CMIP3/CMIP5気候モデルにおける ヤマセに関連する大規模大気循環の再現性 ~モデル解像度による違い~

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Presentation transcript:

CMIP3/CMIP5気候モデルにおける ヤマセに関連する大規模大気循環の再現性 ~モデル解像度による違い~ 2013.8.20 第8回ヤマセ研究会@古川農業試験場 CMIP3/CMIP5気候モデルにおける ヤマセに関連する大規模大気循環の再現性 ~モデル解像度による違い~ 気象研究所気候研究部 遠藤洋和

目的 CMIP3およびCMIP5気候モデルの現在気候実験を解析し、ヤマセに関連する大気循環の再現性を調べる。 今回は特に、モデル解像度の違いに注目する

CMIP気候モデル CMIP3 CMIP5 CMIP: Coupled Model Intercomparison Project 結合モデル相互比較実験 CMIP3(第3期CMIP): IPCC第4次報告書(2007年)で使われた。 CMIP5(第5期CMIP): IPCC第5次報告書(2013年)で使われる。 現在気候再現実験では、観測された放射強制力(温室効果ガス、エアロゾル、オゾン、太陽活動など)をモデルに与える。    # 海面水温分布も予測対象 CMIP3 現在気候再現実験(20C3M) 23モデル 1975~1999年の7月を解析 CMIP5 現在気候再現実験(Historical) 44モデル 1981~2005年の7月を解析

インデックスの定義: JPZI 500hPa高度 JPZI = JPZI_S - JPZI_N JPZI_N JPZI_S m/s m JPZI_S 500hPa高度 K JPZI_N: 125-160E, 57.5-67.5N JPZI_S: 135-160E, 35-45N hPa JPZI = JPZI_S - JPZI_N (規格化) 線: JPZIが-1の時の実況 陰影:JPZIが-1の時の平年偏差

JPZIとヤマセ現象 JPZIはヤマセ現象と強い相関がある 東北地方太平洋側 日照時間 平年比(%) 気温偏差(℃) ヤマセ日数(八戸) # ヤマセ日数: Kanno(1993)     管野洋光さん提供 横軸: JPZI(規格化)

気候モデルの再現性 CMIP5 vs. CMIP3 JRA-55 CMIP5 CMIP3 m/s m K hPa 線: JPZIが-1の時の実況 陰影:JPZIが-1の時の平年偏差

気候モデルの水平解像度(CMIP5) 高解像度 10モデル 低解像度 11モデル 中解像度 23モデル 水平解像度 [km]

モデル解像度別の再現性(CMIP5) JRA-55 高解像度 中解像度 低解像度 低解像度→高解像度: 東シベリアのリッジの振幅が増加 低解像度→高解像度: 東シベリアのリッジの振幅が増加 モデル解像度によらずオホーツクHと下層寒気の南下が不十分 JRA-55 高解像度 中解像度 低解像度

モデル解像度別の再現性(CMIP5) JRA-55 高解像度 中解像度 低解像度 モデル解像度によらず、下層寒気の南下が不十分 高解像度モデルは、他モデルより東風偏差が強い傾向 JRA-55 高解像度 中解像度 低解像度 風速

気候モデルの水平解像度(CMIP3) 高解像度 3モデル 中解像度 6モデル 低解像度 14モデル 水平解像度 [km]

モデル解像度別の再現性(CMIP3) JRA-55 高解像度 中解像度 低解像度 低解像度→高解像度: 低解像度→高解像度:     CMIP5と同様に東シベリアのリッジの振幅が増加 JRA-55 高解像度 中解像度 低解像度

モデル解像度別の再現性(CMIP3) モデル解像度によらず、下層寒気の南下が不十分 高解像度モデルは、他モデルより東風偏差が強い傾向

モデル解像度別の再現性(CMIP3/CMIP5) 高解像度 JRA-55 中解像度 140-160E平均 低解像度 CMIP3 CMIP5 CMIP3

モデル解像度とJPZI変動の関係 JPZI_Nの変動 JPZIの変動 JPZI_Sの変動 [m2] Cor. = -0.31 JRA-55 [m2] Cor. = -0.37 JPZI_Nの変動 JPZIの変動 JRA-55 Cor. = -0.14 JRA-55 JPZI_Sの変動 水平解像度[km]

まとめ 北西太平洋と東シベリアの500hPa高度差(JPZI)は、ヤマセ現象の年々変動と強い相関がある。 高解像度モデルは、他モデルより下層の東風偏差が強い傾向。 モデル解像度によらず、オホーツク海高気圧および下層寒気の南下の再現性は不十分。