メッシュ付きμ-PICの動作検証 2006年度卒業研究 0333116s 道前 武.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
物理化学 福井工業大学 工学部 環境生命化学科 原 道寛. 物理化学: 1 章原子の内部 (メニュー) 1-1. 光の性質と原子のスペクトル 1-2. ボーアの水素原子モデル 1-3. 電子の二重性:波動力学 1-4. 水素原子の構造 1-5. 多電子原子の構造 1-6.
Advertisements

ガス検出器: 散乱体 反跳電子の飛跡と Energy シンチレーションカメラ : 吸収体 散乱γ線の吸収点と Energy μ-PIC+GEM.
GEM検出器による CF4混合ガス中の電子増幅 仁藤研究室.
BL45XU実験報告 京都大学 服部香里.
XeガスとGEMを使って高いエネルギーのX線を捕らえる
W e l c o m ! いい天気♪ W e l c o m ! 腹減った・・・ 暑い~ 夏だね Hey~!! 暇だ。 急げ~!!
テフロンGEM 宇野 彰二 KEK 2015.12.05 MPGD研究会.
素粒子実験に用いるガス検出器の原理と動作
単色X線発生装置の製作 ~X線検出器の試験を目標にして~
Determination of the number of light neutrino species
Double Beta Decay 木河達也、福田泰嵩.
ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊探索に向けた キセノン比例シンチレーション検出器の開発
理研における ガス電子増幅フォイル(GEM)の開発と その応用
電子物性第1 第6回 ー原子の結合と結晶ー 電子物性第1スライド6-1 目次 2 はじめに 3 原子の結合と分子 4 イオン結合
赤外線センサを用いた回路の設計及びそのシミュレーション
MPGD GEM特性 測定結果 2005年10月 4日 内田 智久.
CsIシンチレータとMAPMT ヘッドアンプユニットを用いた 動作実験
天体核反応測定のための イオンチェンバー開発
2次元蛍光放射線測定器の開発 宇宙粒子研究室 氏名 美野 翔太.
microTPC を用いたガンマ線 イメージング検出器の開発V
MICE実験におけるSci-fi飛跡検出器 プロトタイプの性能評価
μ-PICと光電子増倍管を用いた 放射線の三次元測定 2008年度課題研究P6 μ-PIC班 石神直大 澤野達哉 義川達人
報告 東京大学 ICEPP 森研 M2 金子大輔.
6/18 Meeting用.
単色X線発生装置の製作 副島 裕一.
ATLAS実験 SOI Transistor TEG の測定
μPIC の高ゲイン化 ー高エネルギー実験への応用ー
μ-TPCの 重イオン照射に対する応答 京都大学宇宙線研究室 西村広展 早稲田大学理工総研a、KEKb、JAXAc
Dissociative Recombination of HeH+ at Large Center-of-Mass Energies
~ワイヤーチェンバーを手作りして素粒子・原子核実験を体験~
Micro Pixel Chamberにおける 電子ドリフトおよびガス増幅の シミュレーション
村上武、仲吉一男、関本美智子、田中真伸、
理研におけるレーザーを用いた ガス電子増幅(GEM)フォイルの開発
筑波大学高エネルギー 原子核実験チーム
トリガー用プラスチックシンチレータ、観測用シンチレータ、光学系、IITとCCDカメラからなる装置である。(図1) プラスチックシンチレータ
測定結果(9月) 2005年10月7日.
メッシュ付きm-PICの安定動作と 最適化に向けた研究
マイクロMEGASを用いた X線検出器の開発
研究背景 電荷移行反応とは・・・ 核融合(重水素 + 三重水素→ヘリウム原子核+中性子) ・・・しかし、
光電効果と光量子仮説  泊口万里子.
大光量Long Pulseに対するMPPCの性能評価

