QRコードを用いたウェーブレット変換による 電子透かし

Slides:



Advertisements
Similar presentations
画像処理 05A1027 後藤航太. 研究課題は openLDAP についてでしたが 今回から画像処理に変更しました。 変更した理由 自分が持っていたイメージと実際の openLDAP が違ったので変更を決 めま した。 画像処理に興味を持ったので これからは画像処理を研究課題として やっていきます。
Advertisements

1 高速フーリエ変換 (fast Fourier transform). 2 高速フーリエ変換とは? – 簡単に言うとフーリエ変換を効率よく計算 する方法 – アルゴリズムの設計技法は分割統治法に基 づいている 今回の目的は? – 多項式の積を求める問題を取り上げ、高速 フーリエ変換のアルゴリズムを用いた解法.
静脈画像を鍵とする暗号化手 法に関する研究 大山研究室 安藤のぞみ. 研究の背景、目的 近年、バイオメトリクス認証が注目されて いる 静脈は身体内部の情報 → 偽造に強い 環境に左右されることが少ない 利用者の心理的抵抗が軽減される オープンなネットワークへのバイオメトリ クス認証の適用 : Double.
生体情報を利用したオンライン認証システムに関する研 究 情報工学科 大山・山口・小尾研究室 学士課程4年田中 丈登.
模型を用いたジェットコターの 力学的原理の検討 06522 住友美香 06534 秦野夏希. 平成22年度 卒業研究発表 山田研究室 研究目的 ジェットコースターのコースは、どのような計算に 基づいて作られているのか、研究を通じて理解し、 計算を用いた模型製作を行う。
Information Hiding ~RQLミーティング発表~
授業展開#3 アナログとデジタル.
量子化(Mid-riser型) 出力y 入力x 通信ネットワーク特論(量子化・符号化).
電子透かしにおける マスキング効果の主観評価
画像セグメンテーションにおけるウェーブレット係数の局所テクスチャ特徴を用いたGraph Cuts
パネル型クエリ生成インタフェース画像検索システムの改良
富山大学 公開講座 2008 「QRコードを作ろう!」 ~ QRコードを作ろう! ~.
自由曲線を用いた電子透かしの提案 要所要所で吹き出し入れて喋る内容を入れておくといいかも 工藤敬文 木下研究室.
早稲田大学理工学部情報学科 後藤滋樹研究室
ウェーブレットによる 信号処理と画像処理 宮崎大輔 2004年11月24日(水) PBVセミナー.
符号化のための重み付きジョイントバイラテラルフィルタを用いた 奥行き画像超解像
• Top-hat transformation(TH)による特徴抽出
時空間データからのオブジェクトベース知識発見
顔表情認識のための顔特徴点抽出 徳島大学 大学院 工学研究科 長野 信男.
アナログとディジタル 高校1年 社会と情報⑤.
ウェーブレット変換と 非線形適応信号処理を用いた 電子透かしの研究
マルチメディア情報の ディジタル表現と処理
クラスター変分法と確率的情報処理 --Belief Propagation と画像処理アルゴリズム--
確率モデルによる 画像処理技術入門 --- ベイズ統計と確率的画像処理 ---
2012年度 情報数理 ~ QRコードを作ろう!(1) ~.
2008年度 情報数理 ~ QRコードを作ろう!(1) ~.
首都大学東京 都市教養学部数理科学コース 関谷博之
実時間動画像マルチキャストのための フィルタリング手法の実装と評価
