飛行時間法を用いた2次イオン 質量分析器の設計及び開発

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飛行時間法を用いた2次イオン 質量分析器の設計及び開発 飛行時間法を用いた2次イオン 質量分析器の設計及び開発 (環境計測学研究室) 横山 卓司

研究背景 ・ 微量元素分析の応用→考古遺物の産地推定 ・ 鉛同位体分析 ウランやトリウムなどの放射性元素の壊変により ・ 微量元素分析の応用→考古遺物の産地推定 ・ 鉛同位体分析  ウランやトリウムなどの放射性元素の壊変により 岩石中の鉛の同位対比は変化         ↓    鉱床鉛を形成 鉱床ごとに鉛の同位対比は         異なると考えられる   考古遺物の産地推定が可能 232Th 235U 238U

研究目的 ・ 鉛の同位体 が分離可能な 飛行時間型2次イオン質量分析器 (Time of Flight:TOF)の開発 ・ 要求される性能  飛行時間型2次イオン質量分析器 (Time of Flight:TOF)の開発 ・ 要求される性能   206Pbと207Pb、208Pbを分離可能

飛行時間型イオン質量分析装置の概要 T∝(m/q)1/2 T:イオンの飛行時間 m:イオンの質量数 q:イオンの電荷 イオン、レーザー、電子 試料 M2+ M3+ 飛行空間 M1+ M3+ > M2+ イオン引き出し部 質量分離部 検出器

飛行時間型イオン質量分析装置の特徴 ・構 造: 磁界や大電流を使わない →小型化が容易 ・測定範囲: 軽イオンから重イオンまで ・構 造: 磁界や大電流を使わない                  →小型化が容易 ・測定範囲: 軽イオンから重イオンまで                  幅広く測定できる ・測定時間:  1測定は1ミリ秒以下  <欠点>    磁場型や四重極に比べて             質量分解能が低い

生成位置によるばらつき ΔS ΔS : 初期生成位置のずれ GND H.V

生成位置によるばらつき2   生成位置による飛行時間差が最小になるように               各電極間の距離、電場を調整

初期エネルギーによるばらつき ΔT

フリンジング イオンの軌道 フライト チューブ リペラー 引き出し電極 図 イオン軌道ソフトSIMIONによるフライトチューブの    入り口の電場の歪み フリンジングにより2次イオンが発散し、検出効率が低くなる

フリンジング  ・イオン軌道ソフトSIMIONを用いて                    2次イオンの軌道を計算   ・フライトチューブ入り口にメッシュをはることで2次イオン    の発散が抑えられていることがわかる。     メッシュなし               メッシュあり

設計概略図 124 mm 40 mm

半値幅(Full Width at Half Maximum) 鉛の同位体を 分離するのに 要求される質量分解能 M/ΔM ≈ 200 M-1 M M+1 ΔM

実験方法 入射イオン(37keV H+) ガス (He,Ar,Xe) 衝突領域 フライトチューブ

実験結果 M/ΔM ≈138 ターゲット Xeガス 真空度 2.0×10-4(Pa) 加速イオン 37keV H+ Es=1.0×105(V/m) Ed=2.0 ×105(V/m) 質量分解能 M/ΔM ≈138

まとめ 原因 飛行時間型2次イオン質量分析器の製作 得られた質量分解能はM/ΔM ≈ 140<200 鉛の同位体を分離するのに十分な質量分解能は得られなかった。 原因 ・ 2次イオンの生成位置のずれ ・ リペラーと引き出し電極間の電場の歪み

考察   ・ 2次イオンの生成位置のずれ ・ リペラーと引き出し電極間の電場の歪み 加速イオン 引き出し電極 リペラー

研究背景 NORTH KOREA NORTH CHINA 208Pb/206Pb SOUTH CHINA 中国産鉱石 朝鮮産鉱石 0.75 0.80 0.85 0.90 0.95 1.9 2.0 2.1 2.2 NORTH KOREA NORTH CHINA SOUTH CHINA 中国産鉱石 朝鮮産鉱石 SOUTH KOREA 東アジア鉱石の鉛同位対比

質量分解能 ・半値幅(FWHM) で得られたTOFの質量分解能を評価 207Pb+ 132Xe+ Ar+ FWHM (nsec) He+ √m/q

謝辞 長らくの ご清聴ありがとうございました。