DECIGOで探る宇宙背景重力波 樽家 篤史 工藤 秀明 (UCSB), 姫本 宣朗 (東大理) (東大理) 2006/6/11 DECGIO-WG meeting @国立天文台 DECIGOで探る宇宙背景重力波 樽家 篤史 (東大理) 工藤 秀明 (UCSB), 姫本 宣朗 (東大理)
内容 背景重力波観測の意義 (インフレーション起源) スペース干渉計による直接検出 検出に向けた予備考察
宇宙背景重力波とは 位置の同定ができないたくさんの点源、もしくは広がった物体から放出された重力波の重ね合わせ 位相がランダム 天体起源 連星系(WD-WD, NS-NS, BH-BH)、 SNe、 GRB、 PopIII、 … 初期宇宙起源 インフレーション、 相転移、 宇宙ひも、 … 宇宙論的な(遠方の)情報を含む 電磁波では見えない初期宇宙の進化を知る手がかり
インフレーション起源の背景重力波 インフレーション理論が予言する宇宙最古の波 量子ゆらぎを起源とする重力波が、宇宙の加速膨張により引き伸ばされてできた transverse-traceless 発展方程式
Standard cosmic expansion 定性的 ふるまい (長波長) (短波長) Standard cosmic expansion 地平線サイズ (1/H~t) ゆらぎのサイズ (∝ 宇宙のスケール因子) (i). ゆらぎの生成 (ii). 長波長ゆらぎ (ゆらぎの振幅凍結) (iii). 短波長ゆらぎ (減衰振動) Physical length 現在 時間 Inflation Radiation Matter
Energy density spectrum 物質優勢 輻射優勢 GWB spectrum Pulsar timing BBN bound Log[Wgwh ] 2 CMB bound LIGO II LISA DECIGO/BBO インフレーション起源 log f [Hz] (Maggiore 2000)
インフレーション起源の背景重力波からわかること インフレーションのダイナミクスとエネルギースケール c.f. スカラー型摂動: テンソル型摂動のパワースペクトル 極初期の膨張宇宙の進化 観測周波数と エネルギースケール DECIGO さらに余剰次元の影響も…? Hiramatsu, AT & Koyama (2005); Hiramatsu (2006); Kobayashi & Tanaka (2005,2006); Sanjeev (2006)
CMBによる背景重力波の観測 r < 0.55 今のところ、CMBの温度・偏光観測から制限が得られているのみ: テンソル・スカラー比 3year WMAP (@ k=0.002 h/Mpc) Spergel et al. (2006) 背景重力波の検出を狙った偏光観測(Bモード)の将来計画: Baloon : EBEX r ~O(10 ) -2 Ground : QUaD, CLOVER, PolarBeaR, QUIET, … r ~O(10 ) -3 Satellite : CMBPol (2018 launched)
CMB観測によるインフレーションモデルの制限 Single-field slow-roll inflation を仮定した時、WMAPの観測から許される領域 @ 1Hz ぐらいを念頭におくべき (おそらく)CMBの偏光観測で先に検出される Smith et al. (2006)
スペース干渉計による直接検出 (2台の干渉計を使った) long-term の相関解析 周波数帯 0.1ー1 Hz で直接検出を狙うための基本戦略: (2台の干渉計を使った) long-term の相関解析 Astrophysical foregrounds の同定・除外 観測ゴール 1~3年間の観測で、 の背景重力波を、S/N>5 で検出する ここでは概念設計を下に、検出可能性について考察
Long-term の相関解析 検出器のノイズスペクトル overlap reduction function estimator weak signal limit で、 検出器のノイズスペクトル ・・・・・ 加速度ノイズ、ショットノイズ overlap reduction function ・・・・・ 検出器の応答特性、2台の幾何学的配位
Interferometer design 2セット 干渉計方式 LISA type TDI法による信号取得 Optimal TDI: (A, E, T) (A’, E’, T’) A’A + E’E + T’T Fabry-Perot type 対面同士の干渉計を使って相関解析 (等方重力波に対する感度がよい)
