情報処理Ⅱ 第2回 2004年10月12日(火)
型(type) 変数や値がどのような種類の情報を持っているか 型の違いの例 C, C++, Javaなどでは,変数宣言時に型を決めなければ ならない 型の違いの例 int i = 1; (整数の「1」) float f = 1.0; (実数の「1」) char c = '1'; (文字の「1」) char *p = "1"; (文字列の「1」) 相互に変換できる?
型の分類 オブジェクト型 関数型 ⇒ 後日学ぶ 不完全型 算術型 ⇒ 本日のテーマ 配列型 ⇒ 後日しっかり学ぶ 構造体型 ⇒ 後日しっかり学ぶ 共用体型 ポインタ型 ⇒ 後日しっかり学ぶ 関数型 ⇒ 後日学ぶ 不完全型 派生型
算術型(よく使う) char : 文字,小さな範囲の整数 int : 整数 long : より大きな範囲の整数 float : 実数 語源…character int : 整数 語源…integer long : より大きな範囲の整数 語源…long integer float : 実数 語源…floating point(浮動小数点) double : より大きな範囲の実数 語源…double precision(倍精度)
算術型(あまり使わない) なるべく使わない たまに見かけるかも short int short long int unsigned char unsigned int unsigned long long double なるべく使わない short int long int long long long long int signed unsigned signed int char signed
整数型の範囲 整数型(char, int, longなど)のとりうる値は で決まる. nビットなら,2進数を用いて2n個の数値を表現できる. その型を何バイト(何ビット)で表現するか 符号の有無 で決まる. nビットなら,2進数を用いて2n個の数値を表現できる. どの整数型も,0を表現できる.
signedとunsigned signed (符号あり) unsigned (符号なし) signedもunsignedも書かなかったら… 負の数をとり得る整数 最小は,-2n-1 最大は,2n-1-1 unsigned (符号なし) 負の数をとらない整数 最小は,0 最大は,2n-1 signedもunsignedも書かなかったら… int, short, longでは「符号あり」と決まっている charでは処理系に依存 1 1 1 1 1 1 1 1 n = 8 の ビットパターン 1 1 1 1 1 1 1 1
整数型の範囲の例 例1: int型が4バイト(32ビット)なら, 例2: char型は常に1バイト(8ビット) 注意 0≦unsigned int型の値≦4294967295 例2: char型は常に1バイト(8ビット) char=signed charなら,-128≦char型の値≦127 char=unsigned charなら,0≦char型の値≦255 注意 char以外の整数型のバイトサイズは処理系に依存 演習室の環境は,intとlongがともに4バイト. intが2バイトという処理系も多い.
範囲を越えるとどうなるか? 例1: signed char型変数に13*13を格納すると? 例2: オーバーフローによる無限ループ
浮動小数点とは? 科学技術計算では,602000000000000000000000 を 6.02×1023 と書く. 計算例:(6.02×1023)×10 = 6.02×1024 (符号)仮数×底指数による表現を,浮動小数点形式という. ただし1≦仮数<底,指数は整数(0や負でもよい) 「底」は「基数」とも言う. 計算例:(6×102)×(6×102) = (6×6)×102+2 = 36×104 = 3.6×105 2を底とする浮動小数点形式で表されることが多い. 例:-0.625 (=1/2+1/8)は,「-」1.01(2) * 2-1
実数型の範囲(1) 仮数と指数をそれぞれ何ビットで表現するかによって,取り得る値が決まる. 単精度の例:符号1ビット+仮数部23ビット+指数部8ビット =32ビット(4バイト) 倍精度の例:符号1ビット+仮数部52ビット+指数部11ビット=64ビット(8バイト) ビット数の制約があるため,あらゆる実数を表すことはできない. 表現できない数の例:101000 ,√2,π
無限小? 1から始めて2でどんどん割っていくと, いくらでも小さい数ができる? いずれは0になる?
1なのに,1でない? for文を用いて,0, 0.1, 0.2, ..., 1.0 を取り出す. 注意 (最善) 実数型はループ用変数にしない. (次善) != ではなく,> や < を用いて終了判定をする.
定数の表現方法 整数定数 浮動小数点定数 上記の英字は,大文字でも小文字でもよい. 123, 0123, 0x123 -123 123U, 123L, 123UL 浮動小数点定数 3.14, -3.1415926 .14, 3. 6.02E-23 6.02E-23F, 6.02E-23L 上記の英字は,大文字でも小文字でもよい. 8進数値 16進数値 ( 0~9, a~f ) 6.02×10-23
異なる型の値同士の計算 1/3 と 1.0/3 と 1/3.0 と 1.0/3.0 は同じ値? 演算において,大きい範囲の型に揃えられる. int > short, int > char (汎整数拡張) long double > double > float > long long > long > int (暗黙の型変換) unsigned > signed 変数に値を格納する(代入する)ときは,変数の型に応じて型変換が行われる. 注意 unsignedとsignedの整数値を混在させて演算しない. 1/3は,0
まとめ 変数や関数などの名前は「識別子」と呼ばれ,そのルール(命名規則)や慣用的な使われ方がある. 「数」には「整数」と「浮動小数点数」がある. 表現できる数値には制限がある. 「整数」といっても,いくらでも大きな整数値が使えるわけではない. 「実数」といっても,いくらでも精密な実数値が使えるわけではない. オーバーフロー,計算誤差,型変換に注意.
次に学ぶこと 制御文 問題 for, while, do~while if~else, switch~case 九九の表を出力できる? 1st, 2nd, 3rd, 4th, …, 1000th と順番に序数を生成 できる?