ATLAS実験における高速飛跡トリガーシステムの開発と構築3

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ATLAS実験における高速飛跡トリガーシステムの開発と構築3 26pRG-13 大矢章晴 , 飯澤知弥 , 木村直樹 , 郡川智洋 , 昌子貴洋 , 白神賢 , 寄田浩平 早大理工,他 ATLAS-FTK group 2013日本物理学会年次大会

関連する講演 飯澤:開発構築1(全体像)26pRG-11 郡川:開発構築2(ボード開発)26pRG-12 FTKシステムの概要 ATLAS検出器実機を用いたFTKの動作試験 動作試験で得られたデータの評価 郡川:開発構築2(ボード開発)26pRG-12 早稲田における受信モジュール(IM)の設計 IMの製作及びテスト 大矢:開発構築3(シミュレーション)26pRG-13 実データを用いたFTKシステムの性能評価 FTKの実行処理時間の見積もり 1

FTK Introduction ~90%再構成できるパターンを使用した FTKのトラック再構成率は 用意するパターン数に依存 FTKシステムではあらかじめ飛跡パターンを用意しておいて 検出器のヒット情報とマッチしたパターンを飛跡として再構成している パターンバンク マッチ ・・・ SCTのヒット情報 100% 飛跡再構成率 FTKのトラック再構成率は 用意するパターン数に依存 今回はトラックを ~90%再構成できるパターンを使用した パターン数 2

実データを用いたFTKの性能評価 MCサンプルを用いたFTKの性能はよく理解されている 今までの学会登壇 しかし、実データは Offline  ・パターン生成高速化、クラスタリングの最適化 日本物理学会 2012年 秋季大会 飯澤  ・Wild Card アルゴリズムの導入  日本物理学会2011年秋季大会  千葉         例えばバーテックスをIDするのに重要なZ0分解能 しかし、実データは   ・ビームスポットの位置変化   ・検出器のアライメントの違い   ・内部飛跡検出器の不感領域 などの違いがあり、 実データでも本来のパフォーマンスが 発揮されるか確認する必要がある!       Offline FTK (2010 April FTK TP) Z0 Resolution cm 3

ビームスポット変動による影響 ~0.2mm変動 →実データを見る前にまず、ビームスポットをずらしたMCサンプルを 2012年  4月          8月        12月 実データのビームスポットの変動 ビームスポットが移動すると用意した パターンとずれてしまう可能性がある  ・再構成率の低下  ・分解能が悪くなる ビーム軸正面から見たPixel →実データを見る前にまず、ビームスポットをずらしたMCサンプルを  用いてFTKの性能への影響を見積もった 4

ビームスポット依存の定量評価 パターン(x,y)=(0,0)→MCサンプル(5mm,0) MCサンプル(0,0) φ efficiency ずれた方向と同方向 再構成できない efficiency RMS of d0 distribution MC sample Beam spot x=0~5mm φ 結論 ・ビームスポットが万が一1mm程度ずれた場合  →再構成率~2%低下, d0分解能~5%低下 ・実運転時にはこの評価を元に物理感度に影響を与えないように随時パ タ ー ンの生成を行っていく 5

実データによるFTKシステムの評価 = Beam spot: x=-0.324.mm y=0.628mm 実データのヒット情報をインプットとしてFTKエミュレーションを行った 実データ 2012/11/25 run 215091    Beam spot: x=-0.324.mm y=0.628mm  Pile up数 <μ>~33 ,max42 (FTK挿入予定2015 :max46 ) Luminosity 6.91x1033 [cm-2s-1] (2015:1x1034) → 最新のジオメトリータグ, 正しいbeam spot でパターンを生成した トラック再構成率の見積 ・ オフラインのミューオントラックとの比較をする   ①内部飛跡検出器とミューオン検出器でIDされたミューオン     ②Pixel,SCTの全LayerにHitがあることを要求  FTKトラック  FTKのトラック数 ( dR<0.1) トラック再構成率  = ①②条件を満たすミューオンの数 6

実データでのFTKトラック再構成率 Efficiency :89±3% η分解能: 1.86×10-2 実データのトラック再構成率 Efficiency ENTRIES η η Efficiency :89±3% η分解能: 1.86×10-2 今回のパターン数ではMCからの予想~90%と一致し、 実データでもFTKのパフォーマンスは保たれることが確認された ※実際の運用時は、再構成率~95%保障するパターン数を使用する 7

時間かがるところが全体の出力時間に影響! FTKの実行処理時間の見積もり <目的> FTKはLv2の判断開始前に全トラック情報を出力する→処理速度が重要 処理待ちでTriggerのDead timeを生じたり、最大処理時間がLv2の要求を超えてはいけない パターンマッチ Lv1 ~100kHz クラスタリング トラックフィット Input Output DF DO AM DO TF HW SSB 処理されてOutputの時間が延びる 1data →各ボードごとに処理時間を計算してTotal時間を見積もる パイプラインなので,それぞれで 時間かがるところが全体の出力時間に影響! FTK挿入予定時の46Pile upに相当するttMCサンプルを用いて見積もりを行う 8

見積もり結果 最大~280μs 平均~30μs Dead timeを生まず、Lv2の要求~2msecを満たすことがわかった DO write DO Read 2nd SB AM TF Towers total 最大~280μs 平均~30μs 1事象の処理時間の例 FTK実行処理時間 Dead timeを生まず、Lv2の要求~2msecを満たすことがわかった 9

まとめと展望 まとめ ・ビームスポット変動の影響の定量評価を行った結果、 実データにも十分対応できることがわかった ・実データをインプットとして用いたFTKシステムの評価の結果、 実データもMCと同等な飛跡再構成率を保つことができた ・FTK処理時間の見積もりを行った結果、 Lv2の要求を十分に満たしていることがわかった 展望 ・実データを用いた、より詳細な確認を行っていく ・また、これらの結果を物理オブジェクトに活かしていく 特にb粒子やτ粒子に対しての同定効率の評価を行う 10