宇宙史実習報告会 筑波大学 宇宙観測研究室 長崎岳人 2010/3/22

Slides:



Advertisements
Similar presentations
2009 年度 宇宙史拠点実習 LHC-ALICE 班の成果報告会 『 LHC-ALICE 実験における Event Display による観測と荷電粒子の解析』 所属:筑波大学大学院 数理物質科学研究科 物理学専攻 宇宙観測研 究室 前橋 秀紀 滞在期間: 2010 年 3 月 4 日から 23 日まで。
Advertisements

所属:筑波大学大学院 数理物質科学研究科 物理学専攻 宇宙観測研究室
相対論的重イオン衝突実験 PHENIXにおける Aerogel Cherenkov Counterの シミュレーションによる評価
タウ粒子崩壊τ-→ωπ-ντにおける セカンドクラスカレントの探索
科研費特定領域第二回研究会 「質量起源と超対称性物理の研究」
電磁カロリーメーターを使って中性パイ中間子を見よう!
佐藤構二、武内勇司 TA 2名 素粒子実験研究室 連絡先
W e l c o m ! いい天気♪ W e l c o m ! 腹減った・・・ 暑い~ 夏だね Hey~!! 暇だ。 急げ~!!
重心系衝突エネルギー 200 GeV での A+A衝突における の測定
Determination of the number of light neutrino species
CALET主検出器のモデリング・シミュレーションによる性能評価
相対論的重イオン衝突実験PHENIX におけるシミュレーションによる charm粒子測定の可能性を探る
山崎祐司(神戸大) 粒子の物質中でのふるまい.
リニアコライダー実験における衝突点回りの測定器の最適化
エマルションチェンバーによる 高エネルギー宇宙線電子の観測
Bファクトリー実験に関する記者懇談会 素粒子物理学の現状 2006年6月29日 名古屋大学 大学院理学研究科 飯嶋 徹.
ATLAS実験シリコン飛跡検出器の宇宙線テストにおけるノイズ解析
PHENIX実験における 陽子・陽子衝突トリガーカウンターのための Photon Conversion Rejector の設計
LHC-ALICE実験のための 遷移輻射検出器の性能評価
KEK Summer Challenge 報告
SEDA-APのデータ解析 ~Albedo中性子の検出~
RHIC-PHENIX実験での 直接光子測定
CERN (欧州原子核研究機構) LEP/LHC 世界の素粒子物理学研究者の半数以上の約7000人が施設を利用
Dissociative Recombination of HeH+ at Large Center-of-Mass Energies
内山 泰伸 (Yale University)
Calibration for pi0 and MIP on EMCal
筑波大学高エネルギー 原子核実験チーム
トリガー用プラスチックシンチレータ、観測用シンチレータ、光学系、IITとCCDカメラからなる装置である。(図1) プラスチックシンチレータ
CERNとLHC加速器 LHC計画 (Large Hadron Collider Project): CERN
LHC加速器の設計パラメーターと 2012年の運転実績
標準模型のその先へ ゲテモノ探し セッションⅤ:ナビゲーショントーク     名古屋大学 中 竜大.
高エネルギー重イオン衝突における 生成粒子の方位角相関測定用検出器 ‐核子当たり20GeVにおける コンピューターシミュレーション‐
最初に自己紹介 高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 幅 淳二
最初に自己紹介 高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 幅 淳二
Azimuthal distribution (方位角分布)
アトラス実験で期待される物理 (具体例編) ① ② ③ ④ ① ② ③ 発見か? 実験の初日に確認 確認! 2011年5月9日 ④ 未発見
ATLAS実験における J/Y->mm過程を用いたdi-muon trigger efficiency の測定方法の開発及び評価
高エネルギー重イオン衝突実験 PHENIXにおける 光子崩壊を用いた低質量ハドロン探索
高エネルギー天体グループ 菊田・菅原・泊・畑・吉岡
LHCでの発見へ向け 世界最大コンピューティンググリッドが始動
LHC-ATLAS実験SCTシリコン 飛跡検出器のコミッショニング - II
Charmonium Production in Pb-Pb Interactions at 158 GeV/c per Nucleon
ILC実験における ヒッグス・ポータル模型での ヒッグス事象に関する測定精度の評価
Scintillator と Gas Cherenkovと Lead Glass のデータ解析
Web(World Wide Web)の発祥地
Dark Matter Search with μTPC(powerd by μPIC)
EMCalにおけるπ0粒子の 不変質量分解能の向上
卒業論文発表 中性子ハロー核14Beの分解反応 物理学科4年 中村研究室所属   小原雅子.
μ+N→τ+N反応探索実験の ためのシミュレーション計算
京大理 身内賢太朗 平成22年度東京大学宇宙線研究所 共同利用研究成果発表会
ILCバーテックス検出器のための シミュレーション 2008,3,10 吉田 幸平.
強結合プラズマ 四方山話 − 水素とクォーク、高密核融合、 クーロンクラスター、そして粘性 −
早稲田大学 理工学術院 鳥居研究室 宇宙線の観測 宇宙線はどこから? 電子望遠鏡CALET LHCf加速器実験 卒業生の進路 研究活動
Geant4による細分化電磁 カロリメータのシミュレーション
課題研究 P4 原子核とハドロンの物理 (理論)延與 佳子 原子核理論研究室 5号館514号室(x3857)
核内ω中間子質量分布測定のための 検出器開発の現状
BNL report AYAKO HIEI LOCAL meeting 2008/6/23
! Web(World Wide Web)の発祥地 ! LHC計画 (Large Hadron Collider Project):
RHIC (Relativistic Heavy Ion Collider)
2016年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その1) 緑:除外されたSUSY粒子の質量範囲 [TeV]
2017年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その1) 緑:除外されたSUSY粒子の質量範囲 [TeV]
重心系エネルギー200GeVでの金金衝突におけるPHENIX検出器による低質量ベクトル中間子の測定
CsI結晶を用いた検出器の基礎特性に関する研究
荷電粒子の物質中でのエネルギー損失と飛程
Penta Quark Search in sNN=200 GeV Au+Au Collisions at RHIC-PHENIX
陽子の中のSeaクォーク 柴田研究室 02M01221 渡辺 崇 [内容] 1.Seaクォークとは 2.β崩壊とクォーク
Clusteringを用いたEMCal解析
シンチレーションファイバーを 用いた宇宙線の観測
LHC (Large Hadron Collider)
τ-→π-π-π+ντ及び τ-→K-K-K+ντの崩壊分岐比の測定
Presentation transcript:

