MOIRCS Introduction 2003.04.22  小西 真広.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
3.8m 望遠鏡用面分光装置 2010/08/18 光赤天連シンポ 尾崎 忍夫、岩田 生、神戸 栄治、沖田 喜一(国立天文台) 吉田 道利(広島大学)、岩室 史英、菅井 肇、太田 耕司(京都 大学)
Advertisements

SSA22 領域の過大な Lyα 輝線の EW を示す LAEs 大塚 拓也 1 山田 亨 1 、松田 有一 2 、林野 友紀 1 1 東北大学、 2 国立天文台.
COBE/DIRBE による近赤外線 宇宙背景放射の再測定 東京大学, JAXA/ISAS D1 佐野 圭 コービー ダービー.
2020 年( TMT 、 SPICA 時代)の すばる望遠鏡 高見英樹 ( 国立天文台) 年の光赤外の情勢 大きな流れ TMT 稼働開始 SPICA 打ち上げ、 JWST は? LSST 稼働開始、 HSC の役割は? Keck 、 Gemini は存続だが予算は厳しい、 VLT は着実.
日本学術会議マスタープランへの提案 ガンマ線バーストを用いた初期宇宙探査計画 HiZ-GUNDAM 主査: 米徳 大輔(金沢大学) HiZ-GUNDAM WG 光赤天連シンポジウム「光赤外将来計画:将来計画のとりまとめ」( 2016/02/09 – 10 国立天文台.
銀河物理学特論 I: 講義1:近傍宇宙の銀河の 統計的性質 遠方宇宙の銀河の理解のベースライン。 SDSS のデータベースによって近傍宇宙の 可視波長域での統計的性質の理解は飛躍的 に高精度になった。 2009/04/13.
JASMINE レーザー干渉計型高精度角度・長さ変動モニターの研究開発 計画のための
高速分光器観測マニュアル ○内容 1:各種マスクスリットの(CCD上での)位置 p.2
高速分光システムの開発 III /11-13 秋季年会 磯貝 瑞希( )、嶺重 慎、野上 大作(京都大)、川端 弘治、植村 誠、
miniTAO近赤外線観測で見る 銀河の星形成活動
RAVENを用いた複タイムステップトモグラフィ推定の開発
Adaptive Optics(AO) “宇宙をより鮮明にうつし出す” ~補償光学~ 補償光学系:これまでの成果!
新しいVPHグリズムおよび 櫛形格子のグリズム
美濃和 陽典 (国立天文台すばるプロジェクト研究員)
次世代超大型望遠鏡の 広視野補償光学系の光学設計
GLAO at Subaru Telescope
光赤天連シンポジウム (2011年9月6日, 於:京都大)
SWIMS Current Status of Development
AOによる 重力レンズクェーサー吸収線系の観測 濱野 哲史(東京大学) 共同研究者 小林尚人(東大)、近藤荘平(京産大)、他
南極からの新赤外線天文学の創成 南極内陸は、ブリザードがなく、非常に穏やかな、地球上で最も星空の美しい場所です。この場所で私たちは新しい赤外線天文学を展開します 宇宙初期の広域銀河地図を作って、私たちの銀河系の生い立ちを解明します 137億年前 100億年前 宇宙の果て 最初の星が生まれ、銀河が成長した時代.
三原建広(理研)、林田清(阪大)、郡司修一、門叶冬樹(山形大理)
銀河物理学特論 I: 講義3-3:光度関数の進化 分光探査サンプルによる Lilly et al. 1995, ApJ, 455, 108
2007 9/26-28 秋季年会 高速分光システムの開発 磯貝 瑞希(広島大)、嶺重 慎、野上 大作(京都大)、川端 弘治、植村 誠、大杉 節、山下 卓也、永江 修、新井 彰、保田 知則、宮本 久嗣、上原 岳士、笹田 真人、田中 祐行、松井 理紗子、深沢 泰司、かなた望遠鏡チーム(広島大)、杉保 圭(京都大)
高速分光システムの開発 1. 高速分光システムとは 4. 分散素子の製作 2. 高速CCDカメラとは 5. 製作スケジュール 3. 製作項目
2008 3/24-27 春季年会 高速分光システムの開発 II 1300秒 0.1等
高速分光システムの開発 II 1. 高速分光システムとは 5. 筐体 2. 高速CCDカメラとは 3. 製作項目 6. 今後のスケジュール
京大岡山3.8 m望遠鏡計画: 分割主鏡制御エッジセンサの開発
HOWPolの偏光キャリブレーションと GRB残光の可視偏光観測
Subaru/RAVENのon-sky観測データを用いた トモグラフィック再構成行列の推定
