アセアン諸国海域における アオウミガメの大回遊追跡Ⅲ ー回遊追跡のための新技術開発ー

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アセアン諸国海域における アオウミガメの大回遊追跡Ⅲ ー回遊追跡のための新技術開発ー 吉田瑞紀(京大農)・荒井修亮(京大院情報)・ 坂本 亘(京大院農)・益田春比古(アレック電子)・ Mickmin Charuchinda(タイ国水産局)

背景および目的 海洋生物行動追跡の重要性 バイオテレメトリーによる追跡 新たな解析手法の開発 装着実験 多くの情報を提供 より細かな時間軸での行動生態の把握 地磁気データを用いた遊泳方向測定 加速度データによる行動情報の取得 CCDカメラによる視覚的情報の取得 装着実験

地磁気加速度ロガー(MRロガー) 地磁気センサ 加速度センサ 地磁気センサ(3軸) (Magneto‐Resistiveセンサ) 加速度センサ(2軸) スマートメディア   (64 Mb) チタン材ケース  (耐圧水深 500 m) 40.8 mm φ×300 mm 水中重量 320 g

CCD ロガー 28,000画素 カラーCMOSセンサ 1MB (約80枚撮影可能) 撮影間隔 4枚/1時間 チタン材ケース 撮影間隔 4枚/1時間 チタン材ケース (耐圧水深 400 m) 92 × 40 × 28 mm3 水中重量 155 g This is a prototype of the CCD logger. The dimensions are 92 by 40 by 28 mm, weigh about 155 g underwater. About 80 color images were recorded by a 28,000 – pixel color CMOS sensor. This prototype were timer-controlled to take 4 photos every one-hour. A light sensor was equipped with the logger not to click the shutter during the nighttime because the logger had no flash unit.

装着実験 タイ国マンナイ島 ウミガメ保護ステーション タイマイ雌成体2頭 地磁気加速度ロガーの他に 深度記録計,温度記録計を装着 マンナイ島  ウミガメ保護ステーション (2001年9月25日~2001年9月27日) タイマイ雌成体2頭  曲甲長 (mm)  体重 (kg) 年齢 (yr)   HB-1    710    53.8  15   HB-2    680    55.4  15 地磁気加速度ロガーの他に     深度記録計,温度記録計を装着

装着方法 CCDロガー 地磁気加速度ロガー 温度記録計 深度記録計 (両面テープで接着) (木製の台座の上に インシュロックで固定)    (両面テープで接着) 装着方法 地磁気加速度ロガー (木製の台座の上に  インシュロックで固定) 温度記録計 深度記録計 (両面テープで接着)

放流・回収 飼育池(約5ha,最大深度2m)に放流 装着個体からロガー回収 ↓ 43時間のデータを取得 2001年9月25日 14:00 2001年9月25日 14:00 装着個体からロガー回収 2001年9月27日 09:00 測定間隔 地磁気・加速度 0.05 秒 温度・深度 1.0 秒 X (surging) Y (swaying) Logger 各軸の方向 ↓ 43時間のデータを取得 Z (heaving) X (surging) Logger

01.9.27 0:00 01.9.26 0:00 X Y Y Z X 6:00 12:00 18:00 遊泳深度 [m] 温度[℃] 加速度 [m/s2] 温度[℃] 地磁気 [相対値] 01.9.26 0:00 01.9.27 0:00 6:00 12:00 18:00 X Y Y Z X

加速度データ→行動状態の把握 active resting Daytime 6:00 20:00 静止時 Nighttime 20:00 X軸加速度(m/s2) 6:00 偏差 active 静止時 6:00 X軸加速度(m/s2) 20:00 Nighttime resting 偏差

活動度の見積もり 1時間あたりの活動度(%) 加速度より行動の違いが読み取れる 昼夜間で有意な差が見られた HB‐1 HB‐2 This is the result of analysis of X acceleration (of 1 day). Mean activity index calculated from standard deviation of acceleration is different between daytime and nighttime. Turtle was active in the daytime, while she is non-active, resting at most of the nighttime. From X acceleration, we can detect difference in turtles’ activity. 昼夜間で有意な差が見られた 加速度より行動の違いが読み取れる

地磁気データ→遊泳方向 遊泳方向の算出 X軸,Y軸の地磁気を合成 Azimuth = arctan(Y/X) Logger X Y Magnetic Field [relative value] X軸,Y軸の地磁気を合成 Azimuth = arctan(Y/X) North South East Azimuth [deg]

遊泳経路の再現 遊泳距離の算出 加速度の変動周波数 = 前足の推力(flipper)の振動数 (平均振動数 0.23Hz) X軸加速度(m/s2) 遊泳経路の再現 遊泳距離の算出 加速度の変動周波数   = 前足の推力(flipper)の振動数  (平均振動数 0.23Hz) 1flipperで0.5 m 進むと仮定 X軸加速度(m/s2) North Start 再現した 遊泳経路

CCDロガーによって得られた画像 → 視覚的情報を提供 水底の画像 水面に浮上

まとめ MRロガー CCDロガー →生物の行動と周辺環境との関係を詳細に把握 →行動・生態に基づいた有効な保護策構築の 時系列的な遊泳経路や行動状態の把握 CCDロガー 画像による周辺環境情報を提供 →生物の行動と周辺環境との関係を詳細に把握 →行動・生態に基づいた有効な保護策構築の ための重要な知見となる