Interferometer design (2) もし、1セットしか作れなかったら… LISA type 1セット Optimal TDI: (A, E, T) 等方重力波に対する感度を持つのは自己相関シグナルのみ 相関解析でも感度は向上しない!! AA + EE + TT Fabry-Perot type 仮に、次のようなものを考えてみる (腕を共有するため、ノイズが相関を持つ可能性大)
感度曲線 S/N=5 Tobs=1 year Df=f/10 Effective strain LISA LISA-type FP-type (A’A+E’E+T’T) Ultimate (X’X) FP (single) S/N=5 Tobs=1 year Df=f/10 Effective strain LISA LISA-type (AA+EE+TT) FP-type (LISA type) (FP type) (FP, single) (Ultimate) Ultimate (XX)
Astrophysical foregrounds Farmer & Phinney (2003) 現在知られているソース: Cutler & Harms (2006) Cosmological WD-WD binaries confusion noise として背景重力波に効く (f<0.2 Hz) Cosmological NS-NS binaries Point sourcesとして取り除く必要あり (f≧0.2 Hz) 瀬戸さんの話 さらに最近、 Cosmological SNe, PopIII stars メモリー効果により、低周波数帯を汚染する可能性 (Buonanno et al. 2005; Sandick et al. 2006)
Foreground contamination WD-WDs SNe, PopIII (不定性大) ? NS-NSs
Low-frequency cutoff 仮に、NS-NS binaries が除去できたとしても、WD-WD binaries の影響は残る(基本的に除去不可能) 低周波側にカットオフ(fcut )を入れて相関解析 FP (single) Wgw h 2 FP-type Ultimate (X’X) fcut ~ 0.1Hz 辺りで、FP、LISA の優劣が入れ替わる LISA type (A’A+E’E+T’T) fcut~0.2Hz ならFP-typeの方が検出に有利
まとめ DECIGO によるインフレーション起源の背景重力波検出 確実な検出には、もうちょっと感度が欲しい Minimum detectable amplitude Wgw h 2 (3 year, S/N=5) fcut=0.0 [Hz] fcut=0.2 [Hz] LISA type FP type FP (single) WD confusion noiseの影響を考慮すると、FP-typeが有利 確実な検出には、もうちょっと感度が欲しい LISA-typeのように干渉計に冗長性があれば… (相関が取れるなら) 1台でもそこそこ感度は出る ノイズの相関をどうやって除去する?
Appendix
インフレーション起源の背景重力波からわかること(1) インフレーションのダイナミクスとエネルギースケール: テンソル型摂動のパワースペクトル: DECIGO CMB )) )) スカラー型摂動のパワースペクトル: CMBで観測されるスケールとは、17桁近く違う!!
インフレーション起源の背景重力波からわかること(2) 極初期の膨張宇宙の進化: 観測周波数とエネルギースケールの対応 DECIGO 状態方程式 P=w r に従う時期にhorizon re-enterすると、 物質優勢以前の宇宙の進化を知る手がかり (e.g., Seto & Yokoyama 2003)
インフレーション起源の背景重力波からわかること(3) さらに余剰次元の影響も…? ブレーンワールド宇宙の場合 宇宙膨張の変更 余剰次元方向への波の伝播 状態方程式 P=w r に従う時期にhorizon re-enter: ( f ≫ fcrit ) Hiramatsu, AT & Koyama (2005); Hiramatsu (2006); Kobayashi & Tanaka (2005,2006); Sanjeev (2006)
検出器雑音のパラメーター 感度曲線の計算で用いた数値 For FP-DECIGO, 1.1 3.3 Kudoh, AT, Hiramatsu & Himemoto (2006) For FP-DECIGO, =7.36Hz
Confusion noise of WD-WD binaries dN df Farmer & Phinney (2003)