QRコードを用いたウェーブレット変換による 電子透かし 木下研究室 201002707 匂坂直樹
背景 電子透かしによる著作権情報の保護に関する様々な研究が行われている 従来研究では、ウェーブレット変換により求まった低周波成分(LL領域)にQRコードを透かし情報として分散し埋め込む提案がされていた。 しかしLL成分への埋め込みでは元画像の劣化が避けられない。また、埋め込み情報を分散させても検出が難しくなってしまう
目的 2回ウェーブレット変換を行い中間領域へ埋め込むことでより画像劣化の少ないかつ耐久性を持った電子透かしを実現する
各領域の特性(電子透かし) 中間領域への埋め込みでは画像は劣化してしまい透かし情報も劣化してしまう、そこで透かし情報にQRコードを用いる 低周波領域・・・画像劣化:大 透かしの耐久性:高 中間周波領域・・・画像劣化:中 透かしの耐久性:中 高周波領域・・・画像劣化:小 透かしの耐久性:低 中間領域への埋め込みでは画像は劣化してしまい透かし情報も劣化してしまう、そこで透かし情報にQRコードを用いる
QRコードの透かしとしての利点 ・コーナー検出技術や誤り訂正によって、QRコードが劣化しても情報を読み取ることが出来る 透かし入り画像 劣化して検出 透かし検出 ・コーナー検出技術や誤り訂正によって、QRコードが劣化しても情報を読み取ることが出来る ・QRコードは2値画像なので埋め込みの際、画像データとしての情報量が少ない 透かしの耐久性の問題をカバー
QRコードの透かしとしての利点 ・コーナー検出技術や誤り訂正によって、QRコードが劣化しても情報を読み取ることが出来る 透かし入り画像 劣化して検出 透かし検出 ・コーナー検出技術や誤り訂正によって、QRコードが劣化しても情報を読み取ることが出来る ・QRコードは2値画像なので埋め込みの際、画像データとしての情報量が少ない 画像劣化の問題をカバー
提案方式 1.二回ウェーブレット変換 2.量子化 3.透かし情報の処理 4.透かしの埋め込み 5.逆ウェーブレット変換 6.検出
使用する画像 埋め込み画像 Lena 512*512 透かし画像 [ sagisaka naoki 201002707 ] 誤り訂正15%
1.二回ウェーブレット変換 ウェーブレット変換した画像の低周波領域を更にウェーブレット変換をすることで中間領域(HH2成分)を得る 1.二回ウェーブレット変換 2.量子化 3.透かし情報の処理 4.透かしの埋め込み 5.逆ウェーブレット変換 6.検出 1.二回ウェーブレット変換 ウェーブレット変換した画像の低周波領域を更にウェーブレット変換をすることで中間領域(HH2成分)を得る
2.量子化 ウェーブレット変換により求まった、ウェーブレット係数を定数倍し小数点以下切り捨てを行う 量子化係数100ならば以下の通り 1.二回ウェーブレット変換 2.量子化 3.透かし情報の処理 4.透かしの埋め込み 5.逆ウェーブレット変換 6.検出 2.量子化 ウェーブレット変換により求まった、ウェーブレット係数を定数倍し小数点以下切り捨てを行う 量子化係数100ならば以下の通り ウェーブレット係数 量子化後 0.825629 0.753947 0.848119 0.621435 0.614998 0.549718 0.578221 0.498653 0.286712 0.215892 0.417346 0.481724 0.318723 0.293756 0.071346 0.395665 0.394879 0.124378 0.099734 0.072341 0.218451 0.282465 0.081345 0.077733 0.079625 82 75 84 62 61 54 57 49 28 21 41 48 31 29 7 39 12 9 8 実験は量子化係数256で行った
3.透かし情報の処理 QRコードは白と黒の2値画像なのでそれぞれのビットを定める 黒→ビットを0とする 白→ビットを1とする 1.二回ウェーブレット変換 2.量子化 3.透かし情報の処理 4.透かしの埋め込み 5.逆ウェーブレット変換 6.検出 3.透かし情報の処理 QRコードは白と黒の2値画像なのでそれぞれのビットを定める 黒→ビットを0とする 白→ビットを1とする 0000000000000000 0011111111111000 0011000000111000