2013/12/17,18  第三回可視赤外線装置技術WS TMT WFOS/MOBIEの進捗状況
アタカマ近赤外カメラ ANIR 本原顕太郎、内一・勝野由夏、酒向重行、三谷夏子、 田中培生、半田利弘、青木勉、川良公明、
P01.埼玉大学55cm望遠鏡SaCRAの 制御システム開発 ~第5回 ~ ポスター説明
2005 winter Current Status of MOIRCS
-TAO/MIMIZUKU搭載 『二視野合成装置Field Stacker』-
すばる次世代観測装置検討会 (銀河・銀河形成分野) からの報告
2m電波望遠鏡の製作と 中性水素21cm線の検出
京大極限補償光学 点回折干渉を用いた 波面センサの開発
神戸大大学院集中講義 銀河天文学:講義6 特別編 観測装置の将来計画
TMT第1期観測装置 WFOSの検討状況報告
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所 天文科学センター 伊藤洋一
位相カメラの進捗状況 京都大学修士1回 横山 洋海.
かなた望遠鏡を用いたブレーザーの 可視偏光変動の研究
AIRT40+TONIC2 for JARE53/54 Winter-over Observation 新光学系の提案(最終案)
Subaru Users Meeting 2010 Hideki Takami 2011/1/19.
地上 8-10m 望遠鏡の将来装置計画のまとめ 国際協力・時間交換の議論のベースとして 次世代装置開発の議論のベースとして
ガンマ線バースト観測用 面分光装置の紹介 岡山天体物理観測所 尾崎忍夫 共同研究者 吉田、岩田、神戸、沖田(岡山天体物理観測所)、
ファイバー面分光装置KOOLS-IFU - 京大3.8 m望遠鏡との接続に向けて -
小型JASMINE計画の状況       矢野太平(国立天文台)       丹羽佳人(京大).
すばる望遠鏡による10GeV領域ガンマ線天体の観測
X線CCD検出器 ーCCD‐CREST(deep2)ー の性能評価と性能向上 (京阪修論発表会)
miniTAO望遠鏡による Be型星の Paschen α観測
光天連シンポジウム「2020年に向けてのロードマップ」
高速カメラの分光システム開発の現況 磯貝 /13 1: 分光システムの開発要素 ・分散素子 ・フィルター
F/3.5 R-spec H.Akitaya CCD Camera Video Camera F/3.5 F/1.3
(2048x2048 pixel; pixel size13.5μm sq.)
S1 装置開発と観測 長田哲也 教授 栗田光樹夫 准教授 木野勝 助教 望遠鏡および可視光と赤外線の観測装置の開発を行います。
京大岡山3.8m望遠鏡用高分散分光器 京大宇物 岩室史英 サイエンス 太陽型星のスーパーフレア現象の解明
近赤外域で高色分散をもつSrTiO3結晶の低温特性
<近赤外線多天体分光撮像装置MOⅠRCSの全体像と開発状況>
TMT第一期観測装置WFOSの近況報告 尾崎忍夫(国立天文台).
東大アタカマ望遠鏡(TAO) 光学系検討の現状報告 東大天文センター・木曽観測所 宮田 隆志 田中 培生 山室 智康 お話する内容
COSMOS天域における赤方偏移0.24のHα輝線銀河の性質
AIRT40+TONIC2 for JARE53/54 Winter-over Observation 新光学系 備忘録
高速カメラ用低分散分光器の仕様 設置場所: 広島大学付属東広島天文台 かなた望遠鏡第2ナスミス焦点 広島大学 宇宙科学センター 磯貝 瑞希
近赤外線多天体分光カメラ SWIMSの開発状況
国際宇宙ステーション搭載 全天X線監視装置搭載用CCDカメラ開発の現状
ASTE搭載用ミリ波サブミリ波帯 多色ボロメータカメラ光学系の開発 竹腰達哉 北海道大学修士課程2年 Collaborators:
かなたミニワークショップ@広島大学 可視赤外線同時カメラHONIRの開発 広島大学 D2 先本清志.
望遠鏡技術検討会 (2013/2/9) 京大3.8m望遠鏡用 面分光装置開発 松林 和也 (京都大学)
ASTE望遠鏡を用いたVLBI観測の ための超伝導230GHz帯受信機開発
Presentation transcript:

 MOIRCS Introduction 2003.04.22  小西 真広

Contents Mechanics ◎MOIRCSの持つ特徴 ◎MOIRCS各部の紹介 (MOS,光学系,検出器系) ◎Future Works Science ◎MOIRCSゼミのテーマ (補足:すばる望遠鏡の装置)

