第7回 高エネルギー宇宙物理連絡会研究会 「高エネルギー宇宙物理学の将来計画」 宇宙空間を利用した 重力波検出計画 第7回 高エネルギー宇宙物理連絡会研究会 「高エネルギー宇宙物理学の将来計画」 2007年3月14日 @東京大学宇宙線研究所 川村静児 国立天文台
話の内容 1.イントロ 2.LISA 3.DECIGO(詳しく)
潮汐的な時空のひずみが光速で伝わっていく波 一般相対性理論によりアインシュタインが予言 重力波とは? 潮汐的な時空のひずみが光速で伝わっていく波 一般相対性理論によりアインシュタインが予言 高速で運動する 物体から放射 潮汐的な時空のひずみ 伸びる 縮む まだみつかっていない!
重力波を出す天体現象 中性子星やブラックホールの連星運動とその合体 超新星爆発 パルサー 宇宙初期 未知なる天体 重力波天文学
連星の合体 連星は公転運動により重力波を出す 重力波によって連星のエネルギーが運び去られる 連星のエネルギーが減少し連星間の距離が縮まる 中性子星や ブラックホールの連星 連星は公転運動により重力波を出す 重力波によって連星のエネルギーが運び去られる 連星のエネルギーが減少し連星間の距離が縮まる 最後は合体する
レーザー干渉計による重力波検出 重力波 レーザー 光検出器 ビームスプリッター ミラー
アーム長が長いほど感度が高くなる もっと縮む 重力波は ひずみ一定 伸びる 縮む もっと伸びる 鏡 レーザー 光検出器 鏡 レーザー 鏡
数kmが限界! 地上の大型干渉計 LIGO (4 km) GEO (600 m) TAMA (300 m) LCGT (3 km) VIRGO (3 km) AIGO (? km)
光共振器により感度を高める 光共振器 鏡の揺れ雑音も増幅されてしまう! 多重反射により重力波信号を増幅 光共振器:
干渉計を宇宙に持っていくと もっと長くできる 信号が増える -重力波と光の相互作用の時間が長くなるため -ただし高周波では信号のキャンセルが起こる ノイズが減る -地面振動や重力場の揺らぎノイズが小さい 低周波で感度がよくなる
低周波の重力波信号 重いものはゆっくり動く⇒低周波 重いものは強い重力波を出す 低周波では重力波信号が大きい
LISA NASAとESAの共同計画 1mHz~10mHzを狙うスペース重力波アンテナ アーム長:500万km 2015年打ち上げ予定 (無期限延期) 光トランスポンダ型 LISA project
LISAの軌道
重力波源 銀河内の白色矮星連星(保険) 巨大ブラックホールの合体(本命) 初期宇宙(?)
DECIGOとは? Deci-hertz Interferometer Gravitational Wave Observatory LISAと地上検出器の帯域のギャップを埋める 超高感度の実現 10-18 10-24 10-22 10-20 LISA 地上検出器(e.g. LCGT) Strain [Hz-1/2] DECIGO 白色矮星連星からの重力波雑音 10-4 10-2 100 102 104 Frequency [Hz]
予備概念設計 光共振器型マイケルソン干渉計 アーム長:1000 km レーザーパワー:10 W レーザー波長:532 nm ミラー質量:100 kg フィネス:10 光共振器 光検出器 光共振器 レーザー 光検出器 ドラッグフリー衛星
軌道とコンステレーション(案) 地球 背景重力波検出のため相関を取る レコード盤軌道 太陽 角度分解能を上げる
DECIGOの狙う重力波源とサイエンス 巨大ブラックホール 形成のメカニズム解明 ダークエネルギーの制限 インフレーションの検証
DECIGOによる ダークエネルギーの制限 中性子星連星までの距離‐赤方偏移関係から モデルに制限⇒加速膨張(超新星と同じ) ・ 距離 チャープシグナルから、直接決定 ・ 赤方偏移 host galaxy, host quasar を特定 角度分解能 ~10arcmin (1ユニット) ~10arcsec (3ユニット) at z=1
宇宙の膨張加速度の直接計測 膨張 +加速? DECIGO 重力波 連星中性子星 (z~1) 出力 テンプレート (加速していない場合) ストレイン 実際の信号 位相遅れ~1sec (10年の観測) 時間 Seto, Kawamura, Nakamura, PRL 87, 221103 (2001)
LCGTとDECIGOの関係 LCGT DECIGO 時間 重力波の周波数 LCGTとDECIGOの違い: 目的 タイムスケール 狙う重力波源 重力波の周波数 LCGT 高い 重力波の検出 DECIGO 低い (準備期間) 重力波天文学の創成
検出器の感度,重力波源,サイエンス DECIGO LCGT 重力波源: 宇宙論的現象 サイエンス: 検出頻度: 常時~105個 重力波源: 10-19 10-20 10-21 10-22 10-23 10-24 10-25 10-26 重力波源: 宇宙論的現象 サイエンス: 巨大BHの形成 ダークエネルギー インフレーション 検出頻度: 常時~105個 重力波源: 天体現象 サイエンス: 一般相対論の検証 爆発のメカニズム ガンマ線バースト 検出頻度: 年間~10個 1000 M◎ z=1 ブラックホール連星 超新星爆発 20Mpc 合体 5年前 合体 10 M◎ 400Mpc ストレイン [Hz-1/2] 中性子星連星 z=1 100Mpc 合体 銀河内 パルサー 2台の相関 3年間 インフレーション背景重力波 10-3 10-2 10-1 1 10 102 103 104 周波数 [Hz]
ロードマップ 重力波の検出 重力波天文学の創成 ▲ TAMA LCGT CLIO R&D DPF Pre-DECIGO DECIGO 地上 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 地上 ▲ スペース TAMA LCGT CLIO 重力波の検出 R&D DPF Pre-DECIGO DECIGO 重力波天文学の創成
パスファインダー 目的と構成 宇宙空間でないと試験できない技術の確認 基礎技術の宇宙空間での検証 低周波での重力波観測 ドラッグフリー レーザー 周波数安定化システム 計測システム クランプリリースシステム 低周波での重力波観測 0.1-1Hzでの世界最高感度実現
Pre-DECIGO 目的と構成 重力波検出 技術実証 最小限のスペック 年間数個程度 衛星間光共振技術の実証 力の雑音 干渉計1台 小さい鏡 短いアーム長
特定領域申請中 重力波天文学の創成 DECIGOの実現 本特定領域:宇宙空間を利用した低周波重力波天文学の開拓 A01:DECIGO パルサータイミング エ: ドラッグフリー ア:那須 イ:鹿島 同時観測 A03:理論・解析 研究協力 理論予想・データ解析 DECIGOの実現 要 素 技 術 の 開 発 本特定領域:宇宙空間を利用した低周波重力波天文学の開拓 イ: シミュレータ カ: 光源 ウ: 測距技術 オ: スラスター キ: 周波数安定化 ア: 理論 シミュレーション データ解析 リクワイヤーメント・インターフェース X00:総括班 方針策定・調整 重力波天文学の創成 ア:パスファインダー 特定領域申請中
まとめ 宇宙重力波検出器は低周波で感度が高い LISAによる巨大ブラックホールの合体の検出 DECIGOによる重力波天文学の創成 巨大ブラックホール形成 ダークエネルギー インフレーション