ガウス誤差関数を利用した 収束の速いヒルベルト変換ディジタルフィルタ
画像処理工学 2011年1月26日 担当教員 北川 輝彦.
情 報 A ー ディジタル化のしくみ ー.
現金に替わる電子マネーの実装 200702894 大城 翔太 木下研究室.
周波数領域での非線形適応システムを用いた電子透かしの耐性評価
ー 第1日目 ー 確率過程について 抵抗の熱雑音の測定実験
2010年度 情報数理 ~ QRコードを作ろう!(1) ~.
画像のディジタル化 1 A/D変換器 光強度のアナログ情報をディジタル信号に変換する 標本化:sampling
2007年度 長岡技術科学大学オープンハウス 半透明人間
IPv6アドレスによる RFIDシステム利用方式
感性情報と インフォメーションハイディング
情報機器の発達とディジタル化 第2節 情報のディジタル化②
授業展開#3 アナログとデジタル.
高速剰余算アルゴリズムとそのハードウェア実装についての研究
エッジの検出 画像中に表示された物理の輪郭(エッジ(edge))や線では、一般的に濃淡が急激に変化しており、これらは画像中のなんらかの構造を反映していることが多い このようなエッジや線の検出処理は、画像理解や認識のための前処理として重要である   差分型によるエッジ検出   零交差法によるエッジ検出.
視点移動カメラにおけるカメラキャリブレーション
第4回 信号表現とエリアシング.
第11回   ディジタル画像(2) ディジタル画像処理(2)
画像工学 2015年1月14日 担当教員 北川 輝彦.
構造情報に基づく特徴量を用いた グラフマッチングによる物体識別 情報工学科 藤吉研究室  EP02086 永橋知行.
階層的位置表現への 広域化ビュー適用における追尾性向上
長岡技術科学大学 オープンハウス2006 『美人フィルタ』
QRコードを用いたIDカードに 適した電子透かし
-画像処理(空間フィルタリング)- 画像処理(空間フィルタリング)のモデルとその基本操作 雑音除去・平滑化への適用
2012年度 情報数理 ~ 様々なデジタル情報(1) ~.
Diffservにおける 絶対的な品質保証法
画像工学 2013年1月16日 担当教員 北川 輝彦.
Fourier 変換 Mellin変換 演習課題
Wavelet係数の局所テクスチャ特徴量を用いたGraph Cutsによる画像セグメンテーション
2007年度 長岡オープンハウス クロマキー合成 小山高専 電子制御工学科4年                       針谷 尚裕.
2010年度 情報数理 ~ 様々なデジタル情報(1) ~.
C9 石橋を叩いて渡るか? ~システムに対する信頼度評価~
重みつきノルム基準によるF0周波数選択を用いた Specmurtによる多重音解析
QRコードを用いた演習用紙の効率的な電子コンテンツ化
1ーQー18 音声特徴量抽出のための音素部分空間統合法の検討
物理学実験 II ブラウン運動 ー 第2日目 ー 電気力学結合系の特性評価 物理学実験II (ブラウン運動) 説明資料.
「データ学習アルゴリズム」 第3章 複雑な学習モデル 報告者 佐々木 稔 2003年8月1日 3.2 競合学習
nチャネルメッセージ伝送方式のためのjailによる経路制御
ソースフィルタモデル.
自己縮小画像と混合ガウス分布モデルを用いた超解像
2019年度 情報数理特論B ~ 様々なデジタル情報(1) ~.
ネットワークを介した 計測制御システムの開発
Presentation transcript:

