新聞発表 7 2003/7/16 大和田・菅原・鈴木・山中
記事要約 インドのガンジス川に住むガンジスカワイルカが減り続け、絶滅の恐れも出てきている。主な原因の中で最も深刻なのが水質汚染で、市民団体や環境NGOから心配の声が出ている。こうした中日本は浄化対策協力に乗り出し、国際協力事業団の専門家を派遣・調査を開始した。最終的には中流域4都市を中心に円借款で浄化場を建設する予定。
カワイルカについて ガンジスカワイルカ 目は見えないが優れた知覚能力を持つ。 最大で全長2・6メートル。寿命は25~30 年。絶滅危惧種。 目は見えないが優れた知覚能力を持つ。 最大で全長2・6メートル。寿命は25~30 年。絶滅危惧種。 カワイルカ ガンジス川、インダス川、アマゾン、長江に生息。いずれも絶滅の危機に瀕している。
ガンジスカワイルカ 減少の原因 ①灌漑や取水増加による水位低下 ②ダム建設による移動の阻害・生息環境の破壊 ③密漁・混獲 ④水質汚染 ガンジスカワイルカ 減少の原因 ①灌漑や取水増加による水位低下 ②ダム建設による移動の阻害・生息環境の破壊 ③密漁・混獲 ④水質汚染 下水施設の未整備 大腸菌の濃度:日本の100~1000倍 農薬の流入・工業排水による猛毒の重金属
世界の水質汚染の現状 <先進国>(1) 工場廃水が原因の河川の汚染は改善された。 過去の汚染が浄化されきっていないケースもある。
世界の水質汚染の現状 <先進国>(2) BOD 水中に溶解している酸素ガス(DO)によって生息する微生物が、水中の有機物を分解する際に消費する酸素の量。BODが高いことはDOの欠乏を意味する。人為的汚染のない河川のBODは1mg以下。
世界の水質汚染の現状 <先進国>(3) 米国ハドソン川の浄化計画(2002年 1940年代~30年間、米大手メーカーがハドソン川流域にPCBを保管。 1970年代後半に使用禁止になったため撤去したが、現在もハドソン川はPCBで汚染されている。
世界の水質汚染の現状 <発展途上国>(1) 下水施設、廃水処理システムが未整備の地域が多い。(世界人の50%)アジア全体では65%、南米では86%の廃水が浄化されないまま河川に流入。
世界の水質汚染の現状 <発展途上国>(2)
世界の水質汚染の現状 <発展途上国>(3) 廃水処理システムの未整備は河川の水質汚染をもたらす。 ①水質汚染による伝染病(赤痢など)による死者は500万 人~1000万人/年。(死者の30%) そのうち、400万人 が子どもであり、大半を発展途上国が占める。 ②途上国における疾病の80%の原因は汚水によるもので ある。 (12億人/年) ③淡水魚の20%の種は、水質汚染により絶滅の危機 にある。
河川の水質汚染による影響 生態系への影響 絶滅の危機にある淡水魚種の増加。 環境ホルモンの河川流入によるオスのメス化。 人への影響 絶滅の危機にある淡水魚種の増加。 環境ホルモンの河川流入によるオスのメス化。 人への影響 発展途上国における水質汚染による死亡・疾病 は適切な上下水道設備があれば防げる可能性 が高い。 将来への影響 汚染された河川の浄化は困難であり、“負の遺 産”として将来にも影響を及ぼす恐れがある。
改善策 環境基準の設定 監視測定体制等の整備 整備を進めるにあたって助成金を出す 生活廃水処理施設の整備を促進
BOD達成値率の推移 県内河川のBOD環境基準達成率(埼玉・全国) BOD:生物化学的酸素要求量
野生生物の減少・生物多様性の破壊 鳥類と哺乳類の絶滅速度 IUCN1998年のデータより
絶滅および絶滅のおそれのある種に至る原因 多様性破壊の原因 分類群 各原因の占める割合(%) 生息地の消失 乱獲 移入種 捕食者 その他 不明 絶滅種 哺乳類 19 23 20 1 36 鳥類 11 22 2 37 爬虫類 5 32 42 21 魚類 35 4 30 48 絶滅のおそれがある種 68 54 6 8 12 - 58 28 53 63 17 3 両生類 77 29 14 78 絶滅および絶滅のおそれのある種に至る原因 芽陽一監修「環境ハンドブック」社団法人産業環境管理委員会より
多様性破壊の原因 1)生息地の破壊 国名 残存森林面積(千ha) 消失率(%) アフリカ アジア ガンビア 122 89 バングラデシュ 482 96 ガーナ 4254 82 インド 49929 78 ケニア 2274 71 インドネシア 60403 51 マダガスカル 13049 75 マレーシア 18008 42 ルワンダ 184 80 ミャンマー 24131 64 ザイール 83255 57 フィリピン <1000 97 ジンバブエ 171169 56 スリランカ 610 86 タイ 13107 73 ベトナム 6758 76 熱帯地方におけるいくつかの国での一次林の消失例 芽陽一監修「環境ハンドブック」社団法人産業環境管理委員会より
多様性破壊の原因 2)生息地の分断化 種の分散や定着を阻害する 野生の動物の移動能力を減少させる 生息地の内部の面積に対して周縁部の面積を著しく増大させる
多様性破壊の原因 乱獲 移入種 病気の蔓延 生息地の悪化と汚染
国際的・政策的取り組み 生物多様性条約 ワシントン条約 ラムサール条約 世界遺産条約
参考文献 国際連合 www.unic.or.jp 読売新聞(読売年鑑2003) www.yomiuri.co.jp/nenkan/ 環境省(環境白書H14版) www.env.or.jp WWF(World Wide Fund) www.wwf.ro.jp