K核に関連した動機による K中間子ヘリウム原子X線分光実験の現状 理化学研究所 板橋 健太 (KEK-PS E570 実験グループ)

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K核に関連した動機による K中間子ヘリウム原子X線分光実験の現状 理化学研究所 板橋 健太 (KEK-PS E570 実験グループ) 3d → 2p 遷移 X 線 (約 6.4 keV )を測定 理化学研究所 板橋 健太 (KEK-PS E570 実験グループ)

標的 SDD FADC トラッキング情報

K中間子原子の観測 ⇒ K中間子と原子核の相互作用 実験の動機1 K中間子原子の観測 ⇒ K中間子と原子核の相互作用 ポテンシャル深さを変えながら 2p原子状態のシフトと幅を計算すると... Ucouple=120 MeV 原子状態のシフト(と幅)を決めれば、ポテンシャルの深さがわかる 実験では シフトの誤差 ± 2 eV を目指す Y.Akaishi EXA05

K中間子原子核についてインプットを与える 実験の動機1 K中間子原子核についてインプットを与える K中間子が核内に束縛すると 原子核がシュリンクする可能性 K中間子の深い束縛状態 Y.Akaishi EXA05

実験の動機2 K中間子ヘリウム原子の過去のデータ ⇔巨大な斥力シフトは理論では再現不可能 2p は斥力方向に 40 eV 程度シフト

実験の動機2 過去のデータ ⇒ K中間子ヘリウムパズル 観測されたシフトを原子番号に 対してプロットすると... Hirenzaki, Okumura, Toki, Oset, Ramos PRC61,055205 K中間子ヘリウム原子では理論計算から大幅にずれる 個人的な見解: 恐らく、小さいシフトを計測するのは実験的に困難なのでは?

6400 eV の X 線を 2 eV の精度で測るには 1. 高分解能検出器 2. 高い S/N 比と統計 3. エネルギー較正 標的 2) 反応点を再構成 二次 荷電粒子 3) In-beam でのエネルギー較正 π/K 1) X 線検出器として Silicon Drift Detector (SDD) を使用

高い S/N比 分解能 X 線が検出器をヒットしたという 条件でトリガしたスペクトル 金属箔を荷電粒子が 通過した際の特性X線が観測 S. Baird et al., NPA 392 (1983) 297 X 線が検出器をヒットしたという 条件でトリガしたスペクトル 金属箔を荷電粒子が 通過した際の特性X線が観測 エネルギーの較正曲線を与える K 中間子が入射し、 標的中に静止したという条件 K- 4He 3d→2p 4d→2p 高い S/N 比、統計と 分解能を達成 5d→2p

遷移エネルギーの決定 Preliminary 3d-2p 3d-2p 4d-2p 5d-2p 統計誤差のみ。系統誤差は現在評価中

PRELIMINARY 過去の実験は完全に棄却 100 300 U0 [MeV] 原子番号 K中間子ヘリウム パズルは解決 Hirenzaki et al. EXA05 Akaishi

解析の宿題はまだ残っている シグナル X 線の 10 %程度は標的中でコンプトン散乱を起こしエネルギーを失う Flash ADC データとの照合によりパイルアップ事象の除去

まとめ 高い S/N 高統計 高分解能の K-4He X 線データを収集 S/N ~ 4/1 程度 3d→2p ピーク領域 2200 カウント 6.4 keV 近傍で 185 eV (FWHM) 小さな系統誤差  ビーム中でのエネルギー較正 2p 状態のエネルギーシフトは |DE| < 10 eV 程度 (Preliminary) 過去の実験は棄却 系統誤差を小さくするためのシミュレーション、解析が進行中

予備トラペ