自己組織化能力を持ったCPU群による群衛星システムのタスクマネジメントに関する研究

Slides:



Advertisements
Similar presentations
1 プリミティブ Web サービスの 入出力データに関する一考察 2005 年 3 月 21 日 松江工業高等専門学校 情報工学科 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 越田高志 電子情報通信学会 2005年総合 大会.
Advertisements

IP over DVB-RCS の設計と実装 研究背景 DVB-RCS 衛星回線を用いて受信局から送信局への狭帯域な戻り回線を提供 Forward Link Return Link HUB Terminal.
宇宙科学データアーカイブDARTSの現状と課題
MPIを用いたグラフの並列計算 情報論理工学研究室 藤本 涼一.
第2回 プロセス管理 ジョブ、プロセスとは? プロセスの状態遷移 プロセス制御ブロック スケジューリング.
セキュリティ機構のオフロードを考慮した仮想マシンへの動的メモリ割当
リアルタイムシステムに 上流設計ツールは有効か?
電子社会設計論 第11回 Electronic social design theory
『どこでも運用システム』の開発状況 (第二報) iPad版衛星状態監視システム (プロトタイプ) どこでも運用システムと他システムとの接続
複数のコンピュータ(ノード)を一群にまとめて、信頼性や処理性能の向上を実現するシステム
解析サーバの現状と未来 2006/07/18 衛星データ処理勉強会 村上 弘志 現状のシステム構成など 統合解析環境としての整備
報告 (2006/9/6) 高橋 慧.
神奈川大学大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻
多数の遊休PC上での 分散ゲーム木探索 導入 ゲーム木探索 ⇒遊休PCを利用して高速化 例)コンピュータ将棋における次手の計算
モバイルエージェントの応用 概要 モーバイルエージェントの応用分野 AgentSpaceシステム エージェント移動 応用:ソフトウェアの配信
Ibaraki Univ. Dept of Electrical & Electronic Eng.
南極からの新赤外線天文学の創成 南極内陸は、ブリザードがなく、非常に穏やかな、地球上で最も星空の美しい場所です。この場所で私たちは新しい赤外線天文学を展開します 宇宙初期の広域銀河地図を作って、私たちの銀河系の生い立ちを解明します 137億年前 100億年前 宇宙の果て 最初の星が生まれ、銀河が成長した時代.
制約条件の確率的選択に基づく 資源追加削減法の改良 三木 光範(同志社大工) 廣安 知之(同志社大工) ○小林 繁(同志社大院)
医療支援診断のためのコンピュータ分散システムの検討
「システム構成要素」 (C)Copyright,Toshiomi KOBAYASHI,
CSP記述によるモデル設計と ツールによる検証
ネストした仮想化を用いた VMの安全な帯域外リモート管理
ネットワーク性能に合わせた 分散遺伝的アルゴリズムにおける 最適な移住についての検討
モバイルP2Pを用いた携帯電話 動画配信手法の提案 第3回
拡張ボリューム 搭載NASのご紹介。 + の悩みを解決する データ管理 筐体台数の増加 全体の50% ディスク管理方法に見る
システム名・タイトル 概要 仕様・特徴 使用上の注意点 災害用情報通信ネットワーク・アプリケーション調査票 システム開発・構築企業、機関名
MPIによる行列積計算 情報論理工学研究室 渡邉伊織 情報論理工学研究室 渡邉伊織です。
Occam言語による マルチプリエンプティブシステムの 実装と検証
導入段階.
研究背景・目的 研究組織 実施内容 適用手法 提案研究により期待されること
高速CFDコードを用いた次世代空力応用研究プラットフォーム構築に 向けた実証研究
情報技術とビジネス・プロセス革新②(第8章) 2.プロセス革新と企業戦略
協調機械システム論 ( ,本郷) 協調機械システム論 東京大学 人工物工学研究センター 淺間 一.
過負荷時の分散ソフトウェアの 性能劣化を改善する スケジューリングの提案
All IP Computer Architecture
MPIを用いた最適な分散処理 情報論理工学研究室 角 仁志
Riakデータベース on SoftLayer
IaaS型クラウドにおける インスタンス構成の動的最適化手法
リモートホストの異常を検知するための GPUとの直接通信機構
12/14 全体ミーティング 米澤研究室卒論生 山崎孝裕
仮想メモリを用いた VMマイグレーションの高速化
第7回 授業計画の修正 中間テストの解説・復習 前回の補足(クロックアルゴリズム・PFF) 仮想記憶方式のまとめ 特別課題について
Ibaraki Univ. Dept of Electrical & Electronic Eng.
私の立場 OSカーネルを手がけるエンジニア 大阪市立大学 創造都市研究科の学生
ロボットの協調動作の研究: マップ作成とマップ情報を利用した行動計画
IP over DVB-RCSの設計と実装
クラウドにおけるVM内コンテナを用いた 自動障害復旧システムの開発
未使用メモリに着目した 複数ホストにまたがる 仮想マシンの高速化
仮想ネットワークを考慮した SoftIRQ制御によるCPU割当ての手法
VMMのソフトウェア若化を考慮した クラスタ性能の比較
片方向通信路を含む ネットワークアーキテクチャに於ける 動的な仮想リンク制御機構の設計と実装
7.一次元ダクトの消音制御系における低コスト化
VMが利用可能なCPU数の変化に対応した 並列アプリケーション実行の最適化
P2P ネットワーク上で 実時間ストリーミングを実現するための 分散制御プロトコルの提案
総合講義B:インターネット社会の安全性 第7回 情報システムの信頼性
明星大学 情報学科 2012年度前期     情報技術Ⅰ   第1回
オペレーティングシステム (プロセススケジューリング)
研究背景・目的 研究組織 実施内容 適用手法 提案研究により期待されること
トラフィックプロファイラAGURIの設計と実装
GSTOS コマンド計画検証ソフトウェアの開発
衛星回線を含むネットワークにおける 動的経路制御に関する研究
低軌道周回衛星における インターネット構築に関する研究
MPIを用いた並列処理計算 情報論理工学研究室 金久 英之
DECIGO Workshop DECIGO:衛星設計/検討の進め方 JAXA宇宙科学研究本部 船木一幸.
Uni Directional Link Routing 片方向通信路に於ける経路制御
複数ホストにまたがるVMの 高速かつ柔軟な 部分マイグレーション
セッション名: (35) システム化技術 講演番号 2P
明星大学 情報学科 2014年度前期     情報技術Ⅰ   第1回
P2P & JXTA Memo For Beginners
総合政策学部3年 HORN 丸山大佑(marudai) 親:shunaokiさん
Presentation transcript:

