シリカガラスの熱的性質 I 粘度,特性温度,熱膨張,比熱,熱伝導 福井大学工学部 葛生 伸
熱的性質 粘度 特性温度 熱膨張特性 比熱および熱伝導
シリカガラスの粘度のOH量依存性 1200 ゚C Y. Kikichi, H. Sudo and N. Kuzuu, J. Ceram. Soc. Jpn. 105, 645 (1997)
シリカガラスの粘度の 温度依存性 Y. Kikichi, H. Sudo and N. Kuzuu, J. Ceram. Soc. Jpn. 105, 645 (1997)
各種シリカガラス製品の粘度の温度依存性
粘度測定法 (ASTM法) ASTM Desstimation, C598-93 Standard Test
粘度測定法 (片持ちベンディング法) : 密度 g: 重力の加速度 L: 試料の長さ (9.000 cm) 粘度測定法 (片持ちベンディング法) : 密度 g: 重力の加速度 L: 試料の長さ (9.000 cm) a: 試料の厚さ (3.000 mm) dh/dt: たわみ速度 Y. Kikichi, H. Sudo and N. Kuzuu, J. Ceram. Soc. Jpn. 105, 645 (1997)
粘度測定法 (迅速ねじり法) W. Weiss, J. Am. Ceram. Soc. 67, 213 (1984)
粘度測定法 (落球法) D. W. Bowen, Am. Ceram. Soc. Bull. 57, 818 (1978)
各種粘度測定方法の比較
粘度の不純物濃度依存性 V. K. Leco, Fiz. Stakla. 5, 258 (1979)
特 性 温 度 粘度が1013.5 Pa s (1014.5 poise) となる温度。 歪み点 粘性流動が事実上起こらず,この温度以下ではガラス細工時に生じたガラス中の歪みを除去できない 徐冷点 粘度が1012 Pa s (1013 poise)になる温度。 ガラス加工で生じた内部歪が約15分で除去される温度 軟化点 粘度が106.6 Pa s (107.6 poise) のときの温度。 直径0.55~0.75 mm,長さ23 cmのガラス糸を熱したとき,1mm/min の速さで伸びる温度。 ガラス細工ができるようになる温度の目安を与える。 作業点 粘度が103 Pa s (104 poise) のときの温度。 作業温度範囲の上限の温度。 作業温度範囲の下限は,形が崩れなくなる粘度(106 Pa s)に相当する温度。
シリカガラスとその他の材料の線膨張係数 材 料 線膨張係数 25mの棒が50℃の温度差で伸びる量 (mm) 10-7 K-1 材 料 線膨張係数 25mの棒が50℃の温度差で伸びる量 (mm) 10-7 K-1 シリカガラスを1とした値 シリカガラス 5.5 1 0.68 窓板ガラス 100 18 12.5 鉄 135 25 28.8 アルミニウム 230 141 29.0 銅 167 30 20.9
シリカガラスの熱膨張曲線 R. Brückner, J. Non-Cryst. Solids, 5, 123 (1970)
シリカガラスの熱膨張 Q: 石英結晶のα→β転移点 C: クリストバライト結晶のα→β転移点 T1, ・・・, T5: トリディマイトの点移転 W. Weiss, J. Am. Ceram. Soc. 67, 213 (1984)
熱の3特性 1) 熱容量 (比熱) c 2) 熱拡散率 α 3) 熱伝導率λ λ= cρα λ= cραの証明 (1) T : 絶対温度, q : 物質が外部からもらった単位質量あたりの熱量 2) 熱拡散率 α 3) 熱伝導率λ (2) λ= cρα (4) (3) ρ: 密度 J : 熱流速 (単位断面積を単位時間に流れるエネルギー) → λ= cραの証明 (3)を(6)に代入 エネルギー増加量/単位時間・単位体積 (7) (5) (8) 連続の式 (8), (2)を比較して(4)を得る。 (6)
シリカガラスの比熱の温度依存性 須藤 一,「非晶質シリカ材料応用ハンドブック」 リアライズ社 (1999) p. 81
シリカガラスの熱拡散率の温度依存性 須藤 一,「非晶質シリカ材料応用ハンドブック」 リアライズ社 (1999) p. 81
シリカガラスの熱伝導率の温度依存性 須藤 一,「非晶質シリカ材料応用ハンドブック」 リアライズ社 (1999) p. 81
「伝導」および「輻射」熱伝導の概念図 須藤 一,「非晶質シリカ材料応用ハンドブック」 リアライズ社 (1999) p. 81
実効熱伝導率 須藤 一,「非晶質シリカ材料応用ハンドブック」 リアライズ社 (1999) p. 81