ATLAS実験における ブラックホール探索の研究

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ATLAS実験における ブラックホール探索の研究 東京大学大学院 理学系研究科 物理学専攻 小林研究室 兼田 充 2007年2月1日

概要 イントロダクション ブラックホールの崩壊について ブラックホールの発見能力 ブラックホールの性質の詳細測定 まとめ 質量の測定 ホーキング温度 プランクスケール まとめ 2007年2月1日

標準理論における階層性問題 電弱統一スケールに比べてプランクスケールが桁はずれに大きい Introduction 標準理論における階層性問題 電弱統一スケールに比べてプランクスケールが桁はずれに大きい 電弱統一スケール<<プランクスケール O(100GeV) O(1019GeV) これに伴って、ヒッグス粒子の自己エネルギーによる2次発散の問題が生まれる MH2~MH (tree) 2-O(L2)   もし上記の様なスケールの差があれば、O(MH)=O(EM)であるとして、カットオフスケールをプランクスケール程度であるとすれば、100程度の値を出すために十数桁の数の微細な調整が必要になる。 ->TeV程度のエネルギー領域に新しい物理が存在する可能性: 超対称性理論、余剰次元   などなど 2007年2月1日

余剰次元(Large Extra Dimensions) Introduction 余剰次元(Large Extra Dimensions) もともと重力も他の力と同程度(プランクスケールが~TeV程度) 重力だけが余剰次元にも伝播する 他の力に比べて極端に小さく見える 4次元でのプランクスケールMPlと   4+n次元でのプランスケールのMP関係 MPl2~MPn+2Rn (R:余剰次元の大きさ) 加速器実験によるMPに対する制限::MP>800GeV MPが~TeV程度であるとすると: n=1::R~1013cm ×(この様なスケールでは余剰次元の効果は観測されていない) n=2::R~100mm 実験的に完全に否定されてはいない ->この後ではn≥2のみを考える 2007年2月1日

ブラックホールの生成 Introduction √s= MBHの粒子の衝突を考える。 impact parameter (d)がシュワルツシルト半径(rH)より小さい場合、BHは生成される d: impact parameter rH: シュワルツシルト半径 MP: (4+n)-dimでの    プランクスケール n: 余剰次元の数 ~100pb(MP~MBH~TeV)::非常に大きい 陽子陽子衝突実験では… a and b are partons in protons and fi(x) are the parton  distribution function (PDFs) 2007年2月1日

LHC・ATLAS LHC 2007年実験開始予定 周長約27km Introduction 陽子-陽子衝突型加速器 重心系エネルギー 14 TeV ルミノシティー 1034cm-2s-1 直径22m、長さ44m、総重量7000t |h|<5までカバー(カロリメーター) 2007年2月1日

ATLASにおけるイベントシミュレーション Introduction ATLASにおけるイベントシミュレーション Full シミュレーション Geant4を用いて検出器を正確に再現 粒子の運動量の分解能や検出効率などを求める ジェットのキャリブレーションの研究もこのFullシミュレーションによって行った Atlfast Fullシミュレーションの結果を用いて、ジェネレーターで作られた粒子の運動量をsmearingすることにより、検出器シミュレーションの代わりにする。 ブラックホールの発見能力の研究や他の詳細測定についてはこのAtlfastで行なった 2007年2月1日

レプトン、光子のefficiency、fake Introduction レプトン、光子のefficiency、fake Muonは~800GeV程度で90% Isolationのカットの閾値 今回は全て10GeVを用いている Muon Electron Photon 電子、光子は~800GeVで 60%程度 ジェットから電子へのfake レプトン、光子のefficiency 200GeV程度で10-4程度のfake 2007年2月1日

ブラックホールの崩壊 ブラックホールの崩壊について ブラックホールイベントの特徴: 非常に多くのエネルギーの高い粒子が 放出される 2007年2月1日

ホーキング温度 ブラックホールの崩壊について MP=5TeV,MBH=8TeV MP=2TeV,MBH=5TeV このホーキング温度に従い、ホーキング輻射する:: ボソン(フェルミオン):c=-1(1) 2007年2月1日