4.透かしの埋め込み 実験は埋め込み位置下位4bit(K=4)にて行った 1.二回ウェーブレット変換 2.量子化 3.透かし情報の処理 4.透かしの埋め込み 5.逆ウェーブレット変換 6.検出 4.透かしの埋め込み 量子化したHH2成分の2進数の下位k番目対して 透かしビットが1(白)ならばk=1変更 透かしビットが0(黒)ならばk=0変更 を行うことで透かしを埋め込む、以下k=1ならば HH2成分 QRコード 透かし入りHH2成分 12 14 28 23 25 52 36 64 15 26 103 89 73 74 125 109 16 75 87 128 157 1 12 14 28 24 25 53 37 64 27 103 88 16 73 125 110 76 86 128 156 実験は埋め込み位置下位4bit(K=4)にて行った
5.逆ウェーブレット変換 逆量子化を行い、二回逆ウェーブレット変換を行うことで透かし入り画像の完成となる 原画像 透かし入り画像 1.二回ウェーブレット変換 2.量子化 3.透かし情報の処理 4.透かしの埋め込み 5.逆ウェーブレット変換 6.検出 5.逆ウェーブレット変換 逆量子化を行い、二回逆ウェーブレット変換を行うことで透かし入り画像の完成となる 原画像 透かし入り画像
6.検出 透かし入り画像 二回ウェーブレット変換 HH2摘出 量子化 検出透かし情報 12 14 28 23 25 52 36 64 15 1.二回ウェーブレット変換 2.量子化 3.透かし情報の処理 4.透かしの埋め込み 5.逆ウェーブレット変換 6.検出 透かし入り画像 二回ウェーブレット変換 HH2摘出 量子化 検出透かし情報 12 14 28 23 25 52 36 64 15 26 103 89 73 74 125 109 16 75 87 128 157 K番目=1→白 K番目=0→黒
結果(領域ごと) 各領域へ処理を行い埋め込み画像のPSNR,透かし情報の読み取りの可否、誤り率を測定した LL2 HL2 LH2 HH2 3.03 24.2 26.01 29.88 3.00 29.87 読み取り × ○ 誤り率 49.21 53.88 53.82 1.82 50.09 1.47 領域 特性 (量子化係数256、k=4) 透かし入り画像 抽出画像、検出不可 透かし入り画像 抽出画像、検出可
結果(画像ごと) Lena以外の画像で同様の実験を行った HH HH2 ・全ての画像がHH2の方が画質が良くなるわけではなかった lena mandrill hibiscus boat peppers-bw HH 29.75 30.00 29.70 29.74 29.87 HH2 29.77 30.04 29.84 画像 領域 (量子化係数128、k=3) mandrill hibiscus boat Peppers-bw ・全ての画像がHH2の方が画質が良くなるわけではなかった
耐久性評価(LPF) 透かし入り画像へLPHを掛け透かしの検出 21.71 22.32 23.14 24.66 28.27 34.22 位置 下位6bit 下位5bit 下位4bit 下位3bit 下位2bit 下位1bit HH2 誤り率 21.71 22.32 23.14 24.66 28.27 34.22 HH 誤り率 53.52 53.44 53.12 52.64 52.08 52.56 特性 (量子化係数128) LPF後の画像 HHから検出 HH2から検出
耐久性評価(LPF) 透かし入り画像へLPHを掛け透かしの検出 しかし、下位5bit以上への埋め込みでは 位置 下位6bit 下位5bit 下位4bit 下位3bit 下位2bit 下位1bit HH2 誤り率 21.71 22.32 23.14 24.66 28.27 34.22 HH 誤り率 53.52 53.44 53.12 52.64 52.08 52.56 特性 読み取り可 (量子化係数128) 読み取り不可 しかし、下位5bit以上への埋め込みでは 埋め込み位置が高過ぎて画像の方が劣化してしまった
まとめ 今回 二回ウェーブレット変換をしHH2成分へQRコードを埋め込む提案をした 結果 ・PSNRは全てではないがHH2の方が優れていた ・HH2領域への埋め込みによりHH領域よりも透かしの耐久性おいて優れる電子透かしとなった
課題 実用性のある耐久性を持ったQRコードを使った電子透かしの提案 最適な量子化係数、埋め込み位置を求めるアルゴリズム ハードコピーしても透かしが消えない電子透かしアルゴリズムの検討
ご清聴ありがとうござました