宇宙史実習報告会 筑波大学 宇宙観測研究室 長崎岳人 2010/3/22 中性π中間子を用いたEMCAL検出器のエネルギー較正 宇宙史実習報告会 筑波大学 宇宙観測研究室 長崎岳人 2010/3/22

outline 研究目的 イントロダクション ・日程 ・QGP ・光子物理 ・LHC ・ALICE ・EMCAL 解析手法  ・日程  ・QGP  ・光子物理  ・LHC  ・ALICE  ・EMCAL 解析手法  ・エネルギー較正方法 結果  ・較正値  ・比較 まとめ

研究目的 LHC-ALICE実験にインストールされているEMCAL検出器において、中性π中間子の質量を用いそのエネルギー較正を行う

宇宙史実習‐日程 Mapping Dark Matter CERN Heavy Ion Forum 出国:2010年3月4日(現地時間) 到着:   同日    (現地時間) 3/5  (金) アカウント作成 3/8 (月) プログラミング      3/9 (火) 3/10 (水)                3/11 (木) 3/12 (金) 3/13 (土) 3/14 (日) 3/15 (月)   解析 -ATLAS見学 3/16 (火) 3/17 (水)      -ALICE見学 3/18 (木)   3/19 (金)  3/20 (土) 3/21 (日) 3/22 (月)   報告会 3/23 (火)   帰国 セミナー ALICE RC weekly meeting The Dark Side of the Universe: Dark Matter and Dark Energy Mapping Dark Matter CERN Heavy Ion Forum

QGP (Quark-Gluon Plasma) 原子核を構成する陽子、中性子はクォークとグルーオンから構成 原子核が高エネルギー状態においてハドロン間の境界が薄く、 クォークが比較的自由に飛びまわれる状態 クォーク・グルーオンプラズマ (宇宙初期、ビックバン後の数μsでの状態) QGPの物理を研究することで宇宙誕生や進化を解明する手がかり 高温・高密度化 QGP生成の手段   加速器による重イオン衝突実験

光子物理 QGPにおける光子測定の重要性 ■重イオン衝突実験 QGPの証拠:ジェット抑制 光子→非抑制 中性π中間子→抑制  QGPの証拠:ジェット抑制  光子→非抑制  中性π中間子→抑制 □同一検出器による測定  直接的な比較   ジェット抑制の解明 EMCALによる光子測定    “EMCALのエネルギー較正が重要”

LHC (Large Hadron Collider) CERN(欧州原子核研究機構)で建造された衝突型円形加速器 CERN 円周:約27km 最大衝突エネルギー p-p衝突@14TeV Pb-Pb衝突@5.5TeV 実験施設 -CMS -ATLAS -ALICE -LHCb

ALICE (A Large Ion Collider Experiment ) 目的 ・p-p衝突によるハドロン生成機構の解明 ・重イオン同士の衝突により発生するQGP物理の解明 detecter <飛跡検出器> ・ITS ・TPC ・TRD <粒子識別検出器> ・ITS ・TPC ・TRD ・TOF ・EMCAL ・PHOS ・HMPID