放射される粒子 ブラックホールの崩壊について g,g,Z,W+,H d,u,s,c,b,t e-,ne,m-,nm,t-,nt 放射粒子の種類 ホーキング温度の違いによる 放射粒子(フェルミオン)の エネルギースペクトル PDG ID:1-6=d,u,s,c,b,t 11-16=e-,ne,m-,nm,t-,nt 21-25=g,g,Z,W+,H マイナスの付くものはそれぞれ反粒子 衝突した粒子から、カラー、フェルミオン数 電荷が保存されるように放出される 2007年2月1日

時間発展、grey-body factor、Remnant ブラックホールの崩壊について 時間発展、grey-body factor、Remnant 時間発展無し、greybody無し 光子のエネルギースペクトル 2体崩壊 時間発展有り、greybody無し 4体崩壊 時間発展無し、greybody有り 時間発展有り、greybody有り 時間発展、grey-body factorの 有無による違い Remnant崩壊による違い 時間発展、grey-body factor共にエネルギースペクトルを高い方にシフトさせる Remnantからの崩壊数が多い方がエネルギースペクトルが小さい方にシフトする 2007年2月1日

ブラックホールとバックグラウンドの生成断面積 ブラックホールの発見能力 ブラックホールとバックグラウンドの生成断面積 ジェネレーター ブラックホール::CHARYBDIS+HERWIG バックグラウンド::ALPGEN+HERWIG ブラックホールはMP=1,2,5TeV,n=2,3,4,5,6,7のパラメーターを用いた。 また、質量については、下限値MBHminを与え、それより大きい質量のものを作る様に 指定している。 MBHmin=2,5,8TeV(ただし、MBHmin>MPの場合のみ) 2007年2月1日

イベントセレクション ブラックホールの発見能力 ブラックホールイベントでは大量の高エネルギー粒子が放出される BH:MP=1TeV,MBHmin=5TeV,n=2 ttbar+jets BH:MP=5TeV,MBHmin=8TeV,n=7 ttbar+jets Multi jets Multi jets ブラックホールイベントでは大量の高エネルギー粒子が放出される ->4番目にPTの大きい粒子のPT>200GeV Multi jetsイベントやg+jetsイベントと区別するためにPT>200GeVレプトンがイベントに含まれることを要請する->トリガーもOK 2007年2月1日

ブラックホールの再構成 ISRからくる粒子と区別するため の粒子を選択 これらの粒子の運動量のベクトル和でブラックホールを再構成 ブラックホールの発見能力 ブラックホールの再構成 ISRからくる粒子と区別するため e,m,g:PT>10GeV,|h|<2.5 jet :PT>20GeV,|h|<2.5 の粒子を選択 これらの粒子の運動量のベクトル和でブラックホールを再構成 1fb-1 再構成されたブラックホールの質量分布(MP=1TeV,n=2,MBHmin=5TeV) とバックグラウンド 2007年2月1日

イベントセレクション後のイベント数(1fb-1) ブラックホールの発見能力 イベントセレクション後のイベント数(1fb-1) 過程 MBH>1TeV MBH>5TeV ブラックホール BH(MP=1TeV,n=2,MBHmin=5TeV) 10107 5770 BH(MP=1TeV,n=7,MBHmin=5TeV) 1291 869 BH(MP=2TeV,n=2,MBHmin=5TeV) 582 400 バックグラウンド Multi jets g+jets tt+jets 18 W+jets 31 1 Z+jets 14 2007年2月1日

誤差 ルミノシティーの測定誤差:<5% ジェットのエネルギースケール(JES)の不定性:±10%動かしてみて見積もった ブラックホールの発見能力 誤差 ルミノシティーの測定誤差:<5% ジェットのエネルギースケール(JES)の不定性:±10%動かしてみて見積もった レプトンのefficiencyの不定性による誤差 バックグラウンドの見積もりで、ジェネレーターでのスケールの違いによる誤差:+100% ブラックホールの生成断面積の理論的な不定性:20% ブラックホールの崩壊違いによる誤差 2007年2月1日