Multi-Object InfraRed Camera and Spectrograph M O I R C S Multi-Object InfraRed Camera and Spectrograph 多天体 近赤外線 撮像 分光器 『近赤外線多天体分光撮像装置』

◎MOIRCSグループのメンバー 鈴木竜二、東谷千比呂 市川隆、勝野由夏、小西真広、 馬場淳一、吉川智裕 山田亨 小俣孝司、西村徹朗 (東北大学/国立天文台) 市川隆、勝野由夏、小西真広、 馬場淳一、吉川智裕 (東北大学) 山田亨 (国立天文台三鷹) 小俣孝司、西村徹朗 (国立天文台ハワイ観測所)

(z,J,H, K’,KバンドとNBフィルター) ・最大4分×7分角の広視野撮像 ◎MOIRCSの持つ主な特徴   ・0.8~2.5μmの近赤外線の波長域    (z,J,H, K’,KバンドとNBフィルター)   ・最大4分×7分角の広視野撮像   ・マルチスリットを使った多天体同時分光 HAWAII-2 CISCOの7倍!! (すばるの赤外カメラ) すばるカセグレン焦点  外Φ8分角: z~H撮像 内Φ6分角:K撮像、z~K分光 HAWAII-2 約50天体!!

◎MOIRCSの中身 すばる望遠鏡 スリットマスク 焦点面デュワ- 交換機構 カセグレン焦点面 フィルターターレット 検出器デュワ- HAWAII-2

◎MOIRCSの中身 1、スリットマスク 交換機構 2、光学系 3、検出器系

1、スリットマスク交換機構(MOS機構) 直線導入器 ゲートバルブ マスクデュワー マスク交換時に非常に便利! ロボットアームを動かす. (0.01mm精度でマスクを操る) ゲートバルブ 本体デュワーと切り離す事が出来る. マスクデュワー スリットマスクが24枚収納出来る. この下に専用の冷凍機がある. (熱輻射を抑えるため150Kに冷却される.) マスク交換時に非常に便利!

1、スリットマスク交換機構(MOS機構) ◎スリットマスク:直径180mm、厚さ50~70μmのアルミニウムの板 デュワーの中心部分 上から見たところ. 1mm 0.1mm 磁石でマスクが固定される. 放電加工機(EDM)で加工.

1、スリットマスク交換機構(MOS機構) ◎マスク交換手順 1.観測に必要なスリットマスクを 用意してカルッセルに収納し、   用意してカルッセルに収納し、   予め真空・冷却しておく。 2.カルッセルが回転し、目的のマ   スクが直線導入器の前に来る。 3.ゲートバルブが開き、直線導   入器がマスクをつかむ。 4.直線導入器がマスクをカセグ   レン焦点面まで引きずり出す。 5.ゲートバルブが閉まったら、   観測開始。 (全行程:約15分) 常温での動作は確認済み.

2、光学系 全体が77Kに冷却される. (それに合わせて設計している.) すばるカセグレン焦点面 視野分割鏡(頂角90°) ウィンドウ すばるカセグレン焦点面 視野分割鏡(頂角90°) コリメータ(3 群 4 枚):球面レンズ フィルター&グリズムターレット, コールドストップ カメラレンズ(2 群 6 枚):球面と放物 全体が77Kに冷却される. (それに合わせて設計している.)

2、光学系 ◎光学系の仕様(目標) F値(サンプリングレート):3.926(0.117″/pixel) 波長域 :0.8~2.5μm コリメート光径 :φ50mm 透過率 :50%以上(ただし光学系のみ) Ensquared Energy:70% in 2pix(視野全域(φ8’)で)          80% in 2pix(最大視野の80%(φ6.4’)で) 軸上色収差:各バンドで140μm以内 倍率色収差:1pixel以内(18μm以内) 2.41μm

2、光学系 ◎視野分割鏡 HAWAII-2(後述)の性能とすばる望遠鏡(口径8.2m)の集光力を最大限に活かすための仕組みで,1光路の場合より最大2倍程度多くの天体の分光を行うことができる。

2、光学系 ◎分散素子:グリズム 現在思案or発注中の仕様は、 ・R~500でz&Jバンド ・R~500でH&Kバンド  ・R~1300でJ,H&Kバンド    (slit width=0.5”) レンズマウント アラインメントが終了したオプティカルベンチ 現在は本体デュワーに組み込んでの冷却テスト待ち.

