プラズモニック構造付シリコン光検出器のHPC援用設計に関する研究

Slides:



Advertisements
Similar presentations
静脈画像を鍵とする暗号化手 法に関する研究 大山研究室 安藤のぞみ. 研究の背景、目的 近年、バイオメトリクス認証が注目されて いる 静脈は身体内部の情報 → 偽造に強い 環境に左右されることが少ない 利用者の心理的抵抗が軽減される オープンなネットワークへのバイオメトリ クス認証の適用 : Double.
Advertisements

磁歪素子を用いた3軸球面モータの 駆動原理と特性評価
科学のおもしろさの中から省エネを考えよう!
高エネルギー加速器研究機構 物質構造研究所-中性子科学研究施設 佐藤節夫
単一分子接合の電子輸送特性の実験的検証 東京工業大学 理工学研究科  化学専攻 木口学.
新しいVPHグリズムおよび 櫛形格子のグリズム
9月27日 パラボラミラーによる ミリ波ビーム絞り
木下基、Manyalibo J. MatthewsA、秋山英文
モード付き並列機械における オンラインスケジューリング
CRL 高周波磁界検出用MOインディケーターの合成と評価 1. Introduction 3. Results and Discussion
第1回応用物理学科セミナー 日時: 5月19日(月) 15:00ー 場所:葛飾キャンパス研究棟8F第2セミナー室 Speaker:鹿野豊氏
電子物性第1 第6回 ー原子の結合と結晶ー 電子物性第1スライド6-1 目次 2 はじめに 3 原子の結合と分子 4 イオン結合
前回の内容 結晶工学特論 第5回目 Braggの式とLaue関数 実格子と逆格子 回折(結晶による波の散乱) Ewald球
第5世代移動通信における構造物の影響の解明
1. イントロダクション:溶液中における構造不均一性の形成と拡散
支援課題名 フッ素化合物の合成(課題番号:S-13-NI-21)
ひび割れ面の摩擦接触を考慮した損傷モデル
P4 通信システム P4.1 ディジタルフィルタの設計とその応用 P4.2 伝送線路のFDTD解析 P4.2 H4.1 P4.1 H4.1
佐藤勝昭研究室 OB会2003年11月22日  磁性MOD班.
PIC/MCによる窒素RFグロー放電シミュレーション
Fig. Crystal structure of Nd2Fe14B
Jh NAHI 横田 理央 (東京工業大学) Hierarchical low-rank approximation methods on distributed memory and GPUs 背景  H行列、H2行列、HSS行列などの階層的低ランク近似法はO(N2)の要素を持つ密行列をO(N)の要素を持つ行列に圧縮することができる。圧縮された行列を用いることで、行列積、LU分解、固有値計算をO(NlogN)で行うことができるため、従来密行列の解法が用いられてきた分野では階層的低ランク近似法
電磁気学C Electromagnetics C 5/28講義分 電磁波の反射と透過 山田 博仁.
一般財団法人 VCCI 協会 教育研修専門委員会
遺伝子導入効率No.1を目指す ナノ・ニードル基板デバイスの開発
HPC基盤における大量データ転送のためのデータ転送ツールの評価
プラズモン共鳴を用いたC-dot-Ag ナノ粒子-シリカコンポジット 薄膜蛍光増強
アンテナ最適化技術と電波伝搬シミュレーション技術の高速化と高精度化
研究課題名 研究背景・目的 有機エレクトロニクス材料物質の基礎電子物性の理解 2. 理論 3. 計算方法、プログラムの現状
一つのテーマの全体を通して遂行するには様々な力が必要
導電性高分子材料の電子状態計算に現れる連立一次方程式に対する 並列直接解法の高性能化
高分解能ビーム軌道傾きモニターの設計開発
高エネルギー陽子ビームのための高時間分解能 チェレンコフビームカウンターの開発
航空エンジンの翼列周り流れ解析のメニーコアシステム向け最適化
生体親和性発光ナノ粒子の医薬送達担体への応用
電磁気学C Electromagnetics C 6/17講義分 電磁波の偏り 山田 博仁.
