高品質T型量子細線レーザーの作製と評価 東大物性研 吉田正裕、秋山英文

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高品質T型量子細線レーザーの作製と評価 東大物性研 吉田正裕、秋山英文 東大物性研 吉田正裕、秋山英文 概要: 量子細線半導体レーザーの優れた性能とその物理を検証するために、MBEへき開再成長法に成長中断アニールを導入して、従来にはない高品質の量子細線レーザーの作製をめざした。特に、(110)面上のMBE成長と成長中断アニールについて、AFMやPL計測から第一原理計算までを行って品質向上を進めた。また得られた量子細線および量子細線レーザーの品質を、さまざまな光学評価により調べた。

研究のねらいと背景 (JST-CREST’02-’07) ダブルへテロ構造レーザー 量子井戸レーザー 量子細線レーザー 量子箱レーザー 低次元化 ⇒状態密度の尖鋭化 ⇒低閾値・高微分利得        ⇒省電力・高速化 日本が先導してきたナノテクノロジーの中心的な研究指針 構造ゆらぎ(界面の凹凸)による電子状態のボケが問題 構造均一性の極めて高い半導体量子細線を用いて量子細線レーザーを作製し,低閾値電流や高微分利得など、超高速・超省電力に直結する高性能を検証し、低次元化の特徴をとらえる。 状態密度の考察だけではなく、多体電子間相互作用の効果 を入れた理論と、現実に即した数値計算・シミュレーションが必要。

分子線エピタキシー(MBE)法とへき開再成長法 によるT型細線構造の作製 ファイファー博士ら による (1990年) GaAs 基板 T-wires are formed by cleaved-edge overgrowth method with MBE developed by Loren Pfeiffer in Bell Labs. We first make a stem quantum well by conventional MBE growth on a (001) substrate at 600C.The wafer is once taken out from the MBE machine, thinned, cut into pieces, partly scribed, and then reloaded into the machine. After setting growth condition, we cleave the sample, and grow an arm well right away. There are two major difficulties. The first is in-situ cleavage at growth temperature. The second difficulty is the arm well growth. If you cleave you always have (110) surface, and the MBE growth on (110) surface is difficult. You need low temperature of about 500C, and high As pressure for (110) MBE. 第一MBE 成長 へき開 再成長 (第二 MBE 成長) 600oC (500oC) 500oC

へき開再成長後のT型 量子細線試料を8つに切断 第一MBE成長後の基板 へき開再成長(第二MBE成長) の前(左)と後(右) 切断後のT型量子細線試料

Good Poor Bad へき開の 成功(上)と 失敗(中、下)

T型量子細線 成長中断アニール法による界面の平坦化 490oCで成長 600oCでアニール アーム 井戸 原子レベルで 平坦な表面 の形成 (吉田らによる、2001年) 490oCで成長 600oCでアニール T型量子細線 アーム 井戸 6nm 原子レベルで 平坦な表面 の形成 ステム 井戸 14nm

単一量子細線を用いた世界一細い 半導体レーザーの構造 2001作製開始 2002.12発表 単一量子細線を用いた世界一細い 半導体レーザーの構造 0.5mmx0.1mm の光導波路 (光の通り路) 長さ 0.5mm %の数字は Alの組成を 表す アーム井戸 In this work, we used the single quantum wire laser. This is the schematic view. 14nmx6nmの T型量子細線  (電子が貯まる所) ステム井戸

単一量子細線レーザー構造の断面 の原子間力顕微鏡像

PL and PLE spectra arm well T-wire stem well (Akiyama et al. APL 2003) Sharp PL width Small Stokes shift 1D free exciton 1D continuum states   cf. Ogawa & Takagahara 1991 arm well T-wire stem well (Akiyama et al. APL 2003)

PLEスペクトル測定(偏光依存) E-field E-field // to wire _ to wire // to arm well I 点励起。

単一量子細線(寸法14nmx6nmx0.5mm)の 光透過スペクトル・ 吸収スペクトル を初めて測定 吸収のピークでは 入れた光の98%が 透過率 吸収のピークでは 入れた光の98%が 単一細線によって 吸収されている! (吸収が強い!) 吸収係数

室温1次元励起子吸収の観測 (20周期量子細線) 室温1次元励起子吸収の観測  (20周期量子細線)

発光スペクトルで見る細線の高い一様性 細線 長さ0.5mm 幅14nm 厚み6nm 厚み揺らぎ 0.2nm T細線 ステム井戸 T細線 T=5K 細線 長さ0.5mm 幅14nm 厚み6nm 厚み揺らぎ 0.2nm We characterized our sample by scanning micro-PL spectra for 1 micro m spot along the quantum wire. These were measured by 10 micro m steps for 500 micro m region. And for this 25 micro m region we made scan by finer 0.5 micro m steps. The high energy peaks are from stem well and the low energy peaks are from a quantum wire. (Arm well peak was not observed at this low pumping level.) These tiny low energy peaks of wire are attributed to localized excitons caused by monolayer fluctuation of the arm well thickness. In this region, there is no tiny peak of localized excitons, and this shows that the region without monolayer fluctuation extends over 20 micro m. This results prove the high quality of this quantum wire.

単一量子細線によるレーザー発振の観測、温度5K (早水らによる、 2002年)

Single wire laser with 500mm gold-coated cavity

Theory Experiment Near-Field Patterns of Emissions (Takahashi, 2003)

原子的平坦界面をもつ薄膜の形成 理想2次元電子系ができるか? 発光や吸収の線幅は自然幅になるか? (110)面以外、(111)や(001)でできないか? 原子的平坦化のメカニズムは? 阻害要因は? 表面や、量子井戸で AFM、顕微PL画像・分光、第一原理計算 (001) (110) [001] [110] [110] [001]

(By Yoshita et al. APL 2002)

(By Yoshita et al. APL 2002)

(By Yoshita et al. APL 2002)

へき開再成長量子井戸のPLイメージと対応する空間分解PLスペクトル(1mm間隔) (その1) 原子平坦面が現れた領域

へき開再成長量子井戸のPLイメージと対応する空間分解PLスペクトル(1mm間隔) (その2) 原子ステップが沢山現れた領域

1MLピットの モデル 第一原理計算によるGaAs(110) 面における adatomsのmigration energyの計算 Ga As GaAs(110) 面におけるGa原子およびAs原子(adatom)のmigration barrier energy As GaとAs の表面原子の GaAs (110)面における migration barrier energy

(電通大丹羽平野研HP・産総研近江谷研HP・横須賀市自然人文博物館HPより) ゲンジホタル イクオリン 17% 鉄道虫 ホタルルシフェリン 88% ウミホタルルシフェリン 28% ウミホタル オワンクラゲ