QRコードを用いたウェーブレット変換による 電子透かし 木下研究室 201002707 匂坂直樹

背景 電子透かしによる著作権情報の保護に関する様々な研究が行われている 従来研究では、ウェーブレット変換により求まった低周波成分(LL領域)にQRコードを透かし情報として分散し埋め込む提案がされていた。 しかしLL成分への埋め込みでは元画像の劣化が避けられない。また、埋め込み情報を分散させても検出が難しくなってしまう

目的 2回ウェーブレット変換を行い中間領域へ埋め込むことでより画像劣化の少ないかつ耐久性を持った電子透かしを実現する

各領域の特性(電子透かし) 中間領域への埋め込みでは画像は劣化してしまい透かし情報も劣化してしまう、そこで透かし情報にQRコードを用いる 低周波領域・・・画像劣化:大 透かしの耐久性:高 中間周波領域・・・画像劣化:中            透かしの耐久性:中 高周波領域・・・画像劣化:小           透かしの耐久性:低 中間領域への埋め込みでは画像は劣化してしまい透かし情報も劣化してしまう、そこで透かし情報にQRコードを用いる

QRコードの透かしとしての利点 ・コーナー検出技術や誤り訂正によって、QRコードが劣化しても情報を読み取ることが出来る 透かし入り画像 劣化して検出 透かし検出 ・コーナー検出技術や誤り訂正によって、QRコードが劣化しても情報を読み取ることが出来る ・QRコードは2値画像なので埋め込みの際、画像データとしての情報量が少ない 透かしの耐久性の問題をカバー

QRコードの透かしとしての利点 ・コーナー検出技術や誤り訂正によって、QRコードが劣化しても情報を読み取ることが出来る 透かし入り画像 劣化して検出 透かし検出 ・コーナー検出技術や誤り訂正によって、QRコードが劣化しても情報を読み取ることが出来る ・QRコードは2値画像なので埋め込みの際、画像データとしての情報量が少ない 画像劣化の問題をカバー

提案方式 1.二回ウェーブレット変換 2.量子化 3.透かし情報の処理 4.透かしの埋め込み 5.逆ウェーブレット変換 6.検出

使用する画像 埋め込み画像 Lena 512*512 透かし画像 [ sagisaka naoki 201002707 ] 誤り訂正15%

1.二回ウェーブレット変換 ウェーブレット変換した画像の低周波領域を更にウェーブレット変換をすることで中間領域(HH2成分)を得る 1.二回ウェーブレット変換 2.量子化 3.透かし情報の処理 4.透かしの埋め込み 5.逆ウェーブレット変換 6.検出 1.二回ウェーブレット変換 ウェーブレット変換した画像の低周波領域を更にウェーブレット変換をすることで中間領域(HH2成分)を得る

2.量子化 ウェーブレット変換により求まった、ウェーブレット係数を定数倍し小数点以下切り捨てを行う 量子化係数100ならば以下の通り 1.二回ウェーブレット変換 2.量子化 3.透かし情報の処理 4.透かしの埋め込み 5.逆ウェーブレット変換 6.検出 2.量子化 ウェーブレット変換により求まった、ウェーブレット係数を定数倍し小数点以下切り捨てを行う 量子化係数100ならば以下の通り ウェーブレット係数 量子化後 0.825629 0.753947 0.848119 0.621435 0.614998 0.549718 0.578221 0.498653 0.286712 0.215892 0.417346 0.481724 0.318723 0.293756 0.071346 0.395665 0.394879 0.124378 0.099734 0.072341 0.218451 0.282465 0.081345 0.077733 0.079625 82 75 84 62 61 54 57 49 28 21 41 48 31 29 7 39 12 9 8 実験は量子化係数256で行った

3.透かし情報の処理 QRコードは白と黒の2値画像なのでそれぞれのビットを定める 黒→ビットを0とする 白→ビットを1とする 1.二回ウェーブレット変換 2.量子化 3.透かし情報の処理 4.透かしの埋め込み 5.逆ウェーブレット変換 6.検出 3.透かし情報の処理 QRコードは白と黒の2値画像なのでそれぞれのビットを定める 黒→ビットを0とする 白→ビットを1とする 0000000000000000 0011111111111000 0011000000111000

4.透かしの埋め込み 実験は埋め込み位置下位4bit(K=4)にて行った 1.二回ウェーブレット変換 2.量子化 3.透かし情報の処理 4.透かしの埋め込み 5.逆ウェーブレット変換 6.検出 4.透かしの埋め込み 量子化したHH2成分の2進数の下位k番目対して 透かしビットが1(白)ならばk=1変更 透かしビットが0(黒)ならばk=0変更 を行うことで透かしを埋め込む、以下k=1ならば HH2成分 QRコード 透かし入りHH2成分 12 14 28 23 25 52 36 64 15 26 103 89 73 74 125 109 16 75 87 128 157 1 12 14 28 24 25 53 37 64 27 103 88 16 73 125 110 76 86 128 156 実験は埋め込み位置下位4bit(K=4)にて行った