第12回(12月15日):遺伝子診断用マイクロデバイス
課題演習B1 「相転移」 相転移とは? 相転移の例 担当 不規則系物理学研究室 松田和博 (准教授) 永谷清信 (助教)
Mini-RT装置における 強磁場側からの異常波入射による 電子バーンシュタイン波の励起実験
課題研究Q2            2017年度用 「光物性」の研究紹介  京都大学大学院理学研究科  物理学第一教室 光物性研究室 1.
GW space-timeコードの大規模な有機-金属界面への適用に向けた高効率化
背景 課題 目的 手法 作業 期待 成果 有限体積法による汎用CFDにおける 流体構造連成解析ソルバーの計算効率の検証
適応的近傍を持つ シミュレーテッドアニーリングの性能
メッシュ付きμ-PICの メッシュ構造の最適化のシミュレーション Maxwell3DとGarfield
信号伝搬時間の電源電圧依存性の制御 による超伝導単一磁束量子回路の 動作余裕度の改善
偏光X線の発生過程と その検出法 2004年7月28日 コロキウム 小野健一.
課題演習B1 「相転移」 相転移とは? 相転移の例 担当 不規則系物理学研究室 八尾 誠 (教授) 松田和博 (准教授) 永谷清信 (助教)
ディラック電子系分子性導体への静電キャリア注入を目的とした電界効果トランジスタの作製および物性評価
高精細計算を実現するAMR法フレームワークの高度化 研究背景と研究目的 複数GPU間での袖領域の交換と効率化
堆積炭塵爆発に対する大規模連成数値解析 研究背景 研究目的 計算対象および初期条件 燃焼波の様子(二次元解析) 今後の予定
高プロトン伝導性ポリイミド薄膜の配向構造解析(S-13-NU-0012)
マイクロ波生成プラズマの分光測定 環境計測 高橋 順三.
P4 通信システム P4.1 ディジタルフィルタの設計とその応用 P4.2 伝送線路のFDTD解析 P4.2 H4.1 P4.1 H4.1
MD計算による血小板細胞膜蛋白とリガンド結合の立体構造および結合の力学特性の解明(loss of function 型変異体に関して)
外部共振器型半導体レーザー装置の製作 物理工学専攻 小菅 洋介 (M1) 〔指導教員: 熊倉 光孝〕
研究背景と目的 解析結果・グラフ 解析手法 今後の展望 太陽光模擬の高精度化 熱中症リスク評価シミュレータの開発と応用
Jh NAHI 横田 理央 (東京工業大学) Hierarchical low-rank approximation methods on distributed memory and GPUs 背景  H行列、H2行列、HSS行列などの階層的低ランク近似法はO(N2)の要素を持つ密行列をO(N)の要素を持つ行列に圧縮することができる。圧縮された行列を用いることで、行列積、LU分解、固有値計算をO(Nlog2N)で行うことができるため、従来密行列の解法が用いられてきた分野では階層的低ランク近似
■ 背景 ■ 目的と作業内容 分子動力学法とフェーズフィールド法の融合による 粒成長の高精度解析法の構築 jh NAH
研究課題名 大規模計算資源を活用したアンテナ最適化技術と 電波伝搬シミュレーション技術の高度化
課題演習B1 「相転移」 相転移とは? 相転移の例 担当 不規則系物理学研究室 松田和博 (准教授) 永谷清信 (助教)
DECIGOの光学設計の検討 第17回DECIGOワークショップ 2018.11.1 川村静児(名古屋大学)
ASTE搭載用ミリ波サブミリ波帯 多色ボロメータカメラ光学系の開発 竹腰達哉 北海道大学修士課程2年 Collaborators:
生体分子解析学 機器分析 分光学 X線結晶構造解析 質量分析 熱分析 その他機器分析.
