神奈川県民向け 「薬局・薬剤師活用度アンケート」 調査から見えるもの ~セルフメディケーションに関する意識と かかりつけ薬局の今後の課題~ 神奈川県民向け 「薬局・薬剤師活用度アンケート」 調査から見えるもの ~セルフメディケーションに関する意識と かかりつけ薬局の今後の課題~ 公益社団法人 神奈川県薬剤師会地域保健委員会 ○小川 亮子、塚本 久美、大島 崇弘、市川 和子、 宇井 敬、澤田 弘之、田中 大嗣、樋島 学、 林 直子、堀川 壽代、佐藤 克哉、岩出 信幸、 長津 雅則、唐澤 淳子、後藤 知良
【背景】 平成9年 「薬局のグランドデザイン ー将来ビジョンと21世紀初頭に向けての活動方針ー」 日本薬剤師会 平成25年6月 日本再興戦略 薬局の求められる機能とあるべき姿 厚生労働省 平成25年10月 「患者のための薬局ビジョン」 ~「門前」から「かかりつけ」そして「地域」へ~ 厚生労働省 平成26年4月 「健康サポート薬局」制度施行 県民の「かかりつけ薬局」の認知度 セルフメディケーションに対する県民の意識 調査 セルフメディケーション推進のため薬剤師の意識改革
【方法】 調査協力団体(順不同 敬称略) アンケートを実施し、データの解析を行った。 時期:平成27年度前半 アンケート対象:20代以上の男女 調査協力団体(順不同 敬称略) 日本チェーンドラッグストア協会 かながわ消費者の会 南区・横須賀市・小田原市・鎌倉市・相模原市薬剤師会 社会保険診療報酬支払基金神奈川支部 神奈川県国民健康保険団体連合会 神奈川県薬剤師会地域保健委員会(旧地域医療委員会)では、これまでに「県民のセルフメディケーションに関する意識調査」、「薬剤師のセルフメディケーション推進・啓発の取り組み状況に関する調査」、薬局・薬剤師活用度調査」を行ってきた。その結果「かかりつけ薬局」の認知度は高かったが、健康相談できる対象としてはまだ認知されておらず、セルフメディケーション推進機能を十分発揮しているとは言い難いことが分かった。これらの結果を踏まえ薬剤師会全体で問題を共有し、意識改革を図るべく研修会を開催した。
【結果】 ≪かかりつけ薬局の認知度及び所有率≫ 46.4% 「かかりつけ薬局」を持っている人 全体の 「かかりつけ薬局」を ご存知ですか? 「かかりつけ薬局」を ご存知ですか? 「かかりつけ薬局」を お持ちですか? 無回答 10.3% 無回答 3.1% いいえ 25.8% いいえ 24.4% はい 65.3% はい 71.0% 「かかりつけ薬局」を持っている人 全体の 46.4%
どのような薬局だったら もっと活用できると思いますか? 【複数回答可】 開局時間が長い/ 休日も営業している 薬局の薬剤師を 信頼できる 健康相談を行っている 処方元の病院や 診療所から近い 検体検査を行っている 漢方薬の取り扱い 健康情報資材を 取り扱っている 一般用医薬品の取り扱い 保険調剤の取り扱い 医療用具の取り扱い 介護用品の取り扱い 生活雑貨・化粧品の 取り扱い その他 無回答
健康の情報や知識は どうやって得ていますか? 健康の情報や知識は どうやって得ていますか? 【複数回答可】 テレビやラジオの番組 インターネット 新聞 友人・知人から 医師から 病院や医院にある パンフレット 健康情報誌・雑誌 薬局にある パンフレット 一般の週刊誌・雑誌 薬剤師から 話題の健康法 ダイレクトメール その他 無回答
【アンケート結果から】 「かかりつけ薬局」という言葉の認知度は70% 「かかりつけ薬局」を持っていると回答した県民は 46.4% 「かかりつけ薬局」を持っている人の数は 十分ではない。 薬局選択の理由 「処方元の医療機関からの近さ」が最も多く、続いて 「保険調剤の取り扱い」「薬局薬剤師が信頼できる」 「開局時間が長く休日も開局していること」 「健康相談をおこなっていること」が望まれている。 県民のニーズに合わせた開局時間の設定、 健康相談機能の充実が必要である。
薬剤師に対して「親しみやすく、相談しやすい」と 感じている人は多い。 しかし、健康情報源として 薬剤師はほとんど利用されていない。 イメージと実情の矛盾 情報源として 薬剤師の利用を妨げる要因が存在?!
