すばる望遠鏡による10GeV領域ガンマ線天体の観測

Slides:



Advertisements
Similar presentations
X線で宇宙を見よう 1. X線て何だ? 2. ダークマターやブラックホールが 見える 3. 「すざく」衛星について 首都大学東京 ( 東京都立大学 ) 大橋隆哉.
Advertisements

宇宙の「気温」 1 億度から –270 度まで 平下 博之 ( 名古屋大学・理・物理 U 研 ).
硬 X 線で探るブラックホールと銀河の進化 深沢泰司(広大理) 最近の観測により、ブラックホールの形成と 銀河の進化(星生成)が密接に関係することが わかってきた。 ブラックホール観測の最も効率の良い硬 X 線で 銀河の進化を探ることを考える。 宇宙を構成する基本要素である銀河が、いつ どのように形成され、進化してきたか、は、宇宙の.
2020 年( TMT 、 SPICA 時代)の すばる望遠鏡 高見英樹 ( 国立天文台) 年の光赤外の情勢 大きな流れ TMT 稼働開始 SPICA 打ち上げ、 JWST は? LSST 稼働開始、 HSC の役割は? Keck 、 Gemini は存続だが予算は厳しい、 VLT は着実.
2013 年度課題研究 P6 Suzaku によるガンマ線連星 LS I の観測データの解析 2014 年 02 月 24 日 種村剛.
X線で宇宙を見る ようこそ 講演会に 京大の研究
広視野望遠鏡を用いた ガンマ線バーストの可視光同時観測
京都大学理学研究科物理第2 宇宙線研究室 中森 健之
HETE-2のバースト観測ネットワーク マウイ 副地上局 パラオ 副地上局 シンガポール 主・副地上局 赤道
2006年2月22日 宇宙重力波干渉計検討会 - 小型衛星とDECIGO - 川村静児 国立天文台
南極中口径望遠鏡計画 (AIRT) スーパーアースを持つ多惑星系のトランジット連続観測による系外惑星の大気構造の研究
Adaptive Optics(AO) “宇宙をより鮮明にうつし出す” ~補償光学~ 補償光学系:これまでの成果!
宇宙物理研究グループ 紹介.
第6回 制動放射 東京大学教養学部前期課程 2012年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
美濃和 陽典 (国立天文台すばるプロジェクト研究員)
大気チェレンコフ望遠鏡による超大天頂角観測の可能性についての研究
晩期型星T-Lepに付随する 水メーザースポットを用いた年周視差測定 ~系内MIRA型変光星周期-絶対光度関係の測定に向けて~
すばる主焦点搭載用10-100GeVγ線検出器 “CheSS”による かに星雲の観測報告
大学共同利用機関と大学間連携による研究・教育協力の強化
107P/Wilson-Harrintonの 可視測光観測 -タンブリング運動・衛星を伴う可能性−
プロポーザル準備/観測準備 ダストをたくさん持つ銀河 の赤外線分光観測の例 国立天文台 今西昌俊.
南極からの新赤外線天文学の創成 南極内陸は、ブリザードがなく、非常に穏やかな、地球上で最も星空の美しい場所です。この場所で私たちは新しい赤外線天文学を展開します 宇宙初期の広域銀河地図を作って、私たちの銀河系の生い立ちを解明します 137億年前 100億年前 宇宙の果て 最初の星が生まれ、銀河が成長した時代.
大学の研究教育基盤を強化し、すばる望遠鏡とともに日本の天文学を発展させます。 京都大学大学院理学研究科 宇宙物理学教室・附属天文台
突発現象のToO観測 野上大作 (京大 花山天文台) 2011/09/07(Wed)
高周波観測 大田 泉 (甲南大学理工学部) 空気シャワー電波観測ワークショップ2014@甲南大
ガンマ線バースト (GRBs) ガンマ線で明るい ( keV) スパイク状の強度変動 継続時間の長いもの短いもの click
アタカマ近赤外カメラ ANIR 本原顕太郎、内一・勝野由夏、酒向重行、三谷夏子、 田中培生、半田利弘、青木勉、川良公明、
トランジット法による低温度星まわりの地球型惑星探索と大気調査
みさと8m電波望遠鏡の 性能評価 富田ゼミ 宮﨑 恵.
S3: 恒星とブラックホール (上田、野上、加藤)
2m電波望遠鏡の製作と 中性水素21cm線の検出
S3: 恒星とブラックホール (上田、野上、加藤)
赤外線で見る宇宙の始め 京都大学 理学部 舞原 俊憲
東工大明野50㎝望遠鏡におけるKISS超新星候補天体のフォローアップ観測
神戸大大学院集中講義 銀河天文学:講義6 特別編 観測装置の将来計画
内山 泰伸 (Yale University)
広島大学の装置開発 広島大学宇宙科学センター 吉田道利.
重力・重力波物理学 安東 正樹 (京都大学 理学系研究科) GCOE特別講義 (2011年11月15-17日, 京都大学) イラスト
S3: 恒星とブラックホール (上田、野上、加藤)
すばる主焦点搭載用10-100GeVγ線検出器 “CheSS”による かに星雲の観測報告
伊藤洋一(兵庫県立大学) 大朝由美子(埼玉大学)
ファイバー面分光装置KOOLS-IFU - 京大3.8 m望遠鏡との接続に向けて -
東邦大学理学部物理学科 宇宙・素粒子教室 上村 洸太
松原英雄、中川貴雄(ISAS/JAXA)、山田 亨、今西昌俊、児玉忠恭、中西康一郎(国立天文台) 他SPICAサイエンスワーキンググループ
パルサーって何? 2019/4/10.
小型JASMINE計画の状況       矢野太平(国立天文台)       丹羽佳人(京大).
小型衛星パスファインダーによる総合的試験
京都大学理学研究科 中村卓史 2006年2月24日 国立天文台
S5(理論宇宙物理学) 教 授 嶺重 慎 (ブラックホール)-4号館409 准教授 前田 啓一(超新星/物質循環)-4号館501
京大他、東大やアデレード大学など日豪の16機関が共同で、オーストラリアの砂漠地帯に望遠鏡4台を建設しTeVγ線を観測している。
宇宙線研究室 X線グループ 今こそ、宇宙線研究室へ! NeXT
平成 31 年度 P6 高エネルギー宇宙実験 担当: 物理学第二教室 宇宙線研究室の教員 谷森達 教授、鶴剛 教授、 窪秀利 准教授、
クエーサーの内部構造はどうなっているのか? マグナム望遠鏡の威力
柴田 晋平 山形大学理学部 With 早坂 由美子 NHK山形 キャスター
最近の宇宙マイクロ波背景輻射の観測 銀河の回転曲線 回転曲線の測定値 NASAが打ち上げたWMAP衛星が観測
第12回 銀河とその活動現象 東京大学教養学部前期課程 2017年度Aセメスター 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
早稲田大学 理工学術院 鳥居研究室 宇宙線の観測 宇宙線はどこから? 電子望遠鏡CALET LHCf加速器実験 卒業生の進路 研究活動
スターバースト銀河NGC253の 電波スーパーバブルとX線放射の関係
ようこそ Hot Universe へ Fes. 馬場 彩 Contents X線天文学とは?
増倍管実装密度の観測量への影響について.
ALMAへの期待 -埋れたAGNの探査から-
トランジット惑星系におけるRossiter効果 I. HD209458での観測結果
紫外線LEDの特性測定 理工学部 物理学科 宇宙粒子研究室   澤田 晃徳.
スーパーカミオカンデ、ニュートリノ、 そして宇宙 (一研究者の軌跡)
研究紹介:山形大学物理学科 宇宙物理研究グループ 柴田研究室
γ線パルサーにおける電場の発生、粒子加速モデル
高地におけるγ線エアシャワー地上観測のシミュレーション
教育学部 自然環境教育課程 天文ゼミ 菊池かおり
(FMOS戦略枠観測で余ったファイバーによる) M型星まわりのトランジット地球型惑星探し
~目では見ることのできない紫外線・赤外線をケータイカメラを使うことで体験する~
Presentation transcript:

すばる望遠鏡による10GeV領域ガンマ線天体の観測 山田科学振興財団研究交歓会 May 20, 2000 すばる望遠鏡による10GeV領域ガンマ線天体の観測 東京大学宇宙線研究所 森 正樹 共同研究者: 京都大学理学研究科 谷森達、折戸玲子 東京工業大学理学研究科 窪秀利、浅原明弘、桜澤幸司 神奈川大学工学部 田村忠久 理化学研究所 河合誠之、吉田篤正

さまざまな波長で見る宇宙の姿 電波 可視光 赤外線 ガンマ線

ガンマ線で宇宙を見る ガンマ線: 最も波長の短い光 ⇔ 高エネル ギー天体現象 ⇔ 激しく活動 する宇宙

高エネルギーガンマ線候補天体 かに星雲/パルサー パルサー星雲 超新星など爆発する火の玉 活動銀河核

ガンマ線の地上観測 解像型チェレンコフ望遠鏡

10GeV領域ガンマ線 ⇔空白域 10-100GeV領域でのパルス? 放射強度 かにパルサー ⇔空白域

世界各地のチェレンコフ望遠鏡 さらに各地で大型計画進行中!

高山におけるガンマ線観測 高高度 →高光密度 →低エネルギー  のガンマ線 →高統計量/  衛星観測との  接続

すばる望遠鏡 (国立天文台) ハワイ・マウナケア島 高度4139m 口径8.2m →高集光力

すばる主焦点の制限 補正レンズのために視野が1度程度に制限される。 チェレンコフ光観測には2度以上の視野が望ましい。 A,B,C: ガンマ線 D,E:宇宙線陽子 チェレンコフ光観測には2度以上の視野が望ましい。

ガンマ線カメラ-1 光電子増倍管のアレイにより微弱な光のフラッシュ(継続時間約1億分の1秒)をとらえ、電気信号をデジタル化して記録する。

ガンマ線カメラー2 CheSS (Cherenkov light detecting System on SUBARU)

テスト観測 2000年3月-1 1/31 マウナケア山頂着 2/08 主焦点装着テスト 2/12-13 全系動作チェック 2/15 夜光観測 テスト観測 2000年3月-1 1/31 マウナケア山頂着 2/08 主焦点装着テスト 2/12-13 全系動作チェック 2/15 夜光観測 2/21-29 全系動作チェック 3/01 主焦点装着

カメラの主焦点への設置 主焦点部 8.2m主鏡

テスト観測 2000年3月-2 3/03 主焦点組み込み トラブル発生! 3/04, 08 動作不良の原因調査 3/09 調整室片付け

まとめ 高山は天体ガンマ線の観測に有利である。 ハワイにある大口径の望遠鏡「すばる」で ガンマ線観測が可能なカメラ(“CheSS”)を製作した。 残念ながらテスト観測はトラブルのために成功しなかった。 再度のチャンスを求めて天文台と交渉中。