自己組織化能力を持ったCPU群による群衛星システムのタスクマネジメントに関する研究 航空宇宙工学専攻 中須賀研究室 博士課程 永島 隆

中央集権型宇宙システムの問題点 システムへの要求が大きいほど大規模・複雑化 構成要素を中央集権的に管理するため情報処理の負荷が大きい 構成要素が多いためにシステム全体の信頼性確保が困難 構成要素単体への要求信頼度が高くなる 高コスト化・開発期間の長期化 一点故障により全システムがダウンするリスク

直列構造と分散構造 従来システム 分散システム 基本的に直列なシステム。 信頼度を確保できない箇所を冗長化 (並列化)。 一点故障に弱い(All or nothing) 基本的に並列なシステム。 依存関係は変更可能(動的構造)。 故障で徐々に性能ダウン (Graceful Degradation)

宇宙における分散システムの例(1) Formation Flight 惑星ローバー群(JPLなど) TechSat-21(USAF)など 衛星間の相対位置を保持し てレーダー観測などを行う。 惑星ローバー群(JPLなど) 惑星探査や基地建設 一般にヘテロな機能をもつエージェント群。 Master/Slave型中央集権システムの研究が主流。 検討計画では衛星数が少ない。 ハードウェアリソース的に親子関係の制約がある。

宇宙における分散システムの例(2) Virtual Spacecraft Bus 大型衛星のサブシステムが一構成要素である小型衛星群。 サブシステム間の不要な干渉やコンフリクトをなくす物理的なカプセル化。 故障衛星の除去、新規衛星の追加による再構成が容易。

宇宙における分散システムの例(3) PETSAT (Panel Extension Satellite) 何通りかに標準化した機能ブロックの必要枚数のつなぎ合わせで衛星を構成し、様々なミッション要求に対応 ブロックの大量生産による低コスト化・信頼性向上 パネルのプラグイン性による開発・試験期間短縮 インターフェースの公開による「パネル単位の企業参入」が可能に パネルの展開により、小さな衛星を「大きく使う」 展開

研究の目的 宇宙という環境(リソースが制限され、要求されるシステム信頼度も高い)に適した最適性とロバスト性を両立する完全分散型の情報アーキテクチャの構築 分散システムの設計における課題 Agent群の協調動作のメカニズム リソースのコンフリクト、デッドロックの回避 システムの最適動作をどのように実現するか? 故障の診断、分離をどのように行うか? 故障の判断を下したエージェントが故障している可能性

パネル展開衛星PETSATのシミュレーションモデル リモートセンシング衛星の情報処理システムを模擬 センサパネル→データ処理パネル→メモリパネル→通信パネル の処理フロー パネル間の通信回線はバスマネージャが管理 センサパネル データ処理パネル メモリパネル 通信パネル 地上局 バスマネージャ

システムへの機能要求 システムとして「最適」な動作 高い耐故障性 スループット タイムラグ 稼働率 一要素の故障が他へ波及しない。 自律的にFDIR (Fault Detection, Isolation, Reconfiguration)を行う。 徐々に性能劣化(Graceful Degradation)

Contract Net Protocolに基づくエージェントの基本動作 処理実行 エージェント Deliberate Request Request Request 実行可能か 能力、リソース をチェック タスク完了後 次の処理を依頼 Award bid bid Bidの中から 一つ選択 Execute Award Award Evaluate 与えられた タスクを実行 Done/Fail Doneならリソース 解放。Failなら 再Request。 Done/Fail

システムの状態に対応した信頼度学習 システムの状態に応じた組織構造を獲得するために、システムの状態に対応した信頼度を学習 システムのビジー度は、バスの混雑度、タスクrequest数、エージェントのリソースの逼迫度などからなる多次元空間。 システム の状態空間 エージェント1 エージェント2 エージェント3

学習のゴール システムの状況に応じて最適な組織構造を獲得 通常時 ビジー時 S1 S2 S3 S1 S2 S3 DH1 DH2 DH3 M1 M2 M1 M2 C1 C2 C1 C2 通常時 ビジー時