M.Taguchi(kyoto) 5/17 KEK測定器開発室ミーティング
μ-PICによる高速中性子線イメージング
2008年2月Spring-8実験報告+α 2008/2/8-9 服部香里.
MPPC R&D M.Taguchi(kyoto).
APDを用いた放射線計測 P6  γ班 池田英樹 中村祥吾.
X線CCD検出器 ーCCD‐CREST(deep2)ー の性能評価と性能向上 (京阪修論発表会)
メッシュ付きμ-PICの メッシュ構造の最適化のシミュレーション Maxwell3DとGarfield
Dark Matter Search with μTPC(powerd by μPIC)
偏光X線の発生過程と その検出法 2004年7月28日 コロキウム 小野健一.
X線CCD新イベント抽出法の 「すざく」データへの適用
X線CCD新イベント抽出法の 「すざく」データへの適用
ダークマター検出器の だあくまたん 低圧ガスでの動作パラメータの最適化 京大理 中村 輝石 NEWAGE 低圧ガス ラドン除去システム
Lamb Shiftの観測 石山、土橋、林野、吉田.
教育用放射線検出器の開発 立教大学物理学科4年 指導教員 07CB024F 川茂唯順 竹谷篤 07CB049K 高橋達矢 村田次郎
永久磁石を用いた高出力マイクロ波 放電型イオン源の開発
京大理 身内賢太朗 平成22年度東京大学宇宙線研究所 共同利用研究成果発表会
報告080710 東大 ICEPP 森研 M2 金子大輔.
ガス電子増幅器を読み出しに用いた タイムプロジェクションチェンバー (GEM-TPC)の開発
Astro-E2搭載XISの電荷注入機能を用いた 較正方法の 開発
ガスの低圧化による ダークマター検出器の高感度化
マイクロ波生成プラズマの分光測定 環境計測 高橋 順三.
pixel 読み出し型 μ-PIC による X線偏光検出器の開発
Simulation study for drift region
ガス電子増幅器を読み出しに用いた タイムプロジェクションチェンバー (GEM-TPC)の開発
低速小型多価イオンビーム装置の開発 ~イオンビーム偏向器、及びビームプロファイルモニター~
5×5×5㎝3純ヨウ化セシウムシンチレーションカウンターの基礎特性に関する研究
TES型カロリメータのX線照射実験 宇宙物理実験研究室 新井 秀実.
シンチレーションファイバーを 用いた宇宙線の観測
Presentation transcript:

メッシュ付きμ-PICの動作検証 2006年度卒業研究 0333116s 道前 武

1.Introduction 検出の原理 ・ハイレートな信号に対応できない ・構造が複雑(組み立てが大変) + + X線などの電磁波( E≧5.9[keV ] ) + コンプトン効果 光電効果 Ar + Ar 電離作用 ワイヤーを使った検出器(比例計数管)の動作原理 ・ハイレートな信号に対応できない ・構造が複雑(組み立てが大変) 問題点→

μ-PICとは… Micro Pixel Chamber マイクロ(μ)パターンのピクセル(PIXEL) の基盤を用いた検出器               の基盤を用いた検出器 マイクロパターンのピクセル 236μm 300μm Cathode(ニッケル) Cathode(銅) μ-PICの動作原理 + Ground (0[V]) 5μm 80μm 10μm ポリイミド Anode(銅) ・陽イオンがCathodeにドリフトするので比較的ハイレートな信号にも対応できる ・構造が単純 ・大量生産できれば安価に製作できる

電場が強くなり電子のもつエネルギーが増す →ゲインが増す 問題点→ガス増幅(ゲイン)が上がらない 解決法・・・網目のごく小さい導電体で出来たメッシュを基盤の上に張りマイナスの電圧をかける 電場が強くなり電子のもつエネルギーが増す →ゲインが増す 素材:ニッケル  網目の間隔:50[μm] 厚さ:20[μm]程 負電圧をかけたメッシュ + +

2.Set Up メッシュの張り方 放電 パターンA パターンB カプトンテープ(絶縁テープ)で止める カプトンテープ(絶縁テープ)で止める パターンA パターンB メッシュ 厚さ100[μm]前後のプラスティックの板 穴をあけたプラスッティック板 メッシュをボンドで止める Meshの平均の高さ:340[μm] Meshの平均の高さ:195[μm] 放電 Drift、Mesh、Anode、Cathodeそれぞれの間でどこかが電位差が多きすぎると放電して壊れてしまう →慎重に電圧をかけなければならない MeshとAnodeが放電してしまったパターン

