pixel 読み出し型 μ-PIC による X線偏光検出器の開発 2004年9月22日 日本天文学会 2004年秋季年会 京都大学 理学研究科 宇宙線研究室 小野健一 偏光X線検出の意義 strip読み出し型μ-PIC pixel読み出し型μ-PIC
宇宙における偏光X線の発生 例えば、Synchrotron放射の場合 かに星雲の磁場 磁場に垂直な 面内で直線偏光 B 偏光方向から 磁場の構造がわかる! OSO-8衛星(1976-1978) Bragg反射を利用して かに星雲の偏光度20%を検出 ⇒それ以降有意な観測はない
光電効果による検出 z y x φ 偏光方向が推定できる 数keV~数10keVで支配的な相互作用 連続的なエネルギーに感度(Bragg反射と異なり単色ではない) z 光電子放出方向分布 偏った形の電子雲 飛程 数100μm~数mm y φ 偏光方向 x 偏光方向が推定できる 入射X線
strip 読み出し型μ-PIC (Micro pixel chamber) ⇒「高位置分解能のガス検出器」があれば可能 μ-PICの出番 pixel数 256×256 (10cm×10cm) pixel間隔 400μm ⇒高い位置分解能を実現(120μm) anode(陽極) 10cm cathode (陰極) 10cm 400μm
strip 読み出しによる偏光検出 stripごとに信号を 足し合わせて読み出す D = cathode hit本数 2 偏光方向 difference factor A – C A + C D = cathode hit本数 2 A anodeが多くhitしたevent数 C cathodeが多くhitしたevent数 偏光方向 D 0.1 -0.1 A > C ヨコに偏光 X線偏光の 検出に成功! 偏光度が高いと 振幅大 anode hit本数3 Ar+C2H6 20keV 1イベントごとに電子雲の形状を特定できない 検出器を回転させる必要 A < C タテに偏光 0 45 90 Angle (degree)
偏光検出能の向上を目指して strip 読み出し → pixel 読み出し メリット デメリット 1イベントごとに電子雲の形状を特定できる 検出器を回転させなくても偏光度が見積もれる 観測時間が短くすむ 各pixelの波高情報が得られる 読み出し回路が膨大になる count デメリット 水平偏光の場合 0 45 90 電子雲が水平となす角度 (degree)
pixel読み出し型μ-PIC pixelごとに読み出せるガス検出器μ-PICを開発中 pixel数16×16 = 256 pixel間隔 600μm ⇒位置分解能 ~200μm Imagingが可能 600μm 1cm 1cm
Amplifier Shaper Discriminator 256ch 読み出し回路 ASD & Encoder μ-PIC Amplifier Shaper Discriminator (ASD) Encoder 位置情報の圧縮 256ch (analog) 256ch (digital) 8ch (32pixel x 8) (summed analog) gas gain 103 – 104 32pixel分の信号 gas gain ~5000 32bit x 8clock / 1event 150nsec 30mV 現在 開発中 VME Memory Board Ar(90%) + C2H6 (10%) 55Fe(5.9keV)
今後の展望 電子雲の2次元 digital patternを得ることが目標 32pixelをまとめた信号から基礎特性を評価 256chを読み出すための回路を開発中 digital patternから電子雲の角度分布を求め、偏光度を測定する予定 さらには各pixelからの波高情報を用いて、より偏光検出 能力の高いpixel読み出し型μ-PICの開発を目指す ⇒来年はじめに、KEKにて100%に近い放射光を用いた実験を行なう予定
旧型読み出し回路 ASD & Encoder μ-PIC(256 x 256) 512 ch (analog) Encoder 位置情報の圧縮 512 ch (digital) Amplifier Shaper Discriminator Amp + 位置情報のdigital化 8ch (summed analog) 32bit / 1event (50MHz) VME Memory Board