おかやま商圏の 特徴と変化 田中 潔 (岡山商科大学商学部)

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おかやま商圏の 特徴と変化 田中 潔 (岡山商科大学商学部) 田中 潔 (岡山商科大学商学部) http://www.osu.ac.jp/~tanaka/pub/kei2003/shomap1.html/ tanaka@po.osu.ac.jp

商圏データに数値地図を 活用したい 岡山県内の生活圏・行動圏に関する長年にわたるデータ蓄積と整備 データ視覚化と商圏形成要因の把握

岡山県民の生活行動圏調査 岡山経済研究所 http://www.okayama-eri.or.jp/ (財)岡山経済研究所が県民の行動様式把握と行動モデル化を目的に実施 第1回目は1979年に実施 最近には,2003年に第10回目を実施.2004年に報告書発行 岡山県内市町村単位に聞き取り調査(層別2段抽出法,18歳以上)を実施 住所,通勤・通学,通院,交際,観光,買物などの出向先,行動様式について調査

調査対象地域の推移 毎回7千名前後を調査

住所-出向先行列T m=78(岡山県内) ある品目について, 住所iに居住する人から出向先jの回答が得られる ( i,j=1,2,…,78)

生鮮食品,洋服,贈答品, 家庭電気器具,映画・レジャー おかやま地域 品目別の商圏変化と特徴 1991⇒97⇒2003 生鮮食品,洋服,贈答品, 家庭電気器具,映画・レジャー

生鮮食品 最寄品の代表品目 住所の近くでの購入が比較的多い 地元中小小売店が得意とする品目の1つ 客単価は小さいものの来店頻度が多いことが期待される

生鮮 1991

生鮮 1997

生鮮 2003

生鮮食品の傾向 かつては予想通り地元購入が多かった 次第に,最寄性が失われてきた 生活様式の変化(出向頻度の減少) モータリゼーション 大型量販店でのまとめ買い 生活様式の変化(出向頻度の減少) 頻度も毎日から週に2回程度に 参考: 生鮮頻度「週2・3回」55% (玉野市消費者調査2003夏)

洋 服 買回り品の代表的な品目 時間距離よりも購買品目や店舗優位性により商圏が決まる 洋 服 買回り品の代表的な品目 時間距離よりも購買品目や店舗優位性により商圏が決まる このため,県下市部に点在し,地域の商圏を形成し,その中で岡山市,津山市の吸引力が大きい商品

洋服 1991

洋服 1997

洋服 2003

洋服の傾向 買回り品のため,主要商業施設のある市町村への集中傾向にある 岡山市の商圏が県南東部から県西北部にかけて連なって形成されている 80年ごろ勝山町にあった商業核は,その後,久世町に移動した 90年代以降地域に点在した商圏は岡山市や津山市に次第に吸引傾向にある

贈答品 店舗優位性(ストア・ロイヤリティ)が強く影響する専門性の高い商品 岡山県の場合,贈答品は百貨店での購入傾向が強く,岡山市,倉敷市に集中する傾向にあった 近年は郊外型大型量販店の進出により変化を見せている

贈答品 1991

贈答品 1997

贈答品 2003

贈答品の傾向 かつては,岡山市,倉敷市,津山市に集中していた 1990年代になり久世町など郊外の大型店の出店が相次いだ このため現在では県内の各地に商圏核が形成されている 贈答品=百貨店の構図が薄れつつある

家庭電気器具 かつては,地元市町村での購買率の高い商品(運搬や据付などの面から) 郊外型大型量販店の進出に伴い,各地に商圏核が形成された

家電品 1991

家電品 1997

家電品 2003

家庭電気器具 1980年ごろは地元購買が多く,他市町村への流出は少なかった その後,家電専門量販店の郊外進出が相次いだ 現在では県内の各地に商圏核が形成されており商圏の分散傾向にある

映画・レジャー 消費行動は物販中心からレジャー志向へ移行する傾向にあるといわれている 市部中心に展開してきた商圏核は,近年,新形態「シネマコンプレックス」型劇場の登場により,その構造に変化が起き始めている

映画等 1991

映画等 1997

映画等 2003

映画・レジャーの傾向 1991年は岡山市,津山市への2極化が始まる 1997年ごろ岡山,津山の2極がさらに進む しかし, 2003年には倉敷への集中傾向となり,3曲構造となる 倉敷が県下ナンバーワンになる 倉敷のシネマコンプレックスの影響顕著

今後について 商圏構造を,数値地図を利用した表現法を検討 地図情報など基本情報の整備,公開,保守の重要性 商圏構造の定量的評価が課題 行動を規定する要因抽出やモデル化へ(質のGIS化はこれからの課題) 距離や時間や勤務・通学地など地図情報 購買意識や様式の変化 など量と質の両面で

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