ガスの密閉性と酸素濃度 酸素は逆に電子を吸着する恐れがある→酸素濃度が少ないほうがよい ~μ-PIC内の酸素濃度の変化のチェック~ 使用しているガス:アルゴンエタン(アルゴン90%+エタン10%)  ・アルゴンが光電効果を起こしやすい  ・アルゴンは電子を吸着しにくい(希ガスはイオン化しやすい)  ・手に入りやすい  ・エタンが紫外線を吸収する(によって発生した紫外線) 酸素は逆に電子を吸着する恐れがある→酸素濃度が少ないほうがよい ~μ-PIC内の酸素濃度の変化のチェック~ 酸素濃度の変化 酸素濃度[ppm] 密閉度をチェックする ガス μ-PIC 酸素濃度計 排気 TIME[min]

測定方法と周辺機器(接続方法) オシロスコープ GATE ADC それぞれの設定で5000個のサンプルをとる

使用した線源 グラフの読み取り 使用した線源・・・Fe55 + 85% 15% + + X線 最外殻 Auger electron 紫外線 ピーク 85% エスケープピーク 15% + 最外殻 Auger electron エスケープピークとなる + 紫外線

検出機器のキャリブレーション ADCの値に対する実際の増幅率を調べる 1[pF]

3.Experiment それぞれのMesh電圧に対するDriftの適正電圧を調べる Mesh:0[V] Mesh:-50 まずパターンAでのメッシュの張り方で測定した それぞれのMesh電圧に対するDriftの適正電圧を調べる Anode:450[V]で固定してDriftの値を変化させていく Mesh:0[V] Mesh:-50 MeshとDriftとの電圧差が100[V]になる辺りでゲインのピークが得られる

パターンAでのゲインの変化 Mesh:0[V] Mesh:-50[V] Mesh:-100[V] Mesh:-150[V] それぞれのMesh電圧でAnodeの電圧を上げてゲインの変化を見る Driftの電圧は常にMeshの電圧との差が100[V]になるように設定 Mesh:0[V] Mesh:-50[V] Mesh:-100[V] Mesh:-150[V] Mesh:-150[V]、Drift250[V]、Anode:500[V]でのゲインが一番高くなった→14367 Meshに-200[V]かけた時に放電してしまう

それぞれのMesh電圧に対するDriftの適正電圧を調べる 次にパターンBでのメッシュの張り方で測定した それぞれのMesh電圧に対するDriftの適正電圧を調べる Mesh:0[V] Mesh:-50[V] Mesh:-100[V] Mesh-150[V] Mesh:-200[V] Anode:450[V]で固定してDriftの値を変化させていく Meshが0[V]、-50[V]、-100[V]の時→MeshとDriftの差が150[V]付近でゲインのピークがくる Meshが-150[V]の時→差が200[V] Meshが-200[V]の時→差が350[V] でピークになった

パターンBでのゲインの変化 一番ゲインが高かったのはMesh-200[V]、Anode490[V]、Drift-550[V]のとき →26015 Anodeに500[V]、Meshに-200[V]かけた時に放電してしまう

4.Results ゲインを上げるには →Meshの使用 最もゲインが高くなる条件は →なるべく高いAnode電圧とMesh電圧、またそのMesh電圧に適したDrift電圧をかける !注意! あまり電圧を上げすぎると放電してしまう(安定しない) →検出器として使うには安定した動作が必要不可欠 更にゲインを上げる為には・・・ ・ガスを他の物を使ってみる ・それぞれの電圧をもっと変えてみる ・Mesh、Anode、Driftのそれぞれの距離を変化させる ・表面観察(どのようなところで放電が起こり易いかを調べる)

1.Introduction 3.Experiment 目次 1.Introduction 3.Experiment         1.1 ガス検出器について        3.1 測定方法 1.2 目標 3.2 メッシュの効果の測定 1.3 μ-PICとは 3.3 適正電圧 2.Setup 4.Results 2.1 メッシュの張り方 2.2 ガスの密閉性と酸素濃度 2.3 ブロック図 2.4 使用した線源

2.Set Up D C B A H G F E L K J I メッシュの張り方→2つのパターンで張りそれぞれの状態で測定した パターンA カプトンテープ(絶縁テープ)で止める カプトンテープ(絶縁テープ)で止める パターンA パターンB メッシュ 穴をあけたプラスッティック板 メッシュをボンドで止める 厚さ100[μm]前後のプラスティックの板 D C B A H G F E L K J I メッシュの素材:ニッケル メッシュの間隔:50[μm]

周辺機器(接続方法) x:count 数 y:ADC値 ~ADCとその仕組み~ より 両辺をtで積分して よって ※ADCは125[fc]で1[count]とする x:count 数 y:ADC値