必要最小積分ルミノシティー ブラックホールの発見能力 MP=5TeV,MBHmin=8TeV MP=2TeV,MBHmin=8TeV 1fb-1 MP=1TeV,MBHmin=8TeV MP=2TeV,MBHmin=5TeV MP=1TeV,MBHmin=5TeV MP=1TeV,MBHmin=2TeV 発見(significance :S/√B>5かつS>10)に必要な最小限のルミノシティー 2007年2月1日

より正確な質量再構成1 質量の測定 消失横運動量が大きい->ニュートリノによって多くの運動量を持っていかれている                ->消失横運動量<100GeVのみを用いる 2007年2月1日

より正確な質量再構成2 サンプル:MP=1TeV,n=2,MBHmin=5TeV 質量の測定 ブラックホールの質量分布 e,m,g:PT>10GeV,|h|<2.5 jet :PT>20GeV,|h|<2.5 MissingEt<100GeV ブラックホールの質量分布 ブラックホールの質量の分解能 2007年2月1日

質量の測定 質量分解能(JES不定性の効果) 2007年2月1日

ジェットのキャリブレーション ジェットのキャリブレーション 40GeV<PT<200GeVの領域ではW->jjイベントなどにより、1%程度でJESのキャリブレーションが可能 200GeV以上ではこの様なイベントが少ないためキャリブレーションに用いれない p b-jet t W+ jet e-(m-) n W- _ 2つのジェットの不変質量が Wの質量になる様に キャリブレーションする 2007年2月1日

高横運動量領域ジェットのキャリブレーション Multi jetsイベントを使用 1つの高横運動量ジェットと小さなジェットが複数ある様なイベント 小さな横運動量のジェットはW->jj等により十分良くキャリブレーションできているとし、これらを用いて高横運動量ジェットのキャリブレーションを行なう イベントセレクション PT(Leading PT jet)>2×PT(Low PT jets) Leading Pt Jetを含め3つ以上の40GeV以上のPTを持ったジェットがある Df(Leading PT jetと残りのジェットの運動量のベクトル和)>160º Leading Pt jet Low PT jets 2007年2月1日

キャリブレーション結果(1fb-1) ジェットのキャリブレーション 4500events(1fb-1) 92events(1fb-1 ) ジェットエネルギースケール不定性: 0.10% at PtJ = 400GeV ジェットエネルギースケール不定性: 0.49% at PtJ = 800GeV 2007年2月1日

ジェットのキャリブレーション 質量分解能(JES不定性1%) 2007年2月1日

ホーキング温度の測定 ホーキング温度 ホーキング温度をブラックホールの質量分布として 時間発展 :off 測定し、これを左下の式でフィットすることでプランクスケールや余剰次元を求める 実験の際に考慮しなくてはならない点: 理論的側面 時間発展、grey-body factor 検出器の効果等 粒子の検出効率、分解能 再構成されたブラックホールの質量の分解能 イベントセレクションの効果 topやWの崩壊で来る2次粒子 これらの効果を全て補正する必要がある 時間発展 :off grey-body factor :off 電子のエネルギースペクトル(Truth) (MP=1TeV,n=2,MBH=5-5.5TeV) TH=179-173GeV (MP=1TeV,n=2,MBH=5-5.5TeV) 2007年2月1日

MBH vs TH ホーキング温度 Truth(時間発展有り、grey-body有り) Truth(時間発展無し、grey-body無し) 時間発展やgrey-body factorを考慮するとエネルギーの高い粒子が多くなり、ホーキング温度も高くなる(青) 理論的にこれらが良く分かれば補正可能 検出器等の効果については、複数の効果があり、補正の研究がまだしっかりと出来てないので、今後の課題 Atlfast、イベントセレクション後(1fb-1) (時間発展有り、grey-body有り) 理論曲線 2007年2月1日

