ATLAS実験における高速飛跡 トリガーシステムの開発と構築1 講演番号 : 26pRG-11 ATLAS実験における高速飛跡 トリガーシステムの開発と構築1 2013.3.26(Tue.) 飯澤知弥、大矢章晴、木村直樹、 郡川智洋、昌子貴洋、白神賢、寄田浩平 早大理工、他ATLAS-FTK Group 物理学会第68回年次大会 @広島大学東広島キャンパス
LHC加速器・ATLAS検出器 LHC加速器 ATLAS検出器 Mt.Montblanc 大型陽子陽子衝突型加速器 2015年~2022年、段階的な増強計画 LHCb ATLAS 重心系エネルギー : 14(13)TeV 瞬間ルミノシティ : 3 × 1034[cm-2・s-1] → 1バンチ衝突での衝突粒子数 : 75 円周27km!! CMS ALICE ATLAS検出器 大型汎用粒子検出器 内部飛跡検出器 カロリメータ ミューオン検出器 粒子の位置、運動量、 エネルギーを高い精度で測定
ATLASトリガーシステムとFTK FTK LVL2で飛跡を再構成する必要が無くなり、別のアルゴリズム バンチ衝突 ~20(40)MHz Calo Muon Pixel/SCT LVL1 Trigger ROD ROB LVL2 CPU Farm <インプット> ピクセル/SCT検出器の ヒット情報(@~100kHz) ~75kHz Within 2.5μs FTK ROIのみ <アウトプット> pT > 1 GeVの 全飛跡情報を算出 ~1kHz Within 40ms LVL2で飛跡を再構成する必要が無くなり、別のアルゴリズム (粒子の衝突点再構成等)にCPUや時間を割くことが可能!
FTK開発の動機 輝度上昇に伴い、1バンチ衝突あたりの衝突粒子(pile-up)数が増大! FTK導入で飛跡情報が LVL2以降で使用可能! ~75個@3×1034[cm-2・s-1] FTK導入で飛跡情報が LVL2以降で使用可能! →第一衝突点を再構成し、 Pile-upを除くことで、トリガー レートを下げられる。 輝度上昇時のビーム衝突点のシミュレーション ミューオンの再構成率 左図:カロリメータのみ 右図:全飛跡情報使用 どの飛跡がどの衝突点 から来たかわかる。 →Pile-upに対しても強 力な情報。
FTKシステムの概観 Dual-Output HOLA Data Formatter(DF) Associative Memory(AM) FNAL Chicago Input Mezzanine(IM) Pisa Waseda LVL2 CPU Farm 64 Track Fitter(TF) パターンバンク ・・・ インプット マッチ アウトプット SCTのヒット情報 マッチしたパターン(Road) 1Gパターン Chicago
関連する講演 飯澤:開発構築1(全体像)26pRG-11 郡川:開発構築2(ボード開発)26pRG-12 FTKシステムの全体像 ATLAS検出器実機を用いたFTKの動作試験 動作試験で得られたデータの評価 郡川:開発構築2(ボード開発)26pRG-12 早稲田における受信モジュール(IM)の設計 IMの製作及びテスト 大矢:開発構築3(シミュレーション)26pRG-13 実データを用いたFTKシステムの性能評価 FTKの実行処理時間の見積もり
VerticalSliceTest(実機テスト) 早稲田 CERN ATLASのトリガーフロー本流には干渉しないように、 SCTの 一部領域の実データを受け取り、パターンマッチングを行い、 アウトプットを送信するまでのFTKの動作テストを行う。 目的 早稲田 CERN 擬似ヒット送信モジュール SCT 擬似ヒット情報 実ヒット情報 IM IM クラスタ情報 クラスタ情報 クラスタ情報 FPGA FPGA AM Road情報 テスト用 マザーボード クラスタ情報 Road情報 パターン マッチング 前回の学会の直後(9/17~)から開始! 実際の運転環境での試験で、実機の問題の洗い出しを行う
Vertical Slice Test 1.Dual Output HOLAの実装 Pixel & SCT --Pixel、SCTのヒット情報をコピーし、FTKに送信。 --ATLASトリガー本流に干渉しないことを確認。 RODs 2012年2月 Dual-Output HOLA挿入
