp.1-5, doi:10.3178/hrl.5.1.