軽い原子核における芯のないモンテカルロ殻模型による第一原理計算 (A02班公募研究)

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軽い原子核における芯のないモンテカルロ殻模型による第一原理計算 (A02班公募研究) 「次世代スーパーコンピュータでせまる物質と宇宙の起源と構造」プログラム 素核宇宙分野融合にむけて 計画研究・公募研究報告 軽い原子核における芯のないモンテカルロ殻模型による第一原理計算 (A02班公募研究) 阿部 喬(東大) 2010年03月16日(火) 東京大学(本郷) 理学部一号館 小柴ホール

計算科学による素粒子・原子核・宇宙の融合 http://bridge.kek.jp/abstract.html 計算科学による素粒子・原子核・宇宙の融合 新学術領域研究(研究領域提案型) 「素核宇宙融合による計算科学に基づいた重層的物質構造の解明」 目的 本領域の目的は、量子力学に基づくクォークの力学の研究から始まり、クォークの力学と核力、核力と原子核構造、原子核構造と超新星爆発などの爆発的天体現象、爆発的、天体現象と元素合成、などいろいろな階層の重層的な物質構造を、素粒子・原子核・宇宙の研究者がスーパーコンピュータを最大限活用する計算科学という手法を用いて共同研究し、物質階層縦断的かつ分野融合型の新しい研究領域を構築することである。

計画研究班と研究課題名 A01班:量子色力学にもとづく真空構造とクォーク力学 A02班:クォーク力学に基づく原子核構造 http://bridge.kek.jp/project1.html 計画研究班と研究課題名 A01班:量子色力学にもとづく真空構造とクォーク力学 A02班:クォーク力学に基づく原子核構造 A03班:クォーク力学・原子核構造に基づく爆発的天体現象と元素合成 A04班:分野横断アルゴリズムと計算機シミュレーション

http://home.hiroshima-u.ac.jp/brdga02/abstract.html 計画研究A02班の目的(の抜粋) 素粒子・原子核分野において、真空と物質のクォーク構造の理解に向けての確実な進歩が過去数年間に生まれている。本計画研究「クォーク力学に基づく原子核構造」では、格子QCDを用いた核力研究をさらに進展させ、フルQCD計算による核力やハイペロン力の全解明を目指すとともに、その結果に基づいた大規模計算により、原子核構造論・ハイパー核構造論・高密度物質構造論を系統的に展開する。計算資源としては、…

http://home.hiroshima-u.ac.jp/brdga02/abstract.html 計画研究A02班の主な研究テーマ (1) T2Kでの大きな格子上のフルQCDゲージ配位を用い、物理的クォーク質量での現実的核力を計算し、格子QCDによる第一原理核力として核構造計算に提供する。 (2) 格子QCD計算で得られたハイペロン力と確率論的変分法を用いて、軽いハイパー核の構造計算を行い、ハイペロン物質の新側面を探る。 (3) 格子QCD計算で得られた核力をインプットに、クラスター変分法を用いて核物質状態方程式の計算を行い、計画研究A03の中性子星や超新星爆発等への応用に供する。また、高密度格子QCD計算の手法を探る。 (4) 格子QCD計算による核力や、それを基にUMOA法で構築した有効核力を用い、モンテカルロ殻模型計算を実行し、ウラン238にまで至る安定・不安定原子核の精密計算を行う。 (5) 上記の核子多体系厳密計算を用い、全核種・全アイソトープについて基底状態や電磁-スピン-スピン・アイソスピン応答などを密度汎関数法で計算し、理論核データを構築する。 これらの結果は、A03の超新星爆発時の元素合成過程へのインプットとなる。

計画研究A02班での(個人的な)役割(残り3年?) 核力(相互作用、ポテンシャル): 格子QCD計算による核力 + その核力に基づいた有効相互作用 量子多体計算手法: モンテカルロ殻模型 目標: 系統的な原子核構造の解明

本公募研究で目指すもの(残り1年) JISP16 NN int. Ab initio MCSM 核力(相互作用、ポテンシャル): 格子QCD計算による核力 + その核力に基づいた有効相互作用 現実的核力 (+ その有効相互作用) 量子多体計算手法: モンテカルロ殻模型 モンテカルロ殻模型による“第一原理計算” 目標: 系統的な原子核構造の解明 まずは軽い原子核構造で“第一原理計算”の可能性を探る 本公募研究課題名: 「軽い原子核における芯のないモンテカルロ殻模型による第一原理計算」 (計画研究A02班の目標達成を念頭においた基盤的な研究課題) JISP16 NN int. Ab initio MCSM