Vertical Slice Test IM テスト用マザーボード 1.Dual Output HOLAの実装 Pixel & SCT --Pixel、SCTのヒット情報をコピーし、FTKに送信。 --ATLASトリガー本流に干渉しないことを確認。 テスト用マザーボード IM RODs 2.我々が設計製作した受信モジュールの実装 早稲田→CERN現地に輸送、テストスタンドに実装 Raw data ROS IM FPGA テスト用マザーボード
Vertical Slice Test AMボード FTKテストスタンド 1.Dual Output HOLAの実装 Pixel & SCT --Pixel、SCTのヒット情報をコピーし、FTKに送信。 --ATLASトリガー本流に干渉しないことを確認。 RODs 2.我々が設計製作した受信モジュールの実装 早稲田→CERN現地に輸送、テストスタンドに実装 AMボード 3.パターンマッチングのためのAMボードを実装 Raw data ROS IM --ATLAS RunControl上でDAQ --70kHz(=LVL1 Max Rate)での運用 クラスタ情報 AM FPGA Road情報 Road 情報
Vertical Slice Test ATLAS RunControl Room FTKに対する Warning FTK Segment 1.Dual Output HOLAの実装 Pixel & SCT --Pixel、SCTのヒット情報をコピーし、FTKに送信。 --ATLASトリガー本流に干渉しないことを確認。 RODs 2.我々が設計製作した受信モジュールの実装 早稲田→CERN現地に輸送、テストスタンドに実装 3.パターンマッチングのためのAMボードを実装 Raw data ROS IM --ATLAS RunControl上でDAQ --70kHz(=LVL1 Max Rate)での運用 クラスタ情報 AM FPGA Road情報 Road 情報
Vertical Slice Test 様々な課題をクリアーし、2013年2月にRoad(飛跡のパターン)の取得に成功 1.Dual Output HOLAの実装 Pixel & SCT --Pixel、SCTのヒット情報をコピーし、FTKに送信。 --ATLASトリガー本流に干渉しないことを確認。 RODs 2.我々が設計製作した受信モジュールの実装 早稲田→CERN現地に輸送、テストスタンドに実装 3.パターンマッチングのためのAMボードを実装 Raw data ROS IM --ATLAS RunControl上でDAQ --70kHz(=LVL1 Max Rate)での運用 クラスタ情報 AM FPGA 4.Stopless Removal Road情報 Road 情報 --Run Control上でFTKをon/offした時でも対応可能。 (実Run中に、FTKにエラーが生じた時等の対応) 様々な課題をクリアーし、2013年2月にRoad(飛跡のパターン)の取得に成功
出力されたRoadの評価 ハードウェアエミュレーションを行い、実データと比較 #road(data) - #road(sim)=0 ~99.9999% マッチした。 1イベントにおけるRoad数 1イベントにおける実データと エミュレーションのRoad数の差 実データを非常に良く再現している。(エラーレートは10-6程度)。 不一致の事象も生データを調べたところf/wでの問題を発見、解決。 → テストスタンド@早稲田では難しいデバッグも可能となった。
纏めと展望 2012年 2013年 2014年 2015年 LHC 8TeV Run シャットダウン(増強) 13(14)TeV Run FTK 開発・動作試験・モジュール大量生産 挿入 運用・増強 纏め SCT一部領域の実ヒット情報を使用したFTKの実機試験を行い、 データフロー、パターンマッチングを行うことに成功した。 アウトプットされたRoadをエミュレーションと比較したところ、 データの再現性を確認、10-6程度の問題も解決できる手法を構成。 今後の展望 --更なる詳細確認のためのテスト。(@CERN、@Waseda双方) --最終実機を製作、量産体制時のquality controlを行う環境を整える。(郡川) --FTKトラックのパフォーマンス評価(大矢)、実際の物理オブジェクトへの適用