生成断面積のプランクスケール依存性 プランクスケールの測定 ブラックホールの生成断面積(MBH:5-14TeV) 余剰次元の数にはほとんど依らないが プランクスケールには強く依存する ->生成断面積からプランクスケールを求められる ->セレクションで残ったイベント数を用いる 2007年2月1日

全てのセレクション後のイベント数 プランクスケールの測定 BH(MP=1TeV,n=4,MBHmin=5TeV) 誤差範囲 消失横運動量によるカットも含めた全てのセレクション後のイベント数の プランクスケール依存性(MBH:5-14TeV) 細い線は誤差の上下を表す 最も大きな誤差はMBHminの測定からくる生成断面積の評価の誤差 (この図ではJES10%の精度) 2007年2月1日

プランクスケールに対する制限 プランクスケールの測定 図の統計は1fb-1 BH(MP=1TeV,n=2,MBHmin=5TeV) 122GeV<MP<1306GeV 550GeV<MP<1672GeV 過去に付けれた制限と合わせれば 800GeV<MP<1306GeV 2007年2月1日

プランクスケールに対する制限(JES1%) プランクスケールの測定 プランクスケールに対する制限(JES1%) BH(MP=1TeV,n=2,MBHmin=5TeV) BH(MP=1TeV,n=4,MBHmin=5TeV) 508GeV<MP<1164GeV 705GeV<MP<1529GeV 図の統計は1fb-1 誤差は統計エラーに比べてブラックホールの質量の不定性による 誤差の方が大きい(1fb-1の統計量で得られる統計誤差の10倍程度) 2007年2月1日

まとめ ATLAS実験におけるブラックホールの発見能力、発見後の性質の測定について研究を行った。 MP<2TeV、MBHmin<5TeVの様な場合には、1fb-1程度のデータ量で十分発見可能であることを示した。 ホーキング温度の測定によるプランクスケールや余剰次元の測定は、検出器等の効果を補正する必要があり、今後の課題である。 ブラックホールの生成断面積の情報から、プランクスケールの測定が可能であることを示した。 MP=1TeV、n=2、MBHmin=5TeVの場合には30%程度の誤差でプランクスケールが求められることを示した。 この誤差の最大の要因はジェットのエネルギースケールの不定性で(10%とした)、これが1%程度の精度でキャリブレーションできれば20%程度まで誤差を小さく出来ることを示した。 2007年2月1日

Back Up Slides 2007年2月1日

ホーキング温度(時間発展やgrey-body factorの効果) 時間発展 :on grey-body factor :on 電子のエネルギースペクトル(Truth)(MP=1TeV,n=2,MBH=5-5.5TeV) 2007年2月1日

MBH vs TH (efficiency、smearingの効果) ホーキング温度 MBH vs TH (efficiency、smearingの効果) 電子のefficiencyの効果を補正 再構成された粒子と対応のついたTruthのみ (電子のefficiencyの効果) Smearing後 2007年2月1日

MBH vs TH (その他の効果) ホーキング温度 ブラックホールから直接放射された イベントセレクションの効果 電子とtop等の崩壊から来た電子の エネルギー分布 イベントセレクションの効果 (レプトンの横運動量に対するセレクション) 2007年2月1日

MBH vs TH ホーキング温度 電子のefficiencyだけを補正したもの ->他の補正をきちんとしないと難しい 2007年2月1日

ブラックホールの質量分布 ブラックホールの質量分布(Truth) ブラックホールの質量分布(再構成) ブラックホールの質量分布は、左図の様に下限値から大きくなるにつれ急速に落ちていく様な分布 をしている。これより得られた質量分布のピークをガウシアンでフィットしてその中心値を下限値とする。 ジェットのエネルギースケールの不定性によって、この測定は大きな不定性を持つ。 さらに、元の分布が左図の様になっているため、単にガウシアンでフィットすると少し大きな値を出してしまう。 この時のずれがプランクスケールの測定の際の最も大きな誤差となっている。 ブラックホールの質量分布(Truth) ブラックホールの質量分布(再構成) 2007年2月1日

2007年2月1日