3、検出器系 ◎搭載される検出器:HAWAII-2(Rockwell社)       (HgCdTe Astronomical Wide Area Infrared Imager-2) (http://www.rockwellscientific.com/) ◎仕様(公表値)   素子数    :2048×2048 pixels  Pixel size  :18.0μm/pixel  量子効率  :約60%(@0.8~2.5μm)  Readout noise:<10e-  Dark noise :0.03e- /pixel/sec @78K 高い量子効率、低いdarkとreadout noiseを持つ世界最大の赤外センサー. デュワーに搭載した様子→

2048×2048 pixel HgCdTe array(検出器部) 3、検出器系 ◎HAWAII-2の構造 2048×2048 ユニット・セル シリコン マルチプレクサ (読み出し部:通称MUX) 2048×2048 pixel HgCdTe array(検出器部) インジウム粒 天体光 Motohara 2000 PhD ユニットセル ・マルチプレクサ(読み出し部)とHgCdTe(検出器部)を インジウムの粒で  貼り合わせた構造. ・マルチプレクサは4象限(1象限は1024×1024 pixels)が独立に駆動する. ・マルチプレクサの駆動テスト 終了 ・エンジニアリンググレードの駆動テスト及び性能評価 終了

3、検出器系 ◎TUFPAC ( Tohoku University Focal Plane Array Controller) Linux&DSPボード フロントエンド回路 検出器 clock signal Direct Read Out 方式 Correlated Double Sampling法

◎MOIRCSの最新のレイアウト Main dewar optics detector Slit mask exchange unit Support structure Peripherals Slit mask exchange unit Main dewar Support structure Peripherals optics detector Support structure Slit mask exchange unit Main dewar Peripherals optics detector Slit mask exchange unit Main dewar Support structure Peripherals optics detector Peripherals Slit mask exchange unit Main dewar Support structure optics detector Slit mask exchange unit Main dewar Support structure Peripherals optics detector 2002年すばるUM(鈴木)より

◎MOIRCS各部の名称 直線導入器 焦点面デュワー マスクデュワー 冷凍機 オクタゴン1 オクタゴン2 ファットセクション オクタゴン3 検出器デュワー ゲートバルブ スロート部 本体デュワー スリットマスク交換機構

◎Future Works 各部 全体 2003年秋 ファーストライト予定 ・MOSの冷却駆動実験. ・サイエンスグレードの駆動・性能評価. (・32チャンネル化への改良) 全体 ・予冷配管、MLIなどの組み込み ・本体デュワー内に光学系(レンズは無し)を組み込んでの 冷却テスト. ・レンズをインストールして常温時、冷却時の 光学性能評価. 2003年秋 ファーストライト予定

◎これまでに行なったMOIRCSゼミのテーマ 撮像・分光  ・近赤外でのLyα輝線天体の検出 分光  ・High-zの渦巻き銀河のrotation curve 撮像  ・銀河のバルジ・ディスク分離  ・渦巻き銀河のバルジの構造と形成  ・ERO観測  ・遠方銀河の形態ー密度相関  ・銀河の光度関数  ・銀河団の近赤外光度関数  ・CISCOのdeep survey  ・バイアスパラメタ(質量分布と銀河分布)

◎現在すばる望遠鏡に備わっている装置 補足 (第1期共同利用観測装置) 以上7+1台. ・Suprime-Cam・・・大型望遠鏡唯一の主焦点カメラ.Φ30分の広視野を持つ. ・FOCAS・・・可視光での分光撮像偏光装置.         マルチスリット多天体分光モードを持つ. ・CISCO/OHS・・・近赤外線でのOH夜光除去分光器.CISCOはそのカメラ部. ・COMICS・・・中間赤外線での分光撮像装置. ・CIAO・・・コロナグラフを持つ.分光・偏光も出来る. ・HDS・・・可視光での高分散分光装置.大型望遠鏡の中では最高分散. ・IRCS・・・近~中間赤外線での分光撮像装置. ・AO・・・波面補償光学装置(補助装置). 以上7+1台.

◎これからすばるに加わる観測装置 補足 ・MOIRCS・・・近赤外線でのカセグレン焦点撮像、 スリット多天体分光. (第2期共同利用観測装置) ・MOIRCS・・・近赤外線でのカセグレン焦点撮像、          スリット多天体分光. ・FMOS・・・近赤外線での主焦点撮像、        ファイバー多天体分光.

MOIRCS intro(2003/04/22) 訂正資料 ◎すばるカセグレン視野とHAWAII-2の位置関係 下側の検出器が使っていない部分0.5分角 4分角 1分角 4分角 上側の検出器が使っていない部分0.5分角 4分角

Imaging mode 中心の0.5分は2分割される。 Spectrograph mode 4分角 0.5分寄せる 4分角 Imagingでは使わない所