緑の気候基金(GCF)との連携に関する JICAの取組み方針

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緑の気候基金(GCF)との連携に関する JICAの取組み方針 2018年3月9日 JICA地球環境部

気候変動対策支援に関するJICAの協力方針 (2016年9月作成) (1)重点課題 ア.低炭素、気候変動影響に対応する強靭な都市開発・インフラ投資推進 イ.総合的な気候リスク管理の強化  ウ.途上国の気候変動政策・制度改善 エ.森林・自然生態系の保全管理強化 (2)協力アプローチ ア.開発と気候変動対策の統合的実施 イ.多様なステークホルダーとのパートナーシップ ウ.日本の強みを活かした協力

認証機関(AE)としてのJICAの概要 2017年7月の第17回GCF理事会にて認証決定 機関分類: インターナショナル・アクセス   インターナショナル・アクセス 認証機関として果たせる機能:   ①プロジェクト管理 ②無償資金の贈与     ③転貸/ブレンディング(ブレンディングのみ) 実施できる事業の規模:   大 (250百万ドル超) 実施できる事業の環境社会リスクレベル:   高リスク (カテゴリーAの事業も実施可)

認証機関(AE)としてのJICAの取組方針 (GCF案件形成の方針) ①防災、②小島嶼開発途上国(SIDS)支援、③先進技術の活用、を重点テーマとする。 JICAのODA事業との連携・相乗効果の期待できる案件を形成する。 対象パートナー国(途上国)における日本の開発協力戦略(国別開発協力方針)やJICAの事業展開との整合性を確保。

想定される案件タイプの事例(1) ケース1 気候変動対策の追加コストに充当 ケース1 気候変動対策の追加コストに充当 JICA円借款/海外投融資/無償資金協力事業+ GCF資金に よる追加的気候変動対策費用のファイナンス 例:ADBのフィジー上水道案件では、ADB借款で上水道施 設整備、GCFグラントで取水口移設(海面上昇による将 来の塩水汚染リスク回避) 気候変動影響による追加的リスクへの対応、GHG排出削減に向けた先進技術活用等のための追加的費用(GCF資金) 事業コスト 通常の開発援助事業としての費用 (JICA円借款/無償/海外投融資、相手国政府資金)

JICA、相手国政府、他ドナー、民間等の資金による事業化 想定される案件タイプの事例(2) ケース2 GCF資金を活用して事業リスクを削減 GCF資金によるリスク削減(de-risk)→JICA資金/民 間資金等による事業化 例:IDBは、カリブ地熱開発事業において、GCFの返 還条件付グラント資金を試掘に活用。 事業化を妨げるリスク (例) ・事業化に不可欠な情報の不足、不確実性 ・技術・ビジネスモデル・製品・サービスの対象国における導入実績の欠如 JICA、相手国政府、他ドナー、民間等の資金による事業化 GCF資金による リスク削減事業

想定される案件タイプの事例(3) ケース3 JICA協力のスケールアップ、インパクト強化 に活用 例:WFPはセネガルで過去に実施した小規模農家向け 気候レジリエンス支援事業(R4 Rural Resilience Initiative)を、GCF資金によりスケールアップ。 GCF資金で国内の他地域に拡大/近隣国に対象拡大 JICA技術協力による 能力開発支援 タイ、マレーシア等の所得が比較的高い国やSIDS等の小規模国でODA予算の配分が少ない国、無償・有償資金協力が困難な国を念頭 GCF資金による事業と組み合わせ効果向上

認証機関(AE)ではない機関が案件形成を 検討する際の留意点 想定する事業の性質(必要とする資金のタイプ、案件の規模、リスクレベル)に適した認証機関をパートナーとして選定することが重要。 →例えば、JICAが活用できるのはGCFの4つの資金ツールのうちの贈与のみ。 GCF資金を活用した調達はアンタイド(タイド調達は認められない) →資金提供者としてではなく、コントラクター/サービスプロバイダーとして事業に参画することを想定する場合は要注意。