宇宙背景ニュートリノ崩壊光子の赤外観測の可能性

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● 開発の現状 ● 応用例 ● 開発計画 2006 年 11 月 21 日 KEK測定器開発室ミーティング 金 信弘(筑波大学物理)、 武政健一(筑波大学物 理)、 清水裕彦(KEK物構研)、 山内正則(KEK素核 研)、 Soo-Bong Kim(Seoul大) 超伝導体光検出器の開発 ー超伝導トンネル接合素子(STJ)を用いた赤外線検出器ー.
ニュートリノ崩壊からの遠赤外光探 索のための Nb/Al-STJ の研究開発 日本物理学会 第 68 回年次大会 広島大学 東広島キャンパス 筑波大学 数理物質科学研究科 物理学専攻 笠原 宏太 1.
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Performance evaluation of Nb/Al-STJ fabricated at CRAVITY 筑波大数理,理研^A,KEK^B,岡山大^C,福井大学^D, 近畿大学^E, 関西学院大^F, 静岡大^G, JAXA^H, AIST^I, Fermilab^J, Seoul Nat’l.
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TES型X線マイクロカロリメータの開発(VII) ― エネルギー分解能の追求 ―
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宇宙背景ニュートリノ崩壊光子の赤外観測の可能性 「背景放射で拓く宇宙創成の物理 -インフレーションからダークエイジまで-」 シンポジウム2011 2011年7月12日 武内勇司,金信弘,武政健一,木内健司,丁亨尚, 園城尊,金井伸也,永田和樹(筑波大), 池田博一,松浦周二(JAXA/ISAS), 佐藤広海(理研),羽澄昌史(KEK), Soo-Bong Kim (Seoul National University)

宇宙背景ニュートリノを用いたニュートリノ崩壊探索実験 ニュートリノと電磁場の相互作用 ニュートリノ遷移輻射光の検出 (ν3→ν1,2+γ) 標準模型では非常に小さい τ~ O(1043) yr いくつかの模型では大きくなる τ≳ O(1017) yr 宇宙背景ニュートリノを利用 ~110個/cm3/generation,T=1.95K ビッグバン理論で予言されているが実験的には,未発見 ニュートリノ質量の測定 振動実験で測定されている質量二乗差の情報とあわせると質量の絶対値が得られる m(ν3)=50meV, m(ν2)=10meVと仮定      ↓ E(γ)=24meV (λ=51μm : 遠赤外光)

ビッグバン宇宙と素粒子物理 2.7K宇宙背景輻射 (420/cm3) 1.9K宇宙背景 ニュートリノ (110/cm3/種類)

L-R 対称模型でのニュートリノの寿命 (ν3→ν2+γ) > 1.5x1017yr M. Beg, W. Marciano and M. Rudeman Phys. Rev. D17 (1978) 1395-1401 R. E. Shrock Nucl. Phys. B206 (1982) 359-379 WL and WR はそれぞれ V-A, V+A 結合 z は,混合角 ニュートリノ崩壊幅をSU(2)L x SU(2)R x U(1)模型で計算. M(WR)無限大で sinζ=0が標準模型と一致. 実験で与えられた制限:M(WR )<715GeV/c2 , <0.013, およびm3=50meV, m2=10meVを仮定すると (ν3→ν2+γ) > 1.5x1017yr 標準模型では 2.1x1043yr

崩壊光子のスペクトル 2体崩壊 → ν3静止系では単色 1.95Kの熱運動 Red shift Eg = E0 /(1+z)  2体崩壊 → ν3静止系では単色  1.95Kの熱運動  Red shift Eg = E0 /(1+z) Red shift effect Sharp edge with 1.9K smearing

CIBと検出器分解能 Eγ (eV) 直径20cm,視野角0.1°の望遠鏡で3時間の測定を仮定 τν=1.5x1017yrの設定 dN(Eγ)/dEγ for CIB + νdecay τν=1.5x1017yrの設定 νdecay Eγ (eV) Eγ~24meVを1光子毎に分解能2%程度で測定できる検出器が必要   ⇒この条件を満たす検出器を開発する

STJ(超伝導トンネル接合)検出器 Superconducting Tunnel Junction 超伝導体 / 絶縁体 / 超伝導体のジョセフソン接合素子 超伝導トンネル接合では、 超伝導体のエネルギーギャップの上に励起された電子はトンネル効果でトンネル障壁を通過。 放射線によって励起された電子によるトンネル電流を測定することによって、個々の放射線のエネルギーを測定。 励起された電子 放射線 2Δ S I S

STJのエネルギー分解能 Si Nb Al Hf Tc[K] 9.23 1.20 0.13 Δ[meV] 1100 1.550 0.172 発生する準粒子の個数のゆらぎがエネルギー分解能の限界を決める 超伝導ギャップエネルギーが小さいものが有利 STJのエネルギー分解能 Δ: バンドギャップエネルギー F: fano factor E: 放射線のエネルギー Hfを用いた場合の発生準粒子数 N=24meV/1.7Δ=706個@24meV ΔE/E < 1/√N=1/√706=3.8% Hf-STJの作製は成功すれば世界初 Si Nb Al Hf Tc[K] 9.23 1.20 0.13 Δ[meV] 1100 1.550 0.172 0.020 Hc[G] 1980 105 13 Tc :相転移温度 超伝導膜に用いた金属のTc(相転移温度)の1/10程度で安定動作。 Hc :臨界磁場 8

Hf-STJの構造 Hf(約250nm) Nb Si wafer SiO2 HfOx(1-2nm) 50~200μm角×600nm厚

KEKの超伝導検出器開発システム イエロールーム アライナー ICP-RIE

希釈冷凍機 筑波大低温物性グループ(大塚研)より希釈冷凍機を借用 2009年7月に49mKを達成 最低温49mK I-Vカーブ測定の際の発熱 時間 11

Hf薄膜作製条件 スパッタ条件出し:2.0Pa 70W 圧縮応力

Hf薄膜:AFM,TEM観察 2.0Pa 70W RMS 3.5nm 酸化層 EDXでO原子確認 Hf Hf 13 2.0Pa 70W RMS 3.5nm 酸化条件:10Torr 1hour

Hf-STJ I-V特性 V: 20μV/DIV I: 20μA/DIV I V B~2Gauss) 磁場なし 磁場あり T~120mK Pixel size: 200μm角 2Δ/e~40μV Rd=1Ω Ic=24μA V: 20μV/DIV I: 20μA/DIV I V B~2Gauss) 磁場なし 磁場あり HfのSISでジョセフソン電流を確認!

まとめ ニュートリノ崩壊探索のためのHf-STJを開発中 遠~中赤外線域のCIBの測定 HfのSIS構造を作製しjunctionができていることを確認 薄膜作製条件の探索⇒OK 加工方法の探索⇒OK 絶縁膜作成⇒リークカレントを減らす必要がある 計画 Hf-STJ実証試料の製作および光応答測定⇒今年度中を予定 Hf-MKIDの開発 AKARIなどCIBデータの解析 15