μ→eγ探索実験用液体Xeカロリメータの宇宙線を用いた減衰長測定

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μ→eγ探索実験用液体Xeカロリメータの宇宙線を用いた減衰長測定 JPS meeting Sep2002 @Rikkyo Univ. Takefumi Yoshimura Waseda Univ. μ→eγ探索実験用液体Xeカロリメータの宇宙線を用いた減衰長測定 早稲田大学   吉村剛史 1.Xeの発光とシンチレーション光の減衰について 2.Large prototype よる吸収長測定のセットアップ 3.液体Xe中の不純物の除去 4.宇宙線、αを用いた吸収長測定 5.まとめと今後の計画 早大理工総研,東大理A,東大素セB ,阪大理C,高エ研D,BINP-NovosibirskE,INFN-PisaF,PSIG  吉村剛史,石田卓也B,大谷航B,小曽根健嗣B,折戸周治A,菊池順,久野良孝C,澤田龍B,鈴木聡,寺沢和洋,道家忠義,西口創B,春山富義D,真木晶弘D,真下哲郎B,三橋利也B,三原智B,森俊則B,八島純D,山下了B,山下雅樹,吉村浩司D,A.A.GrebenukE,D.GrigorievE,I.IoudineE,D.NicoloF,S.RittGG.SignorelliF

さらに同時に行われた宇宙線及びα線の測定 からもλabs10cm程度以下 JPS meeting Sep2002 @Rikkyo Univ. Takefumi Yoshimura Waseda Univ. 0.ビームテスト時(Feb2002)の結果 ビームテスト時(Feb2002)の結果 エネルギー分解能 ~ 34.8% (FWHM) 位置分解能       ~ 8 mm (FWHM)  → 吸収長(λabs)7cm程度を示唆   さらに同時に行われた宇宙線及びα線の測定   からもλabs10cm程度以下 分解能に大きく影響を与えているのは λabsである。   →λabs を伸ばすことが求められている

Xeの発光過程 シンチレーション光の減衰 1.Xeの発光とシンチレーション光の減衰 JPS meeting Sep2002 @Rikkyo Univ. Takefumi Yoshimura Waseda Univ. 1.Xeの発光とシンチレーション光の減衰 Xeの発光過程 励起光     Xe + Xe* → Xe*2 → 2Xe + hν 再結合光   Xe+ + Xe → Xe+2   Xe+2 + e → Xe** + Xe    Xe** → Xe* Xe + Xe* → Xe*2 → 2Xe + hν ※いずれも励起したキセノン分子からの発光で、自己吸収はない シンチレーション光の減衰 ・シンチレーション光の減衰は、散乱と吸収によるものである。 ・我々の実験では装置が大型であり、シンチレータをPMTが覆うように置 かれているので吸収が測定に大きな影響を与える。 ・吸収は液体Xe中の不純物によって起こる。

2. Large prototype よる 吸収長測定のセットアップ JPS meeting Sep2002 @Rikkyo Univ. 2. Large prototype よる 吸収長測定のセットアップ Takefumi Yoshimura Waseda Univ. 宇宙線を用いた吸収長測定のセットアップ -168 0 186 Z(mm) 10cm×10cmのトリガーカウンターを3組設置し、これにより宇宙線にトリガーをかける。この条件下で、宇宙線による液体Xeのシンチレーション光の減衰長を測定する。

2. Large prototype よる 吸収長測定のセットアップ JPS meeting Sep2002 @Rikkyo Univ. 2. Large prototype よる 吸収長測定のセットアップ Takefumi Yoshimura Waseda Univ. α線を用いた吸収長の測定 各PMTで検出される光量とalpha線源 との 距離の関係から吸収長を見積もる。 PMT holder top ● ● α-source α-PMT間 7.6cm front α-PMT間 11.6cm ● α-source は、PMTの Calibrationにも使用している right α-sourceの位置

不純物によるシンチレーション光の吸収 3.液体Xe中の不純物の除去 H2O JPS meeting Sep2002 @Rikkyo Univ. Takefumi Yoshimura Waseda Univ. 3.液体Xe中の不純物の除去 不純物によるシンチレーション光の吸収 不純物のsource ・もともとXe中にあるもの  →液化時に通すフィルターで除去できる。 ・検出器内部の物質からのout gas - アクリル、G10などout gas が多い物質が   使われている - 検出器内部の物質の表面積が大きい →あらかじめ真空引等で除去するのが困難、   PMT があるので baking もで きない。 H2O N2 CO2 H2Oによるシンチレーション光の吸収(シミュレーション) O2 水などの不純物がシンチレーション光を 吸収している可能性が高い 検出器内部の残留ガス質量分析結果