【県民へのアンケート結果を踏まえて】 薬剤師による県民のセルフメディケーション推進 薬局薬剤師の意識改革 「かかりつけ薬局」を持っている人が少ない 県民のニーズに合わせた対応が整っていない 県民への「かかりつけ薬局」の機能の周知 相談機能の充実と利用度の改善 薬剤師による県民のセルフメディケーション推進 薬局薬剤師の意識改革 セルフメディケーション研修会企画・開催
【セルフメディケーション研修会企画】 目的:アンケート結果を踏まえ、問題意識を 共有し、薬剤師の意識改革を目指す。 特に県民の関心の高い健康情報項目に 重点を置いた研修会を通して 薬局・薬剤師の健康相談機能の拡充を図る。
第1回セルフメディケーション研修会開催 ①相談相手として薬剤師が浸透しない理由は何か? 目的:総論としてセルフメディケーションについて深く考察する 対象:県内薬局薬剤師 参加人数 54名 日時:H28.8.21 研修内容:講演1「協会けんぽの取り組みについて」 全国健康保険協会神奈川支部 講演2「薬局薬剤師に期待すること (健康食品と消費者)」 特定非営利活動法人神奈川県消費者の会連絡会 スモールグループディスカッション ①相談相手として薬剤師が浸透しない理由は何か? ②薬剤師が積極的に関わるために何をするか? ③薬剤師が関わる意義とは? ¾がOTCの販売経験あり。
【研修会アンケート結果】
【参加薬剤師の意識変化】 「セルフメディケーションとは?」 研修会前 病気になる前に自分でできる検査の値をチェックして自分自身で正常値にな る努力をする事 本人自身での健康管理(体調管理) 体調が悪くなった際は、安静にしたりして体調を整える事につとめ、それで も良くならない場合はOTCなどを使用してみる。それでも改善されない場 合に受診をする等 まず自助を考える。 病院、薬等に頼らず、普段の生活からいかに健康維持をしていくか 自分の健康を自身の力で整えていく
【参加薬剤師の意識変化】 「セルフメディケーションとは?」 研修会後 かかりつけ薬剤師としてセルフメディケーションの相談者を目指す。 高齢化や健康食品なども含めた健康指導者としての健康生活 地域にもっとかかりあい、かかりつけ薬剤師になり患者さんから専門性のあ る助言ができれば医療費もつめることができる 情報発信の場になるよう医薬品だけではなくOTCや健康食品の知識も増や すようにする セルフメディケーションは患者さんが自分で管理するだけでなく、専門性を 持った薬剤師が係わる事が重要だが、それを地域の人へアピールする必要が ある
【薬剤師の意識改革】 セルフメディケーション研修会の講義、 SGDを通して、各自がとらえているセルフ メディケーションに対する意識変化 地域住民が意識して行うもの 薬局・薬剤師の積極的な関わりが必要
【まとめ】 薬局がセルフメディケーションの相談相手として 利用されていない現状からセルフメディケーショ ンへの薬剤師の積極的な関与が必要である。 そのための方法を模索するSGDを含んだ研修会は 薬剤師の意識改革へ有効であり、今後も継続して 研修会を企画・開催し、薬剤師によるセルフメ ディケーション推進への意識改革を促していく必 要がある。