5.逆ウェーブレット変換 逆量子化を行い、二回逆ウェーブレット変換を行うことで透かし入り画像の完成となる 原画像 透かし入り画像 1.二回ウェーブレット変換 2.量子化 3.透かし情報の処理 4.透かしの埋め込み 5.逆ウェーブレット変換 6.検出 5.逆ウェーブレット変換 逆量子化を行い、二回逆ウェーブレット変換を行うことで透かし入り画像の完成となる 原画像 透かし入り画像

6.検出 透かし入り画像 二回ウェーブレット変換 HH2摘出 量子化 検出透かし情報 12 14 28 23 25 52 36 64 15 1.二回ウェーブレット変換 2.量子化 3.透かし情報の処理 4.透かしの埋め込み 5.逆ウェーブレット変換 6.検出 透かし入り画像 二回ウェーブレット変換 HH2摘出 量子化 検出透かし情報 12 14 28 23 25 52 36 64 15 26 103 89 73 74 125 109 16 75 87 128 157 K番目=1→白 K番目=0→黒

結果(領域ごと) 各領域へ処理を行い埋め込み画像のPSNR,透かし情報の読み取りの可否、誤り率を測定した LL2 HL2 LH2 HH2 3.03 24.2 26.01 29.88 3.00 29.87 読み取り × ○ 誤り率 49.21 53.88 53.82 1.82 50.09 1.47 領域 特性 (量子化係数256、k=4) 透かし入り画像 抽出画像、検出不可 透かし入り画像 抽出画像、検出可

結果(画像ごと) Lena以外の画像で同様の実験を行った HH HH2 ・全ての画像がHH2の方が画質が良くなるわけではなかった lena mandrill hibiscus boat peppers-bw HH 29.75 30.00 29.70 29.74 29.87 HH2 29.77 30.04 29.84 画像 領域 (量子化係数128、k=3) mandrill hibiscus boat Peppers-bw ・全ての画像がHH2の方が画質が良くなるわけではなかった

耐久性評価(LPF) 透かし入り画像へLPHを掛け透かしの検出 21.71 22.32 23.14 24.66 28.27 34.22 位置 下位6bit 下位5bit 下位4bit 下位3bit 下位2bit 下位1bit HH2 誤り率 21.71 22.32 23.14 24.66 28.27 34.22 HH 誤り率 53.52 53.44 53.12 52.64 52.08 52.56 特性 (量子化係数128) LPF後の画像 HHから検出 HH2から検出

耐久性評価(LPF) 透かし入り画像へLPHを掛け透かしの検出 しかし、下位5bit以上への埋め込みでは 位置 下位6bit 下位5bit 下位4bit 下位3bit 下位2bit 下位1bit HH2 誤り率 21.71 22.32 23.14 24.66 28.27 34.22 HH 誤り率 53.52 53.44 53.12 52.64 52.08 52.56 特性 読み取り可 (量子化係数128) 読み取り不可 しかし、下位5bit以上への埋め込みでは 埋め込み位置が高過ぎて画像の方が劣化してしまった

まとめ 今回 二回ウェーブレット変換をしHH2成分へQRコードを埋め込む提案をした 結果 ・PSNRは全てではないがHH2の方が優れていた ・HH2領域への埋め込みによりHH領域よりも透かしの耐久性おいて優れる電子透かしとなった

課題 実用性のある耐久性を持ったQRコードを使った電子透かしの提案 最適な量子化係数、埋め込み位置を求めるアルゴリズム ハードコピーしても透かしが消えない電子透かしアルゴリズムの検討

ご清聴ありがとうござました