原子核における量子多体問題 : 大規模計算(モンテカルロ殻模型)による予言と計算のサイズ 大塚「研究開発課題(原子核分野)の紹介」 原子核における量子多体問題 :  大規模計算(モンテカルロ殻模型)による予言と計算のサイズ モンテカルロ殻模型(MCSM)計算:   旧来型計算ではハミルトニアンの行列の次元が1020次元を越えるような場合でも量子 モンテカルロ的方法と対角化を組み合わせて数十次元の問題に帰着させて解く MCSM 励起エネルギー [MeV] 計算の後に得ら れた実験データ 対角化すべき元々のハミルトニアン 行列の次元 (N) の増大 計算以前から あった実験データ E2遷移確率 [e2fm4] 中性子数

DFT CI Ab initio UNEDF SciDAC Collaboration: http://unedf.org/ Coupled cluster method

UNEDF SciDAC Collaboration: http://unedf.org/ MCSM Ab initio MCSM

J-scheme dimension in the FCI calc Ab initio MCSM D Current FCI limit Nshell=1 Nshell=2 Nshell=3 Nshell=4 Nshell=5 .

Monte Carlo shell model (MCSM) Review: T. Otsuka , M. Honma, T. Mizusaki, N. Shimizu, Y. Utsuno, Prog. Part. Nucl. Phys. 47, 319 (2001) Monte Carlo shell model (MCSM) Importance truncation Standard shell model Monte Carlo shell model H = Diagonalization All Slater determinants H ~ Diagonalization Important bases stochastically selected

Convergence pattern of the 4He Egs w/o Coulomb w. r. t Convergence pattern of the 4He Egs w/o Coulomb w.r.t. QMCD basis dimension Comparison of MCSM (solid symbols) w/ FCI (by MSHELL) (dashed lines) @ Nshell = 2 (sp), 3 (spsd), & 4 (spsdpf) Good agreement w/ FCI (within ~ 1, ~ 30, ~ 180 keV @ Nshell = 2, 3, 4) Nshell=1 Nshell=2 Nshell=3 Nshell=4 Nshell=5 . 4He hw = 25 MeV w/o Coulomb force -25.759 MeV (MCSM) -25.7593 MeV (MSHELL) -27.687 MeV (MCSM) -27.7152 MeV (MSHELL) H = Hint + β Hcm, (β = 0) -28.552 MeV (MCSM) -28.7332 MeV (MSHELL)

Current Status of ab-initio Monte Carlo Shell Model Calculations T. Abe, P. Maris, T. Otsuka, N. Shimizu, Y. Utsuno, J. P. Vary Current Status of ab-initio Monte Carlo Shell Model Calculations Comparison of MCSM (solid symbols) w/ FCI (open symbols w/ curves) calculations of the ground-state energies for some light nuclei 4He (0+) 6He (0+) . hw Nshell=1 2 3 4 . 6Li (1+) 12C (0+) Beyond the current computational limitation of the FCI calc.

まとめと今後の展望 まとめ 軽い原子核におけるab initio MCSM法による第一原理計算 今後の展望(公募研究として) 第一原理計算による軽い原子核(p-shell)の構造の理解 Ab initio MCSMとMCSMとの関係 今後の展望(計画研究A02班の一員として) 格子QCD計算による核力の検討(EFTによる橋渡しが必要?) 有効相互作用の検討 多体力(主に3体力)の効果 計画研究A02班の研究テーマのひとつ (4) 格子QCD計算による核力や、それを基にUMOA法で構築した有効核力を用い、モンテカルロ殻模型計算を実行し、ウラン238にまで至る安定・不安定原子核の精密計算を行う。

宇宙 素粒子 原子核 本公募研究 A02班での役割 A02班の一員として目指しているもの 量子多体計算 核力 有効核力 メソン・バリオン Lattice QCD 軽い原子核 Ab initio MCSM 重い原子核 CI, DFT, … クォーク・グルーオンの自由度 核子(・中間子)の自由度 本公募研究 有効核力 A02班での役割

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