Circulation System 3.液体Xe中の不純物の除去 Gas Xe Pump Oxisorb Getter JPS meeting Sep2002 @Rikkyo Univ. Takefumi Yoshimura Waseda Univ. 3.液体Xe中の不純物の除去 Circulation System Zr-V-Fe getter (SAES getters PS4-MT15-R-2) Gas Xe Pump O2, H2O, CO, CO2, H2, CH4, N2 < 1ppb Oxisorb Photon Detector Getter Oxisorb filter (Messer Griesheim GmbH) Ar, He, Ne, Kr, Xe, N2, H2, CO, CO2, CH4  以外を除去 実験をやりながら不純物の除去を 続けることが可能になった

光量の時間変化 Cosmic Ray alpha 3.液体Xe中の不純物の除去 JPS meeting Sep2002 @Rikkyo Univ. Takefumi Yoshimura Waseda Univ. 3.液体Xe中の不純物の除去 光量の時間変化 May~June/2002(循環純化期間) Cosmic Ray alpha Total photoelectrons 約50日 Relative peak α-PMT間 7.6cm α-PMT間 11.6cm 約50日 経過時間(hours) 経過時間(hours) 純化開始 純化開始 循環純化により光量が 4.5 倍 になった!!(宇宙線イベント)

吸収長を見積もる方法 front back 4.宇宙線を用いた吸収長測定 Cosmic Ray JPS meeting Sep2002 @Rikkyo Univ. Takefumi Yoshimura Waseda Univ. 4.宇宙線を用いた吸収長測定 吸収長を見積もる方法 あらかじめ数種類の減衰長を仮定したシミュレーションを行い、実験データと 比較することで見積もった。 ここでは 3つの異なった位置に置かれたそれぞれのトリガーカウンターでトリ ガーされた宇宙線による  total photoelectrons (全PMTの和) を比較した。 -168 0 186 Z(mm) Cosmic Ray front PMT holder back 372mm 372mm 496mm

実験値とシミュレーションの比較 4.宇宙線を用いた吸収長測定 JPS meeting Sep2002 @Rikkyo Univ. Takefumi Yoshimura Waseda Univ. 4.宇宙線を用いた吸収長測定 実験値とシミュレーションの比較 ●MC 100cm ●MC 50cm ●MC 40cm ●MC 30cm ●MC 20cm ●MC 10cm ●MC 5cm total photoelectrons ☆NEW DATA 実験値  循環純化後 ☆OLD DATA   実験値  ビームテスト時 循環純化により吸収長が100cm程度に伸びた (シミュレーションとの比較から)

4.αを用いた吸収長測定 α線イベントによる吸収長の見積もり λabs ~ 100cm lower limit (95%C.L.) JPS meeting Sep2002 @Rikkyo Univ. Takefumi Yoshimura Waseda Univ. 4.αを用いた吸収長測定 α線イベントによる吸収長の見積もり Gas Xe では吸収がほとんどないというデータが すでに得られているので、Gas Xeでのデータを 基準にして液体中での吸収長を見積もっている。 Xeを検出器内に液化する前に、 検出器内部を冷却する。(170K程度) この状態で、Gas Xe 中でのαのデータをとり、 液化後の Liq.Xe 中でのαのデータと比較した。 (したがってGas Xe 中でのPMTのQ.E は、  Liq.Xe 中でのQ.E.に近い状態になっている) ☆循環1ヶ月後 ■循環2週間後 ●循環開始前 λabs ~ 100cm lower limit (95%C.L.) (先程の宇宙線イベントによる見積もりは  この結果に矛盾していない。) Liq. Xe 中でのαイベントと Gas Xe 中でのαイベントの比

吸収長の改善により期待される分解能の向上 JPS meeting Sep2002 @Rikkyo Univ. Takefumi Yoshimura Waseda Univ. 4.宇宙線を用いた吸収長測定 吸収長の改善により期待される分解能の向上 40 MeV monochromatic gammas λabs     エネルギー分解能     位置分解能 (Large Prototype) (Large Prototype) Feb/2002 7cm 34.8% (FWHM)      8mm(FWHM) 実験値 May~June/2002 100cm 3.3% (FWHM) 5mm(FWHM) シミュレーション

まとめ 今後の計画 5.まとめと今後の課題 JPS meeting Sep2002 @Rikkyo Univ. Takefumi Yoshimura Waseda Univ. 5.まとめと今後の課題 まとめ 前回のビームテスト(Feb2002) 不純物によるシンチレーション光の吸収が大  λabs~7cm 今回の循環純化(May-June2002) 不純物を減らすことができた。 λabs~100cm 今後の計画 10月のBeam Test に向けて現在行っていること 検出器内部のメンテナンス(アクリル素材の除去) 窒素ガス(99.998%)による真空槽のフラッシュ その後の計画 循環速度のさらなる向上 - 循環ポンプの増強(flow rate 18.5 l/m → ??) - クライオジェニックポンプの導入(液体のままフィルターを通し  循環させる) (flow rate ??)