高地におけるγ線エアシャワー地上観測のシミュレーション ~CANGAROOⅢ望遠鏡の拡張~ 塩田了
実験目的 CO smic R ay SI mulations for KA scade 現在TeV~100GeVオーダーの超高エネルギーγ線観測が可能。 観測可能エネルギー領域を下げるためには望遠鏡の系を大きくするか、高地観測を行う。 CANGAROOⅢ望遠鏡の拡張案のひとつとして、同様の望遠鏡を高地に建設した場合にどの程度のメリットが生じるかをシミュレートする。 CO smic R ay SI mulations for KA scade CORSIKAはLinuxやMAC上で動作できる宇宙線 エアシャワーシミュレーションプログラムである。 様々な種類の宇宙線によって発生する2次粒子の 動きやパラメータを計算できる。
他にも活動銀河核、超新星残骸も高エネルギーγ線源と考えられる かに星雲 陽子 γ線 高エネルギー天体 ガンマ線は星間磁場の影響を受けず直進するため発生源の方向がわかる。
高エネルギー宇宙線による エアシャワー
超高エネルギーγ線による エアシャワー 超高エネルギーγ線
超高エネルギーγ線による エアシャワー 電子 陽電子 エアシャワー
高エネルギー陽子線による エアシャワー 高エネルギー 陽子線
高エネルギー陽子線による エアシャワー π+ π0 γ π- γ e+ e-
超新星残骸、パルサー星雲、活動銀河核など 解像型大気チェレンコフ望遠鏡 200GeV~数10TeVの天体ガンマ線観測 超新星残骸、パルサー星雲、活動銀河核など カメラ面上でのイメージ 約400m 1~2万m シャワーの発達の様子を反映 大気チェレンコフ望遠鏡は、200GeVから数10TeVまでの天体からのガンマ線観測を目的とし、 これまで超新星残骸やパルサー星雲、活動銀河核などからTeVガンマ線を検出して来ました。 高エネルギーガンマ線の起こす空気シャワーからのチェレンコフ光を地上望遠鏡で受け止め、間接的に検出します。 また宇宙線陽子も同じ原理で検出してしまいますが、 両者の典型的なイメージが右の図で、ガンマ線の場合はコンパクトにまとまって目標天体の方向(中心)を向くのに対し、陽子の場合は広がったイメージになり、宇宙線の等方性を反映してランダムな方向をむきます。 これらのイメージを楕円で近似してパラメータ化することで両者を定量的に識別します。 γ線 陽子 チェレンコフ光を鏡で集光 光電子増倍管で検出 形状をパラメータ化して両者を識別
CANGAROO-Ⅲ望遠鏡 口径10m 114枚の鏡 光電子増倍管を並べた解像型カメラ リモートコントロール 2-4号機のカメラ 次にCANGAROO-III望遠鏡を紹介します。 オーストラリアの砂漠地帯に口径10mの望遠鏡を4台並べて次で説明するステレオ観測を行っています。 南半球では銀河面が天頂を通るので、銀河系内天体の観測には非常に有利な場所と言えます。 そのほかのパラメータはここに書いたとおりで、 これが実物の写真ですが、焦点にPMTを427本ならべたカメラがあり、 この小屋にあるDAQで処理されます。 2-4号機のカメラ 直径3/4インチPMT427本
これよりCORSIKAによる シミュレーション 縦軸 チェレンコフ光子密度 入射軸からの距離 横軸
エネルギーによる チェレンコフ光子密度の変化 1TeV 1TeV 100GeV 300GeV エネルギー3倍で大体一致 γ線に比べてエネルギーによる変化の幅が大きい 50GeV 50GeV
エネルギーによるγ対陽子のチェレンコフ光子密度の比 100GeV以下の超高エネルギーγ線はフロンティア 100GeV 300GeV エネルギー(GeV)
観測位置によるγ線の チェレンコフ光子密度の変化 300m 4640m
観測位置による陽子の チェレンコフ光子密度の変化 300m 4640m
観測位置による チェレンコフ光子密度の変化 チェレンコフ光子密度(n/cm ) 10GeVγ線の図 チェレンコフ光子密度(n/cm ) 100GeV陽子の図 入射軸からの距離(m) 入射軸からの距離(m) 観測高度を上げた際のチェレンコフ光子密度の上昇は、γ線の方が顕著。 ― 4800m ― 2500m ― 160m
直径10mの望遠鏡の真上から 垂直にγ線を降らせた時 カメラ像として捕らえられる確率 100GeV 30GeV 10GeV 4800m 65.87% 7.04% 0.66% 160m 2.92% 0.01% 0%
直径10mの望遠鏡の真上から垂直にγ線を降らせた時カメラ像として捕らえられるチェレンコフ光子数の平均 100GeV 30GeV 10GeV 4800m 618.14 331.19 244.00 160m 162.39 140.15
結論 CANGAROO望遠鏡を現在のWOOMERAの高度160mからチリのアタカマ高地の4800mに上げることでγ線の観測エネルギーの下限を4~5倍下げることが出来る。