EMCAL内に入射してくる光子・電子のエネルギーを測定 EMCAL (Electro Magnetic CALorimeter) 鉛板とプラスティックシンチレータのサンドウィッチ型サンプリングEMCAL 方位角方向:80°~φ~190°,|η|<60° EMCAL内に入射してくる光子・電子のエネルギーを測定 検出原理 1. 高エネルギー光子・電子が鉛板により電子シャワーを形成(対生成+制動放射) 2. シンチレーター内の電子、陽電子がシンチレータ光を放射 3. APDにより光をシグナルに変換 4. シグナルよりエネルギーを導出(←ここを較正) 1モジュール:24列 e- e+ 一列:12ユニット

解析手法-ⅰ 使用実験データ:p-p衝突@900GeV (pass2 data) <それぞれのγ線の組み合わせを考える> 使用実験データ:p-p衝突@900GeV (pass2 data) ⅰ.入射した2光子を選択(基準粒子を i, 組み合わせる光子を j とする) ⅱ.位置とエネルギーより、崩壊粒子のエネルギーを計算 ⅲ.π0付近の質量分布ピークをfitting(ダブルガウシアン) ⅳ.各エネルギーにおいてπ0の質量でエネルギー較正 EMCAL γ2 γ1 θ γ3 π0中間子 質量:0.135GeV/c2  寿命:8.4×10-17 s クォーク組成:      π0中間子は98%の確率で二つのγに崩壊

解析手法-ⅱ Mass=√(2*Ei*Ej*(1-cosθ)) Ei:粒子iのエネルギー Ej:粒子jのエネルギー Pt:粒子の運動量 cut Ei,Ej>0.15GeV  (低エネルギー粒子を排除) |(Ei-Ej)/(Ei+Ej)| < 0.7       (エネルギーが大きく異なる粒子の組み合わせを排除) エネルギーによる場合わけ Eiを0.4GeVごとに分け、崩壊粒子のmassをヒストグラム化

結果-ⅰ Pass2-data EnergyAsymetry 全clusterのエネルギー分布 X軸:EnergyAsyetry Y軸:個数 X軸:Pt[GeV/C2]

キャリブレーション前における各Ei値における崩壊粒子の質量分布 結果-ⅱ キャリブレーション前における各Ei値における崩壊粒子の質量分布 Ei≦0.4GeV 0.4<Ei≦0.8GeV 0.8<Ei≦1.2GeV 1.2<Ei≦1.6GeV Y軸:個数 X軸:m[GeV/C2] 1.6<Ei≦2.0GeV 2.0<Ei≦2.4GeV 2.4<Ei≦2.8GeV 2.8<Ei

結果-ⅲ Fitting結果  ・π0massピークが低い 青:バックグラウンド 緑:π0 赤;足し合わせ

結果-ⅳ キャリブレーション前 fitting関数; -0.00868x2+0.02652x+0.07975 エネルギー較正を行う 実際の中性π中間子の質量は0.135GeV程度 実際より低い値が導出されている エネルギー較正を行う (較正をかけるのは基準粒子 i )

結果-ⅴ Fitting結果よりエネルギー較正を行った ・E i (基準粒子)のみにエネルギー較正

結果-ⅵ キャリブレーション無し Eiのみにキャリブレーション

まとめおよび課題 理由 今後の課題 ■EMCALにおいてπ0の質量を基準として導出されるエネルギー値の補正 補正によりmass分布のπ0と思われるピークを0.12GeV程度まで補正できた。しかし各エネルギー(Ei)においてバラつが大きい。 理由   ・統計量の不足  ・EMCALの1チャンネルごとの較正が不十分 今後の課題  ・他の検出器を用いて、 π0意外の粒子の影響を排除  ・よりEi値を細かく設定することでのfittingの向上  ・この過程を繰り返し行い、π0のピークが0.135GeV程度になるまで補正を行う

おわり

TPCTrack Quality Cut・・・refit,クラスター数80、 Select Minimum Bias Trigger Z vertex cut・・・20cm

結果 Ei,Ej

結果-ⅴ Ei,Ejの両方にキャリブレーション

結果-ⅶ キャリブレーション無し Ei,Ejにキャリブレーション Ejのみにキャリブレーション

結果 全粒子のmass分布の比較 キャリブレーション無し Ei,Ejにキャリブレーション Eiのみにキャリブレーション

結果-ⅶ キャリブレーション無し Ei,Ejにキャリブレーション Eiのみにキャリブレーション

結果 崩壊粒子のmass分布 Y軸:個数 Y軸:個数 X軸:Pt[GeV/C2] X軸:Pt[GeV/C2] Cut無し Cut有り

結果 全粒子のmass分布の比較 キャリブレーション無し Eiのみにキャリブレーション Y軸:個数 Y軸:個数 X軸:Pt[GeV/C2]