MEMS技術×金属組織学=新たな医療デバイス
2008年 電気学会 全国大会 平成20年3月19日 福岡工業大学 放電基礎(1)
弱電離気体プラズマの解析(LXXVI) スプラインとHigher Order Samplingを用いた 電子エネルギー分布のサンプリング
信号伝搬時間の電源電圧依存性の制御 による超伝導単一磁束量子回路の 動作余裕度の改善
従来研究 本研究 結果 南極大型大気レーダーPANSYで観測された大気重力波の数値モデル再現実験による力学特性の解明
大規模粒子法による大型クルーズ船の浸水解析
KOPIO実験のための中性子不感型光子検出器の設計
Presentation transcript:

プラズモニック構造付シリコン光検出器のHPC援用設計に関する研究 EX17105 (北海道大学情報基盤センター推薦課題) 佐藤 弘明 (静岡大学電子工学研究所) プラズモニック構造付シリコン光検出器のHPC援用設計に関する研究 背景と目的 表面プラズモン(surface plasmon: SP)は、貴金属の界面に励起される電子の粗密波であり、外部光との結合によって金属表面から数十nm程度の空間内に強い電場(近接場)を形成する。 近年、このプラズモニック構造における光局在性を利用し、特定の微小領域に集光する等の魅力的な光検出器の研究が活発に行われている。 本研究組織も一例として、100 nm厚の薄いシリコンで構成された光検出器に対し、金の回折格子型プラズモニック構造を上部に配置すると、特定波長、特定偏光の光に対して、受光感度を桁で向上できることを明らかにした [1, 2]。 その際、有限差分時間領域(FDTD)法を用いた電磁界解析を実施したが、周期境界条件の適用や2次元空間の解析によって計算コストを抑制しており、FDTD法が有する解析対象への汎用性が著しく制限されていた。 本研究組織では最近、2次元ホール・アレイ型回折格子による光学バイオセンサー(回折格子近傍の屈折率変化によって分子を検出するセンサー)や、プラズモニック・アンテナによる微細シリコンの受光感度向上について検討しており、設計には3次元空間の大規模電磁界解析が必要不可欠である。 本研究課題では、種々のプラズモニック構造付シリコン光検出器を統一的に解析できるプログラムコードを開発し、HPC援用設計を実現させる。 図1. 回折格子型プラズモニック構造付薄膜シリコンフォトダイオード 図2. 作製したデバイス 図3. FDTD法による特性予測と実験結果との比較 [1] H. Satoh and H. Inokawa, IEEE Trans. Nanotechnology, vol. 11, no. 2, pp. 346-818, 2012. [2] H. Satoh, A. Ono, and H. Inokawa, IEEE Trans. Electron Devices, vol. 60, no. 2, pp. 812-818, 2013. 研究計画 3次元FDTD法のベクトル化・並列化を考慮したFortranコーディング スーパーコンピュータ HITACHI SR16000 にて、ベクトル化(ループレベル最適化)、および並列化のためのコーディングを行い、計算性能を最大限に引き出すための検討を行う。 解析解、ビーム伝搬法、厳密結合波解析等による光学的な原理の体系化 解析対象に含まれる個々の光学現象を理解するため、 FDTD法で得られた電磁界のトータルフィールドと、個々の光学現象を重ね合わせた結果を比較して、光学的な動作原理を適切に体系化する。 (3) プラズモニック構造付シリコン光検出器に対するHPC援用設計の実践 種々のプラズモニック構造付きシリコン光検出器に対するHPC援用設計を実践し、それぞれの設計指針を示す。さらに本研究の汎用性について明らかにする。 (4) JHPCN課題への応募 同様のデバイスを作製・評価している他グループの研究者と協力し、本研究の成果を多角的に検証すること、汎用性を高めることを課題とし、JHPCNへの応募を目指す。 研究組織 佐藤弘明(静岡大学)、辻 寧英(室蘭工業大学)、大宮 学(北海道大学)、猪川 洋(静岡大学)